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2014年7月31日木曜日

東京おもちゃショー2014


東京おもちゃショー2014

 東京おもちゃショー2014。テクノロジーとデザインとマネジメントの祭典。過去最大の157社が参加。1年分のパワーをもらってきました。
 

 過去4年のメモはココ。

 http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2010/09/2010.html

 http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2011/08/2011.html

 http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2012/09/2012.html
 
 http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2013/11/2013.html


おもちゃショーはその前日までのデジタルサイネージジャパンと異なり責任者でも関係者でもないのですが、親子連れに混じって毎年、真剣に見に行きます。今年はデジタル系とロボット系の2本柱が際立ちました。







まずデジタル系。
昨年は各社の子どもスマホ/タブレット本格参入で教育界も注目しました。
これはセガトイズの子どもタブレット「ジュエルパッド」。
1m以内の距離なら通信可能。










タカラトミーのスマホ型おもちゃ
「マイタッチスマートラインフレンズ」。 
10m以内の距離の相手とラインができる。使えるスタンプ300種類。











昨年、話題をさらったバンダイ子会社メガハウスの子どもタブレット「tapme」。
教材、ゲーム、時間割。パパママ安心機能も。
子どものファーストタブレットをどこが押さえるか。






 



そしてメガハウスの今年の押しはスマホ「フェアリシア」。 
24829円。














フェアリシアはいわゆる格安スマホ。
ネット接続は月2400円程度で、IP電話アプリで通話も可能。
NTTドコモ回線を利用。













バンダイ「アンパンマン★カラーパソコンスマート」。 
























デジタル系に並ぶ柱はロボット。
子ども向けロボットが復活してきました。セガトイズ「ハートエナジープーチ」。













ハートエナジープーチはニンテンドー3DSと連動して双方向コミュニケーションが楽しめるロボットペット。
ロボット復活はデジタルとの結合でもあります。









プーチは14年ぶりに復活。
初代はぼくがMITメディアラボにいたころ、企画・普及をお手伝いしました。
久しぶり、元気?













タカラトミー「ハロー!ズーマー」。
声や人のしぐさに反応するロボット。
共遊玩具部門大賞。














タカラトミーのチョロQQ-EYES」。
センサーで障害物を避ける自動走行チョロQ!












バンダイ「ハコビジョン」。
3Dプロジェクションマッピングを手のひらで再現するエンタメ食玩。
イノベイティブ・トイ部門大賞。
サイネージですよね。




















テンヨー「ホームレインボー」。
タンクに水を入れて噴霧すれば虹が得られる。
これはアナログのサイネージ。






















楽器メーカーKORGlittleBits」。
マグネットでつなげる電子工作ガジェット。
もちろん、気になって仕方ありません。










キッズライフゾーンにTFMが子ども放送局ブースを出していました。
ワークショップコレクションにも出して!























去年に続いて、トヨタも出展。クルマとITの結合、クルマメーカーによるロボット開発に続き、クルマとおもちゃの連携はある?






















なお、自分としては、この走って泳いで飛ぶラジコン、スグに買おうと思います。

2014年7月28日月曜日

東京オリンピックと情報インフラ

■東京オリンピックと情報インフラ

 53歳になるぼくの最初の記憶は、東京五輪の聖火ランナーです。テレビではありません。広い道路を走る人を肉眼で見ながら旗を振ったんです。前回の五輪はメディアの整備よりも新幹線や高速道路、物流と交通のネットワーク整備に力が注がれました。工業社会まっしぐらでした。
 次の五輪は情報社会まっただ中で開かれます。国際都市で催されます。しかも開発型の五輪の次は、成熟型の五輪でなければなりません。安全で落ち着いた成熟国家が国際社会に対して示すモデルとなる情報インフラが欲しい。

 前回の五輪の頃からテレビと電話の整備に拍車がかかりました。1980年代中盤にはアナログの全国網が整備され、通信自由化や放送メディアの多様化が進みました。90年代に入ると、それらが一斉にデジタル化に向かいました。パソコンやケータイが普及し、ネットと地デジが整備されました。
 最近またそれらがリニューアルされています。スマホやタブレット、サイネージへと「マルチスクリーン化」が進み、コンテンツは海外のネット企業が配信し、LINEやFacebookなどのソーシャルメディアが新しいコミュニティを生んでいます。
 デジタルサイネージも屋外の広告看板にとどまらず、被災地の情報共有に使われたり、家のタブレットにニュースを届けたりするなど、多様な姿をもつネットワーク・メディアへと進化しています。

