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2016年10月31日月曜日

改めて、ネットの安心対策を。

■改めて、ネットの安心対策を。

 青少年の安心・安全なインターネット利用環境整備に関するタスクフォース。
 総務省にて議論が行われています。
 因果で、主査を務めています。長いので「安心TF」と呼びます。

 青少年ネット対策のため、フィルタリンク機関「EMA」ができて8年、産学官プラットフォームの「安心ネット協」ができて7年になります。
 騒動の当時、福田総理は「ケータイは青少年に百害あって一利なし」と発言しました。「百利あって一害ある」と考えたぼくらはカウンター活動を広げた次第です。

 その後、いったん安心感は広がりましたが、それからすぐ、子どものネット環境は一変しました。ケータイはスマホに、コンテンツはSNSに、ウェブはアプリになりました。そしてまた新しい問題が発生しています。

 一方、政府は2020年には子どもがタブレットで勉強できるようにする、つまり「持つな」から「持て」に姿勢を転換しました。この運動もぼくらが進めました。逆に、普及を推進するという課題も発生しています。

 安心TFの冒頭、総務省から状況説明がありました。
・高校生の94%、中学生の46%がスマホを所有。
・コミュニティサイト原因の犯罪被害は増加傾向。
・フィルタリングはケータイ65%、スマホ45%。
・フィルタリングしなくても適切に管理できると考える親が多い。

 そこで安心TFのアジェンダは、
1)リテラシー教育
2)フィルタリング対策
3)体制整備。
 これまでの安心ネット対策を総点検して、具体的なアクションを設計しようというものです。政治からの対策プレッシャーもあり、重いです。

 委員から多数の意見がありました。

1) リテラシーに関しては、教育が最重要対策であること、子どもより保護者の問題が大きいこと、意識が高くない人への対応が課題であること等の指摘。特に学校現場での対応状況を問う声に強いものがあります。

2) フィルタリングに関しては、設定が煩雑で、仕組みがわかりにくいことの改善策を求める声が多数。販売代理店からも「お客さまへの説明はフィルタリングだけで15分を要し、全体で2時間に及ぶ」という実態が報告されました。確かに、じゃぁいいや、ってなりますよね客も。

 でも、スマホのフィルタリングを改善しようとすると、OS事業者(AppleやGoogle)の対応が必要だったりしますが、そうなると一国の要請じゃムリかもしれない。ここが今の課題の悩ましいところです。

3) さて、リテラシーやフィルタリングの対策を踏まえて、じゃあ改めてどんな体制で進めるのかが課題になるのですが、これが難問。青少年ネット対策は、利害関係者、ステイクホルダーが実に多いのです。

 安心ネット協、EMAなどの第三者機関。通信キャリア、メーカ、販売代理店、SNS、OS事業者といった提供者。保護者や学校といった利用者。政府も内閣府、総務省、文科省、経産省、消費者庁、警察庁が関わる。そして各地方自治体。

 ハード・ソフトにまたがる対策であり、グローバル問題でもありますが、これ単独では利益にならないコストセクターです。ビジネスにも関連するが公益性も高い。さて、これをどう再設計するか。改めてみなさんの知恵を集結させています。よろしく。

2016年10月27日木曜日

トスカーナの休日

■トスカーナの休日
 ローマでフィアット500、白赤カブリオレを借りて、ペルージャに着いた。
 18年前、セリエAのデビュー戦、このスタジアムでユベントス相手に2点取って伝説になったヒデトシ・ナカタ。
 素朴な町の、質素な球技場である。


2001年、モロッコの路地を歩いていたらナカタナカタ!と盛んに声をかけられた。
イタリアの田舎、ウンブリアの選手が衛星で北アフリカでも有名になっている。
サッカーの力、衛星の力を知った。
15年たって、現場に来た。


5年前、ナポリから海岸に向かうバスの中で、若い衆からナカムラ!と声をかけられ、えボクのこと知ってるの?と思ったら、シュンスケのことだった。
まだホンダ!ナガトモ!と声をかけられたことはない。
それよりニーハオ、とかけられることが増えた。
がんばれホンダ、ナガトモ。


巡礼地、アッシジ。ウンブリア、エトルリア、ローマ、東ゴート、ランゴバルト、フランク、ペルージャ、教皇という支配の歴史。
てゆーか、このあたり、どこ行ってもそんな歴史。
数々の城壁の村も、無数にある路地も、それを語る。


ウンブリアからトスカーナのシエナに入る。
イタリア最古の銀行、Monte Dei Paschi本店。
左からバロック、ゴシック、ルネサンスの14~16cの建物が並ぶ。
豊かなトスカーナ。
あ、ここまで書いててすみません、たんなる旅です。ヒマなんです。


Palio di Sienaと呼ばれる競馬が年2回、ここで開かれる。
17地域から10頭の馬と色とりどりの騎手が狭い広場を駆け抜ける。
鞍もつけず、転倒、落馬は恒例。
次はそれを見に来よう。


ところで、欧米にいて、東洋人という引け目を感じたことはないが、敗戦国の負い目を感じることはある。
それはドイツにいると感じない。
だがイタリアにいると感じてしまう。
(ピエンツァ)


イタリアは連合国にやられてから終戦になったため、戦勝国のつもりでいやがるからだ。
それってどうよ。
と思うが、その屈託のなさがイタリアたるゆえんなのだろう。
ま、いいか。
(コルトナ)


