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2024年12月26日木曜日

北京の学生からエロと二次創作について聞かれた件。

■北京の学生からエロと二次創作について聞かれた件。

東京芸大・毛利教授のお招きで、

北京師範大学の学生にポップカルチャー政策の講義。

 


質問1「日本はマンガやアニメにエロ表現が多いが、日本政府は規制しようとしないのか。」

 

戦前戦中の言論統制への反動もあり、新憲法下、日本政府は他国に増して表現の自由と通信の秘密を守り、規制の誘惑があっても目をつむっている。

無論、規制論はあり、地方政府が条例で手を入れることもある。

が、中央政府は抑制的。それが自由な作品を生み、日本作品の競争力の源にもなっている。

一方それゆえにフランスでのドラゴンボールなど海外で政治的に批判されることもある。

 



質問2「同人誌の二次創作で食えるのか。著作権法違反で投獄されないのか。」

コミケは年数日で邦画の興収の1/4を稼ぐほど作り手の活動は活発だが、それでも海賊版と異なり、原作へのレスペクトが土台にあって、原作者の生活を脅かすほどでもないので、作家・業界が目をつむってきた。

その厚いコミュニティが日本のポップカルチャーを支えている。

ただし生成AIで多数のレスペクトなき二次創作が発生すれば事態は変わるかもしれない。

 


中国の幹部になるかたがたへの回答は気をつかう。

2024年12月19日木曜日

コンテンツの海外展開談義

■コンテンツの海外展開談義


ネットワークコンテンツ情報共有会@竹芝。

CiP協議会、日本動画協会、オンラインゲーム協会、キャラクター・ブランドライセンス協会の共催セミナー。

内閣府知財事務局 守山宏道次長、経団連産業政策本部 堀内保潔本部長、ヒューマンメディア小野打恵社長のお話。

それから、

トムスエンタテインメント 竹崎忠社長、サンリオ 沖崎麗ゼネラルマネージャー、カバー 玉乃萌子室長とぼくでコンテンツ海外展開について議論しました。

 

コンテンツ産業14兆円はコロナから回復基調だが横ばい。

課題は3つ。1.海外、2.デジタル、3.融合。

この3つを強みにしたのが韓国で、その成功モデルをどうとらえるか。

今回登壇の3社はその3点に取り組んでいる。

1.海外展開は伸びている。政府の施策、特に10年以上にわたるアナウンスメント効果が効いたとみる。

2.デジタルも動いている。2011年に13%だったネット売上は23年に47%に達した。21年にネット広告は4媒体を抜いた。

3.融合=商品化などによる他産業とのスケールアップが「クールジャパン」で、まだこれからの戦略。

 

日本の強みはIP。世界IPランキング、1位ポケモン、2位キティ(サンリオ)、6位アンパンマン(トムス)。トップ25のうち10が日本発。

これを活かし、海外・デジタル・商品化で稼ぐ、が当面の方向性。

これを政府は理解し、まもなく知財本部の新ラウンドが始まり、経産省はコンテンツとクールジャパンを合体した文化創造産業課を発足した。ぼくは両方に参加する予定。

経団連も基幹産業と位置づけている。ありがたい。

同時に、環境変化への向き合いも業界の課題。この20年はデジタルという大波に翻弄されたが気づけば米プラットフォームに押さえられた。

今度はAI。AIが敵か味方か見通せないが、その向かい方が競争力を分ける。

そのあたり、3社の戦略は。

 

トムス竹崎さんは、コナンやアンパンマンの海外展開で文化の違いに苦労してきたという。殺人事件の現場に子ども(コナン)がいるのはいかがなものか。自分の顔を食べさせる(アンパンマン)残虐性はどうなの。あ~そりゃそうかもね。

それより、「刃牙」がネットフリックスの世界ランキング1位を獲得したことに関し、自由な表現ができる場だったからこそ原作マンガの強みが発揮できたという認識に、ぼくは危機感を感じた。

 

フランスで社会問題になったドラゴンボールの殴り合いや、しんちゃんのケツ出しのような表現は、日本のテレビがタブー不在の強みを発揮して世界に覇を唱えた。

ところが日本のテレビはコンプラがキツくなって、今や米プラットフォームが自由表現の場なのだ。

自由は日本最大の強みだったのだが、それが奪われるのは、自殺だ。

 

サンリオ沖崎さん「キティちゃんは仕事を選んでいる」。ホントですか!どんな国のどんな商品にも張り付いているので、選ばなくてエラいなぁと思っておりましたが。そこは厳密な商品化戦略があるという。

それより驚いたのは、SNSなどオウンドメディアでコミュニティを作り、YouTubeやXをプロモーションに使い、ネットフリックスでマネタイズするというデジタル戦略。となるとユーザのデータをいかに収集・分析・活用するかがカギとなるが、それは外注?「いや社内データチームを編成して回している」という。うぁ、気になる。

