朝顔の露に異ならず
生成AIを利用した楽曲制作*
鼻歌程度をもとにして、生成AIの活用により新しい音楽の制作が可能になるサービスがYouTubeで公開されるとのことです。音楽知識がない人間も、簡単に楽曲制作が行えるので、こうしたサービスを利用した音楽がヒットする日も近いのではないでしょうか?この場合、鼻歌程度を入力した人間に著作権を認めることになるのかは、創作性の点で微妙です。既存の楽曲の一部を継ぎ接ぎして、自分が創作したように装うことも可能だからです。また、こうしたサービスに使用する生成AIが学習した音楽の著作権者への利益の還元も問題になるでしょう。この点については、政府も、適切な還元が必要との認識を示していますが、還元の中身については未解決の課題です。恐らく、音楽とAIの両方で最先端を走るアメリカなどが事実上の標準を形成するのではないかと期待されます。素人が作曲家のように楽曲制作ができるというのは、私たちが若い頃には夢のような話で、このサービスを利用したい人は膨大な数に上ると思います。
異次元緩和からの脱却*
日銀の異次元緩和からの脱却宣言は、円安が進んでいる以外は、うまく行ったようです。日米の金利差が大きい状態が維持されると読んで、円安が進むことは、ある意味で仕方のないことです。その作用として、輸入品の物価高騰が懸念材料になります。中小企業や非正規の賃金が物価以上に上がることを見越して、マイナス金利を終了し、0.1%というわずかな金利のある状態に戻したのですが、少数の反対意見があったように、経済が好循環に向かうかどうかは、まだ確定的ではありません。春闘の結果が好ましかったというタイミングでの、見切り発車という感じです。変動型の住宅ローンの金利が上がらないとすれば、社会的に騒ぎになって日銀が再び政策変更を余儀なくされることはないでしょう。アメリカ経済の好調、中国からの資金シフトで、日経平均は上昇しており、この調子が維持できれば、僅かな金利のある世界で安定するのではないかと思います。
大相撲に蔓延する暴力*
今度は、春日野部屋で、暴力事件があり、加害者と被害者が3月場所を休場していましたが、被害者(栃神山さん)の方は、急に引退ということになってしまったようです。ネットニュースでは、報道がありますが、相撲協会からは、事件について発表がないので、詳細は不明です。北青鵬事件で報告を怠った宮城野部屋は閉鎖の方針なので、不明朗な隠ぺい工作が伺える春日野部屋も同様になるのでしょうか?もしも、そうではないのなら、両者にどういう事情の違いがあるのか、明らかにすべきでしょう。これまでの相撲協会の対応は、極めて場当たり的で、差別的でもあります。執行部の中に、宮城野親方を追い出そうと画策している人がいるように見えます。部屋を解体して、相撲協会から出て行くように仕向けているのでしょうか?春日野部屋の暴力事件に関して、見て見ぬふりをするならば、相撲協会が世間の信用を得ることは難しいと思います。また、どの部屋の力士についても、同じように暴力を受けないことを保障すべきで、指導する親方の怠慢については、きちんと正すべきでしょう。また、大相撲中継をしているNHKさんには、報道機関としての責任を果たすことを求めたいと思います。傍観者では困ります。
U23サッカー日本代表*
対ウクライナ戦は、2-0で勝利しました。主力の松木、藤田両選手が出場したので、守備が安定し、サイドチェンジも有効で縦パスも入り、攻撃が機能しました。前半から荒木選手が積極的にシュートを打っていました。ウクライナは堅守速攻で対抗しましたが、やや危ない場面は2~3回ほどで、完封したという印象です。対マリ戦から修正したというよりは、戦術が相手に嵌ったことと、起用された選手たちの個の能力が高かったということでしょう。1点目はセットプレーからの得点でしたが、アジアでの戦いに向けては、大変好ましい成果でした。2点目は、チャンスに3人がゴール前に詰めたことが結果に結びつきました。田中選手のシュートも見事でした。この世代の選手たちは、海外組も多く、高いレベルでもまれている経験値があるので、飛び抜けたエースは不在ですが、連携の練度が上がればチーム力は相当高いと思います。まずは、アジアを制してパリへ行きましょう。
投資と新NISA*
