■コンテンツの海外展開談義
ネットワークコンテンツ情報共有会@竹芝。
CiP協議会、日本動画協会、オンラインゲーム協会、キャラクター・ブランドライセンス協会の共催セミナー。
内閣府知財事務局 守山宏道次長、経団連産業政策本部 堀内保潔本部長、ヒューマンメディア小野打恵社長のお話。
それから、
トムスエンタテインメント 竹崎忠社長、サンリオ 沖崎麗ゼネラルマネージャー、カバー 玉乃萌子室長とぼくでコンテンツ海外展開について議論しました。
コンテンツ産業14兆円はコロナから回復基調だが横ばい。
課題は3つ。1.海外、2.デジタル、3.融合。
この3つを強みにしたのが韓国で、その成功モデルをどうとらえるか。
今回登壇の3社はその3点に取り組んでいる。
1.海外展開は伸びている。政府の施策、特に10年以上にわたるアナウンスメント効果が効いたとみる。
2.デジタルも動いている。2011年に13%だったネット売上は23年に47%に達した。21年にネット広告は4媒体を抜いた。
3.融合=商品化などによる他産業とのスケールアップが「クールジャパン」で、まだこれからの戦略。
日本の強みはIP。世界IPランキング、1位ポケモン、2位キティ(サンリオ)、6位アンパンマン(トムス)。トップ25のうち10が日本発。
これを活かし、海外・デジタル・商品化で稼ぐ、が当面の方向性。
これを政府は理解し、まもなく知財本部の新ラウンドが始まり、経産省はコンテンツとクールジャパンを合体した文化創造産業課を発足した。ぼくは両方に参加する予定。
経団連も基幹産業と位置づけている。ありがたい。
同時に、環境変化への向き合いも業界の課題。この20年はデジタルという大波に翻弄されたが気づけば米プラットフォームに押さえられた。
今度はAI。AIが敵か味方か見通せないが、その向かい方が競争力を分ける。
そのあたり、3社の戦略は。
トムス竹崎さんは、コナンやアンパンマンの海外展開で文化の違いに苦労してきたという。殺人事件の現場に子ども(コナン)がいるのはいかがなものか。自分の顔を食べさせる(アンパンマン)残虐性はどうなの。あ~そりゃそうかもね。
それより、「刃牙」がネットフリックスの世界ランキング1位を獲得したことに関し、自由な表現ができる場だったからこそ原作マンガの強みが発揮できたという認識に、ぼくは危機感を感じた。
フランスで社会問題になったドラゴンボールの殴り合いや、しんちゃんのケツ出しのような表現は、日本のテレビがタブー不在の強みを発揮して世界に覇を唱えた。
ところが日本のテレビはコンプラがキツくなって、今や米プラットフォームが自由表現の場なのだ。
自由は日本最大の強みだったのだが、それが奪われるのは、自殺だ。
サンリオ沖崎さん「キティちゃんは仕事を選んでいる」。ホントですか!どんな国のどんな商品にも張り付いているので、選ばなくてエラいなぁと思っておりましたが。そこは厳密な商品化戦略があるという。
それより驚いたのは、SNSなどオウンドメディアでコミュニティを作り、YouTubeやXをプロモーションに使い、ネットフリックスでマネタイズするというデジタル戦略。となるとユーザのデータをいかに収集・分析・活用するかがカギとなるが、それは外注?「いや社内データチームを編成して回している」という。うぁ、気になる。
カバー玉乃さん。ドジャースと連携したVTuberビジネスについて語る。ぼく先週、LAのドジャースタジアム行ったら17という番号だけついた硬球が飛ぶように売れてて驚いた。それより、それから毎日スマホにドジャースからメッセージが届いて、そのデータ+デジタルのマーケティングに舌を巻いている。やるねぇ。
VTuberは日本発の産業文化だが、強みは続くのか。いややはり「韓国・中国などの追い上げがすごく、世界市場の開拓に当たっては言語など課題も大きい」という。勝ち続けてもらいたい。
共通の課題は人材。制作者にカネが回らぬ問題も、世界展開するマネジメント不足問題も、長い間指摘され議論されて解決していない。政府も打ち手をこまねいている。もう議論の時期はおしまい。アクションあるのみと思う。
竹崎さんはアニメ業界に入る新人を1年鍛える、学校とOJTの間をつなぐ機関を提案する。あり得る。実装できるのでは。
世界マネジメントについては、iUがハリウッド直結の米MBAを誘致する構想を持っており、実現にこぎつけたい。
海外、デジタル、融合。業界の努力を下支えしてまいりたく。