被爆から79年の今夏、長崎原爆投下後に雨や灰に遭った被爆者の体験記200件を読んだ。厚生労働省が収集して国立施設が所蔵する体験記からは、被爆者が過去を懸命に思い出し、後世に語り継ごうとする姿がうかがえた。だが、厚労省は体験記に刻まれた「事実」を直視せず、長崎原爆投下後に降った雨や灰で健康被害を受けた可能性のある「被爆体験者」を今も「被爆者」と認めない。私は厚労省の姿勢に疑問を禁じ得ない。
「黒本」と呼ばれる黒い背表紙の体験記集。長崎市の原爆資料館隣の地下にある、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の本棚にひっそりと保管されている。私は入社11年目の今春、長崎支局に赴任し、初めてそれらを手に取った。
私が読んだのは、原爆投下時に当時の長崎市外にいて降雨や降灰に遭った人のものだ。郊外に運ばれてきた重傷者を救護したり、爆心地近くへ親類を捜しに行ったりした経験が生々しく書かれていた。
投下後の様子を読むと「しばらくして夕立でもない、ごみが混じったような変な雨が降ってきた」(当時13歳の男性)「やがて空は厚い雲に覆われ、しばらくして降灰が始まり、一時霧雨が降った」(同23歳の男性)などと、体験した者しか知り得ない言葉遣いで雨や灰の記述があった。どれも迫真性があった。
私が体験記に目を通したのは…
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