Twitter

2017年12月31日日曜日

プログラミング教育は「官民」から「官」へ

■プログラミング教育は「官民」から「官」へ



プログラミング教育の官民コンソーシアム「未来の学びコンソーシアム」の体制が抜本的に変更されました。
事務局を民間団体から文科省が引き取り、官民コンソというより「官」コンソとなりました。

これにより、これまで停滞していた日本のプログラミング教育が強力に進められることが期待されます。
その一方で、そのように進めるためにも、これまで停滞し、混乱し、今回コンソーシアムの体制変更をすることになった行政について、経緯を明らかにする必要があると考えます。



このコンソーシアムは、2020年に必修となるプログラミング教育の環境を整備するため、閣議決定「日本再興戦略2016」に明記されたもので、2017年2月には「コンソーシアム事務局(ICT CONNECT 21) 」として文科省・総務省・経産省が設立をアナウンスし、3月に総会を開いたものです。



しかし6月末に運営協議会が1度開かれたものの、民間サイドから事務局の運営を巡る厳しい指摘が相次いだと聞きます。
その議事録も公開されず、年末に至るまで動きがありませんでした。

事務局であったICT CONNECT 21(ICON)は会費無料の任意団体で、プログラミング教育に関する実績もありませんでしたが、去る2月に3省から事務局として指名された後に社団法人化し、3省をバックに有料会員を集め、数社から出向者も送り込まれています。

事態を打開するため、5月、プログラミング教育に関し15年の実績を有するプラットフォームのNPO「CANVAS」に対し、政府からICONとともにコンソーシアムの「共同」事務局を担えないかとの相談がありました。
これで事態は好転するかに見えました。





協議が重ねられましたが、さなかの9月、ICONが協議中の事項を内容とする独自ワーキンググループを発足させると発表し、3省を含め混乱が続きました。
そしてどうやら結局ぜんぶひっくり返り、今回の「民→官」の判断になった、ことのようです。

官から見れば、せっかくICONという民の団体を立ち上げたのに困ったことでしょう。
でも、ぼくのような「民」からみても困ったことです。
民間関係者により組織されたコンソーシアム運営協議会の委員の多くも、何がどうなっているのか不明の状態だったそうです。



でも、ぼくはこの決定でよいと考えます。
今回の変更で、文科省も生涯学習局から初等中等局に移り、3省による本部員も指名され、体制が強化されるようで、結構なことです。

日本のプログラミング教育がこれから「官主導」で円滑かつ強力に動いてくれると期待する次第です。

ただ、民は民で血と汗を流してきました。
官が腰を上げてプログラミングを推進し始めたことは誠にありがたい。
でも、今回のコンソ騒動のため、動きを1年ほど止めてきた活動もあります。
当方の活動が阻害されることもありました。
そのあたり政府にはわきまえていただきたい。

閣議決定して進める案件です。
予算も講じられています。
民間の注目度も高いコンソーシアムです。
ここまで動きがなく、今回また仕切り直しというのは、どうなっているんでしょう。と私も産学の関係者から(ICONの理事からさえも)問われているのですが、よくわかりません。

今回の変更について、政府発表には「小学校のプログラミング教育の円滑な実施等にコンソーシアムが一層重点的に取り組み、文部科学省を中心として関係業界を巻き込んで取組を加速化することができるよう」とあるだけですが、状況と展望について政府が情報を公開する必要があると考えます。


ぼくがよく聞かれる事項は以下です。

・政府が事務局としてあらかじめICONを指名した経緯と理由は何か。

・今回、ICONを外し、官が引き取ることとした経緯と理由は何か。

ICONが事務局として実施した活動は何か。

・今後、コンソーシアムを民間の活動とどう連動していく考えか。


教育情報化、プログラミング教育という全国の子どもたちに深く関わる問題であり、ことは加計問題よりも重要で、関係者も多岐にわたる案件なのですが、今回の決定は「これでいいでしょ」感が漂うだけで、ホント大丈夫なのかなぁと感じます。

事態の好転に向けて対応いただければ幸いです。


今回の官コンソへの変更に際し、ぼくが信頼する民間のかたがたが文科省のチームに参加する模様です。
そのかたがたが力を発揮し、暗雲を取り払ってくださるよう願います。
そのためにも、これまでのことを整理し、官民の関係者が失敗を成功に転換できるよう情報を共有いただきたく存じます。

