おのづから短き運をさとりぬ
ミニ菜園の勧め
和田義弥「一坪ミニ菜園入門」(山と渓谷社)には、畳2畳分の土地から、年間32品目の野菜を収穫する方法が掲載されています。ミニ菜園は、耕す労力が要らない、除草が楽、生育に適した土が簡単にできるというメリットがあります。著者の手法は、2m四方の土地を16分割して、それぞれで野菜を栽培します。栽培プランの立て方では、春・秋の2作、夏野菜は8月まで、中間では短期でとれる葉物を活用、大型野菜は複数マスを使用、相性の良い野菜を組み合わせる(コンパニオンプランツ)ことが大切です。モデルプランでは、北側から、春・夏には、1列目に、トマト・キュウリ・ジャガイモ・ラディッシュを、2列目に、落花生、生姜、ナス(2マス)を、3列目に、ピーマン・唐辛子・モロヘイヤ・オクラを、4列目に、エダマメ・インゲン・バジル・シソを植えるとされています。9月以降は、1列目に、レタス・春菊・ホウレンソウ・ニンニクを、2列目に、ソラマメ・エンドウ・ニンジン・サンチュを、3列目に、大根・カブ・小松菜・ナバナを、4列目に、キャベツ・ブロッコリー・カリフラワー・白菜を作ります。これだけたくさんの苗を手に入れることは、大変ですが、自分の好きな少数の野菜を複数の区画で栽培することもお勧めです。私は、借りている世田谷区ファミリー農園(15㎡)で、春・夏期に、11品種を栽培しています。著者のアドバイスはありがたく参考にさせていただいています。
物質の世界
高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所編「宇宙と物質の起源」(講談社ブルーバックス)では、我が国の物理学者たちが一般の人に対して、最新の物理学の知識を分かりやすく説明しています。そうは言っても、完全に理解できたという人は少ないでしょう。それでも、ヒッグス粒子の発見の意義を感じることくらいはできるでしょう。興味深いと感じたのは、宇宙カレンダーで、宇宙誕生以来の138億年を1年に置き換えれば、原始地球の誕生が9月2日夜で、恐竜絶滅は12月30日です。ホモ・サピエンスの誕生に至っては、12月31日の23時48分です。そんなに遅れてやってきた人類が、宇宙や物質に関する知識をここまで貯えることができたことは、賞賛に値すると思います。宇宙全体のエネルギーの70%を占めるダーク・エネルギーの正体は、未解明ですが、その解説の中で、非常に面白い記述がありました。人間原理です。この宇宙の法則がこうなっているからこそ、人間が必然として生まれてきたという原理と説明されています。宇宙が唯一ではないマルチバースの考え方によれば、我々の宇宙は、その中の一つに過ぎません。ダーク・エネルギーが小さい宇宙であるゆえに、人間が生まれる条件が整ったという逆立ちのようにも見える論理が、ダーク・エネルギーが極めて小さくなっている説明の一つとして紹介されていました。人間の存在が宇宙全体の性質を決めてしまっているというのは、人間中心に過ぎる解説で、俄かには信じられません。しかし、最新の観測技術で科学的な探究を進める中で、人間という生物が生まれてきた不思議に改めて思いを寄せるのは、悪くないかもしれません。
キャリア官僚の落日
日経新聞が、東京大学出身189人で最少という結果を、意識の変化によって10年で半減と表現したのは、重大な事実を覆い隠すものだと感じます。端的に言えば、東大の学生は、仕事にも待遇にも魅力を感じない国家公務員には、とっくに見切りをつけているということです。かりに国家公務員を志望するにしても、よほど体が悪いのでなければ、定年までの勤務を想定するものではないでしょう。踏み台にするくらいなら、ありえます。今後も、このトレンドは変わらないと思います。キャリア官僚というものは、東大の優秀な学生の視野には、もう入っていないのです。東大ではなく、キャリア官僚が、斜陽なのです。だから、年を追うごとに、キャリア官僚の質は下がるだけです。当然すぎることなのに、好い加減、見て見ぬふりをするのはやめたらどうでしょうか?なお、キャリア官僚という職を見捨てているのは、東大の学生だけではないはずです。
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