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2014年4月28日月曜日

クールでポップな国に留学しないか?

■クールでポップな国に留学しないか?

  日本に留学しませんか? イギリスの学生たちに向け、日本の大学をPRするイベントに参加しました。驚いたことに、千人近くの参加を得ることができました。日本熱、高い。経済、技術、学生生活、さまざまな魅力を訴える企画のトリとして、ポップカルチャーのお話をしてきました。ラフなメモまで。


 ロンドンロンドンロンドン。楽しいロンドン愉快なロンドン、ロンドーンロンドン。
 これが日本人にとってのロンドンのイメージです。
 そんなイメージをロンドン五輪の開会式が変えました。
 ジェームスボンドが女王陛下を空中からエスコートし、Mr.ビーンがシンセサイザーを演奏し、ティム・バーナーズ・リーがメッセージを発し、デヴィッド・ベッカムがアシストして、ポールマッカートニーがヘイジュードとうなる。閉会式にはエリックアイドルがAlways Look on the Bright Side of Lifeと語りかけました。
 クールです。
 次はわれわれの番。東京は2020年に五輪をホストします。では誰が開会式の壇上にふさわしい?
 トヨタ、ホンダ、ソニー? いいかもしれないが、人物ではありません。
 政治家はどうか? 日本人は、サー・ウィンストン・チャーチル、マーガレット、トニー、みなさんの代表をよく知っています。みなさんはどうです? もちろん、われわれも多くの立派な政治家を輩出しています。だが、首相は毎年交替していて、名前を覚えられないだけです。
 マンチェスターのシンジや、グラスゴー・セルティックのシュンスケは? いいかもしれません。が、アメリカや中国ではさほど知られていないかもしれません。
 ガンダム、孫悟空、ピカチュウ。彼らなら大丈夫でしょう。彼らが日本人かどうかは存じません。でも、日本を代表することはできます。日本はキャラクターの国ですから。ナルト、デスノート、ブリーチ。彼らも大丈夫でしょう。日本はポップカルチャーの国ですから。


 ぼくが初めて海外に出たのは32年前、1981年、ロンドンでした。ロンドンロンドンロンドン。ロイヤルウェディングをこの目で見ました。ロンドンは幸せイッパイでした。
 でもロンドンは怖かった。パンクスと暴徒であふれていました。ぼくが持っていた花の子ルンルンのピンクのビニールバッグをよこせと追いかけられ、それだけは渡せない、とんでもない目に遭いました。
 大変な刺激になり、帰国後、少年ナイフというバンドを作りました。そのバンドは90年代に入り、マイクロソフトのCMでローリング・ストーンズの後釜に座り、世界的に有名になりましたが、その後20年間、日本のミュージシャンは国際展開に成功していません。
 ところが昨年、奇妙なことが起こりました。初音ミクというミュージシャンがロンドン五輪の開会式で歌ってほしい歌手の国際投票で一位を獲得したのです。結局、ポールが歌ったので実現しませんでした。が、なぜ初音ミク? 過去20年で、何かが変わったのです。
 2006年に16歳のフランス娘2名がベラルーシで捕らえられる事件がありました。パリを出て、ドイツ、チェコ、ポーランドを超えたところでビザ不所持で捕まったのですが、アニメとビジュアル系のファンだった彼女たちが目指していたのは日本でした。日本を世界の中心と考えていたのです。ぼくらにとって、日本がヨーロッパからそう見られているというのは、ショッキングでした。
 毎年パリで開催されるジャパンエキスポには20万人が集い、アニメやゲームのコスプレだけでなく、日本の女子高生コスプレや、10年前に駆除したガングロが闊歩していることにも驚きます。領土問題で揺れる中国の北京大学で講義した際も、博士課程の学生たち全員がぼくの知らないAV女優を知っていて驚きました。
 この20年で日本はポップの国に姿を変えました。


 日本のポップカルチャーにはいくつか特徴があります。
1 輸入
 海外から技法を輸入し、独特の発展をみせる。アニメもゲームもそうです。ロリータは典型。ヨーロッパのお姫さまファッションが原宿で発展しました。むかしからそう。鉄道技術と紡績技術をイギリスから輸入し、いま鉄道システムとファッションを輸出していますありがとうございました。
2 多様
 SF、スポーツ、食べ物、歴史、哲学、恋愛、教育。子ども向け、青年向け、女性向け。あらゆるジャンルのマンガがあります。和洋中どんなレストランもあり、フランスやイタリアの国旗がこんなに下がってる国はありません。残念ながらイギリス国旗は見られません。
3 技術とデザインの融合
 ニンテンドーがゲーム機とスーパーマリオを同時に作ったように、技術・ものづくりの力と、コンテンツ・表現の力とを組み合わせるのが得意です。ボーカロイド技術とアニメキャラとを組み合わせた初音ミクが典型。
4 大人と子どもの未区分
 電車で大人がマンガをむさぼり読み、アニメにハマります。子どもは高額所得者で、安全なので自分でゲームソフトを買いに行きます。子供服とレディースがハッキリ分かれる西洋と違い、ティーンズファッションが発達しています。生まれてすぐ寝室が分けられる西洋と違い、親子は川の字で寝ます。
5 庶民文化
 武家文化でも貴族文化でもなく、大衆の文化が中心文化です。「千と千尋の神隠し」のような難解なアニメがタイタニックを上回る歴代1位の興行収入を生む、その大衆の審美眼。道を聞かれれば地図を画像表示でき、1億人がタテ笛を吹ける、その表現力。それが土台です。
6 参加
 その表現力をみんなが発揮します。7年前の米企業の調査では、世界の全ブログで使われる言語の37%が日本語で、英語の36%を上回り1位。今年2月の調査では、モバイル利用者の平均情報発信量は日本人は世界平均の5倍で断トツ1位。実は情報の生産・発信力が高いのです。
 だからアマチュアクリエイターとファンのバザール「コミケ」は年間500億円という映画興行収入の1/3もの売上をみせます。「初音ミク」は作詞、作曲、歌ってみた、踊ってみた、いろんな参加法によって、みんながソーシャルメディアの上で育てたのです。
 不思議でしょ? 見て学びに来ません?