 

カバー玉乃さん。ドジャースと連携したVTuberビジネスについて語る。ぼく先週、LAのドジャースタジアム行ったら17という番号だけついた硬球が飛ぶように売れてて驚いた。それより、それから毎日スマホにドジャースからメッセージが届いて、そのデータ+デジタルのマーケティングに舌を巻いている。やるねぇ。

VTuberは日本発の産業文化だが、強みは続くのか。いややはり「韓国・中国などの追い上げがすごく、世界市場の開拓に当たっては言語など課題も大きい」という。勝ち続けてもらいたい。

 

共通の課題は人材。制作者にカネが回らぬ問題も、世界展開するマネジメント不足問題も、長い間指摘され議論されて解決していない。政府も打ち手をこまねいている。もう議論の時期はおしまい。アクションあるのみと思う。

竹崎さんはアニメ業界に入る新人を1年鍛える、学校とOJTの間をつなぐ機関を提案する。あり得る。実装できるのでは。

世界マネジメントについては、iUがハリウッド直結の米MBAを誘致する構想を持っており、実現にこぎつけたい。

 

海外、デジタル、融合。業界の努力を下支えしてまいりたく。




2024年12月12日木曜日

名前のない仕事。

■名前のない仕事。


鎌田和樹著「名前のない仕事」。

UUUM創業者、来年からiU教授。

ぼくよりうんと年下だし、成功者でお金持ちだし、ずいぶん違う。

けれどラジオ番組で話したりすると、だよね!って一致したり教えられたりする。

で、読んで改めて思った。似てるわー。

 

鎌田さんの「まとめ」質問。


・「つらい体験が、あなたにはあるでしょうか?」

 鎌田さんは最初に入った会社がブラックで地獄だったという。ぼくもそう。1週間で睡眠10時間という黒体験が社会の入口。あのおかげで今がある。

 

・「スペシャリストとゼネラリストだったら、どっちになりたいでしょうか?」

 鎌田さんはゼネラリスト志向だったという。ぼくも強みがなかったので官僚=ゼネラリストを歩んだ。鎌田さんは「総務」を極めたという。ぼくも役所では「総務課」だった。今も「なんでもやります」が口ぐせです。

 

・「組織や集団に、一度でも染まったことがありますか?」

 なので、ぼくは「組織人」を自認している。ピンのように見せても常に組織仕事を心がけている。

 

・「知らない人や年下の人に、「教えてください」と言えますか?」

 得意技。なので鎌田さんにも教授になってくださいとお願いするわけ。毎日、学生に教えてもらっているし。

 

・「仕事への愛着が捨てられますか?」

 捨てられない。愛着を捨てていいような仕事はしない。

 

さらに本書に登場する鎌田さんの主義。似てるわー。

 

・「挨拶ができる人と仕事する。」

 挨拶、大事。

 むかしぼくは挨拶ができないやつだった。大事だとも思っていなかった。無駄だと思っていた。変わったのは2つきっかけがある。

 まず30歳のころ、郵便局長となりいきなり60人の部下ができた。全員年上で、歓迎されてはいない。まずできることは、全員の名前を覚えて、毎日、一人ひとりに挨拶すること。コミュニケーションをとりにいく。少しずつ、ほぐれる。無駄ではない。

 次に数年後、パリに赴任した。言葉のできない東洋人である。コミュニティに、街に、同化しないと、差別され排除され危害も加えられかねない。私は怪しくない。順応し従属する市民である。ことを示す。エレベーターでも公園でもメトロでも、知らない人にも子どもにも、ニコリとしてボンジュールと声を出す。無駄ではない。

 声を出す。バカにしてはいけない。あんがい大事な通行札なのだ。ということが大人になるとわかる。なので学生にも、挨拶は大事だよと伝えている。

(もう一つ大事だよと伝えるのは「食う」こと。これもパリで学んだ。なんでも食う、ことが、社会の中で、他者と生きるうえで、のしていくためにも、重い価値を持っていることを。挨拶とメシ。コミュニケーションと身体維持。他人との関わりと、自分のからだ。ぼくが教えられるのはこの程度なのだけれど。)

 

・「イヤなことをさっさとやる。」「感情を無にしてさっさと終わらせる。」

 これも似てる。困ったことが目の前に転がってきたら、四の五の抗ったり、理屈で勝ち誇ろうとしたりしない。自分でチャッチャとやったほうが時間的に効率的なことならば、ゴメンナサイ言ってすぐ収めたり、手を動かして終わらせたりする。で、さっさと次に行く。

