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2018年5月31日木曜日

知財計画2018、議論大詰め。

■知財計画2018、議論大詰め。

知財本部 検証評価企画委@霞が関。 
知財計画2018の素案を叩く会合がありました。
海賊版サイト対策、10年後を展望した「知財戦略ビジョン」に関する議論もありました。


海賊版対策への発言。 

瀬尾委員:サイトの所在不明という前提で対策を講じたが、広告主をつき止める等の動きも民間で見られた。 詳しい方々と連携した対応が大事。 

福井委員:反海賊版の機運は高まり状況も変わった。 多数の関係者に参加してもらい法制度等の議論を進めるべき。

高倉委員:現在の知財政策は利害が対立し、全員が賛成するものは少ない。 ブロッキングしかり。 だからといって何もアクションを取らないことはありえない。 まずアクションを起こしつつ、事後の「検証・評価」が大事。 知財法だけで閉じることはない。 知財法・情報法・憲法の関係者が議論すべき。

高倉委員に同意します。 
海賊版サイト対策は、状況に鑑み、政府が動かない選択肢はありませんでした。
何らかのアクションが必定でした。 
批判も多いことながら、ではあの状況でどうすればよかったのか、政府決定を上回る正解をぼくは知りません。 
そしてこれからどうすればいいのか、それが次の問いです。


他にも発言多数。3つだけメモします。 

福井委員:アーカイブは社会の知識インフラ。 人材育成、多言語発信、権利者不明問題への対応が重要。 プラットフォーマーと知財との契約関係の整理も大事になってくる。

重村委員:2030年を展望するなら1/3が高齢者になる社会であり、高齢者に対する知財戦略が欠けている。 

瀬尾委員:時代が大変化する切り替わりだが緊迫感が薄い。 著作権法改正が1年遅れている。 われわれは2年議論のアドバンテージがあったがこれでまた後れを取る。



座長として締めのコメントを話しました。

「柔軟な権利制限に関する著作権法の改正、デジタル教科書を認める学校教育法の改正など知財計画に掲げられた事項が国会に諮られています。
今年の計画も重要事項が多く、政府にはその実行を求めたく存じます。

知財新ビジョンはかなり混沌とした議論になりました。
前回のビジョンはスマート化を見据えて、スマホ、クラウド、ソーシャルサービスによる環境変化に対応するもので、デジタル化の延長線で考えられるものでしたが、今回、AI、IoT、ブロックチェーンの新時代は、人類の歴史を分けるほどの大きな変化を捉えられなければならないもので、まだ全体像が見通せない中での作業でした。

なので、ビジョン自体が今後も変化し得るという、変化がサステナブルになったという覚悟が求めらるのだと思います。
知財計画も、変化が続く中で策定していく、という認識が大事になっていると考えます。

海賊版サイト対策は、政府がブロッキングを認める方針を示したことが議論を呼んで、批判も多いのですが、その結果、問題のサイトがひとまず見られなくなり、この問題に対する認識も高まったという効果を生みました。
その法制度を整備するという、より重要な宿題が立ちはだかっています。

私が知財政策について従来から主張していたのは2点で、まず日本の中で知財政策の優先度プライオリティを上げること。
本件が話題となることで、良くも悪くも、図らずもその重要性が認識された面はあると考えます。

もう1点は、知財政策とIT政策との融合を進めることです。
現在のコンテンツ政策のほぼ全てがIT政策と関わります。
今回の問題は著作権の保護と通信の秘密という、その本丸の調整問題です。
今後もそのような案件は増えます。

政策の企画決定方法の知恵を絞る必要があると感じています。」

2018年5月28日月曜日

「不死身の特攻兵」

■「不死身の特攻兵」

鴻上尚史さん著「不死身の特攻兵」。
9回出撃し、体当りしろという上官の命令に抗い、爆弾を落として、9回生還した特攻兵、佐々木さん。
その生き様、覚悟、それを取り巻く非道、理不尽を描くノンフィクション。

特攻が飛行機の速度、重量、難易度などの点で効果がないことを現場は知っており主張もしたものの、本部も「研究所」も体当たり精神を主張し続けた。
科学が無視された時点で20世紀の戦争には勝てない。