85年、通信自由化を巡る日米交渉の場で、郵政省電気通信局長が
(アメ公イタ公は信用できねぇ)
とつぶやいたことを忘れない。
このトスカーナに来ているアメリカ人は最も信用できねぇのかもしれない。
でもいい人たちだよ。
(カスティリオーネ)


教会、広場、鐘の音、石畳、路地、たなびく旗の紋章、の向かいの家どうしをつなぐ上階の通路、骨董、靴、カバン、レース、宝飾、ガラス細工、陶器、細密画、古書、オリーブ油。
だいすき。


しかしこんな山頂にも城塞と教会を築かなければならなかったみなさんは大変でしたね。
おかげでBS日テレ「イタリアの小さな村」が成り立つのですが。
(カスティリャーノドルチャ)


運転すがら暇なので二で終わるイタリア野郎を思い浮かべる。
フェリーニ、パゾリーニ、アントニオーニ、タヴィアーニ、マストロヤンニ、プッチーニ、アルマーニ、モディリアーニ、マルコーニ、ムッソリーニ、ベルルスコーニ・・・
もう出ない。


二が出なくなったので、い段で終わるイタリア野郎を思い浮かべる。
ビスコンティ、トッティ、インザーギ、ダビンチ、ヴェルサーチ、ヴィヴァルディ、フェラーリ、マキャベリ、ボッチチェリ、ベルトルッチ、モンテッソーリ・・・
もう出ない。


お段で終わるイタリア野郎を思い浮かべる。
ミケランジェロ、ガリレオ、バッジョ、カラバッジョ、ガットゥーゾ、デルピエロ、サンドロロポポロ、レンゾピアノ、ウンベルトエーコ、フェラガモ、ジローラモ・・・
もう出ない。
以上、イタリア人か苗字かも怪しいが。


行き着いた山中、15世紀の郵便局を改装した宿に泊まる。
ウラの温泉はローマ時代のもの。
阿部寛が掘ったものと思われる。

古い郵便局を宿にしてくれたら、ぼかあ全国巡礼しますよ、配達だって手伝いますよ、日本郵政さま。

2016年10月24日月曜日

スマートテレビから5年、民放はいま

■スマートテレビから5年、民放はいま

 民放連ネットデジタル研究会。民放のキー局・ローカル局が参加し、ネット・デジタル対応を練る場です。ぼくが座長を務め、これまで5年間続けてきました。

 5年目の報告をまとめるに当たり巻頭言をしたためたので、貼っておきます。自分のブログでなら「スマホファースト、オールIP、IoT放送」などと断言しますが、これは放送局の幹部向けのものなので、マイルドにしてあります。
 でも5年前ならここまで書けませんでした。状況が変わったことを実感しています。

 
ーーーーーーー

 スマートテレビ、スマート放送がクローズアップされて5年になる。本プロジェクトが発足して5年を経過したということだ。
 当初、グーグルTVやアップルTVなどの動きは、「ITからテレビへ」の接近だった。米IT企業がテレビ受像機をネットに取り込む。だから放送業界は黒船とばかり身構えた。
 その後、セカンドスクリーンという日本型のスマートテレビの姿が注目された。これは「ITとテレビ」の両立作戦。テレビ受像機とIT=スマホというダブルスクリーンでのサービスが期待された。

 状況は次の段階に移行した。昨年の報告書では、複数の局が無料での人気番組を配信し始めたこと、NHK「ハイブリッドキャスト」や「マルチスクリーン型放送研究会」など放送・通信連携型の新しいサービスが立ち上がったことを話題にした。
 そして今年の報告は、これら放送局が自らのビジョンに立って多様な路線を取り始めたことを示している。民放公式テレビポータル「TVer」のスタート、ソーシャルサービスとの連動、ライブ配信、プラットフォームへのコンテンツ提供、Vlowマルチメディア放送や「モアテレビ」の始動など、各社それぞれの意思により、さまざまな戦略を繰り出している。ぜひ、そのワクワクする展開を読み取り、共有していただきたい。

 折しも局面はまたも動いている。グーグルやアップルに代わって、ネットフリックスやアマゾンがサービス上陸し、国内ではLINEやサイバーエージェントによる配信サービスも開始するなど、日米の新たなIT企業が映像配信に本格的に動き始めた。
 通信会社も熱心である。ケータイ3社ともにスマートテレビ対応を進めている。有線の映像ビジネス分野では、NTTぷららの「ひかりTV」のように4Kビデオの提供で先行して存在感を示すものもある。
 これらに対し、放送局はコンテンツ提供の形で提携を結んだり、huluのように自らプラットフォーム運営をしたりするものもある。かつてのような受け身ではない。総じて言えば、「テレビからITへ」の展開、「放送からITへ」の攻めとも言えよう。放送局がITを使いこなす意思が明確となってきた。

 だが、ここで2点、注意を要することがある。
 まず、この局面は、「テレビ」を問い直すものであるという点だ。マルチスクリーンは、テレビ、PC、モバイルの垣根をなくす。テレビが第一スクリーンでモバイルが第二、といった序列は崩れ、若い世代ではモバイル=スマホが第一スクリーンの位置を占めつつある。そしてサービスは急速にボーダレス化している。それは「端末フリー」を促す。どの国のどの種類の端末でも簡単に使えるサービスが生き残る。
 それは、どんなスマホでも世界のテレビが見られることを求める。放送局からみれば、テレビがネットで全てのスマホに流れることが促される。2020年の東京五輪では、世界中の旅行者が自分のスマホで、wifiや5Gで日本のテレビを観る環境になっているかもしれない。
 それは放送の受信機がないスマホやタブレットでも、そしてネットでつながった世界どのエリアでも視聴できるようになることを意味する。いわゆる「オールIP」も視野に入ってくる。こうした近未来に備える時期が来た、ということだ。
 