2017年12月28日木曜日

なぜぼくがi大をつくるのか。

■なぜぼくがi大をつくるのか。 

 ICT人材の不足は30年以上訴えられていますが、今度はAIIoT人材の不足が叫ばれています。ICTに乗り遅れた日本は、AIIoTで同じ轍は踏めません。トップ級の人材を供給する機関が必要であることは説明を要しません。その新組織アイディアとしてぼくは「デジタル超学校」を提案しました。i大はその延長にある実践構想です。

 とはいえ、i大の設立はデカいベンチャーの立ち上げであり、やたらチャレンジングであり、リスクだらけです。ぼくがなぜ自分でつくるのか。今のポジションを捨ててまで。
 それは、自分がこれまでしてきたことの集大成でもあるからです。

 ぼくの今の肩書は学者だったり教員だったりしますが、学問や教育に精を出していませんから、それは世を欺く呼称であり、自分では「政策屋」を名乗っています。それとて造語でして、世間にある呼称としては「社会起業家」が最も近い。バンドで曲作ったり、役所で法案や政策を作ったりしてから大学に転じた後、社会起業を20件以上行ってきましたので。


 テック(デジタルサイネージコンソーシアム、映像配信高度化機構、radikoなど)とポップ(超人スポーツ協会、ソーシャルゲーム協会、アーティストコモンズなど)の分野で公益法人やプロジェクトを立ち上げてきました。テック&ポップ特区を作る「CiP」はそれらの掛け算です。i大もまたテック&ポップの場づくりであり、CiPはじめ民間プロジェクトと連動していきます。

 一方、ICT×教育もライフワークです。幼児教育ではMIT Okawa Centerの設立からNPO CANVASの設立に至り、小中高の学校教育はデジタル教科書教材協議会で推進しました。そして大学院の研究教育として、産学連携プロジェクト指向の慶應義塾大学メディアデザイン研究科(KMD)の設立に携わりました。4年制大学はぼくにとってミッシングピースであり、それを埋める作業でもあります。

 専門学校の延長であったり、冨山和彦さんのいうG型じゃないL型の学校であったりするならば、ぼくの出番ではありません。教育者が担うべき。今回は挑戦です。バーチャル英語学習、半分留学生、全員起業、産業界から教授100人。それで海外の著名大学と協調しつつ、張り合いたい。多くの企業と連携しつつ、政府には教育特区として規制緩和を求めたい。これは学者や教育者の仕事じゃありません。政策屋ないし社会起業家の仕事です。


 パブリックへの最後の奉公と心得ます。

2017年12月25日月曜日

誰も知らない東京スカイツリー

■誰も知らない東京スカイツリー
 根岸豊明さん著「誰も知らない東京スカイツリー」。
 日本テレビ取締役(当時)、現札幌テレビ放送社長がインフラを企画、建設、運営する苦闘を描くドキュメンタリー。これぞポリシープロジェクト。感激しました。放送人はもちろん、公益に関わりたい学生全員に読んでほしい。

 スカイツリーの候補地選定、事業主:東武電鉄との交渉、建設、受信対策、政官折衝・・10年前「タワーなんて要るの?」という空気のもとで、NHK民放6社が連携しておおごとをなした、その詳細な、そして貴重な記録です。さすが元記者、よくぞ書き残してくださいました。

 当時は通信・放送融合、ハードソフト分離が議論される中、地デジやそのためのタワーがどういう役割なのか、放送側が問われる場面でもありました。地デジへの移行が失敗すれば、ケーブルや通信への移行に傾くという危機感を関係者はお持ちでした。

 ぼくは融合政策に関わりながら、地デジ政策には(ダビング10の調整を除き)関わらなかったので、そのインフラを巡る激闘は本書で初めて知りました。ただ本書は、政策的観点よりも、ライバル社が組んでプロジェクトを断行したマネジメント書としての値打ちがあります。

 15の候補地から1つを選び14地域を落とす。その検討、分析、調整、説得。それを思うだけで吐きそう。プロジェクトは、その遂行が要諦です。ぼくがポリシー授業で伝えたいのもそのリアリティです。だけど大学教授にそんなリアリティはありません。根岸さんに授業やってもらうのがいいな。