 既に日本はデジタルネットワークの面では世界最先端です。でも、課題もあります。まずwifi。世界中のかたがたをもてなすには、東京のいたるところで無線ブロードバンドが使えるように準備しておきたい。
 そして放送の電波の利用。地デジは整備されましたが、デジタルでキレイにはなっても、さほどベンリにはなっていません。便利で楽しいサービスはネットが提供しています。デジタル放送の電波を使って新しいサービスが提供されるのはこれからが本番。
 超高精細映像の4Kや8Kの普及が期待されています。テレビもサイネージも含め、通信網も放送網も合わせて、次世代の映像サービスが利用できるようにしたい。さらに、この夏には放送にネット技術を組み合わせた「マルチメディア放送」も始まります。「スマート」なサービスの発展が期待されます。

 五輪のころにはもう通信も放送も関係なく、街中のサイネージが世界からのお客さまをもてなし、持ち込まれたスマホで全競技の中継が見られるようになるでしょう。そうすべきでしょう。そのためには準備することも多い。
 このような考え方から今年2月、ぼくが代表を務める「デジタルサイネージコンソーシアム」は、2020年の東京オリンピックに向け、提言を発出しました。メディア整備と、そのための措置の2点です。

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1 メディア整備
  2020年東京オリンピックに向け、下記メディアの整備を図るべきである。

 1) 4K8Kパブリックビューイング
 学校、郵便局等全国の公共空間及び海外の計数万箇所に、4K8Kによるパブリックビューイング拠点を設ける。地域における防災情報機能も具備する。

 2) おもてなしサイネージ
  都内の公共空間・商業施設等1,000箇所に、英中韓3カ国語による対話式の案内表示を設ける。

 3) マルチスクリーン連携
  TV、スマホ・タブレット及びデジタルサイネージが放送及びインターネットと連動し、全ての端末で全競技が試聴でき、コマース連動もできる環境を全国に整備する。

 4) サイネージビッグデータ
  顔認証機能などを通じデジタルサイネージから得られる統計データを収集・分析・連携してビッグデータとして活用する。

2 措置
 上記のため、政府及び東京都は、下記の措置を講ずるべきである。

 1) 表示規制緩和
  都内のバス停など公共空間・公共施設におけるデジタルサイネージの設置規制を緩和する。
 
 2) 実証実験
  パブリックビュー及びマルチスクリーンに対する多言語コンテンツ配信、防災機能強化、ビッグデータ利用に向けた実証実験を行う。
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 世界中の人たちと多言語パブリックビューイングで楽しみながら、手元のスマホで応援メッセージを発したり、選手の使っているスポーツグッズを買ったり、ソーシャルメディアでつながってパーティーに繰り出したり。ワクワクして、だけどどこよりも安全なトーキョー、そしてニッポンを演出してほしい。
 
 五輪に向け、新しいプロジェクトが始まります。東京都港区、竹芝地区の都有地を再開発し、コンテンツ産業集積地を形成するものです。地上26階地下2階のビルを建設、その中にコンテンツやITに関する研究開発・人材育成、国際産業支援のための拠点として7600㎡を用意し、ラボ、ホール、スタジオ、オフィス等を構築する計画。オープンは2019年。
 これを実現するため、ぼくが代表となり、推進母体となる協議会を形成べく動き始めました。関心のある企業、研究・教育機関、官庁などと相談し、グランドデザインしていきます。国際的なデジタルのショーケースとなり、五輪後もインフラとして活躍する場にしたいと考えています。

2014年7月24日木曜日

デジタルサイネージジャパン2014

■デジタルサイネージジャパン2014
第7回を数えるデジタルサイネージジャパン@幕張、これまでを上回る13万人超のご来場を賜りました。実行委員長として御礼を申し上げます。
 当初デジタルサイネージは電子看板と呼ばれ、屋外の、スタンドアロンの大画面でした。今や家の中の、ネット端末・タブレットもデジタルサイネージであり、実に広がってきました。気がつけば、サイネージとスマホとスマートテレビが融合してしまっています。
 さらに、ウェアラブルでM2Mでビッグデータがサイネージにも押し寄せていて、ここ5年でマルチスクリーン、クラウドネットワーク、ソーシャルサービスに塗り替わった市場が、早くも次に進もうとしています。
 さて次は何でしょうか?そんな芽を少しでもご提示できたらと思いました。写真レポートまで。