 今や日本のポップカルチャーはディスプレイを脱しました。例えばロボット。マンガやアニメにインスパイアされつつ、生きるコンピュータとして発達を遂げています。あるいは自動販売機。日本は麺も寿司もバナナも卵も下着も買える自販機大国です。このユビキタスなマシンをデジタルメディアに変えようとしています。
 ウォシュレットを作った国として、トイレをメディアにしたらどうか。そんな提案をしていたら、セガがホントに作りました。おしっこで対戦するサイネージです。こんなマシンを本当に作ってしまうクレージーな企業がある、これがみなさんに来日して産学プロジェクトに参加することをお勧めする理由の一つです。
 アメリカで日本のお菓子がウケてると聞きます。日本のお菓子はおいしい。ものづくり力です。そして日本のお菓子はヘンです。キノコの形のチョコや魚の形のクッキーがあります。カールというお菓子にしか現れないおじさんを国民全員が知っています。デザインです。それがネットで買えるようになった。技術とデザインとネットの組み合わせ。初音ミクと同じですね。
 お菓子だけでなく、食べ物全般がクール視されています。いちばんクールなのは日本のお母さんたちだと思います。キャラ弁が知られるようになりましたが、よりスゴいとぼくが思うのは、いろんな料理を家庭で出し続ける彼女たちの創造力です。スキヤキや天ぷらはもちろん、餃子、カレー、フレンチトースト、パスタ、ハンバーグ。和、中、印、仏、伊、独、多国籍です。腎臓パイのようなイギリス料理はお目にかかりませんが。
 コスプレもそうなんですよね。自分で衣装を作って、自分で着て、参加する。作る力と表現する力、技術とデザインのドッキング。
 面白そうじゃないですか? 見て学びに来ません?


 先日、パリにて、「Tokyo Crazy Kawaii」というイベントを開催しました。日本のポップカルチャーや食べ物やファッションを持ち込んでビジネスにしようというものです。ぼくが委員長なんですが、いま日本にはクールジャパン担当大臣というのがいて、女性です、その方にゴスロリを着ていただきました。今後、パリだけでなく、世界各地で開催していきたい。大学としてそういう産官学の国際的な活動に貢献したい。
 参加しませんか?
 毎年、大学にて、ワークショップコレクションというイベントを開催しています。デジタル技術を用いて、子どもたちがコンテンツを創り、発信する活動を一堂に集めるもので、前回は2日で10万人が参加しました。国際的にも広げていきたく、そのプラットフォームを大学が引き受けたい。
 参加しませんか?
 アドビによれば、世界で最も創造的な国というアンケートで日本は36%で1位。アメリカは26%、イギリスは9%。最も創造的な都市では東京が30%。NYが21%、ロンドンは8%。
 お待ち申し上げております。

2014年4月24日木曜日

立命館小学校の公開授業

■立命館小学校の公開授業
立命館小学校。京都の北大路烏丸。そこはむかし烏丸車庫と呼ばれていて、三条京阪から1番か37番のバスに乗るのです。40年近く前、ぼくはそのあたりで降りて、歩いて5分程度の場所にある中学校に通っていたのです。デジタル教科書教材協議会DiTTでぼくと一緒に副会長を務める陰山英男さんが公開授業を開くというので、久しぶりに向かいました。
 立命館が日本をリードするデジタル教育を導入していることは何度も申し上げたので、改めて目立っていたものに絞ってメモします。



 まず、溶けこんでいること。電子黒板と黒板、タブレットと紙とが自然に同居し、使いこなされてていることです。






 子どもたちも、紙の教材を見つつ、タブレットを操作し、紙のノートに起こし、電子黒板で共有し、という作業を、指示されるまでもなく自然に流していきます。






 一人一台タブレットで勉強。でも自分のケータイはこうして教室の入口に。いずれ自分のタブレットを家から持ってきて学校で使う、という形になるのだろうと思いますが、今はこうして。













  それらは国語算数理科社会、そして英語という教科では当たり前の道具。







 ぼくはそれ以上に、体育で使いこなしているのに感心しました。これは縄跳びの授業。跳び方や協調作業を映像で撮ったり示したりします。







 一緒に見学した文科省・豊島課長も、実はデジタル技術のこうした利用に期待しているんだと言ってました。






 MIT Media Lab開発のプログラミング言語、Scratchを使うクラスもあります。ぼくらCANVASもGoogleと連携してこのプログラミング教育を広げようとしているのですが、小学生に定着しつつあるのはさすが。






 そしてこれもMIT発レゴ・マインドストームでのロボット制作。十数年前、ぼくらがウンウン開発していたものを小学生がやすやすと使いこなす。うれしい。






 立命館小学校では、iPadやアンドロイド、サーフェスなどさまざまな種類のハードウェアが導入され、あれこれと試されています。マイクロソフトの中川さんがパネル討論で「MS全社員と立命館の小学生が全く同じサーフェスを使い、同じパワーポイントやエクセルで作業している」と話していました。なるほど。鉛筆を大人用と子供用に分ける必要はありませんよね。
 陰山さんによれば、サーフェスを導入して最初に独自教材を開発したのは、定年を迎えたアナログ系ベテラン教師だったそうです。授業力のある方が、デジタルという技術を使って、より豊かな教育を実現する。そのポイントは、デジタルを使う力ではなく、教材を作ってきた経験、ということです。

 メリットは明らかなのに、なぜ日本は歩みが遅いのか?そう聞かれました。
「文科省はがんばってます。先生方もがんばってます。子どもはスイスイ使ってます。でもシニア世代が反対したりします。論理的な批判じゃありません。簡単に論破できます。つまりそれは、工業社会での世界モデルと称された日本の優れた教育が大きく変わることに対する漠然とした不安感。空気なんですよね。」
 じゃどうすればいいの?
「この公開授業のような、子どもたちの笑顔とまなざしを見せること。隣の学校でやってるのに、どうしてウチはデジタルじゃないの?という格差を生んでいくこと。議論より実行でしょう。明治期に黒板や鉛筆を入れた時も、昭和期にプールを導入した時も、成果の実証なんてギリギリ議論したんじゃなくて、リーダーがズバっと決めたんだと思うんです。今は決めにくい社会になっている。それでも決められるように、情報を発信していきたい。」と申し上げました。