陸軍初の特攻隊を率いる岩本大尉が命令に背き、体当りせずに爆弾を命中させて帰ってくる作戦を立てた。
しかし冨永司令官の宴会に顔を出せという無茶な呼び出しを敵襲され、出撃せず撃墜死。
理不尽が幾重にも積み上がり、多くの命が失われていった。

一度特攻に出たからは死んだものとされ、地元では2度葬式が出され、たびたび処刑のような出撃命令を受け、それでも生き延びた。
それを佐々木さん本人はそういう「寿命」だと淡白に認識する。
その認識法こそが生還できた要因であり、それをもたらしたのは、飛ぶことが大好きという強い思い。

参謀は死地に赴けと繰り返した挙句、殺害命令まで発していた。
宴会好きの司令官はひとり台湾に逃亡した。
そんな上官に対し佐々木さんは、怒りを覚えることもなく、そんなものだと受け流している。
その諦観もまた生還の要因でしょう。
死んでやる!と思った人は死んでいった。

戦争中、理不尽に対し声を上げた軍人もいたが、特攻の記録は命令した側のものばかり残り、特攻兵の遺書を旧軍部組織が回収して封印し、そして命令した側の上官たちは戦後も正義面をして生きながらえる。
戦後も理不尽は続いたわけです。

この佐々木友次さんに着目し、インタビューを敢行してまとめあげた鴻上さんの仕事は重い。
佐々木さんは2年前に亡くなったそうです。
こうした声がもうほぼ失われようとしています。
残すのはわれわれ世代の役目であるが、それは国として向き合わなければならないと考えます。


ところで一点、佐々木さんが生きていることをお母さんに手紙を書いて知らせていたというくだり。
ナイショで出したと。
フィリピンの市内から普通郵便で出せば出せたと。
そうか。そりゃそうか。
戦時中も世界の郵便局は普通に仕事してたんだからな。

と当然のことに気がつきました。

2018年5月24日木曜日

NTTdocomo R&D Open House

■NTTdocomo R&D Open House
NTTdocomo R&D Open House「2017見えてきた、"ちょっと先"の未来」@科学未来館。
5G、AI、IoT。
ぼくはドコモの
1)ケータイ屋からモノとモノをつなぐIoT屋へ、そしてAIを後ろに走らせるサービス業へ転換する
2)高みの王者から、多企業と一緒に作るオープンイノベーションへ転換する
2つの覚悟を見ました。


未来の家プロジェクト。
AI、IoTを使った暮らし。
家電・機器のコントロールやセンシングのデータに応じた居住者サポートなど。
あらゆるモノに対話型AIを提供するため、多目的対話サービス基盤をオープン化したという。
ケータイの姿はなく、マルチなセンサーをつなぎ、オープンに生きる姿勢が見えます。


料理メニュー翻訳AR。
外国語のメニューにカメラをかざすと、料理名の翻訳や写真が見えるアプリ。
OCRされたテキストが料理名・食材を判定、4か国語対応です。


旅会話トレーニングVR。
海外旅行先で会話をするような感覚で外国語を覚えるシステム。
旅行コーナーにありましたが、教育ツールですね。
ドコモは教育に注力しています。
そこが伸びる領域であることを知っていますから。


プログラミング教育用ダンボールロボット。
段ボールのロボットをタブレットの直感的プログラミングで作って動かす。
2020年のプログラミング必修化を控えプログラミング+ロボットの組み合わせが期待を集めていますが、高額なのがネック。
がんばれ段ボール!


感情認識。
音声を分析して発話者の感情を検知する。
カーナビが運転手の気持ちを察知して安全な運転をサポートするなど。
スマートスピーカで音声の時代が来つつあります。
どう使うかですよね。
かつてMITメディアラボでロズ・ピカール教授が表情認識AIを研究していたが、あれはどうなったのかな。


3Dホログラムディスプレイ。
ピラミッド状ディスプレイで立体映像が空間に浮かんで見えます。
メガネなし。
ヨコからも見ることができて、大勢で見ることも可能。
写真に撮ってもくっきり。
5Gでスマホ向け3Dライブを実現します。
ホログラムもMITメディアラボで開発していましたが、AIと比べ格段の進化を遂げました。