まずはpdcの4Kサイネージ。
4Kはサイネージから。









pdcの曲面LED。
菅原社長によれば、このタイプ、ブラジルで普及しているんだとか。








pdc、空中タッチパネル。
映像が浮かんで見えていて、でも触って操作できます。















アイレスの2.5mmピッチ高精細LED、4800☓2400。
迫力。








Big Bang。
リアル商品とガラス面に投影した映像とのマッチング。








トプコン。
360度映像のデジタルサイネージ。









インタラクティブ系をいくつか。
ニューフォリアのジェスチャー操作+多面連動サイネージ。
スマホにコンテンツ持ち帰り可。
今回このパタンがいくつか見られました。














安川情報九州のキネクトサイネージ。
スマホにダウンロード、持ち帰りタイプ。














三菱電機、カンタンサイネージ。
スマホからコンテンツ更新。









You Frame、アンドロイド・サイネージプレイヤー。
スマホからアップロード。








KOBUNDO、着せ替えサイネージ。
















Will smart、タッチソーシャルゲームサイネージ。
うん、まあ、これもあるかな。








パナソニック、インタラクティブ+マルチ画面サイネージ。









2点ばかりトピックを。

まずNTT。
多指向映像スクリーン。
立ち位置によって見える映像が異なる。
3面表示で日・米・韓の団体を同時におもてなし、という使い方かな?










日本モデル、NTTのひかりサイネージが進化。
アート映像を他画面表示して室内照明に使う事例が現れているとか。
サイネージもユーザ主導で面白くなる時期が来ましたね。





もう1点。
東京工科大学の産学連携、今年も。
学生証をタッチすればコミュニティ情報が表示。
吉岡先生によれば、年70名の学生がサイネージを学ぶとか。
いいね!慶應もがんばらねば。












デジタルサイネージジャパンと併催のIMC。
われらが「まるけん」(マルチスクリーン型放送研究会)。
40社以上が集まって「Sync Cast」を実証。よろしく!






まるけん:よみうりテレビ矢野さんの鬼気迫るデモ。
テレビ番組からスマホにIPDCで情報が伝わります。
てな具合に各社デモ合戦。
日本のスマートテレビ、ここにあり。





フジテレビは24時間ネット配信+メディアトリガー+ハイブリッドキャスト。
全方位です。








テレビ朝日、ハイブリッドキャスト向けHTML5開発支援ツール。
技術開発に踏み込んでることにちょっとビックリ。







日本テレビ、Facebook連動のJoin TVを災害対策に活用したJoin Town。
スマートテレビが、暮らしを支える。














TBSは4K空撮兵器を投入。
なぜかTBSってこういうタマを投げてくるんですよね〜

2014年7月21日月曜日

カラーテレビの思い出

■カラーテレビの思い出

 まだ幼稚園児だったでしょうか。佐藤くんという友だちが、ウチのテレビはカラーだといばる。それはすごい。当時エノケンさんの「ウチ〜のテレビにゃ色がない」というCMが流れていて、私もよそんちのカラーをうらやむエノケン状態だったので、佐藤宅にいそいそと出かけました。

 で、一緒に「マグマ大使」を見ました。佐藤くんが「いや〜キレイだなあ」とうなるのですが、私には一向に色が見えない。マグマ大使の金も、モルの銀も、ゴア様の青も、どれもウチのテレビと同じで白黒なのです。でも佐藤くんは、画面に「カラー」と書いてあるからカラーなんだと言い張ります。それはウチのテレビにも出てるんだけどな。

 なんのことはない、カラーをせがむ佐藤くんが、ウチのは天然色なのよとお母さんに適当になだめられ、見えぬものが見える裸の王様になったというか、心頭滅却して白黒にも色を読む力を体得したというか、要するに私からみればウソつきだ、というのはその直後に始まった「ウルトラマン」をカラーで見てわかったのでした。衝撃でした。


 木村太郎さんと放送技術の話をしていたら、「必要は発明の母と言うが、テレビはずっと発明が必要の母だった」とおっしゃいました。カラーテレビが登場した頃、NHKの報道現場では、ことさら色を見せようと、花のニュースばかりになったとか。

 ハイビジョンによる高精細化・大画面化、衛星やケーブルによる多チャンネル化、ビデオやDVDによる番組の商品化、ネットの登場によるコンピュータとの融合。まずは技術が登場して、そこから新しい表現や演出や企画がひねり出されていく。これからもそうなのでしょう。

 地デジも新しい発明です。これでもか!というぐらいに画面がキレイになりました。ワンセグでケータイでも見られるようになりました。ボタン操作でデータ放送が使えるようになりました。4K衛星放送が始まって、これでもか!これでもか!というぐらいに画面がキレイになるといいます。

 だけど、どうでしょう。新しい放送技術は、カラーが登場したときを上回る衝撃をもたらしてくれているでしょうか。ぼくがカラーに出会ったのは幼少期だったので、ことさらショックが強かったのかもしれません。でも、それだけではなさそうです。

