NUPSパンダのブログ http://nups-japan.cocolog-nifty.com/blog/ ja-JP 2025-01-08T08:10:04+09:00
  • 歌の題は、都 http://nups-japan.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-1ec5d9.html べらぼう  MHKの新しい大河ドラマは、田沼意次から松平定信への時代に、江戸の出... <![CDATA[

    べらぼう

     MHKの新しい大河ドラマは、田沼意次から松平定信への時代に、江戸の出版業を牽引した蔦屋重三郎さんの生涯を描く作品です。初回で、着物をはぎ取られた女郎の裸の死体が並んだシーンがあり、子どもには見せられないというようなコメントもあるようです。舞台が吉原でもあり、男が性欲を満たすための場なのですから、そもそも子どもの視聴の対象にはならない作品でしょう。また、浮世絵には主要なジャンルとして春画もあり、女の裸が出てこないと不自然なのです。裸の女が出てはまずいのならば、作品は成り立ちません。暴力という点でも、身分の上の者が、下の者に対して、殴る蹴るというようなシーンが幾つかあり、やはり、子どもには見せられないでしょう。明確に16歳以上にお勧めというような表示をしたら良いと思います。作品の見どころは、吉原の花魁を小芝風花さんがどう演じられるかという点にあると思います。吉原の表と裏の世界をリアルに描こうとしているのは分かりますので、そこに焦点を当てて、1年間、観て行きたいと思います。主人公が、商売人として成功していくにしては、初回に関しては、やや直情的で無鉄砲すぎるように感じます。次第に、仲間を作って、下層の女郎の生活改善という社会福祉プロジェクトを成し遂げるのでしょうか?

     

    大相撲初場所への期待

     何と言っても、琴櫻関と豊昇龍関の綱取りに注目です。稽古総見では、豊昇龍関の好調ぶりが目だったようですが、本場所は別物です。両者とも13勝以上の成績を上げて、横綱に同時昇進というシナリオが好ましいのですが、それには、同じく優勝候補である大の里関がカギを握ると思います。横綱照ノ富士関には、15日間取り切ってほしいと願います。満身創痍の状態ですから、11勝くらいで合格だと思います。幕内下位では、尊富士関、伯桜鵬関に10勝以上を期待しています。この二人には、三役から大関を目指すために、地力をつける1年にしてほしいと願います。十両では、嘉陽関が勝ち越して幕内昇進を勝ち取ることができるかに注目しています。また、5枚目に上がってきた安青錦関には、優勝を期待しています。天井知らずの上昇を続けてきた彼は、このまま幕内上位まで番付を上げていくのではないでしょうか?十両の下位に並んでいる若手力士たちの出世争いも楽しみです。特に、小兵ながら勝負勘の良い若碇関は将来が楽しみです。幕下上位には、ベテランから若手まで多彩な力士が並んでおり、関取の地位をかけた競争は、一番一番見ごたえがあるでしょう。その中で、軽量の宮城さん(中村部屋)に注目しています。親方には、「頭を俺にすれば上がれる」と聞きましたが、嘉風の頭脳をインストールできたでしょうか?先場所幕下優勝した長内さん(青森県出身)も5枚目で関取が見えていますから、勝ち越してチャンスをつかんでほしいと願います。

     

    Z世代の考え方

     麻布競馬場「令和元年の人生ゲーム」(文藝春秋)は、1991年生まれの著者による、2016年から2023年までの東京を舞台にした、20代の若者たちの人生模様を描く4篇の連作をまとめた小説です。各短編の主人公は異なりますが、周囲に合わせて自分を変えないことに執着するナイーブな沼田という男がすべてに登場して、登場人物全体が同じ時空間を共有していることを表現しています。小説の作法として、沼田を主人公にしないことが著者の拘りなのでしょう。私のような60代後半の人間に、現在の20代の人たちの考え方を理解するのは難しいと感じますが、著者による会話の組み立の妙によって、他人との関係で、こんな感情を持っているのだと納得させられます。「向かうべき場所を持たない」「心休まる場所は、自分で作らなくては」「教育されて望まれた通りにZ世代らしく振舞っている」「Z世代とかいう分かりやすい記号に飛びついて」「人生とは、次々と出くわす交差点をすり抜けて誰かを置き去りにしながら走っていく行為の連続」「何が正解とか、誰を優先して誰を切り捨てるとか、そういうことを決めることが、どうしてもできない人」というフレーズには、この世代の人たちが抱えている屈託や苦悩に共感するヒントがあるように感じます。ビジコン運営サークル、人材系最大手企業、シェアハウスと地域猫活動、銭湯の事業継続という場の選択も、いわゆるZ世代らしいものですが、実は、そのイメージは押し付けられたものに過ぎないというのが、著者の主張です。それぞれの主人公は、前のめりに行動する同世代を常に見送る側です。出発が永遠に訪れないという不安を抱えながら、Z世代に押し付けられている価値観に違和感を持っているのです。登場人物の結婚観、労働観は、60代の私たちとは全く異なります。はっきり言えば、共感できません。若者がステレオタイプ的な見方に反発するのは、これまでの歴史にも繰り返されてきたことです。自分を変えたくないという沼田のような生き方は、かなり苦しそうで、彼の人生ゲームがどうなっていくのか、気になりました。続編を望みます。

     

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    NUPSパンダ 2025-01-08T08:10:04+09:00
    集は、古萬葉。古今。 http://nups-japan.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-ca667b.html 予備校倒産  2025年の正月早々に、ニチガクという大学受験予備校が、突然、新宿... <![CDATA[

    予備校倒産

     2025年の正月早々に、ニチガクという大学受験予備校が、突然、新宿区の教室を閉鎖しました。倒産したようですが、受験生を大学入試の本番が迫った時期に放り出すとは、呆れた経営者です。給与の支払いも遅延していたようですので、教職員も犠牲者です。本来、年度当初に経営が成り立つほどの数の生徒が集まらなければ、経営が行き詰まるのは目に見えています。資金繰りに奔走していたとのことですが、判断が遅すぎたとの批判は免れないでしょう。大学受験予備校は、いわゆる正規の学校とは異なり、今回のケースのように、いきなり閉鎖、倒産というようなことが起こっても不思議ではありません。しかし、経営者には、受験生たちの人生を預かっているという自覚が求められます。その点で、正月早々の教室の閉鎖は、経営者失格の烙印を押されることになります。私立大学の中にも経営状況が厳しいところが増えていますので、文科省には、不測の事態を招かぬためにも、学生募集の停止の判断に関して、適切な指導が求められます。