Free View Point Live Ⅱ。
360度を取り囲むたくさんのカメラの映像から、人物をリアルタイムに3D合成し伝送する。
クロマキーを使わずに3DCG映像を5Gでライブ配信する。
音楽のライブやスポーツを360度の自由視点で、リアルタイムで見ることができる。
と、いろいろ言ってみたが、要するにスゴい。


5Gコネクティッドカー実証実験。
トヨタ、インテル、エリクソン、デンソーと連携した実験の中継。
お台場を走るトヨタのアルフィードと5G通信し、クルマのモニタリング情報などをやりとりしています。
外部との連携による新規開拓の典型です。


8K伝送。
複数チャンネル同時配信。
マルチチャンネルMMT(MPEG Media Transport)伝送。
シャープやNHKとの連携プレー。
8Kは放送より5G通信で普及していきます。
大画面エンタメだけではなく、医療、セキュリティ、検査など細密な映像データを要するジャンルのニーズから。


TV中継とリアルタイムARの連動。
55インチ4面のマルチモニターに鈴鹿サーキットの映像を表示する一方、手元の端末で好きな視線でARでのカーレースを視聴。
これも新しいスポーツ中継の姿。
珍しい、フジテレビとの連携。


ソニーによる新たな乗り物のコンセプトカー。
360度ビュー映像を4Kディスプレイで表示。
外部は4Kデジタルサイネージを満載してコミュニケーション。
これも5Gで完全自動走行になると、クルマはコミュニケーション空間になります。
そのデザイン合戦ですね。

このクルマの記事。窓を廃止してディスプレイにした利点、納得。
「ソニーの車はゲームコントローラーで運転!? - ドコモ「5Gが創る未来のライフスタイル」から」


コマツのショベルカーとコクピットを5Gで接続、制御する実証実験映像。
災害地など危険な現場での車両運行・操縦を想定しています。
が、ぼくらはこれでロボット対戦、超人スポーツをやりたい!
これはもうほぼ実用ですよね!


人型ロボット遠隔操作システム。
みたまんま。
5Gで安心・確実にロボットを遠隔制御。
ロボットに取り付けた2台のカメラ画像を操縦者に3D画像で提供。
ロボットハンドにつけた力覚センサーで、操縦者にフィードバックも与えます。
5G実用化を見据えたドコモのチャレンジ、目が離せません。

てなことをぼくがメモしなくても、ITmediaに記事がございました。以上。
「「5G」でクルマ、コミュニケーション、スポーツ観戦が変わる――ドコモの最先端技術イベント」

2018年5月21日月曜日

eスポーツ振興策が政府で論議されています。

■eスポーツ振興策が政府で論議されています。
政府・知財本部の会合で、eスポーツが議題となりました。
統一団体、日本eスポーツ連合(JeSU)浜村弘一副会長を招き、状況をお教えいただき国としての取組を論議しました。
連合の岡村会長(CESA会長)も委員として参加されました。

SuperDataによれば、世界のeスポーツ市場は2017年の15億ドルが5年後の2022年には23億ドルに成長。
アジア、北米、欧州に市場は3分されています。
Newzooの資料では世界オーディエンスは16年2.8億人が5年で5.6億人に増加見込み。

しかし日本は後進国状態で、賞金大会では米Dota2が総額25億円に対し、日本では破格とされるモンストグランプリで5000万円。
刑法・風営法・景表法の3法規制をクリアするとともに、IOC加盟を目指して公式に選手を送れるようにすることなど環境整備が課題でした。

このため、既存3団体を統合し、CESA・JOGAといったゲーム産業界も協力する新団体JeSUが発足し、プロライセンス発行などの活動を始めたことはエポックメイキングで、政府も注目するに至ったわけです。

音事協・堀会長:日本製ゲームの競争力は?
浜村さん:格闘ゲームはじめ強いものはある。

瀬尾委員:音ゲーなどもeスポーツになる?
浜村さん:入る。タイムアタック的なゲームなども入る。
(隣に座ってる岡村さんのセガはぷよぷよで参戦ですし!)