 恐らくテレビは、デジタルという発明を、まだ必要の母として認めきれていません。もっと面白く、豊かな表現や企画をひねり出せます。スマートテレビの新機軸はこれから生まれていきます。ぜひ強い衝撃を与えていただきたい。
 

 「4K」テレビが売れています。画素数がハイビジョンの4倍ある、つまり、4倍キレイなのだといいます。地デジで十分キレイになったと思いましたが、欲は尽きません。もっとキレイで大きな画像が欲しい。壁いちめんを美しいテレビにしてしまいたい。4Kテレビ向けの放送はサッカーW杯まで始まらないというのに。じゃあ何を見るの?ネットの映像だといいます。テレビというより、大きなパソコンですね。

 しかも、もうその次の、ハイビジョンの16倍キレイな「8K」というテレビも登場しています。放送の本格化は東京五輪のころだそうです。目の前に置かれた実物よりキレイってな具合の、映像の極致。家の壁よりも大きなサイズで見てみたい。家で見るより、巨大街頭テレビでみんなで騒ぎたい。テレビというより、映画ですね。

 いや、しかし近頃どちらかというと、画面は小さい。茶の間のテレビにはチャンネル権がなくて、オヤジはワンセグだ。トイレやふとんで秘やかに愉しみます。ガラケーからスマホに買い換えて、少しばかり画面が大きくなったことに感謝します。オヤジの大画面というのは、その程度。


 女子高生も、タブレットのことを大画面と呼びます。そう、画面の大きさはケータイが基本になっています。50インチのテレビなんて、チョー巨大なのです。手のひらサイズから、タブレット、中型テレビ、大型テレビ、チョー大型スクリーン。

 これをケータイやスマホ、パソコン、テレビや映画、と呼び分けるのは意味がなくなりました。どの画面も放送の電波を受け、ネットにもつながる。どの画面もテレビであり、コンピュータです。

 んなこたあ、言われなくても、視聴者はわかってます。テレビで番組を観ながら、パソコンで検索し、スマホのソーシャルメディアでつぶやく。いくつものスクリーンを自在に使い分け、放送も通信もごちゃ混ぜにして、コミュニケーションをむさぼります。ウチの息子のことですが。

 こいつは大変。テレビ局は放送の電波でテレビに番組を送っていました。ネット会社は通信回線でパソコン向けのサイトを届けていました。通信会社はケータイ無線でモバイル情報を流していました。ところが受け取る個人は、その全部を同時に受け止め、自分で編集して楽しんでいます。

 すし屋とフレンチと餃子店が軒を連ねるフードコートで、自分好みのおかずでマイ定食を組み立ててるみたいなもんですかね。それだと、和洋中折衷のいい定食屋ができたら客をさらわれるかも。

 メディア折衷の、やっかいな時代になりましたよ。



2014年7月17日木曜日

竹芝CiPにご参加ください。

■竹芝CiPにご参加ください。

竹芝CiP構想。
 これから来春にかけて毎月、関心ある企業のかたがたにお集まりいただき、勉強会やサロンを開催して、R&Dやビジネスマッチングなどのテーマを深堀りしていきます。
 2015年の春には基本構想=グランドデザインを描くとともに、協議会・コンソーシアムを形成したい。それまでは無料のオープンなコミュニティとして自由に意見交換をしていきます。
 ぜひご参加ください。
   ご案内は、こちら。
 http://takeshiba.org/

 今年は構想づくりです。来年度からコンソーシアムとして活動を広げていき、入居者が決まって、19年に竹芝でオープン、そして20年にオリンピックを迎えます。
議論していく内容としては、たとえば、ここではどんな活動をしていくのか?R&D、人材育成、ビジネスマッチング、何をどうしていくのか。そして、どんな産業を集積するのか?エンタテイメント、IT、製造、他には?どんな機能が必要か?ラボやホール、スタジオ、どの程度の広さと施設が求められるのか。
 外にも目を向けたい。交通や店舗など、周辺の環境に求められることは何か?渋谷や汐留など周辺の地域とはどうつながるのか?品川でも再開発が決定したが、そことどう連携する?そして海外はどうか?シリコンバレー、NYC、ロンドン、シンガポールなど海外との連携はあるのか?といったこと。

 先日、ぼくの授業で学生たちにアイディアを募ってみたんです。「竹芝をどうする?」さっそく4本提案がありました。面白いので披露します。

1 超人オリンピック
 2019年、super human オリンピックを開催しよう。スポーツとテクノロジーの合体で、超人が戦うのです。ウェアラブル・コンピュータ、サイボーグ技術を装着、オリンピック、パラリンピックを超える祭典を実現します。
 ふむふむ、ぼくは、超高性能ゴーグルと筋力補助マシンを装着してアーチェリーの世界記録を出したい。アーチェリー、やったことないけど、世界王者になれる、気がする。

2 eスポーツ
 スポーツといっても、eスポーツというのは対戦型のコンピュータゲームのことです。スポーツゲームのほかにも、格闘ゲーム、シューティング、いろいろジャンルがあって、海外では賞金総額が一億円以上のプロの試合もあるんですが、日本ではあまり発達していません。
 ゲーセンや家庭用ゲームが発達しすぎたせい、という声もあるんですが、五輪を機会にその本場を竹芝に作り上げればどうか、というプランです。できそうですよね。どうですか?

