経産省「エンタメ・クリエイティブ産業政策研究会」スタート。
座長を務めます。
委員は河島伸子同志社大学教授、栗田宏俊講談社取締役、齋藤精一アブストラクトエンジン代表、中山淳雄Re entertainment社長、村松俊亮経団連クリエイティブエコノミー委員長/SME社長、桃井信彦バンダイナムコ取締役。
ごあいさつ。
この分野の政策はもう結構な積み重ねがある。
20年前に政府に知財本部ができて、コンテンツに力が入れられ始めた。
当時、経産省もコンテンツを国家戦略の柱と位置づけて 産業の拡大を目指した。
ただ当時は国内のアナログ産業がターゲットで、なかなか成果が出なかった。
この10年ほど戦略は切り替えられて、国内のアナログから海外とデジタルの2本柱を重視するようになった。
ここにきてどちらも明確な成果となって現れている。
そしてこのところ、アニメやゲームだけではなく、音楽も実写の映像も含めコンテンツ産業全体が元気になっているようにみえる。
昨年4月に経団連が提言を公表して、政府も一段と力を入れ、今年6月に「新たなクールジャパン戦略」や「コンテンツ産業活性化戦略」が策定された。9月には官邸で「コンテンツ産業官民協議会も開かれた」という流れと承知する。
なぜコンテンツが大事か、ということを説明する必要がなくなってきた点が大きい。
コンテンツ産業にとどまらず、その波及効果を通じて、大きな広がりのある産業拡大が期待される。
しかし、コンテンツ産業を含むエンタメ・クリエイティブ産業の発展はまだ大きな潜在力がある一方で、海外展開もデジタル対応も課題は多く、
AIの爆発もあって、いかにクリエイターに適切に還元するかという課題もある。
必要なのは具体的なアクション。
アクションを取りまとめて、経産省の施策や政府全体の議論に接続していきたい。
論点としては、1.海外展開、2.人材育成、3.他産業への活用などが挙げられていて、ぼくも一委員としてコメントしました。
1.海外
海外プラットフォームは世界への販路や製作資金を提供してくれる味方だが、売上が吸い上げられコンテンツが隷属させられる厄介な相手でもある。国産PFを目指す動きもあったが、クランチロールなどは例外で、作るのは至難。海外PFには公正なビジネスを国に求めてもらうこともあるが、縦割りのコンテンツが横連携してバーゲニング力を発揮する努力も有効。
2.人材
人材育成はこういう会議で必ずテーマになる。政府でコンテンツ政策を議論しはじめたころ、日本にはフィルムスクールがないことが課題とされたが、その後さまざまな大学でコンテンツ制作コースができてデジハリのような学校もできた。
今の課題は海外展開するマネジメント人材の育成だが、有効策は打たれていない。このところ総合商社がIPの世界展開に参入してきていて、心強いのだが、そうした仕事を担う人材はどういう学校でどう即戦力として育てるのか。
私は自分の仕事として今それを進めている。LAにあるハリウッド直結のエンタメMBAを誘致して日本校を設立する計画。日本のコンテンツ業界とも連携したい。イタリア、フランス、イギリスのMBAも誘致する計画。
3.他産業
コンテンツを振興する経済学的な意味は、波及効果・外部経済が大きいから。特に他の産業と融合して、産業全体の成長に寄与するから。ハードウェア産業に加えて、観光や食など日本の強みとする産業との連携・マッチングを強化してほしい。
K-Popや韓流ドラマと家電・自動車を連携させてデジタルとリアルで世界展開することをコンテンツ振興院KOKKAが後押しした、韓国の成功モデルがある。この日本版を作ればよい。
会議は原則非公開で、固有名詞アリアリのリアリティー満載論議になります。第一回はまず海外展開がテーマ。日本の強いIP力を認識したうえで、経営・プロモーション、人材をどうする、という点が議論されました。
併せて、政府の司令塔機能が問題視されました。経団連も強く求めている点です。役所タテ割りを取っ払って施策を講ずる。これは同時にコンテンツ業界が横串を刺して取り組むこともテーマとなる。
プランと実行、進めたく存じます。