2014年4月21日月曜日

地方版クールジャパン推進会議@京都

■地方版クールジャパン推進会議@京都
地方版クールジャパン推進会議。第一回会合は京都です。会場は嵐山、天龍寺の境内にある宝厳院。紅葉の季節には幻想的なライトアップを施す庭園に鎮座する畳の間にて、稲田朋美クールジャパン担当大臣をヘッドに開催されました。
 出席者はコンテンツから竹宮恵子さん、東映の高橋剣さん。食からは菊乃井の村田吉弘さん、木乃婦の高橋拓児さん、向井酒造の杜氏 長慶寺久仁子さん。ファッションは西陣の渡文・渡邉博司さんと細尾・細尾真孝さん。デザインはクロスエフェクト竹田正俊さん、観光はミホプロジェクト・武智美保さん、そしてベントーブームを仕掛けたフランス人・ベルトラン・トマさん。京都府の山下晃正副知事、京都市の白須正産業観光局長、そして東京から内山事務局長をはじめとする知財本部の面々。ぼくが司会。
 大臣とぼく以外は京都でご活躍のかたがたで、全体を仕切るのは実に荷が重い集まりですが、大臣は中・高校が京都でしたし、ぼくも京都の出ちゅうことでお許しをいただきつつ進めました。なんせクールジャパンの地方版ゆうたとたん、京都はまん中であって地方ちゃう、ゆう声が聞こえてきます。
 そのとおり。千年前の平安の女性は女流文学で世界をリードしたはって、当時からクールジャパンでした。千年たって、平成の京都も改めてクールを発信してみよか、ということちゃいますか。
 
 和食が無形文化遺産に登録されましたが、その立役者・村田さんは、世界トップランクの料理がこの2年で大きく和食の影響を受けて変わったといいます。若きリーダー高橋さんは、この10年で焼き魚がおいしいと評価されるまで、ようやく外国人の舌ができてきたといいます。急ピッチで進む部分と、超ロングスパンで考えるべき面がある、いうことですね。ベルトランさんによれば、フランス語の辞書に「ベントー」が入ったそうです。着実にクールは発信されています。
 でもみなさん、いろいろ課題も挙げられました。村田さんは、日本食と日本のコメ、そして日本酒がバラバラに進出している。つまり、キッチリ売ろうとしてへん。その基本姿勢を問われました。人材の問題を挙げる方もいたはりました。京都の持つ伝統と革新とをうまくマッチできてへん、いう指摘もありました。そこでいくつか問うてみました。

京都をどないに発信すればええんでしょう。1200年の伝統と歴史がおます。同時に、高度な技術もベンチャー気質もおます。ハイテク企業だけでも、京セラ、任天堂、島津、村田、堀場、オムロン、ローム、ありすぎます。こういう強みをどうアピールするの?
 東映・高橋さんは京都を舞台にお祭りやイベントを仕掛けたはります。竹宮さんやベルトランさんは海外から学生を引き寄せて教育したはります。京都という魅力でのインバウンド戦略ですね。他方、山下副知事は海外メディアのチャンネルが少ないことが致命的と指摘。それは京都というより日本全体の問題ですね。
 西陣の渡邉さんは、こっちが打ち出したいものと海外がほしいものとがズレていることを指摘しはりました。それ、クールジャパン全体が抱える問題です。おれクールやろ、いう姿勢と、あんたクールやな、いう視線はズレます。どないして海外からの視線ベースとなるか。大事。
 これについて同じく西陣の細尾さんは、大仰にクールジャパンゆうて打ち立てて行くんやのうて、京都らしくしんなりと、相手の懐に「しのびこむ」やり方がよいと示唆しました。気がつけば京都。それは部品メーカのおじさんたちに聞くとよろしいかも。
 
 人材について、村田さんはプロデューサとディレクターの不足を心配したはりました。コンテンツと課題が共通ですな。竹宮恵子さんは京都精華大学の学長にならはりますさかい、そこも力入れてもらいましょ。
 他方、渡邉さんは、西陣は分業が極端なので、企業規模が小さすぎて人が続かんと。そうですね、西陣は呉服屋、袴屋、帯屋、足袋屋、下駄屋、紐屋、みな分業ですからね。紐屋が紐屋だけで優秀な人材を獲得するのはしんどそうですね。産業構造問題。知恵が要ります。
 伝統とポップをいかに組み合わせるか。細尾さんは、伝統産業をクリエイティブ産業に転換したいといいます。有形無形の技術と素材が京都にはあるといいます。武智さんも、伝統と革新が足下に転がっているといいます。チャンスはおます。
 山下副知事は、現実の生活の中にこそ見つめるべきもんがあると言い換えます。日本のおかあさんが作る弁当は細工やらキャラの顔やら、外国人がビックリするもんがある。ところが、子どもに好きな食べ物を聞くと、スパゲティとカレーとハンバーグ言いよる。これではあかん、いうわけです。

 出席者から、アクションが重要だ、という意見が出されました。「どないすんねん」いう話ですわ。そのとおり。それは東京の知財本部でも、議論は必ずソコに行きます。どないしましょ。政府は意見を政策に反映する、大臣も出席してますから、そのつもりのようです。地域は地域ですべきことはたくさんあって、できることもたくさんおます。やりましょう。
 この日は12名から伺ったのですが、奇しくも赤穂浪士討ち入りの日。310年前のことです。47名、4倍ぐらいの方々に聞けばよりパワフルな意見もありましょう。渡邉さんが「みんなでいいね!を発信することや」言うたはりました。ローカルが100人、1000人、1万人で発信して、アクションを取る、ということですかね。

2014年4月17日木曜日

世界一のアーカイブ大国になりませんか?

■世界一のアーカイブ大国になりませんか?

