冬のベランダ、裸足で立ったパパの絶望 「助けては負け」の妄信
毎日新聞
2024/2/28 11:00(最終更新 3/2 08:41)
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家族が寝静まった冬の深夜だった。
「もう消えたい」
裸足で2階のベランダに立ち、手すりをつかみながら暗闇を見つめていた。
子育てと介護のダブルケア、買ったばかりの家のローン、職場トラブル……。不眠と将来への不安で心を壊していた。
西一輝(51)=仮名=は身を投げ出そうとしたが、その場で尻餅をついた。
学生時代はハンドボールに打ち込んだ一輝。がっちりした体格で体重が約100キロだったこともあるが、この時は56キロ。痩せ細った腕で体を持ち上げることはできなかった。
「ダブルケア」という言葉を知っていますか。社会のかたちが変わる中、子育てと介護で二重の負担に直面する人が増えています。その担い手は全国に少なくとも推計29万人(2017年時点)いることが、毎日新聞の独自集計で明らかになりました。当事者たちの声からその現場を描く連載(全6回)は、3月1日まで連日午前11時に公開予定です。連載は以下のラインアップでお届けします。
第1回 「暗黒時代」に急変
第2回 「私はかごの鳥」
第3回 元ヤングケアラーの告白
第4回 パパの絶望
第5回 最大の敵は
第6回 駆け込み寺
我に返り、ふと頭をよぎったのは家族とハンドボールだった。
「自分がいなくなったら誰が家を支えるんだ」「また無心でプレーしたい」
一輝は幼い子どもがいる寝室にトボトボと戻った。30代だった十数年前のことだ。
「男性が『助けて』と言ったら負けだ」
そう言い聞かせて…
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