第5期科学技術基本計画(答申素案)をどう読むか?(1)
11月16日締め切りでパブコメが実施されている標記の計画素案に対して、個人的に提出した意見を紹介したい。残された時間は少ないので、答申素案を大きく書き換えることは難しそうであるが、総合科学技術イノベーション会議が存在感を発揮して、我が国全体を牽引する役割を果たすことを切に期待したい。
1. 全体に関して、産業政策に偏しており、人文社会科学を含む学術の振興への視座はほとんど抜け落ちている。また、イノベーション創出の源流が基礎研究の成果であるにも拘わらず、それを担う大学や国立研究機関の活動を支えていく資源をどう確保するのかという観点も欠けている。近未来の産業創造に関連する研究開発には詳細な分析に基づく具体的なテーマが設定されているが、それ以外に関しては、解像度が極めて低く、重点化されていない。後世からは産業政策の観点からの重点化が極端に進んだ時代と評価されるだろう。最終案までに、些かでもバランスが回復されることを望む。
2. 人文社会科学の役割に関しては、明確な記述はなく、6ページに参画を得るという程度の扱いになっている。文部科学省により、国立大学の人文社会科学系の組織見直しが進められている中で、せめて科学技術イノベーションの観点から、人文社会科学の位置づけ、振興策などについて、きちんと記述されるべきではないか?
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コメント
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極めて産業界よりの内容になることは有識者議員のメンバー構成からもわかりきっていたのではないでしょうか?また、そのようなメンバーを選んだということで、実は2年前に決まっていたと言えます。
投稿: | 2015年12月17日 (木) 23時51分