 NHKと民放の6社が連携・団結してコトに当たったように描いていますが、そこには各社の思惑、巨額なコストに対する反発、組織内のバトルなど、めちゃ厄介な面倒があったはず。それを全部たばねて、東武との協議や総務省との折衝に当たったみなさんは、お痩せになったことでしょう。

 根岸さんは、ぼくが所長を務める「融合研究所」に最初から日テレを代表して参加してくださった、当時の放送業界からみればヤバい相手に乗ってくれた恩人です。その方がスカイツリー建設のキーマンとしてこれほどの苦労をしておられたとは。


 本書に登場する根岸さん以外のキーパーソンは、いわばみなぼくの恩人です。プロジェクトリーダーのフジテレビ飯島さん、テレ朝の和知さん、TBSの木村さん。民放の雄として登場するかたがたは、付き合いは長いものの、本件の苦闘についてぼくは聞いたことがなく、改めて漢を感じました。

 フジテレビ飯島さん、現クールジャパン機構会長、10年前ぼくが通信・放送融合の旗を降っていたころ飲みに連れだされ、「お前はまだ官僚臭く頭デッカチでいかん。ビジネスに関わってヒリヒリする数字を見て発言せい」とゴリゴリ叱られました。いやあ叱られた叱られた。

 それからぼくは社外取締役やら何やら民間ビジネスに直接関わるようになり、GDPや輸出入統計という役人ぽい数字ではなく、BSやらPLやら株価やらを踏まえてモノを考えるようになりました。10年勉強しました。それを促したのが飯島さんです。

 テレ朝の和知さんは、郵政省放送行政の柱として活躍しておられたが、その力量を活かして民間に転出、テレ朝代表としてスカイツリー構想を推進する姿が本書に描かれます。ぼくが官僚時代、放送のことは和知さんに聞けばいいと頼っていた先輩です。

 官僚を辞めて民間に転出するのを「天下り」などと叩くムキもありますが、それはぼくも十字架を背負っていまして、だけどアブラ乗ってる時期に「天上がる」コースもアリだと思うんですよね、それを実践し、関係者に評価されている和知さんの勇姿はうれしい。

 TBS木村さんは現・民放連専務理事。木村さんの指示のもとぼくは民放ネット・デジタル研究会の座長を務めています。今お世話になっている次第です。

 ほかにもキーマンとして登場するのはTBS城所さん、井川さん、フジテレビ長井さん、上瀬さん。城所さんにも昔、お前のは危険思想だと万座の席でガッツリ叱られたあとこっそりメシ連れてってもらいました。長井さんは今クールジャパン機構でお世話になってます。


 ツリー完成後に無線局を移転するために、総務省、官邸、政治問題へと発展していく。技術と運営だけでも手に余るのに、政治調整も。これは大変でしたね。これほど気を使って放送インフラを整備する国ってないでしょう。

 そこに登場する総務省はまるで悪者。スカイツリーへの移転は国策でなく民間事業だからちゃんとやれ。って、やな役所だね!でも、だからこそこのプロジェクトの手柄を国に取られずに済んだのかもね!

 むすびで根岸さんは、10年前の融合論は乱暴だったが、昨今は放送局自身が研究しているとします。そのとおりです。民放連で5年間 議論を続けて思うに、ここ1-2年は各社が横並びでない戦略に動いています。ツリー建設で見せた団結が信じられないくらいに。


 しかし。20数年をかけた難仕事、地デジがツリーで完成した。のではありません。デジタル放送のメリットは国民はまだ感じていません。HDでキレイになるだけじゃなく、デジタルでもっと便利で面白くなるはず。地デジで空いた電波を使ってスマホがもっと便利で安くなる、んじゃない成果を求めましょう。

2017年12月21日木曜日

「i大」マニフェスト

■「i大」マニフェスト


 ICT専門の新大学「i大」。世界にない企てを進めます。
 「これはやる」と決めていることと、「挑戦する」ことがあります。それをマニフェストとして掲げておきます。

1.実行
 実現「する」こと、5点です。
 このあたりは既に申し上げたとおりです。
1) ICTビジネス英語の徹底教育
2) プレ企業大学:ICT企業と連携した全員インターン+ビジネスリアルプロジェクト
3) 産業界で活躍してきた人材での教員構成
4) オンライン教育+アクティブ・ラーニング中心
5) 国際空港を結ぶ都内校舎(墨田+竹芝)