 もう1点は、スマートの次の世界、「脱スマート」とでも呼ぶべき段階が現れたことだ。
 マルチスクリーン、クラウドネットワーク、ソーシャルサービスからなるスマート化の次に現れるのは、1)「ウェアラブルコンピューティング」、2)「IoT(Internet of Things)ーユビキタスネットワーク」、3)「インテリジェントー人工知能AI」に代表される環境、いわば「IoT時代」とでも総称すべき状況である。
 身につけるデバイス、モノとモノがつながるネットワーク、自律的で賢いソフトウェア。この環境の中で、テレビは、ラジオは、放送は、どういうポジションを取るのか。まだ実像が定まらない空想の領域であるが、通信・放送の融合がそうであったように、5年、10年もたてば、あいまいな流行り言葉が事業の根幹を揺るがす大波になっているかもしれない。その行方を展望しておく時期であろう。
 本報告ではまだそこに踏み込んだレポートはない。日本は通信・放送の融合にも、スマートテレビにも出遅れた。国際ビジネスでも苦労している。しかし、と言うか、だから、と言うか、次に来る波には、しかと備えておきたい。

 この5年にわたる研究は、各社がそれぞれの路線に踏み出すさまを描き出し、スマート放送を総括する段階であることを示している。と同時に、その次のステージが始まることを予期させ、新たな研究を求めている。その期待感と危機感が共有できれば幸いである。

ーーーーーー 

 なお、この報告書は世間には流通しないので、その内容をかいつまんでおきます。

 菊池尚人慶應義塾大学特任准教授が「4(K)☓5(G)=2020」という論考を寄せています。4KはひかりTVが先行し、LTEは5Gに移行し、2020年を迎える。通信の伝送路が高度化して放送を主導する、ということです。

 この20年間の放送は「通信」技術が引っ張ってきました。放送業界にはそれを無視するむきもありますが、今後もそれが原動力になるということを強く認識し、それを積極的に消化する必要があります。

 そして各局が多様なサービスを報告しています。
 TBSは世界陸上・北京大会やレコード大賞のライブ番組で、フェイスブック、ツイッター、LINE LIVEなどとのソーシャル連動を展開。
 NTVはライブのネット配信で、24時間連続4chによる生配信やhuluでのリアルタイム配信を実施。
 テレ朝は、サイバーエージェントとのストリーミング+VOD:AbemaTVや、KDDIとのSVOD:ビデオパス、そしてTVerによる多面展開。
 フジテレビは、ネットフリックスやhuluへのコンテンツ提供、24時間ライブのニュースメディア「ホウドウキョク」の開設。
 テレ東は柔道グランドスラムのスポーツ中継で、7台のカメラによるマルチアングル配信、YouTubeとニコ動でのライブ配信、Yahoo!でのダイジェスト配信を実施。
 TFMはTOKYO FM+と、VLowマルチメディア放送idioの開局。
 MBSはマルチスクリーン型放送Sync Castからwifiによる「モアテレビ」への展開。
 
 戦略がバラついてきましたよね。さて、来年はどんな報告ができるか。お楽しみに。

2016年10月21日金曜日

mixiの社外取締役を辞任しました。

■mixiの社外取締役を辞任しました。

 昨日、mixiの社外取締役を辞任致しました。
 一身上の都合です。

 背景には、チケット高額転売の問題があります。
 本件は、8月に著名アーティストが連名で「私たちは音楽の未来を奪うチケットの高額転売に反対します」と意見を表明したことで表面化しました。
 
 その後、各種報道もなされ、注目が高まっています。
 NHKクローズアップ現代「追跡!チケット高額転売の舞台ウラ
 「チケット高額転売にNO! 嵐など声明に賛同、議論白熱」
 「なぜ今、「転売NO」と訴えたのか――チケット高額転売問題、音楽業界の本音
 日経新聞社説「健全なチケット転売市場を」

 本年はじめごろから業界内で正常化を求める動きが強まり、mixiの子会社であるチケットキャンプにも事態を改善する声が高まっていました。

 問題はチケットを大量に入手して高額で販売するいわゆる「転売ヤー」です。
 さりとてチケットを売る音楽業界と、さばくチケットキャンプなどのプラットフォームとが解決策を見出すべき案件です。

 私はmixiの役員であると同時に、音楽制作者連盟(音制連)とも音楽事業者協会(音事協)とも関係があります。音制連・音事協との連携により日本のほぼ全てのミュージシャン情報を網羅するデータベースの構築・運用にも携わっています。

 恐らく両サイドに足場を置く唯一の者として、本問題の解決を期してまいりました。mixi側と音楽業界とが向き合う機会づくりに努め、両者に握手してもらいたいと考えてきました。