NTV宮島さん:法規制をクリアする見通しは?
浜村さん:景表法は消費者庁と協議を重ね、プロライセンス発行でクリアしたと認識している。賭博罪は資金の流れに気をつけることでクリアされる。ただ、風営法は適用される部分があるので課題。

福井弁護士:景表法の整理kwsk?
浜村さん:プロによる公演は法の適用外というのが消費者庁の認識。どこまでがプロの高度なパフォーマンスで、eスポーツとはどの範囲か、がこれまで不明確だった。ライセンスと大会基準でeスポーツのプロを定めることで問題なし、という整理で消費者庁の理解を得た。
また、賞金の提供方法として、IPホルダー(ゲーム会社)からカネが出る形でなければ、アマ大会でも大丈夫だったのだが、そうした大会が開催されることは稀だった。

(この答弁は重要。ネットではまだ景表法の適用を受けるのではとか消費者庁がやってくるとかいう噂や不安が流れていますが、これは各省庁代表の集う政府横断の会議であり、公式議事録にも残るので、これが間違っていたら消費者庁や警察庁からも修正が入ります。疑義クリアということでひとつ。)


座長としてコメントしました。
「後進国から世界をリードする立場に飛び立ってもらいたいが、離陸期なので課題も多い。

経産省・総務省・文化庁・スポーツ庁、消費者庁に警察庁がからむ横断領域であり、知財本部で取り扱うのがふさわしい領域。戦略を考えたい。」

2018年5月17日木曜日

岩手発・超人スポーツプロジェクト!

■岩手発・超人スポーツプロジェクト!
ロックハンド全員
「岩手発・超人スポーツプロジェクト」。
「ご当地超スポ」開発プロジェクトの発表会が盛岡で開催され、3種目の新スポーツが発表されました。2016年の岩手国体に端を発したイベント、2回目です。

昨年の模様はこちらにメモしました。
「岩手ご当地超人スポーツとは!」

審査員は達増拓也岩手県知事、フェンシング太田雄貴さん、超スポ協会南澤専務理事とぼく。
知事、今年もどうもありがとうございます。


大賞は「ロックハンドバトル2」。
昨年に続く連覇!
両腕に重く大きな手「ロックハンド」を装着し、腕についた「鍵岩(かぎいわ)」と呼ぶ小さな的を落としあう競技。
ロックハンドを振る力強さと、鍵岩を狙う正確さが試される。
岩手県の県名由来である「三ツ石伝説」をモチーフにしています。


今年もマンガをベースに競技を生み出すポップ指向です。
去年、ベタな民話で攻めましたが、今年はバンカラ応援団の競技に変身していました。
そうか、岩手は旧制中学のバンカラ応援があったか。
応援団好き(←ぼく)には刺さっちゃうんだよな。
副賞は牛肉5kgと「金色の風」5kgだって!

「金色の風」は岩手の最高級のコメで、この日 新発売なんだって。
達増知事がおっしゃってました。知らんかった。

「岩手県産米の最高級品種“金色の風”販売開始「甘く粒しっかり」」


優秀賞「オルフェズ・シンクロジャンプ」。
100個のフルカラーLEDと9軸モーションセンサーを内蔵し光りながら足の動きを計測するハイテク靴、no new folk studio社がクラウドファンディングで開発した「オルフェ」を使って、2人で息を合せてジャンプする競技。


ジャンプがシンクロすると高得点。
15秒の制限時間内でポイントを稼ぎます。
いわゆるIoT+スマート技術を体に取り込むという点で超スポの目指す情報社会の人機一体スポーツという方向に合います。
知事がフェンシングメダリストにシンクロしようとしているところです。
牛肉3kgコメ5kg。


敢闘賞「超人リングベル」。
これスキです。
ハンマーで叩くと鐘がなるんです。
加速度センサーとベクトル分析で、振り下ろす方向だけを計測し、下にまっすぐ叩いたら高得点。力は関係なし。
3歳児がおとうさんにガチで勝った図です。
超スポの目指す方向です。
牛肉2kgコメ5kg。


菊田一夫さんが岩手県の岩谷堂で疎開した体験に基いて脚本を書いたラジオドラマ「鐘の鳴る丘」がモチーフ。
緑の丘の赤い屋根、とんがり帽子の時計台、鐘が鳴りますキンコンカン。
どついたらキンコンカン鳴る。
音をポイントにした超スポは初か。
ご当地キンコンカン。


超スポはスポーツと技術と文化のかけあわせ。
地域ごとに異なる文化に根ざしたスポーツも生まれます。
学生、先生、企業が混成チームを作って開発と改良を重ね、県庁=行政がバックアップする。
「岩手メソッド」です。
岩手発超スポ2。
ホップからステップへと来ました。
次はジャンプです。

よろしく!