     

    論理と鑑賞

     佐久間、玄馬「論理的音楽鑑賞2」(YAMAHA)は、ロマン派の音楽を読み解くとして、シューベルトからチャイコフスキーまで11人の教科書に載っているような音楽家を取り上げています。著者が主張する手法は、芸術作品を誰でも読み解けるようにするためのフレームワークを用いた鑑賞法です。この著作で使われている4つのフレームワークは、時代を読み解くA-PEST(芸術音楽、政治、経済、技術)、3K(革新、顧客、競争・共創)及び作品を読み解くストーリー分析及び3P分析(人、時代、場所)です。私のお気に入りのヴェルディを例に取れば、ナポレオン統治下のイタリアでフランス市民として出生、第2の父の支援及びスカラ座支配人との出会い、妻子を全員失い2作目のオペラが初演の1日で打ち切りという苦難、ナブッコがイタリア統一運動の象徴となって大ヒットして人気音楽家に、87歳の長寿を得てオペラの黄金期を築くという人生です。ヴェルディは、椿姫のような現代ものをオペラに導入した革新性でも評価されています。これまで知りませんでしたが、イタリア音楽界で初めて著作権ビジネスを導入して、その収益を引退した音楽家のための「憩の家」という高齢者施設の運営に充当したとのことです。音楽史に残る人ですが、下院議員を務めたり、農場経営をしたり、多彩な面も持っています。この間の16年ほどには、音楽活動は休止状態でした。彼が生まれたのはパルマ郊外の村ですが、パルマには、ヴェルディ愛好家グループ「27人クラブ」があり、NHKBSの「世界ふれあい街歩き」でも紹介されていました。27人は、それぞれヴェルディ作曲のオペラを自分のシンボルとしていました。ヴェルディのオペラの数は28とされていますので、計算が合いませんが、ヴェルディ+27人という意味なのかも知れません。音楽鑑賞に論理を持ち込むことには違和感がありますが、楽曲の背景の知識として持つことで、鑑賞を深めるための助けになると理解しておきましょう。音楽を左脳で聴くのは無理があります。

     

    生成AIによる宗教

     円城塔「コード・ブッダ」(文藝春秋)は、機械仏教縁起という副題の通り、東京オリンピックの2021年に、AIがブッダのような教えを説き始めるという小説です。人間、機械の別を問わず、弟子に法を説き、寂滅し、涅槃に入ります。コードのブッダが残した言葉は、捻じ曲げられて解釈されつつ、世界仏教に転じて行きます。終盤、鎌倉仏教らしき異端が登場して、南無阿弥陀仏と唱えれば浄土に行けると教えます。苦しみのもととなっている輪廻から外れるのではなく、極楽浄土に転生することが大衆の望みであり、南無阿弥陀仏は魔法の言葉になりました。しかし皮肉なことに、戦乱の世は続きます。最後は、機械仏教が、地球から移住する人間や機械とともに宇宙に広がり、機械、情報、記号を含めて、すべてが成仏すると説かれます。最終盤の記述に関しては、どうにも私の理解を超えます。要は、機械仏教では、生命の循環を意味する輪廻からの解脱を超えて、宇宙全体が永遠の平衡状態に至る道を説いているということなのでしょうか?この作品を、ユーモア小説と見るのか、哲学的小説と見るのか、非常に受け止めが難しいと思います。今後、生成AIが宗教を創始するということは、ありうるでしょう。すべての新興宗教は、既存の宗教のパッチワークだから可能なのです。しかし、人間はともかく、機械がその宗教を信じるということはないのではないでしょうか?機械が、老病死のような苦しみを抱えているわけではなく、信仰を必要としないからです。輪廻があるという証拠も見い出せないでしょう。生成AIの専門家はどうお考えでしょうか?

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    NUPSパンダ 2025-01-07T08:33:30+09:00
    秋の野のおしなべたるをかしさは薄こそあれ http://nups-japan.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-272cbe.html 大阪万博前売り券  開幕まで100日を切りましたが、日経新聞によれば、一般購入分... <![CDATA[

    大阪万博前売り券

     開幕まで100日を切りましたが、日経新聞によれば、一般購入分の前売り券が、700万枚の目標に対して19%しか売れていないとのことです。旅行社・コンビニ等への委託分84万枚のほかは、公式ウェッブで47万枚しか売れていないという状況です。関西圏や中高年層以外の掘り起こしのために、USJとのセット割引き券を売るなどの涙ぐましい作戦も検討されているとのことですが、基本的に、万博自体に求心力がない限りは、特に首都圏では全く盛り上がることはないと思います。人気歌手のライブで若者を呼び込もうなどというのは、誰が考えてもおかしいでしょう。主催者は、恥ずかしくないのでしょうか?そのうち、ポイント還元や景品付きなどの奥の手も出て来そうです。USJのついでに万博に来てもらうくらいなら、万博による経済効果にならないのではないでしょうか?私自身も、首都圏の無関心層の一人ですが、公費による赤字補填は絶対に反対ですので、主催者は覚悟をもって入場券を販売してください。このままでは、屈辱的な大失敗イベントになります。国際的な信用を失うとともに、国内では責任問題が生じます。

     