 しかし、私の力が及ばず、アーティストの意見表明や、その後の報道などに至っています。責任を感じております。

 互いへの守秘義務もあり、詳しくは申し上げません。ただ、現状では、私が調整役を努めるより、座を外したほうが互いに腹蔵なく対話できるのではとも期待する次第です。

 mixi側にも、音楽業界側にも、できること、すべきことがあると考えます。これについては経済学者、業界関係者、メディアなどからもさまざまな発言が見られます。行政サイドにも知恵をいただくのがよいかもしれません。互いに話し合って調整いただければと存じます。



 私がmixiの取締役に就いたのは、2009年、7年前になります。当時、青少年とネットとの関わりを巡り、SNSに対する行政の風当たりが強まっていた時期で、笠原健治さんに請われて、私も公益的な観点からお役に立てればと思い参加致しました。

 それから朝倉さん、森田さんへと社長も代わり、取締役の中では私は笠原さんに次ぐ古株になっていました。政府の会議などでは今も若手扱いされることがありますが、mixiの会議では私は一人だけシニアの存在でありました。

 青少年問題を巡って安心ネット協議会の設立に至ったり、コンプガチャを巡ってJASGA(ソーシャルゲーム協会)を設立したり、公益の仕事に発展したこともあります。

 業績が厳しいときも、絶好調なときも、ともに見てまいりました。モンスターストライクが世界収益ランキング1位に輝いたときには、若いのにスゴい連中だな、クラクラ致しました。

 mixiが一貫して切り拓いているコミュニケーションの領域は、これからようやく本番を迎えます。あと100年は成長するでしょう。ぜひその世界を開拓し続けてもらいたい。


 老兵は離れますが、これからもmixiの発展を見守ります。みなさまもどうぞよろしく。

2016年10月20日木曜日

Tokyo Crazy Kawaii、バンコク編。

■Tokyo Crazy Kawaii、バンコク編。
Tokyo Crazy Kawaii。パリ、台北に次いで、30度を超えるバンコクで開催です。今回も実行委員長を務めました。
カワイイを軸に、原宿ファッション、雑貨、アニメ、食など18店舗を連結して開催。
 




今回はJapan Expo Thailandとの併催。圧倒的な熱気はアイドルのステージ。一緒に歌って、踊る。こんなイベントが毎週のようにありますよ、とは在タイ大使館広報文化部長。
 


Akishibu Project 握手会。
タイの制服女子もたくさん並んでいました。
 




ウチの博士学生でもあるJasmineがブッキングしたビジュアル系「defspiral」。熱狂。みんなよかったね、本物見られて。
 


同じく「SuG」。
超熱狂。いいバンドだもんね。 Jasmine、お仕事おつかれさま。熱帯のライブは疲れるね!
 


「もしもしにっぽん」。
アソビシステムはアウトバウンドに熱心。きゃりーぱみゅぱみゅの番組にぼくも出演していたので、その成果が気がかりです。
 







原宿ファッションのブランドはここでも定着しています。
 





日本のファッション市場を切り拓きましょう。
岡山からジーニスト代表。
もちろん、歌って踊ります。
 






バンコクにこれほどいるとは、というくらいおびただしいコスプレさんが集結。
 









マネジャーを従えたプレイヤーもたくさんいらっしゃいました。
 









チーバくんが出張してました。
海外のジャパンイベントに自治体が店をかまえるのも定着しましたね。
おつかれさま。
 








NHK worldには どーもくん。
こちらは今もぼくは「クールジャパン」で出演しているので、応援。




 

カラオケは日本のものですからね、と第一興商。
 





各地の大学が日本に学びにおいでよブースを出展。しまった、ぼくは本業としてコレをやらなきゃいけなかったんだ。慶應にもおいでよ!
 


すると、食コーナーで「焼きがにらーめん」を売る子から「ナカムラセンセイ!」と声をかけられました。
KMD入学希望なんですと!
ライブ仕事中のJasmine、お相手してあげて!
 





その食コーナー。
どんぶり、たこ焼き、みたらし団子の商品レベルではなく、鳥取ホルモン焼きそば、徳島ラーメン、鹿児島和牛、大阪王将、奈良カフェ、と固有名詞での勝負になっています。
クールジャパンも激戦だぜ!

2016年10月17日月曜日

改めて、デジタル教科書を推進するには

■改めて、デジタル教科書を推進するには

 デジタル教科書を正規の教科書として導入する政府方針が固まろうとしています。これを受け、取材が増えてきました。先日も雑誌から基礎的な質問を受けたので改めてお答えしました。


・教育現場での普及状況は?
 端末は小学校6.5人に1台。1人1台は遠い。日本は後進国。デジタル教科書はまだ正規扱いではなく、法改正が必要。

・デジタル教育のメリットは?
 創造・共有・効率。楽しくて・つながって・べんり。AV機、ネット、計算機の機能を活かしてできること全て。

・成果はどう現われる?
 学習意欲、理解度、思考表現力の3点の効果が認められている。

・なぜいま必要なのか?
 学力低下(OECD PISAの順位低下)に加え、日本の子どもたちは他国に比べ学習意欲に乏しいという状況。問題解決力やコミュニケーション力など新しい力を身に付ける必要性も世界的に求められている。

・学校に導入する必要性は?
 暮らしも仕事もスマホなどデジタルが不可欠になっていて、子どももデジタルで遊んでいるのに、学校だけが使えない状況。特に教科書は紙しか認められない制度となっており、まずはその課題をクリアすべき。

