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ヤングケアラー

通学や仕事をしながら家族の介護をする子ども「ヤングケアラー」。将来が左右される深刻なケースも。

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「私らしく」絶望で見た光 32歳、元ヤングケアラーの告白

家族との思い出の写真を手にしながら笑みを浮かべる友田智佳恵さん=東京都府中市で2023年12月11日、佐々木順一撮影
家族との思い出の写真を手にしながら笑みを浮かべる友田智佳恵さん=東京都府中市で2023年12月11日、佐々木順一撮影

 「財布を返せ」

 それは自宅で起きた。

 ものすごいけんまくで詰め寄られた。いつもの妄想だと分かっている。

 「殺してしまいたい」

 限界だった。92歳の祖母の腕を強くつかみ、拳を振り上げていた。

 友田智佳恵(32)=東京都=は数年前、過ちを犯しそうになった。夫(32)に止められて事なきを得た。

 祖母の腕に手形のあざがついたことを忘れられない。祖母はその後、認知症と診断された。

 智佳恵は当時、祖母と自身の両親、夫、2人の子と計7人で暮らしていた。

 64歳の母は脳障害で右半身がまひしている。2人の介護と子育ては、父と夫が仕事の合間に手伝ってくれたが、智佳恵に集中することになった。

 「ダブルケア」という言葉を知っていますか。社会のかたちが変わる中、子育てと介護で二重の負担に直面する人が増えています。その担い手は全国に少なくとも推計29万人(2017年時点)いることが、毎日新聞の独自集計で明らかになりました。当事者たちの声からその現場を描く連載(全6回)は、3月1日まで連日午前11時に公開予定です。連載は以下のラインアップでお届けします。
 第1回 「暗黒時代」に急変
 第2回 「私はかごの鳥」
 第3回 元ヤングケアラーの告白
 第4回 パパの絶望
 第5回 最大の敵は
 第6回 駆け込み寺

 智佳恵の介護歴は10代から始まり、20年を超えた。感情の爆発は、ヤングケアラーだった自身の過去と無縁ではない。

 生活が一変したのは、11歳だった小学6年…

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