 デジタルアーカイブを充実させよう。
 政府・知財本部に「アーカイブタスクフォース」を置き、ぼくが議長となってデジタル資産の拡充策をとりまとめました。
 アーカイブといってもいろいろあります。文化財、出版物、放送番組。ゲーム、アニメ、マンガ、音楽。公益的なものから、ビジネス的なものまで、さまざま。それらを総括したアーカイブ策を考えるのは政府として初の試みです。

 アーカイブの強化は従来から叫ばれてきました。ではなぜ今?
 二つ理由があります。
 まず、政策的な意義の高まり。対外的に、五輪を控えクールジャパンを発信することが政府にとって重要課題であること。対内的には、本年度から教育情報化が本格化し、教材コンテンツのインフラが求められていること。いずれも2020年がターゲットです。アーカイブの政策ターゲットも2020年あたりに置くべきでしょう。
 もう一つは、海外の戦略的な動き。特に欧米が急速に対応を進めています。特に欧州はネット時代のヘゲモニーは文化資産の発信にあるとみて公的関与を強めています。これに対し、GoogleをはじめとするアメリカIT企業がグローバルなコンテンツ管理を敷いています。

 これまで、文化財、出版物、放送番組、映画、ゲーム、音楽など個別アーカイブの提案はありました。でも、総合推進策はありません。欧米が戦略的に動く中で、日本の姿勢を明らかにしたい。
 情報の蓄積と発信は文化大国としての責務だと考えます。そしてそれが経済戦略に寄与するものでなければなりません。自分の食い扶持のためでもあります。
 ただ、海外に日本の情報を発信することばかりでは、文化侵略という批判を受けることにもなります。そうではない。世界の中における日本文化の位置づけと役割を意識したい。ファンの多い日本文化が燦然と輝くことで、世界文化の多元性を増強する、地球への貢献策であるということも振りかぶって明確にしたいと考えます。

 もちろん、課題は山積。政策としては、
1)    サービス拡充:検索・ポータル・オープンデータ
2)    経済モデルの構築:二次利用など
3)    技術開発
4)    人材育成
といった柱があります。
 サービス拡充では、ぼくはオープンデータを強調します。メタデータを整備して、各ジャンルのアーカイブ情報がヨコ連携できるようにすること。タテ・ヨコをつなぐ施策が大事です。しかもこの施策は知財本部とIT本部が強く連携することがポイント。タテ割り打破が隠れテーマです。
 経済モデル構築もまた重要なテーマ。この分野は、文化財を国家予算でどうにかする論に傾きがちなのですが、日本にとってより大事なのは、産業界や一般利用者にとって値打ちのあるアーカイブを発展させ、利用を促進すること。それはビジネスとして、ないしは自律的なサービスとして成り立つかが根本課題。おカネの話をちゃんとしましょう。
 孤児著作物をどう扱うの。著作権処理はどうするの。大事なことです。ただ、ぼくが日頃申し上げているとおり、それを著作権制度で解決しようとすると、時間コストがかかりすぎる。それより、たとえば孤児著作物を使ったアーカイブビジネス実験を実施して、経済モデルとして動くかどうかを検証する。動くなら民間が投資して回り始める。そういうアプローチを重視したい。

 委員のみなさんの意見を聞いていて、思いました。
 総合的な政策パッケージを強力に実行すれば、日本は世界一のアーカイブ大国になれる。だって、持ってるんだもん。貯めるものを。持ってるんだもん。発信するものを。
 あとは、やる気の問題だ。
 始まりました。アーカイブ政策。ここからが、勝負です。

2014年4月15日火曜日

知財本部の検証・評価スタート(下)

■知財本部の検証・評価スタート(下)

 知財本部「検証・評価・企画委員会」での検証・評価、6アジェンダの後半戦を報告します。

4 クールジャパンの展開
 1) イベント開催と海外発信
 ・コフェスタ、メディア芸術祭、JAPAN EXPO、Tokyo Crazy Kawaii Parisなどを推進。
 ・外務省、経産省、農水省などが広報文化事業、イベント開催、情報発信に注力。
 2) クールジャパン機構
 ・海外需要開拓支援機構を設立、政府が500億円を出資し、海外展開を行う企業を支援。

5 コンテンツの海外展開促進
 1) 国際化の支援
 ・総務省・経産省等がコンテンツのローカライズ、プロモーションを支援(J-LOP)。
 ・経産省・総務省・文科省が国際共同製作を支援。
 ・外務省・総務省・経産省等がコンテンツ現地化、放送枠確保を促進。
 2) 放送番組の海外展開
 ・aRmaが放送コンテンツ権利処理を迅速化。
 ・放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ)を設立。

6 模倣品・海賊版対策の強化
 1) 模倣品対策
 ・経産省、外務省、財務省、警察庁、農水省が政府間協議、取締り、情報提供等を実施。
 ・IIPPF、ACA、CIPPなどの団体・フォーラムが官民連携施策を強化。
 2) 海賊版対策
 ・経産省、文科省、総務省が侵害対策を強化。
 ・CODA、レコード協会が違法コンテンツ対策を強化。
 ・中国政府との協議継続、税関・警察・権利者間の相互連携、正規コンテンツの流通促進、などが課題。

 コンテンツの海外展開は、ようやく勢いがついてきました。放送番組も音楽も権利処理の円滑化や正規版ネット配信などに力が入れられています。aRma設立により、放送コンテンツの二次利用の権利処理が効率化し、作業時間は3割減になったそうです。しかし、映画の輸出実績が2012年には前年比8%減少となるなど、コンテンツ全体でみると、一筋縄ではいきません。
 上記施策のうち、ぼくが直接関わったのはTokyo Crazy Kawaii Paris。実行委員長として海外発信に務め、稲田朋美クールジャパン担当大臣にもパリにお越しいただきました。でもこれは政策としてはあくまでサブ。海賊版対策など行政が本務として注力すべき対策を強化しなければなりません。
 知財本部の資料によれば、コンテンツ市場11.2兆円に対し、コンテンツ関連産業は22.2兆円(ネット関連13.4兆円、広告1.9兆円、メディアハード5.0兆円、キャラクター商品1.9兆円)。倍の規模があります。さらに、これを日本の輸出総額64兆円にいかに波及させるか。コンテンツだけでなく、他の産業も含むヨコ展開が不可欠になっています。この問題も、前回の議論と同様、よりマクロに戦略を立てる必要があります。

 会議では多くのコメントがありました。
 迫本さんは、日本が送り出したいものを出すよりも、先方の望むものを出すべきであり、マーケットに目を向けるべきだと指摘します。クールジャパン論で繰り返される点です。コンテンツの海外展開は経済だけでない国益に寄与するものであるとしつつ、民間主導で行うべきであり、国は基盤整備に徹すべきとします。
 重村さんは、継続性を強調します。韓国が90年代後半からコンテンツ輸出に力を入れていますが、コンテンツ振興院が一括して長期にわたり施策を展開していることを指摘していました。そう、本気なんですよね。
 瀬尾さんは、コンテンツを先兵として、コンテンツを売るよりもコンテンツで売る視点、しかも現地で制作してモノを売るという視点を提示しました。コンテンツに閉じない大きな視野が必要、ということです。
 どれもそのとおりと考えます。