・理想のデジタル教育とは?
 ない。アナログ教育でさえもなお改善中であり、理想に到達していない。デジタルも100年後も改善中のはず。まず始めること。

・具体的な利用シーンとは?
 教室の中での教え合い学び合い、学校外との交流などが広がっている。デジタル+アナログ、バーチャル+リアルを混合させ自然に使っている例が多い。

・先生が使えないのでは?
 2歳児だって使ってるのに失礼ではないか。現にベテラン教師ほどデジタルでいい授業をするという報告がある。

・日本が後れた原因は?
 学力が上がるのか、使いこなせるのか、姿勢が悪くならないか、などさまざまな疑問が寄せられたが、根本は過去のアナログ教育で日本が成功していたこと。デジタルで一変することへのばくぜんとした不安。

・普及の格差の原因は?
 自治体の首長のやる気。教育情報化予算は確保されているが自治体の裁量で道路などに化けている。教育情報化と他行政の優先度の問題。

・文科省の中間まとめをどう受け止めるか?
 紙の教科書をベースにデジタル化し、その範囲で検定にかけるという結論は妥当な現実解。一方、デジタル教科書のコスト負担を家庭に求めるのは問題。紙と同様、国が予算をつけて無償配布すべき。

・課題は?
1) デジタル教科書を正規化する法制度の整備--国会。
(学校教育法などに加え、著作権法の改正が重要。)

2) デジタル端末の整備--自治体。
(PC整備は小学校6.5人に1台。これも主要国で最低レベル。自治体には国からこのための交付税が措置されているので、自治体がしっかり予算を組むべき。)

3) ネット環境の整備--政府。
(端末のハード、教材のソフトが揃っても、学校のネット化がネックとなる。セキュリティーやプライバシー保護などの問題を解決しながら学校のネット化を進めるべき。)

4) 端末・教材流通の低廉化--民間。
(中古端末流通システムとか教材著作権処理機関など民間が取り組む課題も多い。)

・おカネがかかる?
 日本は公教育への支出が少なすぎる。社会としてカネをかけよう。

・民間の取組は?
 中古端末の流通、教材配信システム、著作権処理機構など民間が取り組む課題も多い。教育を産業として拡大する努力をすべき。

・教育を産業にするなという指摘があるが?

 教育20兆コストのかなりの割合がデジタル市場となる。日本が産業化しなければ、海外のハード・教材業界のものを使うだけ。産業化し、投資や海外展開を促すことでいい教育環境が整備される。

2016年10月13日木曜日

第8回 沖縄国際映画祭「島ぜんぶでおーきな祭」

■第8回 沖縄国際映画祭「島ぜんぶでおーきな祭」


  第8回沖縄国際映画祭「島ぜんぶでおーきな祭」。
 昨年までの宜野湾から那覇波の上うみそら公園にメイン会場を移し、全島9会場での開催です。昨年までの3月から海開きとなる4月開催となり、暑いイベントになりました。

 昨年までのメモはこちらに。
 

2015年   
http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2015/07/blog-post_23.html 
2014年 
http://ichiyanakamura.blogspot.fr/2014/05/6.html
 
2013年 
http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2013/07/2013.html

2011年 
http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2011/05/blog-post_26.html
      http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2011/05/3_19.html

2010年 
http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2010/04/blog-post.html



熊本・九州の震災発生から一週間での開催。この時期にどうよ、という声もあります。ですが、偶然とはいえまたも自粛ムード漂う中での祭典には意味があります。被災地に、全国に、元気を届けたい。

 

東日本大震災のときも、沖縄国際映画祭はその2週間後に開催されました。当時、開催に対し強い風当たりがあったと記憶します。でもLaugh&Peaceのコンセプトで断行したことは、内外に強いメッセージを発しました。今回も同じです。

 

ぼくはガレッジセールさんとシンポの司会を務めました。
沖縄から海外に発信する力をどうつけるか。
吉本興業は既にクールジャパン機構の出資を得てMCIP ホールディングスを設立し、アジア展開に力を入れています。
 


島尻沖縄担当+IT・知財担当大臣(当時)は「芸能と文化の沖縄のパワーを被災地含め全国に届けたい」と発言。沖縄は国家戦略特区であり、その立場を活かそうというメッセージもありました。そうしましょう。

 いろんな方から意見をいただきましたが、ぼくには何より、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシアなどアジア各国へ成功するまで帰ってくるなと送り出された「住みますアジア芸人」諸君の悲壮な決意に、発信力の可能性を見ました。

 映画祭に先立って、吉本興業はエンターテインメント人材を育てる学校を沖縄に開校すると発表しました。ダンスや漫才、演技だけでなく、衣装デザイン、照明技術などの講義も行うといい、世界から一流の講師陣を集めるといいます。

「吉本が沖縄に学校つくりまっせ 芸能のプロ育成」
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160420-00000003-okinawat-oki
 


人を育て、場を作り、送り出し、産業を作る。厚みのある施策が必要です。
(トニー賞を3回受賞したというおじさん)


 

さて、今回の目玉の一つは又吉直樹原作「火花」の特別上映。Netflixオリジナルドラマとして制作される全10編のうち、3編が上映されました。さて、Netflix上陸の実力やいかに。

と思いきや、驚きました。「良い邦画」です。キレのいいセリフ、緩急あるリズム感、抑えた色調、場末の日常。原作を超えますね。廣木隆一さんほか5人の監督が数話ずつ担当する、その違いも楽しみ。総合プロデューサーは岡本昭彦さんと吉崎圭一さん。