    N中等部

     N/S高校については、角川ドワンゴ学園が運営するインターネットを利用した通信制の高校として、かなり知られていると思います。在籍者が2校で3万人を超えており、日本一の生徒数に達しています。それだけ、既存の高校には適応できない、満足できない生徒が増えているということになります。教育内容、方法も、ユニークで、自分自身がもしも高校生の年代であれば、選択肢として考えるかもしれないと感じます。中等部については、保護者からの要望を受けて、2019年度に開校したようです。こちらは、公立の中学校に在籍した状態で、受講するスタイルの無認可校です。高校と同様に、オンラインで受講するコースと、全国20か所(東京には7か所)にあるキャンパスに通学するコースが選択可能です。授業料は、1年を12期に分けており、期ごとに支払う方式ですが、例えば、1年間で計算すると、ネットコースでは、約49万円、週3回の通学コースなら設備費込みで、約80万円になります。安いとは言えませんが、単に教科の学習を支援してくれるだけではなく、将来の職業に必要な総合力を育成するカリキュラムが組まれているので、不登校の生徒及び保護者には、大きな魅力がありそうです。通学すれば、自分と同じ境遇の友人も見つけられるかも知れませんし、部活動などで、N/S高校の生徒との交流の機会も得られるようです。ホームページには在籍者数は掲載されていませんが、「ルポ学校がつまらない」(小林美希)には、2024年3月現在で、1426人が在籍しているとありました。この時点では、キャンパスは12か所となっていますので、規模も急拡大中なのだと思います。コロナ禍を経て、不登校の生徒が増加しているために、N中等部への需要が急増していることが伺われます。アスリートのためのコースもあり、多様な生徒のニーズに応える学校になっています。在籍する生徒は、形式的には、公立中学卒業の資格によって、高校への進学をすることになるでしょうが、実質的には、N中等部の卒業生です。今は、無認可校で塾のような扱いですが、教育機関としての実績が明らかになれば、制度改正を行って、通信制の中学校として認可することも考えられるのではないでしょうか?

     

    イカゲーム2

     Netflixで観ましたが、途中で打ち切られたような終わり方でした。主人公のゲームをやめさせるという思いは失敗で終わったのか、フロントマンがゲームに参加した理由は何か、会場の島の探索に動いていたチームは何の役割も果たせなかったのか、反乱制圧後にゲームは続けられるのかなど、幾つかの疑問が残りました。作品としては、伏線回収に失敗しているように感じられますので、酷評されても仕方がなさそうです。イカゲームの面白さの核心は、人間の弱さだと思いますが、今回のシリーズでも、その点は楽しめたと感じます。一番強かったのは、朝鮮戦争時代を生き抜いてきた高齢女性である149番のクムジャでした。カン・エシムさんという女優さんですが、重要な役どころを見事に演じています。他の韓国の役者さんも、確かな演技力があるので、荒唐無稽なストーリーでも、見る側は、引き込まれるのです。001番のイノは、イ・ビョンホンさんが演じており、ゲームの黒幕だということを見る側は知らされています。悪役なので、最後に裏切るのは分かっています。実はその裏があるのではないかとも期待しながら、見ているわけです。しかし、単純に、やはり悪役だったという終わり方なので、こんな脚本なら、つまらないと感じるわけです。いずれにせよ、未完で終わっている作品なので、イカゲーム3に続くのでしょう。制作費が切れたのでしょうか?

     

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    NUPSパンダ 2025-01-06T09:30:18+09:00
    萩、いと色ふかう、 http://nups-japan.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-82d4b2.html オキナワミュージック  エフエム沖縄「オキナワミュージックカンブリア」編「オキナ... <![CDATA[

    オキナワミュージック

     エフエム沖縄「オキナワミュージックカンブリア」編「オキナワミュージックカンブリア(1970~2020)」(ボーダーインク)は、私のような門外漢が沖縄発の音楽シーンの歴史を知るには便利です。喜納昌吉、ジョージ紫、照屋林賢、BEGINは、リアルタイムに聴いた記憶がありましたが、地獄車、モンパチあたりになると、全く知識がありません。1990年代の沖縄アクターズスクール出身の歌手による一大ブームは、強く記憶に残っていますが、それらは、1970年代の沖縄らしさからは遠いものでした。2024年末の紅白に出場したHYというグループが、この本の中で語っている沖縄らしさは、自分の中に生まれて以来入ってきている音楽の引き出しを、あくまで自由に使って自由に創作するところにまで熟成しているようです。巻末に付録として、「あなたが選ぶ沖縄の歌」TOP50の記載がありました。安室奈美恵、SPEED、南沙織といった出身歌手が、沖縄らしいとは感じませんが、他方で、沖縄出身ではない宮沢和史、森山良子という人たちは、「島唄」「涙そうそう」といった、私も好きな洗練された沖縄らしい作品を創作しています。ちなみに1位は、「島人ぬ宝」(BEGIN)でした。この曲は、沖縄ポップスの到達点を示すものです。もう、三線や沖縄の言葉を使えば良いというものではないのです。土着+アメリカ+アジア(ニッポン)の微妙な味わいのミックスがオキナワミュージックの根本にありそうです。

     

    USスチール買収中止命令

     バイデン大統領から日鉄に対して、国家安全保障を損なう恐れを理由に、中止命令が出されました。日鉄は、今後、司法の場で、この命令の正統性を争うようですが、トランプ政権との交渉の余地があると踏んでいるのでしょう。恐らく、今後の大統領選挙の全米鉄鋼労働組合票の獲得という政治的な動機によるものと思われますが、USスチールの経営者や労働組合は、日鉄による買収を支持していたわけですから、何とも不可解な介入です。この問題が、日米関係に悪影響を及ぼすことが懸念されます。USスチールが国家安全保障にとってそれほど重要ならば、国家予算を注ぎ込んで、潰れぬように企業としての競争力を上げればよいでしょう。日経新聞は、社説などで、日本が自由貿易を守る役割を果たすべきだと主張していますが、実際、それほどの力もなくなっている国が、どんなに力んでも、アメリカが逆方向に進んでいる以上、流れに逆らうのは難しいと思います。日鉄には気の毒ですが、この話は、このあたりでお終いだと諦めるべきではないでしょうか?世界には、USスチールよりも将来性がある投資先がいくらでもあるでしょう。非合理な介入であっても、政治的な動機が明白ですから、トランプ政権への移行に期待して、費用と時間を無駄にするのはバカらしいと思います。

     

    大学は稼ぐ組織なのか?