 ひとまずこの会議は政府の施策を検証・評価することが任務ですが、まずは失敗も含めて検証し、次のプランを立てる必要があります。同時に、コンテンツに閉じず、分野横断、省庁横断の幅広い戦略を論じなければなりません。
 正直申し上げて、ここ数年で政府の施策はずいぶん厚くなりました。かなり手が打たれていると申し上げてよい。さまがわりです。ところが、制度にしろ、予算にしろ、その打った手が正しいのか、効果的なのかというと、実に心許ないことも確かです。
 ゲームを次に進める手を打っても、実は相手チームが入れ替わっていました、実は種目が変わっていました、という事態が起きたりしています。
 明日の宿題をこなしつつ、来年の受験に備えていく、受験する学校がなくなってるかもしれないので、それも想定しつつ、明日の宿題をこなす、そんなかんじで、引き続き取り組みます。
 要するに、成果あげろ、つうことです。

2014年4月13日日曜日

知財本部の検証・評価スタート(上)

■知財本部の検証・評価スタート(上)
 知財本部「検証・評価・企画委員会」が設置されました。
 前ラウンドまで「コンテンツ強化専門調査会」が置かれ、ぼくはその会長だったのですが、今ラウンドは上記の委員会となり、その座長となりました。引き続きコンテンツ分野を担当します。知財本部も設立10年を経て、検証・評価に重きを置くということでしょう。
 メンバーは、KADOKAWA角川歴彦さん、吉本興業大崎洋さん、ドワンゴ川上量生さん、久夛良木健さん、トーセ斎藤茂さん、一橋大学井上由里子さん、弁護士野口祐子さんら引き続き参加される委員に加え、日本レコード協会斉藤正明さん、NHK木田幸紀さん、松竹迫本淳一さん、ニッポン放送重村一さん、竹宮恵子さんといった面々。

 まずは検証・評価ということで、以下の6アジェンダを俎上に乗せています。
1 デジタル社会に対応した新産業創出と環境整備
2 デジタル・アーカイブの促進
3 コンテンツ人財の育成と開発拠点の整備
4 クールジャパンの展開
5 コンテンツの海外展開促進
6 模倣品・海賊版対策の強化

 その前半戦として、上記1~3を議論しました。簡単に報告します。

1 デジタル社会に対応した新産業創出と環境整備
 1) 電子書籍
 ・文化庁は電子書籍に対応した出版権の整備について著作権法改正案提出を視野に対応。
 ・民間での電子出版促進に向けた支援、電子図書館のインフラ整備なども課題。
 2) クラウド促進とクリエーターへの対価還元
 ・個人向けストレージサービス等のクラウドサービスに関する著作権法上の扱いを巡り、
  国内クラウド事業への参入を萎縮させている問題について、文化庁の委員会にてWGを設置。
 ・クリエーターへの対価還元を巡り、私的録音録画補償金制度の見直しを含め文化庁にてWGを設置。
  経産省も調査検討を実施予定。
 3) ビッグデータ
 ・IT本部にて、世界最先端の利活用に向けた取組を決定。
  個人情報・プライバシー保護に配慮した制度見直し方針を検討中。
 ・総務省・経産省も研究開発を実施。
4) 教育情報化
 ・総務省・文科省が実証事業を実施。
 ・デジタル教科書の法的位置づけや著作権制度上の課題の検討は未着手。

2 デジタル・アーカイブの促進
1) 書籍・映画等のアーカイブ化
 ・文化庁がマンガ・アニメ・ゲーム等メディア芸術の作品情報データベース構築を推進。
 ・東京国立近代美術館、国立国会図書館にて映画や書籍のデジタル化を推進。
2) 利活用の促進
 ・孤児著作物を巡り、裁定制度の在り方について文化審議会で検討中。

3 コンテンツ人財の育成と開発拠点の整備
 1) プロデューサー、クリエイターの育成支援
 ・経産省にてプロデューサー育成に向けた海外フィルムスクールへの留学を支援。
 ・文科省にて若手芸術家の海外研修支援、アニメ等のモデルカリキュラムを開発。
 2) 地域拠点の整備
 ・札幌(コンテンツ特区の指定)、京都(KYOTO CMEX、京都版トキワ荘)、
  沖縄(沖縄国際映画祭)などを後押し。

 文化庁はクラウドサービスに関するワーキング設置、裁定制度の見直しへと動いています。IT本部はビッグデータ利用の制度見直し方針を策定しています。いずれもデリケートな案件ですが重要です。いずれも個別の戦術vs全体の戦略という構図の議論です。
 例えば裁定制度は、その制度の使い勝手に止まる問題ではありません。孤児著作物、ひいては過去のあらゆる知的資産を国としてどう活用するか、根本的な哲学が問われるものであり、既に欧州や米国とGoogle等のグローバル企業とのせめぎ合いが表面化している問題です。
 クラウドサービスも、著作権保護を十全にすることにより、日本ではサービスが不自由となり、結局はアメリカのプラットフォーム事業者にビジネスを根こそぎ持って行かれるという状況、つまり局地の解決によって全土が崩壊する状況を改めるグランドデザインの問題です。
 ビッグデータも同様。個人情報保護という部分最適とビッグデータ活用という公共の便益との折り合いをどうつけるかの問題。俯瞰して戦略的にとらえることが大事です。
 
 会議では、デジタルアーカイブへの取組について意見が集中しました。書籍、映画、マンガ、アニメ、ゲーム、放送番組・・・バラバラに進んでいる蓄積・公開を、いかに総合展開するか。
 トーセ齋藤さんは、ソーシャルゲームをどうアーカイブするかという問題提起。確かに、形がなくて消えゆくものこそがこれからのコンテンツになるが、その公共性をどうプロデュースすればいいでしょう。
 久多良木さんは、ゲームは機械とソフトのセットであり、ソフトだけでなくゲーム機が失われていくことの問題点を指摘。「遊べる形」でゲームをアーカイブしていくのはなかなかたいへん。
 重村さんが、テレビ番組の収集について、一般の人が秘蔵している素材を誰がどうやって集めるかという問題提起。フジかくし芸大会の昔のビデオはハナ肇さんのお宅でたくさん発掘されたんだそうです。へえ、知りませんでした。
 
