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2013年12月27日 (金)

公的研究費の管理・監査の厳格化は正しいのか?(3)

4に、ルールの縛りが厳しすぎるために、研究活動が制約され、結果として予算額に見合う成果が上がらなければ、それ自体が税金の無駄遣いである。例えば、発注段階で支出財源の特定をすることは、現場の事情を知らない者には当然のことのように感じるが、年度途中で交付が決まっていく公的研究費を、上手に組み合わせて年度内に執行するためには、支出財源を差し替える必要が出てくる。また、従来から問題視されている年度末・年度当初における研究費の空白期間など、予算執行上の制約が研究活動に与えている影響については、国際的競争力の確保の観点から、いかに緩和していくかという課題もある。第2節の「ルールの明確化・統一化」については、公的研究費の執行条件がプログラムごとに複雑化しており、機関側が的確に理解して適切に執行するための知識を備えることが難しくなっている。特に、文部科学省以外の府省のプログラムには、執行条件に制約が多いものがあり、政府全体での公的研究費の執行ルールの簡素化、統一化が求められる。

 

以上のように、今回の検討は、コンプライアンスの強化に偏っているが、むしろ研究費の不正使用の動機をなくす方向への政策転換が急がれる。このことは、これまでもしばしば指摘してきたところであるが、文部科学省の中からは、管理・監査の厳格化の流れを転換しようとする動きが、2013年末に至っても見られないことは残念である。関係府省も、文部科学省の動向に追随して厳格化の道を進むのだろう。現場での研究活動に支障が出るところまで行きつかないと、政策を転換することはできないのだろうか?

 

 

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