     日経新聞が、大学改革支援・学位授与機構のデータを使って、旧帝大6校の財務状況分析を掲載していました。2022年度までの5年間で、外部収入(産学連携や寄付受入)が3割増えているとのことです。東京大学、大阪大学が上位になっているのは、工学系の教員の数が多いからでしょう。かりに稼ぐことを目的とするならば、人文・社会科学などの教員組織を縮小することが正しいということになりますが、そのような改革を是とする常識人はいないでしょう。この記事に欠けているのは、資金の直接的支出と間接的支出、加えて、その成果に関する分析です。産学連携で資金が入ることはメリットがありますが、産に対してサービスする機関になることは、学の研究機関としての本来の役割が二の次になる恐れがあります。大多数の大学の研究者にとって、産学連携は、あくまで副次的な位置づけでしかないのです。大学が稼ぐために、時間を費やせば、本来の教育研究を犠牲にせざるを得ないことを世間の人たちに十分認識してほしいところです。また、企業経営者からは、5年間で3割増だからよく頑張っているとは、受け取ってもらえないと思います。年間にすれば、6%程度の増加だからです。上記の通り、受け入れに伴う支出増もあるので、大学経営の収益としては、柱になるほどの規模ではないのです。なお、日経新聞のレーダーチャートにはなぜか女性教員比率という要素が加えられていますが、女性研究者の比率が多い学問分野を担っている大学で、比率が高くなっているのは当たり前です。稼ぐ力とも関係がないので、旧帝大の比較には適さない要素が持ち込まれて、違和感が残ります。女性の活躍促進は大きな課題なので、別の機会に、様々な角度から取り上げてほしいと願います。

     

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    NUPSパンダ 2025-01-05T08:44:06+09:00
    草の花は、なでしこ http://nups-japan.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-e5ed53.html 2025年初詣  高島屋の初売りが3日になったので、2日に、深川不動尊へ家族で出... <![CDATA[

    2025年初詣

     高島屋の初売りが3日になったので、2日に、深川不動尊へ家族で出向きました。元旦には、私だけで、地元の3つの神社に初詣を済ませてあります。深川不動尊では、護摩焚きに参加して、お札をいただき、旧年の懐中守りを納めてきます。護摩焚きでは、現世利益を求める衆生が多数参加します。日本人の宗教観が良く表れていると感じます。基本的に、極楽や天国への信仰は薄く、現世を生きるための病気平癒や商売繁盛など様々な願いを叶えてほしいと祈るのが、標準だと感じます。護摩焚きの儀式は、仏教の呪力を見せるショウのようです。堂内に入ると、お香の香りに包まれます。私の席からは、護摩の炎が良く見えましたが、かなり勢い良く燃え上がらせて、お札を火にかざす(焦げるほど)のです。般若心経の読経の際には、腹に伝わるほどの強烈な太鼓の響きが堂内を圧倒します。太鼓が響くことで、護摩焚きの効果が実感されるのです。肝心の般若心経の方は、ほぼ聞き取れません。30分ほどの儀式で、衆生の願いは本尊の不動明王に伝わり、その確実な証拠として、護摩焚きされたお札が授与されるのです。すべて終わって帰り道では、まだまだ参拝するための長蛇の列が公園に伸びていました。2日の午前は、箱根駅伝の中継があるので、午後からの参拝が増えるようです。私たちも、青山学院の5区逆転の場面を見てから家を出ました。なお、帰りには、其角、いり江に寄るのが恒例になっており、かなり待ち時間もありましたが、例年通りのパターンで、初詣を済ませました。

     

    箱根駅伝2025

     青山学院が、大差で総合優勝2連覇を果たしました。往路では、誤算もあった中で、経験者を中心に実力を発揮して、ライバルと目された國學院、駒澤には、かなりの差を付けました。2区のエース黒田選手の冷静なペース配分、4区の駅伝男の異名を取る太田選手の激走、5区の若林選手の逆転優勝への快走は見事でした。中央は、1区の吉居選手が流れを作り、チームも往路の敢闘賞と言って良い走りでした。早稲田は、5区の「山の名探偵」工藤選手の活躍が光りました。確実に古豪が優勝を狙える戦力に近づいています。復路では、6区で青山学院の野村選手が区間新を出して、その時点で、8区以降に役者が揃っているので、一人旅状態になりました。そのため、主たる興味は、シード権争いになりました。それでも、駒澤が2~3分ほどの差で追走を続けたのは、流石でした。國學院も終盤尻上がりに順位を上げて、3強は力があるという印象を残しました。予選会からの出場校では、中央、東京国際がシード権を獲得しました。立教は往路で健闘するも、復路は駒不足でした。10区で、最後までシード権を争った東京国際、東洋、帝京、順天堂の選手たちには、心から拍手を送ります。ラスト1キロで明暗が分かれましたが、あくまでチーム10人の結果として受け止めてほしいと思います。事前の予想と比べれば、特に東洋はしぶとかったと感じます。6区で順位を上げたことがシード権確保に繋がりました。箱根では、往路から流れに乗ること、5区と6区の山を制することが重要なポイントだと改めて感じました。スタッフ、選手の方々、お疲れさまでした。ゆっくり休んでください。

     

    紅白歌合戦の未来像

     2024年末の放送を見て、単なる歌番組の一つになってしまった紅白の問題を克服するための課題を考えてみました。問題点を挙げてみましょう。第1に、最近の楽曲の作品の質が相対的に低いことです。歌詞にほとんど意味がない、複雑すぎて歌唱できない、ダンスが中心で歌が添え物になっているなど、歌の力がそもそもない作品が多すぎます。古い作品には、歴史を超えてきただけの力があるので、今、聴いても、音楽として新たな感動を生むことができます。第2に、若手の歌手の声に質が低い、歌唱力も低いということです。自作の楽曲が自身の声域を超えているのは、どういうことなのでしょうか?声の質は才能なので、歌手になるべきでない人が紅白に出場していることになります。選んではダメでしょう。レベルの低い者は出さないという仕切りが必要です。第3に、会場の観客に対しての生の歌唱や演奏に拘るべきです。あくまで会場での演奏に絞ることで、企画に頼ることなく、直球勝負のライブの迫力を楽しむことが大切だと思います。能登に出向いて歌う、ニューヨークから出演する必要はないのです。以上、まとめると、歌手を厳格に選抜して、フルコーラスを歌う十分な時間を与えて、選りすぐりの良い歌を届けることに集中したら紅白の特別感を回復できると思うのです。ジャンル別に出場歌手の候補をノミネートして、受信料を支払っている人による投票で、決定すればどうでしょうか?メドレーも中途半端になるのでやめた方が良いと感じます。企画ものについては、ノミネートの際に、どうジャンルを立てるかで工夫してください。

