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2024年8月15日木曜日

AI×コンテンツ

AI×コンテンツ




CiP協議会「AI×コンテンツ研究会」スタート。

AIの登場によって大きく変わりつつあるコンテンツの制作、流通、受容についての変化を共有し、日本から新たな利活用の事例を作り世界に打って出る機会を探るプロジェクトです。

手始めにイベント「コンテンツビジネスにおけるAI利活用の現在」を開催し、コンテンツ界の声を聞きました。

https://cipcipcip.org/event/2403_ai_event_report/

 

日本音楽制作者連盟 金井文幸専務理事

 音楽の世界ではYoutubeAIを音楽に活用するための基本的な考え方として「AI Music Principles」制定と、アーティストと生成AIの取り組みを協働する「Youttube Music AIインキュベータ」としてプログラムを作った。

 新しいデジタル技術やツールが出てくると、だいたい最初に試験的に使われるのは音楽コンテンツ領域。音制連としてはAI生成物の著作物としての権利のあり方とともに権利処理を業界としてどこまでやっていけるのかという点も課題。

 

日本オンラインゲーム協会 川口洋司事務局長

 スマホゲームの開発における「生産性向上」「コスト削減」「業務効率化」のためにAIが活用されており、全部AIで作ったミステリーゲーム「RedRam」も出てきた。これからはAIとゲームとIPが一体化した形に進んでいくと思っている。

 

キャラクターブランド・ライセンス協会 陸川和男氏専務理事

 キャラクターブランドライセンス協会としてはコンテンツ産業でのAI活用について期待と課題がある。期待としてはAI活用により、慢性的な人材不足のアシスト、課題といてはAI生成物が著作物として認められるかが挙げられる。

 

青山学院大学 内山隆教授

 メディアコンテンツ領域におけるAI利活用については、例えば自動運転でのAIとは異なり、AIが暴走することによって人の生命や財産に直接危険を与えるものではないと思うので、もっと試行錯誤できてもいいと思っている。

 国ごとの判断も異なり、AI生成物を著作物として認めるか認めないかについては、判例を含めてまだまだ試してみないと答えが出ないというところもある。その意味で「まずは手を動かそう」ということに賛成する。

 

総務省 湯本博信総括審議官

 総務省では現在AIガイドラインの策定を進めているが、どうしてもリスクをどうするかに目が行ってしまうところがある。一方で「利活用を進める」ことは大事で、こうしたところの議論が活性化し、日本のコンテンツ業界の浮上につながればと期待している。

 

そして、ぼくのコメント。

もう議論の段階は終わりました。

政府・知財本部でAIの委員会を作ったのが2016年、もう8年前。座長として世界に先駆けて2年ほどガッツリ議論しました。文化審議会の審議につながって著作権法が改正、世界で最もAI学習しやすい環境が整いました。

ところがChatGPTが登場するや各国ともに 規制するか否か、学校でも制限するか否か、まだ腰が定まらない状況。

IP大国コンテンツ大国の日本にとってこれは大チャンス。デジタル敗戦についでAI敗戦したらこの国に未来はないとぼくは思う。ぜひそのチャンスをひらくきっかけを作れれば。

ぼくはコンテンツに対するAIの衝撃は、コンテンツの生産量が爆発的・無限に増えることと考えます。

情報のほとんどがAIが生成するものになって人が生むものはごくごく一部になる。

そのときに、ビジネスや権利のありかたはどうなるのか、おそらくいま見えている光景とは違う光景となる。そのような光景もみなさんと見られるとよい。よろしく。

 

 

このぼくのコメントがツイッターで炎上しまして。AIに対する恐怖心・警戒感はまだとても強くて、どちらに進むか予断を許しません。見据えてまいります。

 

2024年8月8日木曜日

第一回、サイバーセキュリティアワード

■第一回、サイバーセキュリティアワード


https://csa.digitalpolicyforum.jp/award-report/index.html

 