2018年5月14日月曜日

映画ロケをしやすくする戦略とは?

■映画ロケをしやすくする戦略とは?
内閣府知財本部「ロケ撮影環境改善官民連絡会議」@霞が関。
ファシリテーターを務めます。
日本映画テレビプロデューサ協会、日本映画製作者協会、角川、松竹、ATP、NHK、フジテレビ、警察庁、総務省、消防庁、文化庁、経産省、外務省、国交省、観光庁、東京都など。

知財本部は昨年度、映画振興会議を設置し、映画製作、海外展開、ロケについて議論したことを踏まえ、このロケ連絡会議を設置、許認可手続の情報共有と海外作品誘致について討議してきました。今回が中間とりまとめです。

会議では、各地方自治体が設けるフィルムコミッションの撮影支援について情報共有しました。
全国300のフィルムコミッションが活動していて、2016年邦画の興収ベスト実写32作品中31作品に対し地域フィルムコミッションが支援を行っているとのことです。

大阪、北九州、名古屋、東京などのフィルムコミッションでは、今の制度下で大規模撮影を可能としている実態が共有されました。
官庁や自治体との連携のもと、やれているところはやっていると。

同時に、道路占用などの許可が円滑に進むよう現場からさまざまな要望も寄せられました。
この日も車撮影中のシートベルト外しやナンバープレート変更、電車利用や火気使用などの意見が出されました。
これに対し官庁は条件つきで「できる」方向で回答しました。

この会議では、政府・自治体ともに「No」という対応はせず、概ね前向きでロケ・撮影に協力する姿勢を見せています。
できる手を打っています。
民間からも「こういう官民会議をもっと早く開くべきだった」という声があがっています。

重要なのは規制緩和よりも今ある仕組みをうまく使いこなすよう、こうすればOKという情報を共有すること。
また各省庁もネットなどで通達やガイドラインの広報周知を徹底することです。
その大切さも共有されました。

これらは「戦術」レベルですが、だからといって釜山での大型ハリウッド映画撮影のようなことが東京で実現するのか?どこまで日本は可能なのか?韓国・フランスのような国家エージェント機関を持てるのか?といった「戦略」レベルの問いかけもありました。

また、映画の枠を広げ、テレビやOTTを含む映像産業としてこの問題をどうとらえるのかという、これまた「戦略」レベルの問題提起もありました。

この会議はまだ続きます。

戦術論と戦略論を交差させてまいりたく、引き続きご協力のほどお願い致します。

2018年5月10日木曜日

DC EXPO2017/Innovative Technologies+

■DC EXPO2017/Innovative Technologies+
DC EXPO2017/Innovative Technologies+。
産学からの公募により、優れたコンテンツ技術とビジネスモデルを20件程度選出、表彰するイベントです。
ぼくは今年は所用で審査員を外れましたが、合間にチョロチョロ見て回りました。
やっぱり面白い。

去年の模様はこちら。
「DC EXPO2016」


いくつか目についたものを紹介しましょう。
ソニー「トイ・プラットフォームtoio」
ソニーが提案する ロボット × 遊び。
東京おもちゃショーでも出展した際ぼくもレポートしました。


ドワンゴ「DAHLES - HoloLens大規模同期ARライブシステム」
ホロレンズなどを連携し大規模に同期したARライブを提供するシステム。
「超歌舞伎 花街詞合鏡」に登場した初音ミクが目の前で舞います。
「100人以上、数十メートル四方の空間で動作させる」そうで。


NTTドコモ「浮遊球体ドローンディスプレイ」
世界初の空中に浮遊する球体ディスプレイ。
ドローンの周りを囲う8本の弧状のLEDが回転し、高速で点滅させて残像効果によって球形のディスプレイを映し出す。
デジタルサイネージジャパンでも使わせてもらいました。


トヨタ自動車「生活支援ロボット」
「手足の不自由な方や高齢者のために家庭内の離れた場所に移動し、様子を確認したり、物を持ってくることができる小型ロボット」とのこと。
CEATECの展示でもトヨタはロボットへの注力が目立ちます。
SpecialPrize by SIGGRAPH.


セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ「ランドロイド」
話題の全自動洗濯物折り畳み機。
衣類を1.つかむ2.広げる3.種類を識別する4.折り畳む5.仕分けて収納するという5つのステップを、人工知能・画像認識・ロボティクスの技術を組み合わせて、世界で初めて実現。


東京大学 苗村研究室/電気通信大学 小泉研究室「Clothcreen」
クッション・ぬいぐるみ・衣類などの柔らかい布製品の表面をディスプレイに変える表示技術。
布地に透明な蛍光性インクの発光パターンを印刷し、布地の下から紫外光を投影することにより画像や文字を細かく鮮明に表示。


東京大学 篠田・牧野研究室「空中超音波による匂い環境制御」
空中に超音波のビームを形成し、これに伴って発生する空気の流れにより、環境中の匂いの空中運搬を行う。
物体の匂いをユーザーの鼻に提示する。
くさいのくさいの、飛んでいけー。


monom/1-10/博報堂プロダクツ「ウェアラブル英会話教師 ELI」
洋服の襟につける小型マイクデバイス。
アプリと連携して、ふだん自分が話す日本語を記録・解析、自分に最適な英会話レッスンを生成するというコンセプト。
早く商用化してほしい。


大日本印刷「シニアVRトレーニングサービス」
センサーを搭載した足こぎペダルとハンドル操作でVR空間内を回遊する。
VRコンテンツを楽しみながら運動する高齢者向けシステム。
VRのアプリケーションとして好適。


Culture賞。
大日本印刷「電子ペーパー「Prism」を使ったドレス」
einkを使った衣装。
模様が信号で変化します。
現在0.5mm。
MITメディアラボJacobson教授がeinkを開発した際、いずれ看板からファッションまで行くよね、と話してから20年。感慨深い!


Industry賞。
ものつくり大学/東京工業大学「流動床インターフェース」
砂場の砂が一瞬で水のような液体状に変化する。
かと思えば一瞬で重い砂に戻り、埋め込んだモノが抜けなくなる。
容器の底から空気のような流体を吹き上げるだけの仕組みという。
驚きのシステム。
さて、何に使おう!


会場にはほかにも魅力的な技術が。
ヤマハ「みらいのアンサンブル」
人が機械に合わせるのではなく、演奏者にAI演奏が合わせてくれるシステム。


トッパン「3D-VRドーム3Dテレプレゼンス」
東京大学暦本研究室とのIoAによるテレプレゼンス。


ズームス「MR体感型コンテンツ バーチャルドローン」
HMDをかぶれば目の前にドローンが現れ、MR(複合現実)で思い切りドローンを飛ばせます。
MRじゃなくて、ホントに思い切り飛ばしたいね。


今年も楽しませてもらいました。



ってメモしてみましたが、実はこのサイトにそれぞれ映像と解説がアップされていました。
ぜひどうぞ。
http://www.dcexpo.jp/dcexpotv

2018年5月7日月曜日

官民連携による「超教育」とは?

■官民連携による「超教育」とは?

 教育とテクノロジーの融合を推進し、新しい教育を構築するための新組織「超教育協会」に関し、デジタル教科書教材協議会(DiTT)の会合で政府代表を交えた意見交換が行われました。

 超教育協会は経済団体やICT・コンテンツ系の業界団体が集結し、教育情報化後進国の日本を先進国に一足飛びにするための活動を行う方針で事前準備が進められており、DiTTとしても積極参加する方針です。
 「「超教育協会」が立ち上がります。」

 会合では、文科省・梅村情報教育課長、総務省・犬童情報流通振興課長、経産省・伊藤産業人材政策室参事官の3省代表が登壇されました。教育情報化に関し3省の責任者が揃うのはぼくは初めて拝見しました。司会は超教育協会の設立を主導する石戸奈々子さん。

