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2024年12月15日 (日)

女は寝起き顔なんいとかたき

人口減少社会

 河合雅司「縮んで勝つ」(小学館新書)は、人口減少日本の活路を示そうとする試みです。著者の発想は、人口減少を前提に、それに対応する社会構造への転換を実現するという現実的なアプローチです。まず、現実を見るべしとして、赤字ローカル路線の延命策の末路、郵便ポストは空っぽ、水道料金が平均5割アップ、20年後に農業従事者8割減、東京圏の買い物難民5人に1人、全世代型社会保障という幻想などの項目で、厳しいデータを突き付けています。その上で、人口減少を逆手に取る作戦として、7つの活路を示すのです。具体的には、外国人依存からの脱却、女性を真の戦力に、生産性の向上という経営目標、高付加価値商品の開発、中小企業の海外進出、市町村の枠を超えた30万人規模の独立国(生活圏)、人口集積の二層化(自宅はそのままで土日に利用、週日は拠点のセカンドハウスに集住)の7つです。安い労働力としての外国人移民は長期的にはダメージの方が大きいとしています。これには、異論もあるでしょう。出稼ぎ型の外国人の活用に、依存している業界も現実にあるからです。今後も、外国人労働者を安定的に確保できなければ、生産を支えるマンパワー不足に陥るでしょう。一方、本格的な移民の受け入れには、リスクがあることも事実です。社会的包摂という課題への備えなく、受け入れを拡大すれば、日本人との軋轢が地域で起こることは容易に想像ができます。もっとも、経済成長が鈍化して、円安により賃金が実質的に伸びない日本への移民は簡単に増えないでしょう。また、30万人規模の生活圏構想についても、市町村間の調整が必要で、容易に実現しないと思います。過疎の地域を集めても、圏域が広大になり過ぎて、各種のサービス提供は効率化できないからです。域内の交通・物流の確保にも苦労しそうです。人々の住み慣れた土地への執着が強ければ、人口集積の二層化も絵に描いた餅にしかなりません。過疎で高齢化した地域であっても、そこに住み続けたいという人を、各種のサービスから切り捨てることは、倫理的な観点からできないことでしょう。無理に進めれば、現代の姥捨てになってしまいます。能登半島地震の被災地のムラの様子を見ていれば、「縮める」ことの難しさを痛感せざるを得ません。結局、人類の歴史に鑑みても、人口減少の国が栄えるという道はないと諦めて、みながつましく生きることを良しとするくらいしかないと諦観する方が最大多数の幸福に近づけるのではないでしょうか?

 

年収の壁の歌舞伎

 与党と国民民主党の協議の行方に注目が集まっています。現行の103万円から国民民主党が主張する178万円にどれくらい近づけるかが見ものです。与党の提示した素案は123万円でしたが、グリーンが見えないほどの距離だと拒否されました。確かに、足して2で割った数字よりもかなり低めの提示だったという印象です。協議において、国民民主党は、簡単に妥協せずによく頑張ったというかたちを残したいのでしょう。150万円に近い辺りが落としどころでしょうか?国民の目には見えませんが、この舞台を黒子で回しているのは、財務省主税局です。国民民主党の税制調査会長も財務省出身ですから、役者としては、ここが見せ場だと気合の入ったところを見せてはいますが、落としどころは腹に呑み込んでいるのではないでしょうか?与党側も、いきなり妥結額を提示するのでは、いくらなんでも妥協しすぎだという批判が党内からもありえます。ここは、低めの球を投げて、腹を探っているという芝居をする必要があります。恐らく、グリーン上のピンの位置は分かった上で、駆け引きをしているように見せているのだと思います。こうしたベタな芝居を好むわけではありませんが、財務省主税局のシナリオと歌舞伎役者たちの演技を見守りましょう。

 

チケット転売の防止法

 転売で稼ぐ人たちによって、実需のファンたちのチケット入手が困難になっている状況があります。もちろん、転売は禁止だとされていますが、Webを通じて高額で取引されているのが実態です。サイトの運営者に対して、イベントの主催者から、転売している人間を特定する情報の提供を簡単に求められるような仕組みが必要です。また、転売を積極的に防止する措置を取らなかった場合には、違法行為の幇助であるとして高額の罰金及び事業の廃止命令が科されるような仕組みも検討すべきでしょう。所要の法改正を急いでほしいと思います。他方で、自分の都合が変わって行けなくなった場合に、リセールできるような場も設ける必要があるでしょう。大相撲でもチケット入手が困難になっていますが、高額で譲るという転売が横行しています。リセールに出たチケットも直ぐに買われてしまうので、転売目的で買いあさっている人間がいるのではないかと強い疑いを持ちます。その他に、お茶屋さんや旅行社が、インバウンドなどによる需要を見込んで、かなりの数を優先的に抑えている実態があります。特に、お茶屋さんは、抱き合わせでお弁当その他の土産をセットにしていますので、チケットの2倍以上の支払いになります。こうした不明朗な商行為も規制してほしいところです。少なくとも、イベントの主催者には、チケットの販売先に関する情報公開を義務付けたらどうでしょうか?転売を商売にしている人間(ダフ屋)については、チケットが入手できない、転売できない、転売されたチケットは無効になるような厳しいシステムの整備を行うべきだと思います。

 

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