サイバーセキュリティアワード。デジタル政策フォーラムが新設した賞です。

59件もの多くのご応募をいただき、書籍部門、Web・コンテンツ部門、フィクション部門で選考・表彰しました。

審査委員長は後藤厚宏さん、実行委員長は谷脇康彦さん。

 

書籍部門 

最優秀賞

「サイバーセキュリティ、マジわからん」と思ったときに読む本

サイバーセキュリティの基礎から技術的な事項まで網羅された本。

日常的なテーマからの視点や、イラストを活用したわかりやすい内容になっている点が高く評価されました。

 

優秀賞

ウクライナのサイバー戦争

未来をつくる仕事がここにある サイバーセキュリティー会社図鑑

情報戦、心理戦、そして認知戦

物語でセキュリティ啓発




 

◯Web・コンテンツ部門

最優秀賞

piyolog

サイバーセキュリティに関するタイムリーな情報発信と社会的価値のあるトピックが掲載されており、的確な内容と分析、一般の方のみならず専門家も情報源として活用できるような内容となっている点が高く評価されました。

 

「セキュリティ芸人 アスースン・オンライン」

時として見始めると最後まで見てしまう内容やマニアックすぎるネタ構成など、これまでにない圧倒的に独自性のあるスタイルが高く評価されました。

 

奨励賞

「プライバシーポリシーまもるくん」

AIアート、その未来について」

 

優秀賞

みんなの「サイバーセキュリティコミック」

【マンガで分かるシリーズ】我が社のプライバシー保護規制対応奮闘記!!

華麗なる情報セキュリティ対策

ゆっくり解説によるサイバーセキュリティ啓発動画の配信

サイバーセキュリティ仕事ファイル~みんなが知らない仕事のいろいろ~

 



フィクション部門

 

最優秀賞

「地球外少年少女」

いわゆるロボットものではない、日本におけるSFの完全オリジナル作品で、エンターテイメントとしてのクオリティも大変高く、物語設定においてサイバーセキュリティやハッカーの位置づけはもとより、宇宙・AI・次世代携帯端末といったテーマも含んでおり、すそ野が広く、幅広い層が楽しむことができるコンテンツとして評価されました。

 

優秀賞

量子の北風

トリリオンゲーム

 

内閣サイバーセキュリティセンター中溝和孝内閣審議官、総務省小川久仁子サイバーセキュリティ統括官室参事官ら政府重鎮にもお越しいただきました。

パネル討論では、エンターテインメントの力でサイバーセキュリティの世界が憧れの業界になればよいという意見がある一方で、コンテンツの持つエンターテインメント性により過度に誇張した風潮にならないよう注意が必要との意見もありました。

 

サイバーセキュリティの世界を拡げるため、幼児向けや若年層向けのおもちゃや絵本、ゲームといった今まで興味のなかった層にまでリーチできるような作品が必要であり、直接的でなくても見終わったときにサイバーセキュリティの重要性が喚起されるようなコンテンツを期待する声も挙がりました。

 

谷脇実行委員長「今回のアワードは初めての試みだったが、サイバーセキュリティの啓発につながるコンテンツを発掘し、セキュリティの在り方を考えられるきっかけになれたらよい」。ぼくも運営母体であるデジタル政策財団の理事長として第2回、第3回、第10回と発展することを祈念し御礼申し上げました。




2024年8月1日木曜日

角川歴彦さん著「人間の証明」

角川歴彦さん著「人間の証明」。


改めて「人質司法」の恐ろしさ・理不尽さにふるえる。

世界的にも異常な取り調べ、閉鎖・自白主義。国際的にも知られる後進性。

安全、自由、楽しくポップなニッポンだけど、その光の後ろに伸びる刑事司法の闇は、この国の致命的な欠陥。

五輪汚職を巡る身に覚えなき罪を着せられ、怒りと危機感を「人質司法違憲訴訟」というパブリックな運動に転化し、80歳を過ぎて新しい戦いを挑む。しびれる。

 