 今回は特に意見が出ませんでしたが、ぼくは1-4)教育情報化が最も気になりました。前々回の知財計画に、デジタル教科書の法的問題を検討することが明記され、前回には必要な措置を講ずることが明記されながら、まだ政府としての検討が始まっていません。もう実証はいいので、とっとと検討を開始し、2014年には結論を得て措置を定めてもらいたい。スピード感が足りません。
 3コンテンツ人財の育成も、各省の施策は挙げられていますが、いかにもチマチマしていて、国家戦略的ではない。それよりも、全ての子どもにデジタル環境を与えて、創造力・表現力教育を施すほうがよほどコンテンツ生産力はつきます。
 このあたりは、知財本部以外の政府部局でも議論されています。ヨコ連携を深めて、推進力をつけたいと考えます。  (つづく)

2014年4月10日木曜日

オボカタさんにうかがいたいこと。

■オボカタさんにうかがいたいこと。

 前略 オボカタさま
 突然このような連絡を差し上げる非礼をお詫びします。面識もなく、連絡先も存じ上げませんが、勝手に書きます。
 とある大学で授業を持つ者なのですが、一度お越しいただけないかと存じます。自分探しをして大学院に来た教え子どもに、腹のくくり方教室を開いてやっていただきたい。
 あなたの世紀の発見に揺さぶられ、私はかっぽう着を購入致しました。ネットで「残り2着!」とあおられ、2着購入致しました。今も着用しております。私の周りにも自称他称リケジョがわんさかおります。一瞬、彼女たちの輝きが増しました。以上、報告です。

 それからの上下運動には、凄みを感じております。
第一幕:スタア誕生 「かっぽう着天使あらわる」
第二幕:スキャンダル「そんなものははじめからなかったのよ」
第三幕:ゴシップ  「手玉に取られた大物たち」
第四幕:社会派ドラマ「わが闘争」
 これほどまでの、クドカンもテリー・ギリアムも凌ぐ劇性を示される力量に、ひざまずきます。あなたが狙ってこうなったものではないのかもしれません。でも、このドラマがトンイよりも続くことを、畏れつつ期待しております。
 私はあなたが不服を申し立てる根拠を理解してはいません。でも批判承知で会見に臨まれ、涙も笑いも見せられる覚悟っぷりは尋常ではない。それがこれから始まるかもしれぬ法廷闘争の前哨戦として弁護団に勧められたものであったとしても。私は理研の責任感と振る舞いに疑問を感じてきましたが、その思いが強くなっています。

 落とされた爆弾の破壊力はすさまじく、ご所属の組織やご出身の大学にとどまらず、日本のアカデミズム、いや文化全般に轟を響かせています。
 私にはSTAP細胞を云々する知識はありませんし、その存在の真偽も語る立場にありません。ただ、本件が広げた波紋には関心があります。
 学術論文でのコピペがルール違反として改めて確認され、その違反が蔓延していたこともネットで明らかになりました。
 今回の一連の件は、デジタルでコピペが簡単になったことが一つのきっかけであり、また、ネット民によってあれもこれも暴かれていったことが事件化の要因でありましょう。
 デジタルが原因を作り、デジタルが問題を明らかにしました。しかも、コピーというデジタルの優れた機能がネガティブに使われ、ネット炎上という普段ネガティブに見られている機能が役に立っている、という事例です。
 こうした機能を浮き立たせた点もあなたの功績ではありませんか。

 ただ、そのあたりはあなたも微妙な状況にあり、答えにくいことと存じます。授業で伺いたいと思っているのは、さらにその先に広がる議論への感想です。
 例えば、
「小保方さん「コピペ論文」で揺れる早稲田大学――法学部に広がる「モカイ文化」とは?」
http://www.bengo4.com/topics/1330/
 ここではコピペにとどまらず、「模範解答」を丸暗記することが否定的に捉えられています。そうなのですか?模範解答の丸暗記は悪いことなのでしょうか。むしろそれで社会が成り立ってきたんじゃないのでしょうか。
 入試にしろ何にしろ、試験の大半は、頭に丸暗記したことを吐き出すことが求められてきましたよね。教科書に書いてあることを頭にコピーして、それを紙にペーストすれば合格したんですよね。コピペそのものを否定するのは、矛盾していませんか。

 膨大な情報の海から必要な情報を抽出して、整理して提示するのは「編集力」です。情報量が爆発的に増大する社会では、編集力は創造力と並んで大事な能力になります。これは切って貼って紡いでいく、コピペ力です。引用力と言い換えたほうがよろしいか。
 論文では引用は本質的に重要です。正しい参考文献と引用があればこそ、学術への貢献が明確になります。要は自分の情報と人様の創作物とを区分しろよってことですよね。コピペ自体を否定するのはどうのでしょうか。
 コピペすれば正解なのに、コピペじゃダメだっていうのは、出題が悪い、ってことなんじゃないのですか。例えば試験での解答に、「・・・」(模範解答集からの引用)って書いたら、失格なのでしょうか。
 あなたは、情報社会にとって大事な論点を提示されたと考えます。こうした問題をどのように捉えておられるか。伺いたく存じます。

 実験ニコ生による201回目の成功を期待しております。 草々

2014年4月7日月曜日

ポリシープロジェクトの解説-3:デジタルキッズ

■ポリシープロジェクトの解説-3:デジタルキッズ
 ポリシープロジェクト2本柱の1つ、デジタルキッズプロジェクトです。
 リアルキッズ、デジタル教科書、デジタルえほんの3つのサブプロジェクトで構成します。
 このプロジェクトは石戸奈々子さんが主宰します。