     

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    NUPSパンダ 2025-01-04T09:51:38+09:00
    蓮葉、よろづの草よりもすぐれてめでたし http://nups-japan.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-a3c698.html 2014年閣議決定と集団的自衛権  高橋、長谷部編「芦部憲法学」(岩波書店)所収... <![CDATA[

    2014年閣議決定と集団的自衛権

     高橋、長谷部編「芦部憲法学」(岩波書店)所収の長谷部恭男「9条解釈」には、2014年の政府解釈の変更に関して、簡潔に問題点が整理されています。それ以前は、現行憲法第9条により、個別的自衛権の行使は許容されてるが、集団的自衛権(他国を防衛するために他国の要請に応じて武力を行使)に関しては許容されていないと解釈していました。それを、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」がある場合に、集団的自衛権の行使が可能であると変更したのです。この文言は実質的な限定にはなっていないと批判されています。著者は、この解釈変更には、十分な正当化根拠が示されておらず、深刻な問題がある、道理がないと述べています。集団的自衛権の行使には、憲法改正が必要であるという長年の説明を変更した内閣法制局についても、有権解釈機関としての権威が深く傷ついたともしています。芦部教授からの講義を聞いて育った東大法学部の卒業生たちは、著者からの強烈なメッセージをどう受け取ったでしょうか?なお、著者は、武力なき自衛権論も自衛権否定論も、近代立憲主義とは両立しえないと指摘しています。したがって、芦部教授よりも、かなり現実主義的な立場ですが、その著者にとってさえ、2014年閣議決定には、憲法がないがしろにされる危機を強く感じたものと思います。私自身は、日本の国土と国民を守るためには、集団的自衛権の行使も可能にすべきだと考えていますが、そのためには、憲法改正を行う必要があると思います。自国を守るには、同盟国を守ることが必要な場面があるのは、歴史が教えるところです。憲法第9条の改正を肯定しながら、2014年閣議決定を容認するのは、自己矛盾だと感じます。逆に、有権解釈の変更で第9条の制約を乗り越えることができるとするなら、憲法第9条の改正を口にする資格はないと思います。内閣法制局の黒歴史と言って良いでしょう。安倍内閣の負の遺産の一つでもあります。

     

    公立小学校の崩壊

     小林美希「学校がつまらない」(岩波書店)は、現在の公立小学校が、私たちが60年近く前に過ごしたときのような小学生、小学校ではないことを知らせてくれるルポです。学校がつまらない、価値がないと感じるのは、児童も、教員も、保護者も、地域も、意味は違いますが、同様なのです。「ストレスで荒れる小学生」を読む限り、教室がこんな状況なら誰も小学校教員になりたくなくなるでしょう。児童に荒れた状態のままで、学校、教室に居られるのは、教員や同級生にとって迷惑そのものです。保護者の前では、別人格だというのですから、迷惑行為を続ける子どもへの懲戒というよりも、保護者と子どもの双方に適切なメンタルの治療を勧めたいと思います。「政治家のための教育改革」では、大阪維新の会による教育介入の弊害が明らかにされています。学力テストを学校教育の成功の指標にすることが正しいという思い込みは、政策の間違いのもとになるので危険だと思います。著者は、不登校児童の受け皿になっているN中・高について、相当のページを割いて照会しています。余白の大切さ、一人一人違っていい、他人を否定しないというキーフレーズは、現在の学校教育が陥っている閉塞状態から抜け出すための知恵になりそうです。終章には、「子どもが子どもらしくあるために」整えるべきヒントが述べられています。著者が言いたいのは、結局、社会が変わらない限り、学びの場も変えて行けないということでしょう。私たちに、その覚悟はあるでしょうか?このままでは、学校がますますつまらない存在になっていくでしょう。

     

    個性は幻想か?

     河野誠哉「個性幻想」(筑摩書房)は、教育的価値としての個性は、教員にとっての課題や目標だったが、児童生徒にとってのものに転換されて、現場が混乱していると指摘しています。障害を個性と言ったり、発達障害を個性の延長だとしたりするのも、包摂という文脈では是と言えますが、他との差異という文脈では、著者が指摘するように否定せざるを得ないでしょう。また、個性が社会的に浮上するのは、近代化の一環としての学校教育の画一化への反作用という面があるという指摘にも頷けます。個性の尊重が行き過ぎると、平等主義的な教育保障(落ちこぼれを極小化する)がおろそかになります。個に応じた学習への切り替えは、GIGAスクール構想を推進中の学校教育の課題になっていると言えそうですが、教育格差の拡大に繋がる恐れがあります。ただ、近代化モデルは既に時代遅れになって久しいので、苦しくても、個に応じた学習を推進するしかないと思います。当然のことながら、格差を個性と勘違いすることがないよう注意が必要でしょう。個性そのものには価値の上下はないはずですが、個に応じた学習は、学習内容と到達度に差があります。平等主義を離れることは、持って生まれた才能の違いを含めて、差があることが当たり前の世界を、やむなく容認というよりも、積極的に是認することになります。うっかりすると、学校や学級の一体感が崩壊しそうですが、個に応じた学習へのモデルチェンジは最大多数の能力を伸ばすためには必要なことです。平等主義を固く守ってきた学校教育関係者は、その変化に耐えられるでしょうか?