 超教育協会について、それぞれコメントがありました。

文科:技術活用に積極的に取り組む。色んな主体からインプットをいただきたい。
総務:税金に頼らない連携・継続を願う。教育のあり方が変わっていく。国全体として考えたい。
経産:教育の未来像を描くことが大事。「超教育」が流行語となるよう露出してほしい。

 やりましょう。

 3省の政策も披露されました。

 文科省によれば、学校PC5.9人に一台。これを2022年度には3クラスに1クラス分に整備したい。100Mbps以上のネット接続率48.3%を100%に。ICT支援員を4校に1人配置。そのため単年度1805億円の地方財政措置を講じる。

 実は従来から文科省はこうした予算措置を講じているのですが、なかなか整備が進まない。それはこの予算がヒモ付きではなく自治体の裁量に委ねられているため、橋や道路などに流用されているから。学校のICT化が進むかどうかは首長の意識に左右される面が大きいのです。このため地域格差も広がっています。文科省は市町村別の進捗状況を公開するなど見える化を進め、意識向上を図っています。

 総務省はIoT/AI時代のICT教育環境を整備し、意欲・関心を高める教育、未来の起業家の育成などに向かうそうです。地域でのIoTの学び推進事業として、企業や地域住民による学習機会の手法を確立するとのこと。

 総務省犬童課長がフランス大使館で書記官を務めていた14年前、ぼくらが訪れてケータイ4コママンガワークショップを一緒に開いた思い出を語っていました。そうでしたね。
 農業ではデジタル化が一気に進んでいるが、教育・医療は中途半端にシステムが入っていて大変、とのご意見。同意します。

 経産省伊藤参事官。AIが人間の雇用を奪うというが、「AIvs人間」ではなく、AIを活用できる人材vsできない人材となる。第4次産業革命への対応に必要となるのはチャレンジ精神などのマインド、創造性・問題解決などの基幹能力、英語ITのリテラシー、その上での専門知識、という整理を提示されました。

(ぼくが設立を準備しているi大は、英語ITで創造性・問題解決を図り、全員起業などのチャレンジを行う学校です。AIを活用する人材を生もうと考えています。)

 2点、質問してみました。

◯日本は教育情報化の先進国になれるか?

 文科:デジタル教科書を正規化する学校教育法改正、超党派議連による教育情報化推進法案の2法によって推進力がつく。自治体の首長がポイント。自治体は対応せざるを得ない状況になるので、サポートしていく。

 総務:制度が変われば人も変わる。電子政府が進んでいないので霞が関は偉そうなことが言えないが。

 経産:正解がない分野だが、教育情報化の後進国だったことが幸いして、リープフロッグで強みになるかもしれない。未来を展望しよう。

◯民間への期待は?

 文科:教材・サービスを自治体に働きかけ、学校と民間とが連携することを求む。

 総務:データの活用などヨコ連携を。「みんなで」が大事。

 経産:教育とビジネスは相反するのではなく、経済・ビジネスとして捉えることが重要。民間に「モメンタム」を作ってほしい。


 3省から「学校」「総合」「経済」という各省らしいコメントがありました。それぞれ異なる役割を担いつつ、この分野の優先度を高めていただきたい。特にこのところ経産省が乗り出してきて、教育を産業として正面に位置づけることができるようになったのは好ましいことです。


 デジタル教育の先に待つAI/IoT教育を日本がリードできるよう、官民連携を進めましょう。民間も汗をかきます。

 なお、超教育協会の設立シンポが5月29日、慶應義塾大学にて開催されます。下記のかたがたが登壇予定です。
・野田聖子 総務大臣
・⼩宮⼭宏 東京大学第28代総長 
・住田孝之 内閣府知的財産戦略推進事務局長 
・八山幸司 内閣官房IT総合戦略室参事官
・柳沢幸雄 開成中・⾼校校⻑、元ハーバード⼤学教授
・石戸奈々子 CANVAS理事長、慶應義塾大学教授
https://www.facebook.com/events/1745677258831284/

2018年5月3日木曜日

CEATEC2017

■CEATEC2017
CEATEC2017。
出展社数648→667、コマ数1710→1758と昨年より拡大。
家電展からIoT展へと大きく舵を切っています。


2009-10年はマルチ端末の3D、11-12年はスマート化、13-14年はクルマに軸が置かれていました。
2015年にIoTが台頭し、昨年はIoTタウンも現れて、銀行やオモチャなど多様な業界の顔も見られるようになりました。