 もう一つ注目したのは木村祐一「ワレワレハワラワレタイ」。芸人107組へのインタビュー集。芸人の本音、理念、苦悩、全てが語られていきます。キム兄だからこそ聞き出せる愛情あふれる映像です。坂田利夫・ノンスタ・月亭方正編を観ました。
 http://warawaretai.com/

 坂田利夫さん「アホの坂田」のせいで全国の坂田くんがいじめられ申し訳ないと思った証言。はい。あろうことかぼくには坂田利夫という名の同級生がいて、小学校の卒業式で名を呼ばれ大爆笑が起きたことを思い出します。でも「アホ」と呼ばれることにそんなに葛藤があったとは。

 ノンスタイル。井上さんが経営者・プロデューサーで、ストイックで引きこもりがちなアーティストの石田さんがついて行っている、という構造だったんですね。だからこそ成立しているんだな。

 月亭方正さん。山崎邦正として駆け出しのころ、松本人志さんから知らずに受けていた暖かい行為を一言語り、こらえた涙がブワっと吹き出す。キム兄も静かに涙を流す。素敵。劇場の最後列でたまたま隣に座っていた河本準一さんが、ぐひょぐひょブヒブヒ泣き出して驚いた。カッコいい。

 月亭方正さんがインタビューで、子どものころのスターはお笑い芸人ばかりだったと語っていました。そういえば、ぼくもそうだな。
 お笑い芸人さんへの尊敬を確認する映画祭でした。



「こんな映画祭は他にない」。訪れる専門家はそう言います。私も毎年参加していますが、こんなイベントは例がありません。映画祭の多くは賞を与えておしまいの、業界の作り物ですが、ここは違います。監督も芸人も観客も、みんなで学芸会のように作り上げるお祭りです。レッドカーペットは700人が歩きます。


内外の映画が集まり、世界に発信する。映像の他にも、お笑い、音楽、スポーツ、いろんなエンタテイメントがある。コンテンツのマーケットも新人発掘の場もある。クリエイターを教育する催しもある。大人だけでなく小学生も参加している。芸人やアーティストも当たり前のようにうろうろしている。

 

そして沖縄のいくつもの会場が使われ、全島41市町村のみなさんが寄り合って地域を活性化する。よくぞ「島ぜんぶでおーきな祭」という名前をつけました。スタート時、大崎実行委員長は「100年続ける」とおっしゃいました。今回で8回目。では、あと92回はがんばりましょう。

 

10月には京都国際映画祭です。実行委員長を務めます。翁長知事らご列席のクロージングで、ご挨拶しました。
「この熱気を、はんなりと京都に持ち込みたい。後輩の京都を応援しとくれやす。そして秋には、みなさん、京都に、おこしやす。」

 



イカスミソーメンチャンプルの向こうに てびちが見えます。

また近いうち。

2016年10月10日月曜日

AIの衝撃

■AIの衝撃


 小林雅一著「AIの衝撃」。
 人工知能は人類の敵か、というサブタイトルですが、答えは「否」。PCやネットに匹敵する技術がAIと次世代ロボットであり、AIと次世代ロボット技術が全ての産業を塗り替えることを描きます。

 小林さんは、デジタルの重大な新技術について、深い技術知識と洞察力に基づいて鋭く未来を展望する研究者。前作の「クラウドからAIへ」でも刺激を受けました。


 他にもAIに関しては、マカフィー/ブリニョルフソン「機械との競争」、スタイナー「アルゴリズムが世界を支配する」など優れた分析がありますが、全体を俯瞰するにはまずこの書を薦めます。

「機械との競争」

 http://ichiyanakamura.blogspot.it/2013/05/blog-post_6639.html



アルゴリズムが世界を支配する」
 http://ichiyanakamura.blogspot.it/2015/04/blog-post.html

 AIの歴史は小林さんが整理するとおり苦難の道でした。50年代に開発されたニューラルネットの限界をMITミンスキー教授が証明するなど、第一次、第二次にわたるブームと挫折を経ることになりました。ぼくは80年代の第二次ブームのころ、政府で開発プロジェクトに携わったため、その重たさはよくわかります。

 
それが2006年以降のディープラーニングで画像認識や自然言語処理が大きく進化し、ロボット産業にも革命を起こすようになったといいます。この10年でいよいよブームから本格離陸へと移行するように見えます。

 iPhoneのsiriやITサービスのリコメンデーションなどもAIですが、それ以上に注目されるのが、自動運転車、ドローン、ロボットなど形を伴った新機軸です。小林さんもここに注目しています。

 特にアメリカでは、MIT、カーネギーメロン、スタンフォードからロボット・ベンチャーが続々と登場していて、DARPA(米国防高等研究計画局)の呼びかけで開発プロジェクトも進んでいます。産官連携です。

 他方、いまそれ以上にAIやロボットを主導するのはグーグル、アップル、アマゾンなどのIT企業。彼らはネットとロボットを通じビッグデータを収集しようとしているといいます。

 かつてネットはDARPAから生まれ、大学で開発され、それが西海岸の企業群がサービス化・商品化することで世界に広がりました。AI・ロボットも、軍事→大学→西海岸の企業群へと主要プレイヤーが移ったようです。

 そしてそれは、日本政府や大学が慌てても手の届かないところに事態が移ったことを意味するのではないでしょうか。数百、数千億円タームの資金を投資し続ける企業群に、政府や大学の僅かな資金で太刀打ちできるものでしょうか。