 そして鎌田さんは、失礼で鬱陶しい相手、場面に出くわしたとき、カネ払って静かに手を切って、「この会社とは仕事しない」と決めたというエピソードを紹介している。あぁ、似てる。ぼくもそんなやりかた。黙って心で怒ってニコニコして、その相手とは絶対にもう一緒しない、という落とし前。

(そんなぼくの性格を知ってるひとは、「京都人」は怖いなぁ、という。でも鎌田さんは東京人だよねー)

 


 鎌田さんとご一緒したのは、大阪人・大﨑洋さんのラジオ番組。大﨑さんも吉本興業というかつてブラックだった会社に入って、ゼネラルに活躍した組織人。挨拶の達人。ずいぶん違う、ようで、似てるわー。

2024年12月5日木曜日

「ホワイトカラー消滅」。

「ホワイトカラー消滅」。


冨山和彦さんの著書。

「専門職大学でも中村伊知哉氏が率いるiU大学のようにイノベーションと起業を専門職と捉える先進的な教育機関が誕生している。」と紹介くださいました。

光栄です!


「少子高齢化による深刻な人手不足と、デジタル化の進展による急激なホワイトカラーサラリーマンの減少と人余りが同時に起こる社会に突入する。人手不足はローカル産業で生じ、人余りはグローバル産業で顕著に起こる。」

との認識のもと、本書はアカデミックスクール/G(グローバル)型大学至上主義からプロフェッショナルスクール/L(ローカル)型大学重視へ、を説きます。


G型L型の分類には特に文系の大学から批判も見られますが、ハーバードやスタンフォードのビジネススクールは正真正銘のプロフェッショナルスクール=超一流のL(ローカル)型大学と位置づけている点に注意。iUも超L型になりたい。


また、本書はリベラルアーツを全人格教育の基礎能力と位置づけて、言語(母語・英語)と数学を代表とします。

経済活動をするうえでの経済学・簿記会計・基礎法学・統計学。そしてデジタルを生きる上でのプログラミング言語、AI基本構造。これらが基本であると。


我が意を得たり。

iUのカリキュラムはシンプルで、

・ビジネス(経済・簿記会計・法・統計)

・デジタル(数学・プログラミングなど)

・言語(英語)

の3本柱。

きっちり冨山さんのいうリベラルアーツなのです。

その上にプロジェクトがありインターンがあり起業があるという実践型の構造。

しばしこの線で続けます。

2024年11月28日木曜日

学長くんのありがたいことば

■学長くんのありがたいことば


ちょっと先のおもしろい未来「ちょもろー」@竹芝で、iUが「iUtopia」を展示するにあたり、こうしてiUを作ったという学長くんのありがたい言葉をよこせと学生に言われ、書いた。ありがたく受け取れ。


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 超ヒマなのでブログを書いた。2017年4月「『デジタル超学校』を妄想してみた。」

 文理融合で既存の大学や研究機関の枠を取り払う。教員も研究者も学生も、産業界からの参加者も一体となって、サービスや商品の実装からビジネスや産業の創成まで。と書いた。世界にないモデルの種をまいた。

 

 学校法人・電子学園が「やろう」という。本気ですか。ただそんなパンクな大学を作るには産業界の協力が要る。ネットで呼びかけた。通信、IT、テレビ、広告、メーカ、映像、ゲーム。たちどころに30社集まった。ニーズあるんだ。じゃあつくろう。芽が吹いた。

 

 文科省を通すのはイヤ!になるくらい大変だった。けどへこたれない。2000年4月開学。コロナの雨が降っていた。教員の8割が産業界出身で4ヶ月インターン必修。全員起業の失敗大学を掲げた。この木なんの木きになる木、名前もしらない木。「iU」と名づけた。育て。

 

 4年たった。初の卒業生は希望者の98%が就職した。起業率は断トツ日本一に輝いた。連携企業は700社を超え、客員教授は1000名を超え、学生より教授のほうが多いコミュニティになっていた。この木なんの木きになる木、みたこともない花が咲いたかな。

 

 2025年、色の違う花を咲かせる。面白法人カヤック柳澤CEO、UUUM創業者の鎌田さん、いとうまい子さんなど新教授を迎える。世界初のeスポーツコースをつくる。宇宙・量子コンピュータ、医療AI、AIライドシェア、ウェルビーイング共創、グローバル・コンテンツラボ。新プロジェクトが立ち上がる。米英伊、トップ級の大学院が拠点を置く。みんなが集まる実がなるぜ。

2024年11月21日木曜日

ちょもろー 2024

■ちょもろー 2024


『ちょっと先のおもしろい未来 –CHANGETOMORROW-』≪ちょもろー≫

ポップカルチャーとテクノロジーの都市型フェス第4回、

ぼくは ちょもらー兼超実行委員長。

来場3.5万人、千客万来 大団円、多謝!

https://www.change-tomorrow.tokyo/

 


ちょもろー「みんなの脳世界~超多様~」」「ワークショップコレクション」「超人スポーツ」「KMD Forum -Voyage-」「iUtopia ~Bois~などなど。
CiP協議会とアルベログランデが運営、東急不動産、鹿島建設、ソフトバンク、NEDO、東和エンジニアリングが協賛。多謝!