. 挑戦
 実現「したい」こと、5点です。
 今後の目標、ぼくの宿題です。

1) 世界の知のハブ
 世界の「知」が集積され循環するハブ大学を目指します。世界・国内の著名人・トップクラスの博士、企業人から客員教員を100名用意し、学べるようにオンライン科目を提供します。

2) 全員入社
 学生全員が入社できる「i株式会社」(仮称)を設立します。教員+学生が産業界との連携でビジネスを実践します。学費を自ら稼ぐよう努力します。

3) 全員起業
 学生時代に「全員起業」できる環境を用意します。全学生に1チャンスの起業資金・単位を提供します。失敗OK。学生だし。もちろん成功・エグジットを目指します。

4) 教育特区
 墨田区キャンパスを「キャンパス教育特区」にしたいと考えます。竹芝サテライトは既に国家戦略特区に認定されているので、連動して申請したい。
 教育コンテンツの著作権フリー、留学生の受入れ・就職要件の緩和、キャンパス内に起業した企業の法人税免除などの措置を考えています。

5) グローバル・キャンパス・パスポート

 世界のトップクラスの大学との連携を強化し、単位互換 (ダブルディグリー制度など)や海外の大学キャンパスの利用パスポート(図書館、食堂、施設設備等)連携を図ります。

2017年12月18日月曜日

貸本マンガの風景

■貸本マンガの風景

ぼくが通った京都の高校は、たまに人物が出ます。怪優・山村紅葉は同級生。先輩には、鷲田清一 元大阪大学総長、ずんずん調査の堀井憲一郎さん、裏千家家元の千宗室さんら。その千宗室さん、新幹線で入手できる雑誌「ひととき」にエッセイを連載しています。

その一篇「貸本屋の午後」。50年ほど前、堀川鞍馬口あたりに狭い貸本屋があった。どの本も装丁はくすんでいた。天井は低く、煤けている。そそくさと出た。本は死に瀕しており、怯えた。数年後に店は消えていた。だから貸本屋を利用したことがなく、人生の忘れ物の一つ。・・・というものです。

先輩、ぼくは利用したことがあります。50年ほど前、洛北は高野川沿い、山ばな平八茶屋あたりに狭い貸本屋がありました。どの本もくすんだ油紙でカバーがしてあり、薄暗い店内。何を借りたかは覚えていません。貸本を借りるという、近所のお兄さんたちの行為に、低学年ながら背伸びして参加してみたかったのです。

でも、店のおばさんが「べいこくつうちょうもっといない」と言う。戸惑いました。米穀通帳。何のことかわからない。いっしょにいたお兄さんたちに聞いたら、家にあるやろ、おかんに頼んでこい、という。それムリや。ウチにカネになりそうなもんあらへんの知ってるやんか。

そやな。とお兄さんたちが代わりに借りてくれました。だから正確にはぼくが借りたものではありません。貸出票にぼくの名前は残っていません。でも先輩、ぼくはかろうじて貸本屋文化の香りをかぐことができました。

高野慎三著「貸本マンガと戦後の風景」。
1950年代に最盛期を迎え、60年代に衰退した貸本マンガ文化を総覧する貴重な資料です。紙芝居と映画との間をつなぐ、わずか20年の寿命だった貸本マンガ。そしてそれが日本のマンガの土台を築いたという証言です。

貸本マンガに先立つ闇市の古本屋では、初期はよい子のための健全なマンガだったそうです。でも社会は荒れ、都市では勤労青年が娯楽を求め、底辺の抑圧された若者向けに貸本マンガが成立しました。映画に人気を奪われるまで、需要に応えました。

手塚治虫は無論、水木しげる、小島剛夕など人気作家となるかたがたも貸本マンガ屋に作品が並びました。「影」「街」といった劇画雑誌には、さいとうたかを、辰巳ヨシヒロらが参加しました。そして商業マンガ誌と、白土三平、つげ義春などガロ系との太い幹に移行していきます。   

ぼくが本書に好意を寄せるのは「つげ忠男」に多くの紙幅を費やしているからです。人気作家ではありません。つげ義春さんの実弟で、主に70年代、血液銀行などを舞台に「無頼平野」「屑の市」「ささくれた風景」「雨季」など暗く繊細な、奇跡のような名作を残した、ぼくが最も好きな作家です。