収容者の自尊心を奪う拘置所のやり方。外界から遮断する窓。死を覚悟しなければ立ち向かえない。

「被疑者の取り調べ時に弁護人の立ち会いが許されていないのは先進国では日本だけで、中国や北朝鮮と同列にある。」

「起訴する権限を独占する検察の力が強くなりすぎていることが、この国の司法を極端にゆがめている。」

 

しかも人質司法は「警察・検察・拘置所・裁判所・メディアが一体となって維持されている」。メディア主導の人民裁判であることが、メディア人でもある角川さんには許せない。しかも「人権侵害が横行する根幹には法律に対する私たち収容者の無知がある」。その問題に対しメディアが機能していないのだ。

 

NHK「虎に翼」、TBS「アンチヒーロー」、貴志祐介著「兎は薄氷に駆ける」。このところ司法を扱うコンテンツが目を引く。人質司法を題材とする作品も心なしか目立つ。社会の問題意識が高まってきた証左でもあろう。

 

「日本の刑事司法の違法性、後進性はもはや世界に広く知られ、国益を損する事態になっている。政治的にも経済的にも劣化が進んでいる日本で、このままでは倫理的・道徳的にも三流国家になって国際社会から取り残されていく。」

角川さんが私憤ではなく公憤とするゆえん。「検察はやがて自壊の道を歩む」であろうが、それを待つのでは遅い。

 

堀江貴文さんが収監される直前に、慶応大学の反対を押しのけて授業をお願いし、学生たちとじっくり話を伺ったのは、堀江さんの逮捕・断罪や身柄の取り扱いにぼくが理不尽さを覚えたからでした。

 

有罪判決を受けた藤井浩人美濃加茂市長に慶応大学の研究員とiUの超客員教授をお願いしたのは、著書「冤罪と闘う」に記す警察・検察・裁判所の闇、というには暗すぎる恐ろしい不正義にぼくが納得いかず、それに闘い続ける姿勢に頭が下がったからでした。

 

角川さんとは政府・知財本部でご一緒することになったのが縁だから、もう15年です。「クールジャパンつったってみんな洋服じゃないか」というぼくの発言を咎め、「じゃああんたやれよ」とブーメランを返してぼくが和服にさせられたきっかけの一人です。

「もっと仕切らなきゃ」「あんな発言許してちゃダメよ」座長の仕事によくダメ出しされました。公共意識がそびえ立ち、正義感がほとばしる。ありがたくも厳しい国士です。

 

一方、浜野保樹東大教授に対するわが追悼文を激賞され、「そのあたり本も書いてよ」と出版の機会もいただきました(「コンテンツと国家戦略」)。子どものデジタル創造力を育むNPOCANVAS」を応援くださり、「デジタルえほんアワード」の審査員も熱く務めてくださった。

描き、目指す世界を同じくする、大先輩かつ恩人であります。

 

「追悼 マルチメディアと浜野保樹さん」

https://ichiyanakamura.blogspot.com/2014/01/blog-post_6.html

 

「「コンテンツと国家戦略」に寄せて」

https://ichiyanakamura.blogspot.com/2014/01/blog-post_13.html

 

堀江さんや藤井さんのような若者も、角川さんのような人生の先輩も、自分が尊敬するかたがコロリと穴に足を取られ司法の闇に沈む。強い力と意志を持つかたでも跳ね返しがたい。

その見えない穴は自分の足元にも恐らくたくさん開いていて、たとえ全く身に覚えがなくとも、いつ落ちるかわかったもんじゃない。落ちた日にゃ無傷でいる力は自分になく、突っ張る意志もくじけそう。

 

そうコレは、向こうにある公憤じゃなく、いつでも自分を覆いかねない私憤として身構えておくのがよさそうだ。こういうことこそ教科書・教材にして、子どものじぶんから学校で教えておくのがいいんじゃないですか。

 

角川さんの新しい闘い、ぼくにできる応援を致します。