 この点、本書が紹介するドイツ「インダストリー4.0」は、生産・物流現場をネット化し、AIで管理する国家政策で、米企業独占したIT革命がドイツ虎の子の製造業まで乗っ取るという危機感に裏付けられています。日本も戦略が問われます。

 気になるのは、日米で開発の方向性が違うという指摘。小林さんは両者をこう見ます。
 日本:人間が操作する単機能ロボットvs米国:AIを搭載して自律的に動く汎用ロボット

 背景として、日本のロボット・メーカに勤めるエンジニアの大半は、大学では機械系や制御系を専攻し、AIとは無関係であることを指摘します。ものづくりとAI・ITとが分離しているのです。これはマズい。

 もっと気になるのは、「何を作るのか」という点で日本がブレているのではという点です。
 アシモのようなヒト型ロボットに対し、かつてアメリカは冷ややかだった。するとヒト型ロボットを開発する日本のシャフトに対して霞が関は「ヒト型に市場はない」と結論付け、日本では資金が得られなかった。そしてシャフトはグーグルに買収され、関係者には衝撃が走った。今やアメリカの本丸はヒト型となっている。
 そういう構図です。

 これに関し、稲見昌彦さんも「人がロボットにしてほしいことを追求するには人が活動する環境に機能を合わせるため」ヒト型に重点が置かれると指摘していました。AIの発達により、ロボットに求める機能も進化しています。日本はいずれをも追えていないように見えます。

 AIとロボットが人の仕事を奪います。オフィスワーカーなど中間所得層の雇用がまず奪われ、非定型的な肉体労働も奪われていきます。上位にあるとみなされていた医療研究や経営コンサルなどへの転用も進みます。

 そこにとどまりません。将棋や囲碁がAIに王座を譲り渡しただけでなく、UCサンタクルーズの教授が開発したプログラム「エミー」が作曲したオペラがプロの作曲家を凌駕したように、創造的な仕事もそろそろAIの領域です。

 そこで最後に小林さんは問います。蒸気機関、自動車、重機、コンピュータなど、力の大きさや移動速度、計算能力などの面で、人間の能力を超えるマシンを人類は開発してきた。最後の砦としての「知能」もロボットやAIに譲り渡すのか。

 そして自答します。人類はそう決断するだろうと。地球温暖化、大気汚染、核廃棄物処理など人類が直面する問題は人類単独で対処しきれなくなる。人間を超える知能を備えたコンピュータやロボットが必要とされるだろうと。

 そして説きます。「知能」が人間に残された最後の砦ではない。それを上回る「何物か」を私たち人間は持っている。自分よりもすぐれた存在を創造し、それを受け入れる私たちの先見性と懐の深さだ、と。

 AIとロボットに対する漠然とした不安から、未来に対する悲観論も漂っています。これに対し、ぼくらに必要なのは、やみくもな楽観論ではなく、創造論で未来を克服していく、この姿勢なのでしょう。

2016年10月6日木曜日

ヒューマニティの拡張、という一席 (後)

■ヒューマニティの拡張、という一席 (後)

 SXSW@オースティンでの一席。後編は、デジタル特区CiPについてです。
 ちゃかちゃんりんちゃんりんちゃんりんちゃんりんでんでん。
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 超人スポーツをどこでやるかも大事です。

 ぼくらの活動は始めてまだ1年もたっていませんが、たくさんのスポーツのアイディアが生まれています。こういうスポーツができる場所、スポーツが開発できるラボ、そしてスタジアムを用意したい。

 たとえば360度フルスクリーンでたくさんのセンサーが埋め込まれたIoTスタジアムができればいい。今はまだ空想している段階です。

 ただ、それを誘致する町づくりは進めています。超人スポーツの活動とは別に、東京のベイエリア、竹芝という場所に、デジタルとコンテンツの集積特区を作る構想を進めています。2020年以降のデジタル産業を引っ張る拠点です。

 オリンピック会場に近い場所、東京都が持つ1.5haの土地を再開発して、2020年の東京オリンピック直前に街開きする計画です。コンテンツ、メディア、IT、IoTの先端技術を集め、クラスターを造って、超人スポーツを誘致します。

 これはコンテンツ・イノベーション・プログラム「CiP」というプロジェクトで、既に50社が参加していて、日本政府も支援しています。これもぼくが代表を務めています。

 CiPの機能は4つ。研究開発して、人を育てて、起業を支援して、そのビジネスをマッチングする。そこから生まれたテーマを研究するというサイクルを描きたい。

 シリコンバレーとハリウッドの、テクノロジーとコンテンツの要素を、小さい区域に詰め込み、そこにポップカルチャーという日本のスパイスをふりかけたような街にしたい。コスプレもロボットも集まる場所にしたい。

 クリエイターと起業家が集まる場所にしたい。テクノロジーやデザインを生み出す人と、それをビジネスにする人が、ともに遊べる空間を作りたい。

 ぼくが所属する慶應義塾大学もそこに入居しますし、ぼくが以前所属していたスタンフォード大学も誘致したい。だけど最先端の子ども向けデジタル教育も行われる場所にしたい。

 その竹芝地区は、既に国家戦略特区として首相の認定を受けています。特区というのは、さまざまな規制緩和を先行して導入できる地域のこと。

ドローン特区やロボット特区として、いろんな技術を試したい。電波特区として、超人スポーツ向けの電波を使いたい。テキサスやカリフォルニアでできることは竹芝でもできるよう、テキサス特区やカリフォルニア特区になりたい。

 テクノロジーとポップカルチャーのお祭りが毎日開かれているような場所。SXSWの小さいイベントが毎日開かれているような場所にしたい。

 そして、この場所を、アメリカ、ヨーロッパ、アジアを結ぶハブにしたい。

 東京は、海のある首都。ワシントンDCもパリもロンドンも海を持っていない。ローマもマドリードも北京も海がない。東京の海を使って遊びたい。

 等身大のガンダムを動かすプロジェクトが始まっています。2020年には、自分の身体の拡張として、ガンダムを操縦してここで飛ばすことを夢見ています。

 いっしょにやりませんか?