本書によると、60年安保当時、つげ忠男さんは20篇もの貸本マンガを描いたそうです。ぼくは読んだことがありません。少女漫画も描いていたそうです。存じませんでした。そうした多くの下積み、試行、創作があって、後の名作がある。無論その全てがその作家の姿ですが、消えたものも多い。

いや、貸本マンガに作品を寄せた多くのマンガ家が歴史に名を残さず消えていった。貸本マンガというジャンル自体も消えようとしています。あと20年もすれば、貸本マンガは記憶さえ失せていくでしょう。


隆盛したマンガという分野を底辺で支えた大切な文化、きちんと評価しておきたいものです。

2017年12月14日木曜日

ICTの大学「i大」の特色

 ■ICTの大学「i大」の特色


 2020Tokyo、ぼくが学長となり、ICTの専門職大学「i大」を設立します。

 その特色を整理しておきます。

1 ICT教育基盤
 プログラミング、情報処理など縦糸をなすICT分野の教育に関しては、母体の電子学園が経営する日本電子専門学校が66年間に渡り積み上げた基盤があります。これまで11万人を業界に輩出してきた実績と信用が礎です。

2 プラットフォーム
 横糸の産業界とは、CiP協議会はじめICT関連のコンソーシアムと連携するほか、数多くの企業と手を組み、ハンズオンのプロジェクト教育を行います。第一線の経営者など100名程度のプロを客員教授として迎えます。これらを通じ、産学連携のプラットフォーム力を発揮します。

3 自分で稼ぐ大学
 いつでもどこでも学べるバーチャル学習環境を整えつつ、全員インターンでリアルの現場で鍛えられるバーチャル+リアルの仕組みや、英語中心の授業環境をインフラとして用意します。その上に、稼ぐ環境を用意します。全員が入社する会社の設立を目指し、自らビジネスを起こします。ファンドとも連携し、全員が起業できる環境も用意しようと考えています。

4 テストベッド 
 国家戦略特区「CiP」を活かします。東京ベイエリアの竹芝に、ICT・デジタル系の企業や慶應義塾大学、スタンフォード大学など内外の大学・研究機関が参加するCiP構想は、電波、IoT、ロボット、起業などさまざまな規制緩和を導入する予定です。その中核として、産学連携による実験や実証を行う計画です。墨田区に置く本校舎キャンパスも教育特区の指定を目指します。

5 デジタル超学校
 2017年4月、ぼくは「デジタル超学校」なる構想を発表しました。
「デジタル超学校」を妄想してみた。」

 i大はこれを可能な限り実装する挑戦です。超学校は下記10のポイントからなるプランで、学校の枠を超えたコミュニティとして構想しました。i大がその土台やシステムを提供して、実現に向かいます。
 1) 技術主導の教育と研究と実装
 2) デジタルに特化した教育・研究
 3) 重点領域の実装
 4) 文理融合
 5) バーチャルリアル
 6) リアルプロジェクト主体
 7) 世界最高級の教育レベル
 8) 学生はハイレベル研究員
 9) 多様性
 10)国家戦略特区の活用


 挑戦です。よろしくどうぞ。


2017年12月11日月曜日

シェアリング居酒屋エコノミー

■シェアリング居酒屋エコノミー

 ヒラメのカルパッチョに白。メインは鴨で、赤。チーズ、デザート、コーヒー、コニャック。ごちそうさま。おいしかった。まんぞく。
 でも、ヨコめしは苦手です。定められた時間割と順番の整然とした秩序が苦しい。のであります

 懐石コース。先付、八寸、煮物、焼物、強肴、食事、甘味。おいしかった。まんぞく。
 でも、タテめしも苦手です。順番に、自分の前に、自分だけの小皿が並んでいき、それに従うのが窮屈なのです。

 そうなると居酒屋っしょ。枝豆、ギョーザ、だし巻き、ポテサラ、焼き鳥、やっこ、ホッケ。和洋中混合であります。前菜もメインも同時に頼んじゃいます。好きなタイミングで、バラバラに頼んじゃいます。時間割から解放されます。

 めいめいが他者も食べたいであろうものを思いやって注文します。主導権は店ではなく、客にあります。ヒエラルキーは崩れており、無秩序であります。

 基本はシェアです。コミュニティによるコミュニケーションです。
 鍋をみんなでつつく、アジアのスタイルがベースです。それを多様で小口の品目に機動性をもたせたのが居酒屋。