過去のメモです。
2016
2015
2014
2013
2012
2011 
2010 
2009


今年もIoTタウン。
昨年に続きタカラトミー登場。
オリジナルのプログラミング環境でロボット「COZMO」を動かそう。
ロボット花盛りです。


バンダイナムコ見参。
学習型会話エンジンを備えたロボット、新コミュニケーション玩具。


これもバンダイナムコ。
ガンダムに登場する小型球形ロボット「ハロ」。
ガンダムのコアな台詞を話します。
ゆらゆら左右に揺れて、目や口を光らせて、感情を示します。
商品化を待ちましょう。


三菱東京UFJ銀行MUFGも昨年に続いて登場。
ブロックチェーン技術を使った1コイン=1円の価値を持つデジタル通貨「MUFGコイン」。
P2P送金の利用を想定しているそうです。


これもMUFG。
ロボット行員NAOがおトクな商品情報をご案内します。
日立のロボットIT基盤を活用。
ARを活用した次世代店舗も提案しています。


三井住友グループSMFGが参加です。
手ぶら決済の顔認証決済サービス、独自AI実用構想、スマート農業などを展示。
日本総研が後ろで重要な動きをしているとみた。


オムロンの卓球ロボット「フォルフェウス」が第4世代に進化したそうです。
対戦相手の動きをセンサーで捉え、相手がスマッシュを打とうとするとAIが弾道を予測しレシーブするんだそうです。
ぼくよりうんと強いです。


ソシオネクストの半導体ソリューション。
8Kサイネージ、バーチャル22.2chサラウンド、超指向性音響。
ふむ、デジタルサイネージジャパンに出展くださいませ。


日立。
スマホに内蔵されている加速度センサーのデータを活用し、AIで組織の幸福感(組織活性度)を計測する技術。
矢野和男さんがMITメディアラボ+MITスローンと共同研究していた結果が実装され、ここまで来ています。


富士通はブロックチェーン推しでした。
情報銀行やデジタル流通の提案。
来年あたり本格化しているかな。


パナソニック。
メイクアップデザインツール。
匠の技術「メイク」のデジタル化。


パナソニックもロボットを提示。
幼児向けソーシャルロボット「cocotto」。
バンナム「ハロ」のような球形で会話するタイプながら、こちらはころころ転がって、会話したり遊んだりすることで子どもの感性を育むもの。


今回とても攻めの姿勢が目立ったのがKDDI。
5Gの世界を表現していました。
これはアバター・テレイグジスタンスロボットTELESAR V。
触覚伝送技術を搭載しています。


au「自由視点VR」は複数カメラの映像をもとに3D空間をモデル化し、あらゆる視点からの視聴を可能にする技術。
いろんな視点からスポーツを鑑賞することができます。
5Gなら16台のカメラで8K並み映像を十分リアルタイム伝送できます。


auのスマートドローン。
4G/5Gの携帯通信モジュールを搭載することで、ローカルエリアを超えても飛行制御できます。
広範囲での自律飛行や遠隔地からの制御が可能になります。
auはそのプラットフォームを構築する構え。
ドローンが通信として認識されるようになりましたね。


Googleがスポンサーとなって行われる月面探査の国際賞金レースに、auがサポートするHAKUTOが参加するそうです。
インドのロケットPSLVに月面探査ローバーを乗せ、「雨の海」に軟着陸。
そこから500m以上走行し、動画やデータを地球に送信するというミッション。


れなちゃんと。


NTTはプロ野球のピッチャーの投球を体験するVR技術。
実際の球筋が打席で体験できる。
投手の球筋って、映像で撮ってデータで再現できるんだけど、著作権ないのかな。


情報通信研究機構NICT。
31言語に対応する音声翻訳アプリVoiceTra。
活躍しています。
ウェアラブル脳波計、地デジ電波を使った気象(水蒸気)推定などの展示もありました。
産総研やIPAも高いプレゼンスを示していました。


慶應義塾大学も触覚技術で参加。
みんながんばってるね。

  ではまた来年。