     

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    NUPSパンダ 2025-01-03T09:15:19+09:00
    草は、菖蒲 http://nups-japan.cocolog-nifty.com/blog/2024/12/post-3e0409.html インフレと年金  公的年金は、約40兆円の保険料と約13兆円の国庫負担により維持... <![CDATA[

    インフレと年金

     公的年金は、約40兆円の保険料と約13兆円の国庫負担により維持されています。2025年度予算案では、13.7兆円が計上されていますが、年金の改定率は、物価や賃金の上昇に比べて低く抑えられます。将来世代の需給水準を保つための措置です。具体的には、1.9%プラスですが、賃金の伸びに比べて0.4%ほど抑制されている計算です。あらゆるモノやサービスの価格が上昇している中で、年金収入に頼って生きている高齢者にとっては、非常に厳しい生活が続くことになります。物価上昇を上回る賃上げを実現して、経済の好循環を作るという掛け声をよく聞きますが、年金生活者にとっては、インフレが続くと、年々貧しくなるという現実が重くのしかかります。インフレは、国民全員にとって、逃れられない税金のようなものです。特に、年金生活者には響きます。その不満は、必ず内閣不支持に繋がると思います。年金生活者が苦労している姿を見れば、若い人たちは、自分たちはもっと酷い状態になると希望を失うでしょう。経済の好循環は、インフレが続く限り、夢幻に終わりそうです。

     

    少子化対策の成果なし

     2025年度予算案では、少子化対策(子ども家庭庁)に7兆3270億円が計上されています。この支出が、本当に、少子化を止める効果がある事業のための予算なのでしょうか?少子化という結果が出るのかどうか、厳格な費用対効果の測定・検証が必要だと感じます。そもそも、育児に要する経費を、家計に代わって公費で負担することが、本当に、子どもの出生に繋がるのでしょうか?もう生まれてきている子どもを持つ親に対して、家計からの負担を減らしてあげることで、更なる出産に繋がるものでしょうか?そうした仮説がデータで裏書できるのなら、ぜひ示してほしいと思います。私は、出産する人は2人目もするし、1人で十分だと考えている人は、公費による支援で考え直すことはないと思います。少子化予算が、子どもの出産を増やさないとしたら、無駄です。現実的には、子どもの数は、家計への公費支援では増えないのではないでしょうか?保育所を増やすことで、夫婦が共に働く環境が整うことは結構なことですが、本当に、2人目の子どもに繋がらないならば、少子化対策にはなりません。少子化対策で最も効果があると考えられるのは、不妊治療への支援です。あるいは、中絶手術で水子になってしまっている子どもたちが、この世に誕生してくるような措置を取ることです。アメリカでは宗教上の理由で、中絶を禁止するか否かの大論争がありますが、日本においては、少子化対策で、中絶禁止の原則を議論すべきではないでしょうか?もちろん、出産しても自力では育てられないというケースが増えるでしょうから、公的な育児支援の強化が必須です。そういう予算であれば、疑いなく少子化対策だと言えるでしょう。

     

    私大の経営改善計画

     文科省は、収支状況が悪化した私大法人には、改善計画を提出させて、その成果次第では、私学助成を減額する検討をするようです。手緩いし、遅すぎるという印象です。現時点で定員充足していない大学が、今後、V字回復するとは思えません。むしろ、経営改善計画ではなく、大学の廃止を想定した計画を求めるべきではないでしょうか?私学事業団が受け取れば、改善を目指していいと勘違いされる可能性があります。文科省は、まだ、私大の規模縮小には、及び腰だと思います。他方で、新規の開学を認可し続けているので、結局のところ、法人が経営破綻して、学生が路頭に迷うことになるのではないでしょうか?早めに募集停止させるしかないはずです。学生が他大学に移れるような保護策と言っても、学生や保護者には満足のいくものにはならないでしょう。そんな事態にならぬように、厳しい予防措置を取ることが最善です。

     

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    NUPSパンダ 2024-12-31T08:45:30+09:00
    里は、逢坂の里 http://nups-japan.cocolog-nifty.com/blog/2024/12/post-43db20.html 2025箱根駅伝予想  3強の優勝争いと言われています。國學院が3大駅伝を2つ勝... <![CDATA[

    2025箱根駅伝予想

     3強の優勝争いと言われています。國學院が3大駅伝を2つ勝っていますが、箱根は10区間で距離が長いので、別物です。一人のエースでタイムを稼ぐという作戦では、勝てなくなっています。10人の総合力という意味では、青山学院、國學院、駒澤の順番ではないかと思います。大きな失敗をしなかった大学が優勝するはずなので、毎年、箱根で安定感のある青山学院を推したいのです。3強に割って入る可能性があるのは、城西、創価、早稲田だと思います。往路又は復路での優勝も狙ってくるでしょう。シード権争いでは、予選会組の立教、中央、東京国際あたりが浮上してくるのではないでしょうか?古豪復活を遂げている立教が獲得すれば、同窓生は老いも若きも大いに盛り上がることでしょう。東洋、大東、法政は、シード落ちのピンチを感じているはずです。東洋には、箱根だけはという意地があると思います。毎年、8~10位の争いは僅差なので、往路の出だしで大きく躓かないことがシード権獲得の条件になります。近年、運動部の不祥事が続いている日大は、シード権のダークホース的存在かも知れません。もしも、獲得すれば、林真理子理事長は、感激のあまり泣くのでしょうか?箱根駅伝を、小説にしてくれるかも知れませんね。箱根駅伝は、出場校にとって、新年早々の運試しのような面もあります。気分よく新年をスタートする大学はどこでしょうか?

     

    不倫と性加害

     プロ野球選手の不倫とタレントの性加害疑惑について、週刊文春が報道していました。選手は、取材に対して不倫の事実を認めています。タレントの方は、9000万円の支払いによって和解が成立しているようです。選手の不倫に関しては、大人の恋愛の話ですから、当事者だけの問題です。有名な選手なので、スキャンダル扱いされるのでしょう。一種の有名税というところです。プロとして来季のプレーに影響が出ないよう、この件について早期に然るべく決着をつけてほしいと願います。WBCで指を骨折しながら、普段通りに送球していた姿には、感心させられました。どういう道を選ぶにしても、己の責任を果たした上で、自分に正直であってほしいと思います。一方、性加害疑惑に関しては、放送局の編成に関わる有力な職員がお膳立てをしていたのではないかという疑惑もあり、構造的な性の上納のような嫌な話になりそうです。和解が済んでいるので、犯罪にはなりませんが、タレント個人及び放送局には、世間の厳しい目が集まることでしょう。9000万円という金額は、その被害の深刻さを想像させます。ジャニーズ事務所における少年への性加害の卑劣さ、見て見ぬふりを続けてきた日本の報道機関の歪みが、世界を驚かせたばかりですから、今回の事件について、再び曖昧な決着で誤魔化そうとするならば、日本の芸能界は、下半身の無法地帯と揶揄されても仕方がないと思います。タレントの方は、人気稼業ですから、ファンから見放されたら終わりです。テレビから姿を消すことになっても、自分が蒔いた種ですから仕方がないでしょう。

