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2016年11月 8日 (火)

国立大学の法人化は結局失敗だったのか?(1)

20119月、会計検査研究第44号の「巻頭言」に、佐和隆光滋賀大学長(当時)の「国立大学法人化の功罪を問う」という論考が掲載されている。第1期中期計画期間を終えて、佐和先生は、自身が反対した法人化が、教育・研究の質的低下、研究費の「集中と選択」の弊害、教員人件費削減の弊害、大学間格差の拡大など、様々な面で失敗だったとしている。2点目の研究費の配分に関しては、法人化とは別問題だと思うが、同時期に政府によって進められた施策が、国立大学の学術研究を歪める結果を招いたという批判だろう。残りの3点は、第2期中期計画期間が終了した今、更にその傾向が進み、問題が深刻化していると言える。特に教員人件費に関しては、物件費削減で人件費を確保してきた大学法人も、最近の北海道大学の動向に見られるように、いよいよ苦境に陥っており、第1期終了時点よりは事態が切迫している。

 

2期終了時点で付け加えるべき問題としては、国全体の研究力の地盤沈下、博士課程の価値低下、大学の機能分化及び分野間格差、家庭の経済力による進学格差の顕在化などを挙げることができるだろう。国の財政事情の悪化が、予算面での「国立」の実質的終焉を招いており、多くの国立大学法人が、将来への明るい展望がない中で、単年度の収支を取り繕う経営に終始するしかない状況に追い込まれている。運営費交付金と施設整備費補助金は、既に切られすぎている状況だが、第3期も削減が続くと予想されるので、佐和先生の言う失敗は、次第に致命的なものになるだろう。

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コメント

息子(大学院卒「理工系」、ある大企業の研究所にずっと勤めている)と会えなくて、電話だけで話をしたいる状況ですが、いつも、「大学や大学院卒の若い社員に比べ、中国や韓国から来た大卒や大学院卒の社員の方が、語学も身についているし、能力もすぐれているので、日本人の大卒の採用が減るだろう」と嘆いています。私も、日本国の教育費は、先進国、新興国合わせて38か国中、下から2番目という低さに、子供、若者の育成に金をかけない政府、それを憂わない日本の風潮を情けなく思う毎日です。新型コロナ禍で、日本の遅れ、政府の多くの問題点に、気づいた人が多いと思います。

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