 シェアするのは世界ではレアなのだそうです。イタリア人に聞くと、ピザにしろパスタにしろ、取り分けはあるけど、自分の分は自分のものという責任分界は明確で、ジカバシでエエやないですか、というあいまいな領土感は信じられないそうで。

 居酒屋は、ソーシャルメディアです。いくつもの、勝手に差し出されたコンテンツを、めいめい勝手についばみ、好きなように盛り上がる。ヨコめしは、パケット通信的で、放送的です。一つ一つ規則に則り、きちんと差し出され、運ばれます。

 ヨコめしの場は、同じワインで統一されます。ホストが選び、試飲して振る舞うのです。居酒屋は、ナマ、八海山、ジントニック、黒糖ソーダ割り、すみませんオレ烏龍茶、自由です。

 飲みホつける?に世界は驚きます。ビジネスとして成り立たない、食べ放題はあるけど飲み放題はない、と外国人は言います。

 でも日本人は昔から大量に飲んでいたことが知られています。江戸時代も今と同じくらいの量を飲んでいて、しかも朝から飲んでいたといいます。回るビジネスモデルを編み出したということでしょう。

「居酒屋の誕生」

 ところでぼくは食いながら飲むときは焼酎ばかりなのですが、ヨコめしにはメシ途中の蒸留酒がないですね。ウィスキー、コニャック、カルバドス、グラッパは食後まで待たないといけない。洋行で苦労するのが食中酒。

 近頃マイ箸を持ち歩く人がいます。大皿はシェアするけど、箸は自分のもの。家では自分の箸は決まってますからね。ぼくの家では正月には期間限定の箸袋に名前が書かれました。箸は記名式です。

 でもフォーク、ナイフは無記名ですよね。ヨコめしは食器は共用です。そして食べ物を小分けして記名する。対称的です。

 居酒屋がアメリカで繁盛していると聞きます。シェア食べも広がりつつあるとか。リーマンショック後、シェアリングエコノミーが広がりました。部屋、車、カバンなどに次いで、どうやら食事もシェアリングが来ている模様です。


 居酒屋文化、広がってください。世界へ。

2017年12月7日木曜日

ICTの大学「i大」を作ります。

■ICTの大学「i大」を作ります。


 ICTの大学を作ることになりました。
 ICTをベースにしてイノベーションを起こす人材を、産学連携で育成します。
 2020Tokyoです。
 ぼくが学長を務めます。
 「i専門職大学」、略して「i大」です。

 ICTをベースにしてイノベーションを起こす人材を育成する。ICTという縦糸と、創造性という横糸とを教育の柱に据え、産業界との連携のもとプロジェクトベースで育成する手法をとります。

 縦糸のICT
 プログラミング、情報処理など情報社会=第3次産業革命の基礎、そしてIoTAI、セキュリティ、ビッグデータ、ブロックチェーンなど第4次産業革命の基礎を叩き込みます。
 活躍する先はICT業界に限りません。コンテンツ、メディア、金融、製造、小売、物流、観光、教育、医療、農業。ICTは全産業の心臓。血流を担います。

 横糸はリベラルアーツのプロフェッショナル教育。
 ICTすなわちTechをベースとしつつ、創造性・デザイン力のあるイノベータを育てます。マネジメントやポリシーなどを身につけ、文理融合の即戦力となります。

 これら縦横の力は、産業界との連携により、全員がインターンで、プロジェクトベースで育みます。多数のインターン先とプロジェクトを用意し、実ビジネスの中で学ぶOJT大学であり、プレ企業大学です。大学としても企業を設立し、そこに全員が在学中に就職して「常にビジネス現場で学ぶ」仕組みにもチャレンジします。在学中に全員が起業できる環境も用意したいと考えています。

 このため、ICT業界はじめ関連企業と連携策を相談しています。NTTdocomoはじめ、通信、ICT、メーカー、放送、コンテンツなど既に25社・団体から協力していただけることになっており、この環を広げてまいります。

 教員の多くはいわゆる大学人ではなく、ICT業界のプロを採用する計画です。実社会で実績のあるかたがたとともに、「学びながら作る」場とします。

 ICTの大学なので、授業の大半はオンラインで可能。どこにいても学べるようにします。反転学習やアダプティブラーニングの先端を取り入れます。世界の著名教授、研究者、専門家のバーチャル出講も揃えます。バーチャル+リアルの学習環境です。