3 キッズジャングル
 子どもがデジタルでコンテンツを創作して、発信するワンダーランドを作ろう。
 はい。これは学生に言われなくても作ります。ぼくらの本業なので。子どもの創造力の拠点、プログラミング学習の拠点を作りたい。デジタル技術を使って子どもがコンテンツを創作する「ワークショップコレクション」は、10万人を集める世界最大の子ども創作イベントに育ちましたが、毎日ワークショップコレクションを開催している場を作りたい。
 高度な研究開発・人材育成のベースに、若年層のクリエイティビティを位置づけたいと考えます。世界的な研究機関と、ゲーセンやコミケのようなフェスタと、キッズワークショップが一堂に会する場ができるといいですね。

4 海上都市
 そして、海です。水辺のターミナルや桟橋を、サンフランシスコやベネチアやニースのように、愉快にできないでしょうか。船の上で、ライブ、ワークショップ、婚活、カジノ、ができないでしょうか。そして、水面を巨大なスクリーンにした雄大な映画祭ができないでしょうか。
 やりたいです。

 港区は国家戦略特区であります。特区としてできそうなアイディアも提案したい。
 税制・容積率の特例はむろん、著作権特区として二次創作ビジネスができないか。電波特区として通信放送融合ビジネスができないか。オープンデータ特区としてビッグデータ事業ができないか。サイネージ特区として屋外表示規制が撤廃できないか。知財本部様、総務省様、経産省様、国交省様、いかがでしょうか。
 そのようなことを考えてまいりたい。よろしくどうぞ。

2014年7月14日月曜日

日本のネットコミュニケーションはクールか?

■日本のネットコミュニケーションはクールか?

 9年目を迎えたNHKの番組「クールジャパン」。ぼくはご意見番の一人なのですが、日本に住む外国人たちが鋭い切り口で日本を語るその討論に、いつもぼくのほうがスタジオで勉強させられています。
 先日のテーマは「ネットコミュニケーション」。ぼくの本業でありながら、外国人の多角的な議論を受けつつ、誰にでもわかるようにコメントするのは至難でした。これまであまりこの番組のことは語ってこなかったのですが、せっかくなのでメモしておきます。◯はクールジャパン(CJ)での討論、●はぼくのコメント。

◯CJ:日本のネットのコミュニケーションって?

●今でこそスマホで世界の人はケータイでネット使ってますけど、日本でケータイとネットがくっついたのは15年前のことで、圧倒的に早かったんです。それからずっと世界をリードするネットの使い方を育ててきているんですよ。

◯CJ:アンケートを取ってみると、Twitterは学生の90%、facebookは社会人の75%が利用。よく使っています。ただ、外国人は、日本のこんな点が不思議だといいます。
・日本人は食べ物の写真をよく投稿する。3食投稿する。
・Twitterを通じて友だちを作る。相手を信頼して実際に会う。
・ニックネーム・匿名で投稿する。
・面と向かっては話さないのに、ネットでは積極的だ。
・なんでもかんでも「いいね!」を押す。
・自分の意見じゃなくて、人の役に立つ情報を書く。 

●総務省によると、ネットで実名で書いてる日本人は5%。95%の人は匿名かハンドルネームで書いているんです。
 日本人の匿名好きには2つの要素があると思います。まず自己主張が苦手、ということ。知識や情報をひけらかしたり、相手を理屈でへこましたりするのが美徳に反します。
 もう一つは、本音と建前を使い分けること。建前の世界で生きてきたんです。ネットだと本音が言えるんだけど、それはまだ自分を隠してでないと言えない。
 でも大事なことは、ようやくネットという、匿名であれば本音を発信できる手段を得た。すると世界一の情報を発信するようになった。建前の世界だったからこそ、日本はネットで発信するインセンティブが高かったんだと思います。