 


ちょもろーの看板コンテンツ「みんなの脳世界~超多様~」

https://neuro-diversity.world/minnou2024/

私たちの感覚は多様。その個人差はテクノロジーによる補完や拡張が可能です。ダイバーシティ&インクルージョンの視点で環境を再設計して、すべての人が「ちから」を発揮できるニューロダイバーシティ社会を提案します。

 

多様な世界:異なる見方や感じ方、視点を理解し合おう。

多彩な世界:他の人の五感を疑似体験して、感覚の多様性に気づこう。
個の拡張 :メガネから脳波解析技術まで、さまざまな技術やツールを体験しよう。

環境の調整:環境、制度、ルール、人間関係を調整して常識を変えよう。
社会の創造:ニューロダイバーシティ社会の実現を再考しよう。



「みんなの脳世界~超多様~」に参加したコミュニティ。スゴいよ。

慶應義塾大学KMD、iU B Lab、東京大学(認知発達ロボティクス研究室、先端科学技術研究センター)、名古屋工業大学、名古屋大学、東海大学、明治大学、大阪芸術大学、実践女子大学、横浜市立大学、立命館大学、横浜市立大学、明治学院大学。

NTT(人間情報研究所、科学基礎研究所)、NTTドコモ、KDDI総研、NHK技研、産総研、NICT、Sony CSL、稲盛科学研究機構、オリィ研究所、LITALICOなどなど。

ね、スゴいでしょ。

 


第1回ニューロダイバーシティアワード、表彰式。

審査員 石川准静岡県立大学名誉教授/障害学会会長、伊藤穰一 千葉工業大学学長、稲見昌彦 東京大学教授、季里 アーティスト/女子美術大学教授、黒川清 東京大学名誉教授、藤井直敬 ハコスコCTO/医学博士。

 


パネルディスカッション「ニューロダイバーシティポテンシャルプロジェクト」

伊藤穰一、伊藤瑞子、ルア・ウィリアムズ、ジェイミー・ガルピン博士。

 


ちょもろーアカデミア「超未来学!~ニューロダイバーシティ視点から考える未来~」

SF作家、SF研究者、科学者のトーク。

石戸奈々子、南澤 孝太、大澤博隆、近藤銀河、津久井五月。

70年万博のころ盛り上がった未来学を、2025年万博に向けて再興したいね。

 


ちょもろー おなじみ・鉄板、ワークショップコレクション。

第一回ワークショップコレクションから20年。

子どもの創造力・表現力を高める課外活動として起こした運動が全国に広がり、ワークショップは定着し、デジタル創作も学校に入り込み、社会インパクトを与えたと自負しています。

 



「超人スポーツ」。

自転車をこぐ陣取り合戦「Spirit Overflow」、外骨格ロボット「スケルトニクス」、その格闘ゲーム「R-FIGHT」。

 


ちょもろーのiUブース「iUtopia」。

ちょもろーはiUの唯一・公式の対外発表の場です。

プロジェクト志向で全員起業のイノベーション大学、アウトリーチです。

 


iUは来年、新教授を十数名迎えます。

ほとんどが大学人じゃないひと。ご報告したUUUM創業者鎌田和樹さんもその一人。

まず4人をご紹介。

事業創出プロ「付加価値学」山中哲男さん

博報堂「ウェルビーイング共創学」堂上研さん

「医療AIフロンティア学」岡田直己さん

「AIライドシェア」高原幸一郎さん

 


そして新教授もう一名、カンハンナさん。

数学オリンピック韓国代表、歌人、キャスター、タレント、社会学博士、コスメ企業社長。

「global contents lab」をiUで開きます。

ぼくとの共同プロジェクト「PPP」ポップパワープロジェクトを発表しました。

ポップカルチャーのプロデュース作戦。こんど詳しく報告します。

 



デジタルえほんアワード表彰式。

グランプリはドイツ Mucks! Games。

準グランプリは日本、イスラエル・スウェーデン。国際的。

審査員:いしかわこうじ、角川武蔵野ミュージアム、上條圭太郎、川田十夢、きむらゆういち、木村祐一、季里、榊原洋一、矢部太郎、石戸奈々子。豪華。

https://www.digitalehonaward.net/



NEDOのテクノロジーをよしもとの芸人が見せるちょっと先のおもしろい未来。

フルーツポンチやアイロンヘッド。これもちょもろーならではです。


 


ぼちぼち根づいてきたちょもろー。

来年は11月。

またね!