1 リアルキッズ
デジタル技術を用いて、子どもたちの創造力、コミュニケーションを育む環境を整備します。
 アニメ、音楽、マンガ、新聞、ゲーム、絵画、造形、空間デザインなどさまざまな創作ワークショップを企画・実施。この分野では世界をリードする活動です。NPO「CANVAS」と連携。
 青少年のネット安全に関する政策的活動も併せて行います。
 ・10万人が参加する世界最大の子ども創作ワークショップイベント「ワークショップコレクション」を開催。
 ・UNESCO等と連携し、アメリカ、ブラジル、イタリア、カンボジアなどでもワークショップを展開。
 ・東大、早稲田、東工大、明治大、各地の保育園、商業施設などでのワークショップ「キッズクリエイティブ研究所」を企画・実施。
 ・Googleと連携し、全国でプログラミング教育プログラム「PEG」を実施。
 ・吉本興業と共同で、お笑い芸人によるワークショップを開発・実施。
 ・青少年のネット安全に関し、OECDと連携して教育手法の開発と指標づくりを推進。

参考  NPO法人CANVAS
  http://www.canvas.ws/
   ワークショップコレクション http://www.wsc.or.jp/
   キッズクリエイティブ研究所 http://www.canvas.ws/kenkyujo/index.html
   コンピューターに親しもう  http://www.canvas.ws/programming/
   安心ネットづくり促進協議会 http://www.good-net.jp/


2 デジタル教科書
全ての子どもたちがデジタル教科書で学べる環境を整備します。デジタル教科書・教材コンテンツ、情報端末・デバイス、教育クラウドを総合的に整備、普及させるとともに、学校はじめ教育・学習環境の向上を目指します。「デジタル教科書・教材協議会」を運営し、技術開発、コンテンツ制作、実証実験、政策提言などを進めます。
 ・企業コンソーシアムを通じ、実証研究、教材開発、政策提言などを実施中
 ・与野党、政府、全国の自治体、小中学校と連携
 ・「デジタル教科書革命」を出版

参考 デジタル教科書教材協議会 会員企業100社 
     http://ditt.jp/
   教育情報化ステイトメント http://mirainomanabi.net/


3 デジタルえほん
  デジタルならではの表現を開拓します。スマートフォンやタブレット端末を含むマルチスクリーン向けの映像、音声、文字を駆使したコンテンツを制作するとともに、ビジネス開発、技術開発、人材育成を行います。
 http://digitalehon.net/product

 ・デジタルえほん絵巻「えまきもん!」
 ・絵しりとり「tap*rap しりとり」(大日本印刷)
 ・東京国立美術館 ボストン美術館展記念「My雲龍図」(大日本印刷)
 ・動物づくり「tap*rap へんしん」(グッドデザイン賞受賞)
 ・デジタルむかしばなし「モモタロさん」(日販)
 ・デジタルえほんミュージアム
   http://digitalehon.net/project/space/001/index.html
 ・デジタルえほんアワード
   http://digitalehon.net/project/platform/001/index.html

2014年4月3日木曜日

ポリシープロジェクトの解説-2:ポップパワー

■ポリシープロジェクトの解説-2:ポップパワー
 
 ポリシープロジェクト2本柱の1つ、ポップパワープロジェクトです。
 CONVERGENCE、COOL、CITYの3つのサブプロジェクトで構成します。


1 CONVERGENCE
 メディア融合や新メディア開発を進めるサブプロジェクトです。
 デジタルサイネージ、IPDC、KMD ☓ OmO、その他(ネット炎上等)の各ユニットからなります。

1) デジタルサイネージ
デジタルサイネージを一大産業・メディアに成長させるプロジェクト。
 世界最大級のコンソーシアム(デジタルサイネージコンソーシアム)を形成し、技術開発、ビジネスモデルデザイン、制度改革などの活動を進めるほか、イベント開催、コンテンツ開発、政策提言などを通じ、この分野の発展を牽引します。
 ・企業コンソーシアムを通じ、産業開発、標準化等を推進 
 ・「デジタルサイネージジャパン」@幕張を開催@6月 毎年13万人が参加
 ・子どものコンテンツ制作→1万面サイネージ放映をプロデュース
 ・秋葉原献血サイネージ実験、渋谷Dinnersでの実験などを実施
 ・「デジタルサイネージ革命」「デジタルサイネージ戦略」を出版
参考 デジタルサイネージコンソーシアム 会員企業 100社 
 http://www.digital-signage.jp/
    デジタルサイネージジャパン   http://www.f2ff.jp/dsj/
  デジタルサイネージアワード   http://bit.ly/fohiQ3


2) IPDC
マルチスクリーンによる日本型スマートテレビを開発するプロジェクト。
 放送の電波に通信技術であるIPを乗せるサービスを開発するIP Data Casting(IPDC)。
 通信・放送を融合する技術開発、サービスデザイン、ビジネスマネジメント、そして制度改革を進めています。
 ・企業コンソーシアムを通じ、技術開発、ビジネス開発等を推進。
 ・テレビ局と「マルチスクリーン型放送」の技術開発とビジネス実験を実施。
 ・これまで、「情報通信法(放送法等改正法)」の制定、
  「ユビキタス特区」の実現、「ホワイトスペース特区の制定」などを後押し、実現に貢献。
参考 IPDCフォーラム 会員企業 44社
 http://www.ipdcforum.org/

   
3) KMD ☓ OmO
  吉本興業が展開する動画配信チャンネル「OmO」(オモ)と連携して、映像制作・配信を行うほか、人材育成、新ビジネス創出等に関する共同研究を行うものです。
・KMDの学生(留学生を含む)ないしそのグループがチャンネル内に個別チャンネルを設け、番組を制作・配信します。
・他の大学などから映像作家の卵を共同で発掘し、制作・配信の機会を提供します。
・これらを通じ、映像を制作する人材の育成策の検討、ネットでの新ビジネスの開拓等について、共同で研究します。
 スタート時の「OmO」×「KMD」共同制作チャンネルは以下の5つ。全部学生がやっとります。
◯Gothic & Lolita & Punk no Kai Weekly Channel
  ゴシック&ロリータ&パンクの会です。 http://bit.ly/1nzubXS
◯清水佳代子のイケパラちゃんねる
  イケメンをみてください。 http://bit.ly/1nzuj9z
◯Cool food×美味しいちゃんねる
  韓国からきた黄さんの番組。プロの仕事です。 http://bit.ly/1nzudip
◯TokyoMarin
  東京まりん「ひとりでできぬもん!」 http://bit.ly/1ajTMh6
◯TokyoMarinEnglish
  東京まりんの英語版。 http://bit.ly/1jDaLRH