◯CJ: LINEに注目。親子や友だちとスタンプでコミュニケーションを取り合っています。漢字文化、マンガ・アニメ文化が背景にあるのでしょう。

●スマホ以前の携帯電話の時代にも、日本ではデコメというメールに絵を載せるのが好きだったし、絵文字や顔文字も世界に類のない発達をみせていました。
 日本は文字情報以外の表現が豊かな国なんです。家紋のようなマークで表したり、擬音語や擬態語で伝えたり、非論理的なコミュニケーションが得意。言葉を補完するものとしてスタンプや絵文字を使いたがるんです。
 その補完的なものがコミュニケーションの主役になったというのがLINEです。こうした日本人的なコミュニケーションは想像力も必要なんですが、アジア圏でLINEが流行ってるというのは、その楽しさが外国人にもだんだん理解されてきたということだと思います。

◯CJ:シニア向けSNSがすばらしい。リタイアしたひとがこれで生き生きと交流しています。海外ではシニア世代はあまりSNSを使いません。
 
●ある生命保険会社の調査では、日本の60代70代でSNSを利用する割合は35%なんですって。3人に一人はやってる計算。
 会社をリタイアしたシニア層は、特に人の役に立ちたい、他人に認めてほしいという考えが強いんでしょうね。しかも時間はたっぷりある。人と人を結びつけて、その絆を再生するSNSは、そういうシニア層にこそ適していると思うんです。どんどん使いこなしてほしいですね。

◯CJ:改めて、日本のネットは?

●ネットが普及したことで、日本のコミュニケーションの特徴が際立ってきたと思います。匿名好きとか、絵文字とか、シニアが熱いことだとか。でもネットの普及ってせいぜい10数年ですから、まだまだこれから発展していきます。
 ネットのコミュニケーションで日本を元気にしましょう。

2014年7月10日木曜日

竹芝CiP構想、始動。

 ■竹芝CiP構想、始動。

  東京ベイエリア、竹芝地区にデジタル/コンテンツの街を創る構想、竹芝CiPプロジェクトが始動しました。
 CiP。Cコンテンツ、iイノベーション、Pプログラム。コンテンツで社会を革新する構想です。言い換えると、Cクリエイティブ、iイノベーティブ、Pポップ。2019年、東京五輪直前にオープンさせる企画です。
 コンテンツ。アニメや音楽といったクールジャパンを支えるエンタテイメントもありますが、それだけではない。ソーシャルメディア、デジタル教育、ビッグデータ、いろいろあります。ウェアラブル、M2M、デジタルも広がります。そのような2020年代のデバイス、ネットワーク、サービスを生み出す場を作ります。

慶應義塾大学三田キャンパスで開催した説明会には140名のかたがたにお越しいただきました。アニメ、ゲーム、音楽、お笑い、映画、出版、新聞、テレビ、ラジオ、通信、IT、家電、広告、ソフトウェア。
 企業だけでなく、内閣官房知財本部、経産省、総務省のかたがたも参加くださいました。稲田朋美クールジャパン担当大臣、遠藤利明衆院議員からも激励のメッセージをいただきました。
 これは東京デジタルの活性化策でもあります。
 東京は世界の中心。渋谷、新宿、秋葉原、汐留、赤坂・六本木。それぞれゲーム、音楽、ファッション、アニメ、テレビ、広告、さまざまな産業集積と強みを持ちます。その中で竹芝の役割は何か。羽田からの海外のお客さまをおもてなしする、空の玄関口です。そして、目の前には海が広がります。そういうポジション。どう活かしましょう。
 東京は海のある首都です。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、中国、韓国、インド。どの国の首都も海を持っていません。東京は、竹芝は、海を活かしましょう。

 その拠点を2019年にオープンさせ、オリンピック・パラリンピックのお客さまをお迎えし、世界に情報を発信します。
 この事業は東京都の土地を活用する東急不動産・鹿島建設の事業で、慶應義塾大学が企画運営に参加します。ぼくが総合プロデュース役です。「研究開発」「人材育成」「ビジネス開発」を進めます。
 デジタルやコンテンツの世界的な研究開発を進める中から人材を育成し、そこから生まれるサービス、ビジネス、事業をインキュベートする。それらのビジネスをマッチングして国際展開を後押しする。そこから生まれる課題をまた研究する。そうした機能を産官学でプロデュースしていきます。

2014年7月7日月曜日

ケータイがテレビになります。

■ケータイがテレビになります。

 スマートテレビが動いています。
 NHK「ハイブリッドキャスト」がサービスを開始。民放は在阪テレビ局が中心となった「マルチスクリーン型放送研究会」がセカンドスクリーン連携システムの実証を続けています。日本テレビ「JoinTV」、フジテレビ「メディアトリガー」など、テレビ局個社によるセカンドスクリーン対策、ソーシャルメディア連携策も厚くなってきました。
 民放と通信会社とが連携したmmbi「NOTTV」や、NTTドコモ「SmartTVdstick」のようにケータイ3社によるスマートテレビ事業も始動。放送と通信をまたがる動きも本格化してきました。エフエム東京が中心となり、V-Low周波数帯域を使った「マルチメディア放送」も始まろうとしています。
 そして日テレがhuluの日本事業を買収。動きは国際化しています。