     

    インドのスズキ

     スズキの鈴木修会長が逝去されました。インドの四輪車市場では、スズキのシェアは、41%ほどで、トップです。インドでの成功は、鈴木修会長がいち早くインドへの進出を決断したこと、徹底的に現地のニーズを踏まえてモデルの改善を図ったことにあります。10年以上前に、デリーの工場を見たことがありますが、製造ラインにいるエンジニアたちは、若く優秀な人材が揃っていました。こういう人たちが、インドの中間層になれば、消費も拡大するだろうと感じました。道路を走っているワゴンRのインド版には、3世代の家族が楽し気に乗っており、日本の中間層が初めて四輪車を手に入れた1960年代のような社会の高揚感が伝わってきました。鈴木会長のご逝去で、一つの時代が終わったのだと感じます。スズキのインドでのシェアは、少しずつ下がっているようですが、信頼のブランドであるという定評を築いたのは、鈴木修という人物の偉大な功績だと思います。トヨタでも、ホンダでもない、スズキが一番になっている世界最大の市場があるということに、勇気づけられる経営者、スタートアップも多いことでしょう。

     

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    NUPSパンダ 2024-12-30T09:08:25+09:00
    橋は、あさむづの橋 http://nups-japan.cocolog-nifty.com/blog/2024/12/post-2ef97b.html 財務省への悪口で稼ぐ人  財務省は、組織としての動きが得意な役所で、政治家への根... <![CDATA[

    財務省への悪口で稼ぐ人

     財務省は、組織としての動きが得意な役所で、政治家への根回しも上手です。予算編成を通じて、霞が関のすべての府省との関係が構築されているので、最も影響力がある役所でもあります。総じてバランスの取れた優秀な人材が集まっていると感じます。彼らが、陰謀を企む悪の集団であるかのような議論を展開している評論家がいますが、あまり信用しない方が良いと思います。財務省が、国家予算編成の業務を担っている以上、膨らみ続けている国債残高を懸念するのは当然のことです。歳出・歳入のバランスを取るためには、歳出を抑制する一方、増税も必要だという判断になるでしょう。赤字国債が善で、増税が悪だという議論は、そもそも論理破綻ではないでしょうか?財務省が、そんな方針で動いたら、それこそ亡国の組織だとの誹りを受けるでしょう。既に、金利上昇局面に入っていますから、国債の利子負担が増えることは避けられません。すべて、今を生きる国民の肩にかかっている債務ですから、余命が長い若い人たちは、特に気楽に考える気にはなれないでしょう。円安を歓迎するような議論も不可思議です。エネルギーや食糧を輸入に頼っているため、1ドル150円を超える円安で、消費者物価が上昇し、家計は苦しんでいます。特に、年金生活者などには、一段と大きな重圧がかかっています。円安を楽しんでいるのは、インバウンドとその消費を当てにする業者さんだけでしょう。陰謀論のような著作を出版して、財務省を悪の根源のように批判することで稼いでいる人には用心が必要だと思います。財務省に勤務している人たちの大半は、頭の良い常識人ですから、どうぞご安心ください。

     

    袴田事件の捜査検証

     再審で死刑判決が覆り、無罪となった事件に関して、最高検察庁と静岡県警が検証結果を発表しました。決定的な物証とされた5点の衣類について、裁判では、捜査機関による捏造とされましたが、最高検は、捏造することは現実的にあり得ないと改めて反論しています。現実的にあり得ないはずはないという仮説をもとに検証を行うべきだと思います。冤罪事件を引き起こしたというあってはならない失態に対する反省が足りないのではないでしょうか?最高検自体の信用を失墜させるような検証結果の発表は、過去の失態以上に情けない思いです。静岡県警の方は、当時の捜査員から具体的な証言は得られなかったとのグレーな結論が示されています。これも、捏造したという仮説に立って、誰が誰の指示で、いつ、どのように行ったのかを徹底的に調査すべきで、曖昧な報告書で済ませて良いはずはありません。こちらも現在の警察への信頼性を損ねる残念な検証になりました。失敗を失敗と認めない組織には、改善はありません。残念ながら、再び冤罪事件が起こる国なのだという認識を強くしました。恥知らずを暴露してしまった捜査当局には、失望するしかありません。組織に良心はないのでしょうか?

     

    トランプ政権への期待

     2025年は、アメリカのトランプ政権の復活で、日本を含む世界全体が揺さぶられることへの不安が先に立ちますが、異形の共和党政権に怯えるばかりが能ではないでしょう。トランプ政権下で、我が国として希望を見出すとしたら何でしょうか?第1に、彼は、戦争嫌いだという点です。アメリカが積極的に戦争という手段を使うことを避けるのは、悪い話ではありません。ただし、台湾有事の際の連携に関しては、しっかり意思疎通をしておく必要がありそうです。また、中国人民解放軍の動きを抑止するための作戦でも協力していくことができるでしょう。中国に台湾に対する軍事行動をさせないという共通利益があります。第2に、かなり思い切った規制改革を進めようとしていることです。小さな政府へのシフトは、弊害がないとはいえませんが、今後の世界の潮流になるのではないでしょうか?新しいビジネスによる生産性に向上には、規制改革は必須ですから、日本としても高い目標を持って規制改革に取り組むべきだと考えます。規制改革が進めば、日本企業のアメリカへの投資も促進されるでしょう。それは、トランプさんの手柄にもなります。第3に、敵か味方か、損か得かという分かりやすい判断基準が採用されることです。交渉相手としては、手ごわいかもしれませんが、味方であり、友人であると認めさせることに成功すれば、ビジネスも外交もうまく行くはずです。あくまで、ビジネスの前に、友人になるという沖縄ルールのようなやり方が良さそうです。また、トランプさんばかりでなく、共和党の議会のリーダーたちとも信頼関係を構築することに気を配る必要があると思います。逆に、外務大臣が親中国だとみられるのは困ります。クリスマスで政治家がワシントンにいないからと言って、中国訪問を先に組むようでは、先が思いやられます。

