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ダブルケア

子育てと介護をいっぺんに迫られる「ダブルケア」が、働く世代を中心に広がっています。ご意見や体験をお寄せください。[email protected]

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冬のベランダ、裸足で立ったパパの絶望 「助けては負け」の妄信

十数年前の冬の夜、西一輝さん(仮名)は自宅2階のこのベランダに裸足で立っていた=滋賀県内で2023年12月6日、西村剛撮影
十数年前の冬の夜、西一輝さん(仮名)は自宅2階のこのベランダに裸足で立っていた=滋賀県内で2023年12月6日、西村剛撮影

 家族が寝静まった冬の深夜だった。

 「もう消えたい」

 裸足で2階のベランダに立ち、手すりをつかみながら暗闇を見つめていた。

 子育てと介護のダブルケア、買ったばかりの家のローン、職場トラブル……。不眠と将来への不安で心を壊していた。

 西一輝(51)=仮名=は身を投げ出そうとしたが、その場で尻餅をついた。

 学生時代はハンドボールに打ち込んだ一輝。がっちりした体格で体重が約100キロだったこともあるが、この時は56キロ。痩せ細った腕で体を持ち上げることはできなかった。

 「ダブルケア」という言葉を知っていますか。社会のかたちが変わる中、子育てと介護で二重の負担に直面する人が増えています。その担い手は全国に少なくとも推計29万人(2017年時点)いることが、毎日新聞の独自集計で明らかになりました。当事者たちの声からその現場を描く連載(全6回)は、3月1日まで連日午前11時に公開予定です。連載は以下のラインアップでお届けします。
 第1回 「暗黒時代」に急変
 第2回 「私はかごの鳥」
 第3回 元ヤングケアラーの告白
 第4回 パパの絶望
 第5回 最大の敵は
 第6回 駆け込み寺

 我に返り、ふと頭をよぎったのは家族とハンドボールだった。

 「自分がいなくなったら誰が家を支えるんだ」「また無心でプレーしたい」

 一輝は幼い子どもがいる寝室にトボトボと戻った。30代だった十数年前のことだ。

 「男性が『助けて』と言ったら負けだ」

 そう言い聞かせて…

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