 この3年、民放連ネット・デジタル研究会の座長として動きを見てきました。3年前は、GoogleTVやApple TVなど黒船来航に日本の業界は右往左往しました。2年前には、セカンドスクリーンという日本型のスマートテレビの姿がアメリカ型に対抗し得るという議論となりました。
 そしてこの1年はもうアメリカの話題は影を潜め、日本でのスマートテレビを放送局がいかにビジネスにするかという論議になっています。まだまだビジネスは成立していませんが、放送局がトライアルを通じて、展望とまで行かなくとも、感触をつかみつつあるように見えます。

 3年前の動きは、「ITからテレビへ」の接近でした。米IT企業がテレビ受像機をネットに取り込む。だから放送業界は身構えました。2年前の動きは「ITとテレビ」の両立作戦。テレビ受像機とIT=スマホというダブルスクリーンでのサービスが期待されました。
 テレビとソーシャルメディアとの連携は一層強まります。テレビ画面を見ながらスマホでチャットしたり、テレビ番組に連動したクーポンがスマホに落ちてきたりするサービスは拡充するでしょう。パブリックビューイングでみんなで騒ぎつつ、スマホで応援メッセージを送るといった参加型の視聴も広がると思います。

 しかし同時に、この動きは次の段階を迎えつつあります。マルチスクリーンは、テレビ、PC、モバイルの垣根をなくします。テレビが第一スクリーンでモバイルが第二、といった序列は崩れ、モバイル=スマホが第一スクリーンの位置を占めつつあります。そしてサービスは急速にボーダレス化しています。それは端末フリーを促します。どの国のどの種類の端末でも簡単に使えるサービスが生き残ります。
 それは、どんなスマホでも世界のテレビが見られることを求めます。テレビ局からみれば、テレビがwifiで全てのスマホに流れることが促されます。2020年の東京では、世界中の旅行者が自分のスマホでwifiで日本のテレビを観る環境になっているのではないでしょうか。

 ぼくが代表を務める「IPDCフォーラム」は2013年8月、HLS:HTTP Live Streaming配信実験を公開しました。TBSテレビのエリア放送設備を利用し、IP放送→wifiにより、スマホのブラウザでHDTVが見られるというものです。地上波を使った4K配信を狙っています。
 これは「テレビからITへ」の動きによって実現します。テレビ局がITをいかに使いこなすかがカギ。チャンス到来ではないでしょうか。


 さて、「リモート視聴」にも動きがあるので付言しておきます。
 リモート視聴。テレビ受像機やレコーダーで受信した放送中のテレビ番組や録画番組を、インターネット経由で外出先のモバイル端末で視聴できるIP再配信機能です。次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)がその技術要件を公開しました。
 業界全体がリモート視聴、IP再配信に乗り出したことには意義があります。
 IP再配信はこれまで、放送局や権利者の消極姿勢もあり、本格化しませんでした。一方、映像配信はYouTubeやAppleなどアメリカ勢が主導。結局、放送局は裁判などを通じ、自らのビジネスを守れると思いきや、海外のサーバにごっそりと奪われかねない状況です。
 そうでなくても若い世代は外出先でLINEなどソーシャルメディアに夢中。その耳目をテレビに取り戻すのは容易ではありません。
 この状況を放送局自ら改善しようとするのが今回の動きです。

 しかし、問題もあります。利用者からみて魅力的か、という点です。

1)    制約の多さ
 今回の要件には利用面の制約が多い(ペアリングは宅内、有効期間は最長3カ月、子機の台数は6台、同時にリモート視聴できる子機は1台、子機へのコピー/ムーブは禁止、リモート視聴以外のバナーやアイコンなどの同時表示などを行なわない等)。
 既にネットユーザは違法アップロードされたものも含め、映像をYouTubeなどでマルチデバイス視聴しています。正当なコンテンツ利用とはいえ、使い勝手に劣るサービスに利用者がメリットを感じるかどうか。

2) 通信量
 テレビからモバイル端末への通信量は大きいです。LTEなどの通信量の制限を簡単に超えてしまいかねません。利用者は躊躇なくリモート視聴するでしょうか。
(システム面からみても、個々のテレビ端末から個々のモバイル端末に映像を送るというのはウルトラ非効率。放送であれ通信(LTE、wifi)であれ、サーバから端末に送る配信システムを上回るメリットは何でしょうか。)