     

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    NUPSパンダ 2024-12-29T08:45:55+09:00
    夜いひつることの名残、女の耳にいひ入れて http://nups-japan.cocolog-nifty.com/blog/2024/12/post-8b273c.html イチローの野球道  51歳になったイチローさんの近況を伝える情熱大陸(2夜連続)... <![CDATA[

    イチローの野球道

     51歳になったイチローさんの近況を伝える情熱大陸(2夜連続)の番組は刺激的でした。まず驚いたのは、彼が、野球選手として、今も、毎日、自宅に備えたマシンを使って自身の肉体を極限まで鍛えて、マリナーズの球場では守備練習などをしながら、真剣勝負の野球をする機会への準備をしていることです。野球は趣味になっても、彼の時間の大半を占めています。次に、彼は高校生の野球への指導に情熱を持っていることです。高校女子の日本代表との試合は、松坂さんや松井さんも出場して、華やかに開催されていました。世間の注目を集める役割を、イチローさんが担っているのです。彼女らの実力も年々アップしていることが分かります。男子に関しては、智辯和歌山を皮切りに依頼を受けて各地を訪れています。そこでは、データに縛られずに自分で考える力を養うよう、実際にやって見せて技術的な指導をしていました。野球選手としての感性を磨くことを教えているのです。この点は、現在の大リーグの野球への批判的な見方が背景にあります。三つ目の発見は、成功するためのデータに従ったプレーを選手に強いることへの反発が、イチローさんだけでなく、松井さんからも強く聞こえたということです。選手をデータで縛ることが、MLBの野球を面白くなくしているという批判です。さらに、日本でも、MLBの影響がこれから広がっていくことを懸念していました。皮肉なことに、母校の愛工大名電にも、データ重視の指導が取り入れられており、イチローさんとしては、その弊害を語って、選手たちには、自分で考えてプレーすること、野球の感性を磨くことを強く勧める場面がありました。いつか、彼や松井さんが、オリックスや読売巨人軍の監督として、チームを指揮する日が来ることを楽しみにしたいと思います。松坂さんは西武でしょうか?

     

    東北大学の大改造

     大学ファンドから、2025年度に約154億円の交付を受ける予定とのことで、東北大学にとっては、本格的な国際卓越研究大学への大改造が始まります。25年の歳月の先には、今とは全く異なる東北大学に生まれ変わる計画ですが、目標が非常に高いので、驚きます。例えば、企業からの研究資金獲得は、86億円⇒959億円と11倍以上にするとされています。単純計算では、毎年35億円ほどの増加が必要です。注目論文数も、現状の9倍の6000本に伸ばすことが目標です。こちらも、単純計算で、毎年200本以上の増加が必要になります。いずれも、尻上がりに増加率が上がるという目論見でしょうが、達成は容易ではありません。学部の留学生比率を2%⇒20%に、外国人研究者比率を9%⇒30%にするという目標も、非現実とは言いませんが、全く別の大学にするということを意味します。資金的には潤沢になりますが、これほどの大改造を成し遂げるのは、まさに壮大な社会実験です。国立大学法人は、財務的に苦境にあるので、大学ファンドに食いつきたい思いは理解できます。第2号以下の大学も、東北大学のような非常に高い目標が求められるでしょう。まずは、5年先に、どれほどの改造が進んでいるか、その実施状況とともに、効果を検証することになるでしょう。特に、外部資金獲得や論文指標について成績が目標を下回った研究者をどのように扱うのか、注目して行きたいと思います。労働法制の違いもあるので、人事マネジメントは苦労することになるのではないでしょうか?また、研究者に対する心理的な圧力が優れた研究成果の創出にプラスに作用するのかも、些か疑問です。注目論文を出し続けないと地位を追われるとすれば、研究不正の動機が生まれることを、心配しなければなりません。目標達成が困難と判断されれば、5年先、10年先には大学ファンドからの予算は切られるのでしょうが、無理に立てた計画によって、実現を担う関係者が振り回されるだけで、国際卓越研究大学というコンセプト自体が、見果てぬ夢、衰退日本の幻想に終わりそうな気もします。そもそも、既存の大学を大改造するのは、白紙から計画するよりも難しいはずです。

     

    学校教員の残業削減

     来年度予算に、教職調整額の引き上げ(4%⇒2026年1月から5%)を盛り込むことになり、その後、2030年度までに10%まで漸増させる方針が決まりました。学校教員の待遇改善自体は良いことですが、片方で、2029年度までに、小中学校教員の残業時間を月30時間以内(現行の3割減に相当)に縮減するという目標が設定されました。働き方改革を一層進めるわけですが、保護者からの電話対応も外部委託する、部活動は地域に移行する、補導時の対応は学校では行わないなど、児童生徒と教員の関係を大きく変える内容が含まれており、教育専門家からは、一律に教員の業務から切り離すことを懸念する声も上がっています。夜間や休日に子どもからの相談の電話を受けないことが正しい対応になれば、救える命も救えなくなる恐れがあります。部活動の受け皿がどの地域にもあるわけではありません。他方で、部活動の中で児童生徒を指導することに、やりがいを感じている教員も相当多いはずです。型に嵌った働き方改革を押し付けるのではなく、教員も、児童生徒も、保護者も、外部の受け皿の関係者も、満足度が増す解決策を、地域で模索すべきでしょう。教職調整額の増額と残業時間の縮減がセットになったので、校長には教員の残業時間管理に関する圧力が掛かって、その影響で、教員は子どもに対する丁寧な指導を諦めざるを得ない事態を招くことになるのではないでしょうか?それにより、学校への信頼が一層下がることを危惧します。

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    NUPSパンダ 2024-12-28T09:04:02+09:00