■AI×コンテンツ
CiP協議会「AI×コンテンツ研究会」スタート。
AIの登場によって大きく変わりつつあるコンテンツの制作、流通、受容についての変化を共有し、日本から新たな利活用の事例を作り世界に打って出る機会を探るプロジェクトです。
手始めにイベント「コンテンツビジネスにおけるAI利活用の現在」を開催し、コンテンツ界の声を聞きました。
https://cipcipcip.org/event/2403_ai_event_report/
日本音楽制作者連盟 金井文幸専務理事
音楽の世界ではYoutubeがAIを音楽に活用するための基本的な考え方として「AI Music Principles」制定と、アーティストと生成AIの取り組みを協働する「Youttube Music AIインキュベータ」としてプログラムを作った。
新しいデジタル技術やツールが出てくると、だいたい最初に試験的に使われるのは音楽コンテンツ領域。音制連としてはAI生成物の著作物としての権利のあり方とともに権利処理を業界としてどこまでやっていけるのかという点も課題。
日本オンラインゲーム協会 川口洋司事務局長
スマホゲームの開発における「生産性向上」「コスト削減」「業務効率化」のためにAIが活用されており、全部AIで作ったミステリーゲーム「RedRam」も出てきた。これからはAIとゲームとIPが一体化した形に進んでいくと思っている。
キャラクターブランド・ライセンス協会 陸川和男氏専務理事
キャラクターブランドライセンス協会としてはコンテンツ産業でのAI活用について期待と課題がある。期待としてはAI活用により、慢性的な人材不足のアシスト、課題といてはAI生成物が著作物として認められるかが挙げられる。
青山学院大学 内山隆教授
メディアコンテンツ領域におけるAI利活用については、例えば自動運転でのAIとは異なり、AIが暴走することによって人の生命や財産に直接危険を与えるものではないと思うので、もっと試行錯誤できてもいいと思っている。
国ごとの判断も異なり、AI生成物を著作物として認めるか認めないかについては、判例を含めてまだまだ試してみないと答えが出ないというところもある。その意味で「まずは手を動かそう」ということに賛成する。
総務省 湯本博信総括審議官
総務省では現在AIガイドラインの策定を進めているが、どうしてもリスクをどうするかに目が行ってしまうところがある。一方で「利活用を進める」ことは大事で、こうしたところの議論が活性化し、日本のコンテンツ業界の浮上につながればと期待している。
そして、ぼくのコメント。
もう議論の段階は終わりました。
政府・知財本部でAIの委員会を作ったのが2016年、もう8年前。座長として世界に先駆けて2年ほどガッツリ議論しました。文化審議会の審議につながって著作権法が改正、世界で最もAI学習しやすい環境が整いました。
ところがChatGPTが登場するや各国ともに 規制するか否か、学校でも制限するか否か、まだ腰が定まらない状況。
IP大国コンテンツ大国の日本にとってこれは大チャンス。デジタル敗戦についでAI敗戦したらこの国に未来はないとぼくは思う。ぜひそのチャンスをひらくきっかけを作れれば。
ぼくはコンテンツに対するAIの衝撃は、コンテンツの生産量が爆発的・無限に増えることと考えます。
情報のほとんどがAIが生成するものになって人が生むものはごくごく一部になる。
そのときに、ビジネスや権利のありかたはどうなるのか、おそらくいま見えている光景とは違う光景となる。そのような光景もみなさんと見られるとよい。よろしく。
このぼくのコメントがツイッターで炎上しまして。AIに対する恐怖心・警戒感はまだとても強くて、どちらに進むか予断を許しません。見据えてまいります。