 英語による授業を充実させ、英語でビジネスができるようにします。英語「を」教えるのではなく、英語「で」学ぶスタイルです。留学生も多数になることが見込まれます。半数以上を目指します。

 国家戦略特区を活かします。本校舎は東京都墨田区、スカイツリーの近くに新設します。ポップ&テック特区の東京港区 竹芝CiPにサテライトを置きます。ここはデジタル系の企業や国際機関、慶應やスタンフォードなどの大学組織によるコミュニティとして、同じく2020年に街開きを迎えます。研究、ビジネス、起業などに関する規制緩和を導入する拠点として、本大学も中核となってイノベーションに挑戦します。

 「変化を楽しみ、自ら学び、革新を創造する。」これが教育理念です。AIやロボットで半分の仕事が失われる。これまでにない仕事を生む。これからの世代が具備すべきは、予見できない変化が続くという認識に基いて、それを愉快に乗り切っていく気構えとスキルです。

 i大の「i」は、インフォメーションのi。イノベーションのi。インテリジェンスのi。「私」のI。そして愛。iある大学を、作ります。

概要
◯ 名称:i専門職大学(i大)
◯ 主体:学校法人 電子学園(1951年設立、11万人の人材を輩出)
◯ 定員:専任教員26名、学生数800
◯ 校舎:本校舎約東京都墨田区5000㎡、竹芝国家戦略特区 (CiP)にサテライト
◯ 開設:2020年春
◯ 協力を表明している企業・団体(2017.12現在、順不同)
  NTTdocomoソフトバンクKDDIドワンゴGREEmixiセガteamLab
 面白法人カヤック、富士通、パナソニック、シスコシステムズ、SAP
 TBS、吉本興業、東北新社、エボラブルアジア、花王、CANVASSchoo、浜野製作所、

 ジャパンマルチメディア放送、FM東京、デロイトトーマツベンチャーサポート、墨田区

2017年12月4日月曜日

Japan Expo2017

■Japan Expo2017
鉄拳、パリに見参。
Japan Expoのステージに、アーティストとして、芸人として、そそり立つ。
でもこの会場はこんな出で立ちの人ばかりなので、「ぜんぜん目立たなくて困りましたよ~」。



パラパラマンガ作家として今や芸術家の誉れ高き鉄拳さん、ステージは4年ぶりだとか。
しかしそこはさすが、舞台に立つと、めちゃウケ。
「私、ジダンと、歳が同じです。」
ドッ。
何がそんなにおもろいねん、フランス人。



フランスに里帰りしている「こねこのチー」の応援もしてまいりました。
チーはアニメがフランスでも大人気。
会場に現れると人だかり。
うれしいな。
でも、もっと愛されてね。

アングレームに行った時も、チーの人気に驚いたことがありました。
「アングレーム、マンガ博物館」



てなこってJapanExpoです。
4日間で23万人の来場者。
第一回の2001年は3200人だったというから、ものすごい勢いです。
ぼくは4年ぶり。それまで毎年点検していた視点からすると、変わってないな、
というかんじ。
みんな陽気で何より。

前回行ったときの模様はこちらに。
Japan ExpoからTokyo Crazy Kawaii Parisへ



2010年に参加したときのぼくのメモから引っ張ってみます。
変わらないなぁ、と思うので。

--コスプレ、かぶりもの、ビジュアル系、キワモノ、ロリータ、ゴスロリ。ここに来ればヨーロッパ・オタクの勝ち組が胸を張る姿を見ることができます。



-フランスでマンガやアニメに親しむのは23歳までで、そのあと卒業するといいます。ティーンズの文化です。とにかく、若い。そして、カップルが多い。デートコースなのです。日本のオタク系イベントが基本、一人リュックで静かに伏し目がちなのとは空気が違います。Japan Expoは祭典です。



-日本のゲーム会社や出版社が本格的に進出してきました。コミケのように運営されてきたこのイベント、エンタテイメント企業ががっちりブースを出すようになり、ずいぶんビジネス色も帯びてきました。欧州市場をどう拡げるか、業界としてはアクセルの踏みどころです。