ある経済評論家さんは、新NISAが始まったからと言って、投資で豊かになろうという幻想は持つべきではないとしています。そうは言っても、その枠を使えば、20.315%の課税がされないわけですから、少しでも余裕資金がある人は、新NISAを使うべきだと思います。昔から、投資知識がない人までが株式投資を始めるようなら、市場が過熱状態に至っており、早晩バブルが弾けると言われています。その意味では、下がることがあるので要注意という趣旨なのでしょう。ただ、こういうアドバイスに従って、投資信託すらもやらない人は、結局、リスクを取って少しでも稼ぐという行為に全く向いていない人だと思います。それはそれで構わないのですが、人生が一度きりである以上、打席で一度もバットを振らないのは、勿体ないと感じます。
理系学部増員*
2024年度から4年間で、理系学部を1万1000人増員する計画を文科省が承認したのだそうです。3000億円の基金が設定されているので、その金を当てにして、私学が理系学部への転換を進めたということです。人材需要とのマッチングが気になりますが、理系学部と言っても、電気や機械というような典型的な理工系ではなく、情報、建築デザイン、環境などの文系寄りの学問分野が中心になっています。再編に伴う教育人材の遣り繰りができそうな分野に店を張り出したわけです。理系学部という何でもありに近い定義では、真の人材需要に応える供給サイドの人材養成の的確なシフトには、程遠いのではないでしょうか?なんちゃって理系学部が増設されても、3000億円の国費に見合う価値があるのか、甚だ疑問です。
紅麹の悲劇*
小林製薬が製造したサプリメントの服用による腎疾患が広がっています。入院患者が26人という発表があり、死者まで出ました。この紅麹を原料とする他社の食品・飲料でも市場からの自主回収が進んでいます。医薬品メーカーが、健康への障害をもたらす製品を市場に出してしまっていることには、ショックを受けました。しかも、発表の段階で、障害の原因物質の同定やメカニズムの解明にも至っていないということも、医薬品メーカーとしての信頼を揺るがしています。専門家による解説を聴けば、紅麹自体が障害の原因ではないとのことですが、真の原因に関する解明が遅れているために、世の中に対して、紅麹が入っているものはすべて危険だという印象を与えてしまっています。紅麹を摂取したから入院したのだという誤解が広がってしまうことを防ぐべきだと感じます。そのためには、こういう危機に当たって、原因物質の特定という仕事を、国及び大学の研究機関で迅速に行えるようなシステムが必要ではないでしょうか?その結果をもとに、政府から科学的な説明を行うことが望ましいと思います。
香港への国家条例施行*
国際金融都市に相応しいとは思えない人民統制の危険な道具が、香港にも適用開始になりました。中国本土においては、アステラス製薬の社員が、嫌疑内容不明のまま、スパイ容疑で拘束されたままです。中国当局が、外資離れを食い止めようと躍起になっても、こんな予測不能の状態では、安心して渡航すらできません。香港でも同じことが起きるでしょう。ビジネス以外でも、中国人の神戸学院大学教授が帰国した後、消息不明になっています。アメリカ政府系のラジオ局は、香港から撤退しました。記者は国外に退避しています。国家安全の定義が中国当局の思惑で決まるわけですから、危なくて、香港への観光旅行や留学もできなくなりました。こんな条例がないと国家安全が守れないくらいなら、外国からの渡航を制限する鎖国でもしたらよかろうにと思います。まさに日没するところのビッグブラザーが統制する国家になってきました。共産党による統制を強化しなければならない危機感があるのでしょう。
火山学の衰退*
国内の活火山111に対して、専門家は113人で、文科省が1億円の補助金を用意して、大学でのリカレント教育をテコ入れするのだそうです。火山学の専門家が減少しているのは、大学を含めて高度な専門家の人材需要が減っているからです。国立大学の法人化以降、大学の火山観測所は、次第に人員整理が進んできました。地震観測所も同じですが、大学キャンパスに研究者が移動し、現地の出先は無人化が進みました。現地での火山観測・監視の役割は、主として気象庁が担っています。地元で長年頼りにされていた名物的な大学教授は定年になり、後継者は地元にいなくなりました。国立大学では、運営費交付金が増えないために、コスパが悪い観測施設を維持する経費の優先度は低くなる一方です。国が、火山の観測・研究・監視などの業務を重視するのであれば、専門の組織を設けて、長期的な視点で高度な専門人材の養成確保を行うべきだと思います。人材不足になったのは、主として需要側の事情なので、文科省の1億円で事態が変わるとは到底思えません。
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