 

2016年10月3日月曜日

企業経営に警鐘を鳴らす情報通信白書2016

企業経営に警鐘を鳴らす情報通信白書2016

 情報通信白書2016、出ました。ぼくは今回も編集委員を務めました。

 ICT成長による実質GDPへのインパクトとして、2020年時点で33.1兆円の押し上げ効果を見込んでいます。
 そして今回の白書の特集は、IoT・ビッグデータ・AI。その概要はこちらに。いくつかポイントを抽出します。


 今回の挑戦の1つ、ICTの消費者余剰分析。
 MITスローンのマカフィー+ブリニョルフソン「ザ・セカンド・マシン・エイジ」が「GDPの限界」として、の生産・産業価値=GDPではICTの価値を捉えられないと指摘、モノ・サービスが生む消費者余剰をどう計測するかを問いかけました。

 この問いにはぼくもかねて問題意識を持っておりましたが、その指標づくりに成功した例は知りません。今回、白書は果敢にもそれに取り組みました。

 白書は「ICTの価値は企業側と消費者側それぞれにもたらされるが、企業側は最終的にGDPの増加等として既存統計でとらえられるのに対し、消費者側は既存統計でとらえられていない部分(非貨幣的価値)がある」とし、①消費者余剰、②時間の節約、③情報資産(レビュー等)に着目して分析しました。 

①消費者余剰(消費者が支払っても良いと考える価格と、実際に支払われている価格との差)について、音楽・動画視聴サービスを事例に分析すると、利用者は1ヶ月あたり150円~200円程度の余剰を得ている。年間の消費者余剰額を推計すると合計でおよそ1097億円。

②時間の節約について、ネットショッピングを事例に分析すると、1回あたり40分~1時間程度の節約になった。

③情報資産(レビュー)について、ネットショッピングを事例に分析すると、8割以上の利用者がレビューによって購入する商品を決定した経験がある。

 消費者余剰はもっと大きいだろう、という気はしますが、まずはこれに取り組んだ姿勢を認めたい。この分析を厚くし、精度を高めていくことは、世界的な貢献となると考えます。


 一方、白書は企業側の対応に厳しい視線を投げます。

 日本企業のICT投資は、業務効率化及びコスト削減の実現を目的とした「守りのICT投資」という状況が浮き上りせます。

 米国企業は、「ICTによる製品/サービス開発強化」、「ICTを活用したビジネスモデル変革」などを目的とした「攻めのICT投資」により、ICT製品、サービスで先行したと分析しています。

 日本企業のICT投資/GDPは米英などに比べ低く、かつ、不況時には低下するが、米英などは不況時に高まるという調査結果もあります。ここ10年来、日本企業の競争力が高まらない原因の1つに、企業経営のICTを見る視線の低さがあると思います。


 IoTの利用も分析しました。

 日本はIoTを活用した業務効率化などの状況をあらわした「IoT進展指標」が低い。通信インフラ指数は最高水準だが、IoT進展指数は米中独英に劣ります。つまり提供はあるのに、利用がダメということです。これも企業経営の問題。

 IoTによる市場拡大に関する予測も日本企業は相対的に低い。2015年から2020年にかけて各国はIoTの導入率が2~3倍になることが予測される一方、日本はIoT導入意向が低く、今後他国と差が開いてしまうおそれがあります。


 AIの利用も分析しています。

 日本の職場では「AIへの対応・準備は特に何も行わない」とする者が多くみられます。米国ではAIの知識・スキルを習得するなど、AIを使う側に立って、今の仕事・業務を続けようと対応・準備するとする者が多くみられます。

 ただ、違う見方もできます。
 自分の職場へのAIの導入や、仕事のパートナーとしてのAIに対する抵抗感は、米国に比べて日本の就労者方が小さい傾向があります。これは日本の職場のほうがすんなりと普及が進む兆しかもしれません。


 総じて見るに、ICTにしろIoTにしろ、日本は利用する企業経営側の認識が低く、それが競争力に響きそうという分析です。これはかねてから白書が日本のICTの課題は企業経営(と教育・医療・行政)の利用にあると指摘していることの延長。社長(と先生と医者と首長)の問題です。

 インフラなどの提供側や、一般消費者・若者などICTのユーザ側はイケてるんですが、企業利用に難がある。IoTもAIも、インダストリー4.0とかで成長戦略を描くなら、利用政策を厚くすべきです。

 開発側に補助金をつけるより、利用側を税制で刺激すること。企業利用を先導すべく政府が強力な需要者となってIoTやAIを先行導入すること。という政策を示唆できます。

・・・白書はそんなことまでは踏み込みませんけどね、ぼくの意見でした。