-ただし。フランス、イタリア、スペインというラテン系は恋愛系にコンテンツが集中しているけど、ドイツ語圏ではハードバイオレンス系が人気といいますから、欧州といっても一筋縄には行きません。まずは現地に入り込んで、マーケットを見極めませんと。



-マンガコーナーでは、フランス語訳のマンガに並び、日本語版のオリジナルもそのまんまたーくさん並んでます。同人誌、自費出版も多い。アニメDVDに群がるコスプレ、PSPやX Boxで最新ゲームを試している子どもたち、コミケやゲームショーでおなじみの光景が広がっています。



-アニメグッズ、コスプレ衣装、刀、ぬいぐるみ・人形、そしてライブ。コンテンツはプロモーションで、リアルで稼ぐ。ネグロポンテのビット・アトムで言えば、ビットで拡げてアトムで刈り取る。だけど、そのビット業界とアトム業界は分断されていて、トータルなビジネス戦略が描けていないようです。



-コスプレ率は3割ぐらいでしょうか。ナルトとワンピースが2トップで、鋼の錬金術師、BLEACH、エヴァも大勢います。女子高生の制服もかなり増えてます。それがアニメキャラのコスプレなのか、AKB48や実在の高校生をモデルにしているのか、制服の教養に欠けるぼくには判然としません。



-制服以外にも、ロリータ、ゴスロリといったポップも目立ちます。これらとコスプレとは出自も違い、元来コミュニティも違いますが、この屈託のない場ではこれらも「新しい和装」として一括りです。日本ポップファッションやコスプレでない参加者も、どこかいでたちには何らかの和魂をまとっています。



-日本のオタクは、降りるところから始まる。着ぐるみになって消す。欧州のオタクは、上昇志向で、見て見て!とやってくる。コスプレの自分を露出する。日本のコスプレーヤーは、自分の居場所たるコミュニティを求める。欧州コスプレは、オープンで、どんな場でもかまわない。



さて、7年前のメモとの差分は何でしょうか。
ビジネスマッチングへの踏み込みですかね。
日本企業のB2Bコーナー。
アソビシステム、ピクシブ、マーベラス、アニメイト。
それらに並び今回、吉本興業が初参加。欧州進出の足がかりになるか。



ANIME100というプロモーションがなされていました。
日本アニメ100周年。
ほかにもファイナルファンタジー30周年、初音ミク10周年、といったプロモも。
そうね、これだけの商品やキャラがあるんで、毎年何らかのアニバーサリーがあります。日本ポップにも厚みが出てまいりました。



ゲームが元気でした。
一時J-POPが期待をかけて売り込みに来ていましたが、あまりビジネスにつながらないとこのイベントからは撤退しました。
他方、今年は任天堂Switchはじめ改めてTVゲームの攻勢期に当たり、随分と踏み込み。
ジャンルの多様性という厚みも見られます。



くまモンが全国のリーダーとして振る舞っています。
かつてこの場所ではひこにゃんが汗をかいていました。
アウトバウンドをインバウンドにつなぐ。
アニメ聖地巡礼など各地の自治体が売り込む成果をそろそろ数字で示したい。



以前コミケと比較されていたこのイベントですが、オタク祭りではなくポップの祭典なので、比肩すべきはニコ超会議ですね。
だとすると、テック度が足りない。
ポップ度ではいい線来てるけど、ポップ&テックでは本場に一日の長があります。



孫さんのファンたちと思われる。



クールジャパンもう一つの本丸、フード。
たこ焼きに長蛇の列です。
そしてラーメン、カレー、ギョーザ丼、牛丼、うどん、おにぎり。
うん、ミラノ万博で打ち出した高級和食よりこっち路線です。
今回、あちこちにおにぎりを握って出す店が目につきました。
おにぎりへの注目度、高い。



パリの真ん中で「冷やし中華はじめました」を見かけてびっくり。
麺を冷やすのは日本独特の文化で(韓国の冷麺も日本の影響とか)、冷やし中華は中華という外来の料理をアレンジして創造するクールジャパン。
輸出は難しくインバウンド勝負と思っていたんですが、アウトバウンド勝負に出てます。



冷やし中華の脇にあるオテル・デュ・ルーブル。
文久遣欧使節団で福澤諭吉先生が泊まった宿。
当時、ご一行の周りには人だかりができたとか。
いま同じような格好してぼくが歩いても、誰も寄ってきません。
ちょんまげと刀がないからですかね、先生。

では股。