3)    端末コスト
 どうやら日本独自のガラパゴス規格になりそうです。それを搭載する機器のコストアップは、利用者にとって値打ちがあるものかどうか。

 こうした課題をできるだけ解消し、よりよい機能が提供されることを期待します。リモート視聴という利用者の利便性向上に一歩踏み出した関係者の努力を多としたいところです。
 しかし、利用者側に正面から向き合わなければ、海外のIT企業やソーシャルメディアに市場をまるごと狙われるという構図は解消しないと考えます。

2014年7月3日木曜日

教育ICT超党派国会議員勉強会、第二弾のご報告。

■教育ICT超党派国会議員勉強会、第二弾のご報告。

「教育情報化は、この1年でずいぶん空気が変わりました。
 いくつもの自治体が一人一台の導入を進め、多くの民間企業がビジネスを本格化させました。
 政府も動いています。ぼくは知財本部の座長を務めているのですが、知財計画2014にデジタル教科書の制度整備をどう書き込むかの最終調整をしています。
 しかし、先日、文科省の委員会で一人一台政策見直し論も飛び出したと聞きます。まだまだ腰が弱い。実に不安定な状況です。
 政、官、産、学。その力を合わせる場ができればと考えます。よろしくどうぞ。」

 さきごろ、教育ICT超党派国会議員勉強会の懇親会が赤坂で開かれまして、その場でぼくはこのようにごあいさつ申し上げました。超党派勉強会は昨年11月、自民・公明・民主・維新・みんな・結い6党の衆参国会議員30名が集い、教育情報化策を検討すべく結成されたもので、その当時の模様はブログにも書きました。
「超党派議員のみなさま、教育情報化をよろしく。」
 http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2014/02/blog-post.html

 今回、懇親会を開いたのは、さらに運動を広げようという議員のみなさんの意見を受けてのものです。教育情報化は動いてはいるものの、国家予算が削減されたりするなど、いま1つ迫力に欠けます。そこで、超党派の議員だけでなく、自治体・教育関係者、産業界や学界など、この問題に取り組んでいるかたがたとも連携し、より力強い取組にしよう、発信力も高めよう、ということです。
 まずはその場を設けるところから、ということで集まりを開いた次第。ぼくはこの会の事務局、というかショムタンとしてお世話する係であります。懇親会づくりは得意ですんで。それしかできない、つうか。

 自民党衆議院 遠藤利明議員、坂井学議員、盛山正仁議員、山際大志郎議員 公明党参議院 新妻秀規議員、公明党衆議院 濱村進議員、民主党参議院 石橋通宏議員、藤末健三議員、牧山ひろえ議員、民主党衆議院 中川正春議員、原口一博議員、維新の会 衆議院岩永裕貴議員、木下智彦議員、計13名。元文部科学大臣も元総務大臣もいます。たまたま欠席でしたが、みんなの党、結いの党からも勉強会への参加者はいます。

 民間側のアドバイザーとして議員たちが委嘱したのは、赤堀侃司 日本教育工学振興会会長、新井健一 ベネッセ教育総合研究所理事長、石戸奈々子CANVAS理事長、梅嶋真樹 日本論理コミュニケーション技術振興センター代表、陰山英男 立命館大学教授、國領二郎 慶應義塾大学常任理事、堀田龍也 東北大学大学院教授、西田文比古 NTTラーニングシステム教育ICT推進部長、森下耕治 光村図書出版開発部長、山田肇 東洋大学大学院教授、龍治玲奈 日本マイクロソフト渉外・社会貢献課長、そしてぼく。顧問に小宮山宏 東京大学総長顧問、夏野剛 慶應義塾大学特別招聘教授、西川太一郎 荒川区長、古川康 佐賀県知事。

 小宮山会長はじめ、デジタル教科書教材協議会DiTTの役員が5人おりまして、また、明記してはいなくとも慶應の教員が5人おりまして、ちょいと目立ちますが、リストは議員団がお作りになったものですのでご勘弁。
 その小宮山先生、「一人一台タブレットを配ろう。1200億円でできます。とっても安い!やりましょう。」とアジりました。こう、国会議員もウッと引くぐらいスパッと言い切る迫力、勉強になります。

 霞ヶ関からは、文科省と総務省の担当課長にも参加いただきました。文科省の課長は総務省からの出向で、総務省の課長は文科省からの出向で、そこはパイプがつながっていて、政府は熱心に取り組んでくれています。敵はそこではないのです。敵は財務省。なのです。次は財務省の担当に来てもらいましょう、という話をしておりました。