4) その他
◯ネット炎上
 ネット炎上対策を講ずるプロジェクト。社団法人ニューメディアリスク協会とともに、事例調査、啓発教育などの活動を進めています。
 http://newmediarisk.org/guide/greeting
◯オープンデータ
 オープンデータ対策を進めます。オープンデータ流通推進コンソーシアムに協力し、普及啓発に努めています。
 http://www.opendata.gr.jp/



2 COOL
 ポップカルチャーの世界展開やコンテンツの開発を進めるサブプロジェクトです。
 エンタテイメント産業と連携して、音楽、マンガ、アニメ、ゲーム、お笑いコンテンツのプラットフォームを形成します。政府(知財本部、総務省、経産省、文科省)とも連携します。
 Sync Music Japan、海外マンガフェスタ、アニメビジネス、ソーシャルゲーム、沖縄国際映画祭、ゴシック&ロリータの各ユニットからなります。

1) Sync Music Japan
  音楽業界によるJ-Pop情報の海外発信プロジェクト「Sync Music Japan」のアーティストデータベース(約2000組)をKMDで運営しています。ほぼ全てのJ-Popアーティストの情報を扱い、海外展開の窓口となります。
 また、Sync Music Japanの番組を制作してフランスでオンエアしたり、アメリカ・オースティンでのSXSWに出展してアピールしたりするなど、学生主体の活動も行います。
 http://www.syncmusic.jp/wordpress/



2) 海外マンガフェスタ
内外のマンガ家と関連企業が集う「海外マンガフェスタ」を東京で開催します。
 大友克彦氏、浦沢直樹氏、ちばてつや氏、松本大洋氏らが参加、
 仏、伊、ベルギー、EU、台湾らが協力しています。
 https://www.facebook.com/kaigaimangafesta






3) アニメビジネス
日本動画協会が主催するプロジェクト。アニメとマンガ・ゲーム、音楽、グッズ等のコンテンツ分野がパートナービジネスを開発する活動に協力しています。
 文科省アニメ・マンガ人材養成事業と連携し、クリエイター、教育機関、関係業界とともに育成カリキュラムの策定にも携わっています。
 http://abpf.jp/





4) ソーシャルゲーム
  ソーシャルゲームの健全化と産業育成を図るため、ソーシャルゲーム協会(JASGA)を設立し、活動しています。ゲーム産業の国際競争力強化が重要課題です。
参考 ソーシャルゲーム協会 会員企業 74社 
 http://jasga.or.jp/







5) 沖縄国際映画祭
  吉本興業が主導する沖縄国際映画祭にて、世界のお笑い映像の収集・発信、コンテンツ取引市場の形成などを推進しています。コンテンツの国際プラットフォームを形成するとともに、KMD ☓ OmOの可能性も開拓します。
 http://www.oimf.jp/




  



6) ゴシック&ロリータ
 ゴシックとロリータで世界を征服します。
 詳細別途。


3 CITY
 デジタルの街づくりをするサブプロジェクトです。ポリシープロジェクトの総合力を都市設計に活かします。
 Tokyo Crazy KawaiiとCIPの両ユニットから始めます。

1) Tokyo Crazy Kawaii 
マンガ、アニメ、ゲーム、ファッション、食、雑貨などなど、クールジャパン業界の総合力を海外に発揮するビジネス☓カルチャーイベント。NIPPONのカワイイを世界各地でローカライズしていきます。
 2013年秋、第一回をパリで開催、稲田朋美クールジャパン担当大臣にも参加いただき、大反響を得ました。2014年、地域も内容も拡充します。
 http://www.crazykawaii.com/





2) CIP
CIP=コンテンツ・イノベーションプログラム。東京都港区竹芝地区の都有地再開発プロジェクトに参加し、コンテンツ産業集積地の形成を目指します。
 事業主体は東急不動産・鹿島建設。地上26階地下2階の業務棟を建設。コンテンツやITに関する研究開発・人材育成、国際産業支援のための拠点として、7600㎡を用意し、ラボ、ホール、スタジオ、オフィス等を構築する計画です。オープンは2019年。この計画策定と運用に当たります。

2014年4月1日火曜日

新入社員諸君。

■新入社員諸君。

 ある関係企業の入社式でのメッセージを、メモまで。
 (タイトルを付け間違えていたので、直しました。)

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 4月1日、ぼくにとっても記念日です。
 今日でぼくは社会人になって30年になります。
 30年前の今日、就職したのは、当時日本で最も大きい組織でした。みなさんの入る組織も大きいよね。
 組織にはバカげたことがあります。ムダもあります。
 どんなに優秀な集まりでも、何じゃコイツというバカな上司はいます。
 でも、組織でないとわからないことがあります。それをつかんでください。

 それはこの1年が勝負です。
 ぼくは53年の人生で、社会人1年目が最もキツかった。1週間で10時間睡眠なんてこともあった。完璧ブラックです。訴えたら勝ったでしょう。「一番キツいところに配属してくれ」という希望が通ったんだから仕方ありません。
 本当に血の小便って出るんだ。
 それを知った1年目は、5年通った大学で得たものの数倍のものをもらいました。働く足腰を得ました。
 その1年があるから、いまこうして二本足で立てています。

 30年前に受けた訓示で覚えているのは2点。
「目上も目下も、さん付けで呼びなさい。」何じゃそれは。と思いました。
「・・と思います、じゃなくて、・・です、と言いなさい。」それがどないしてん。と思いました。
 でも、気が弱いので、そうしてみました。
 30年たって、いま考えてみたら、何かの役に立っていたのかもしれない、と思いました。
 後は何も覚えていません。訓示なんか、そんなものです。今日の訓示なんか、全部忘れてしまえ。

 そんな中で、みなさんがすべきことは、創ることです。
 ぼくはこの会社の経営に関わるようになって5年です。古株になりました。よく付き合っていると思います。それはなぜか。面白いから。だって、この会社、よく変わるんだもん。5年前、3年前、1年前と今を比べると、ずいぶん変化しています。新しいものを創ってるからね。
 変化は自然には起こりません。変える、という意志だけが変化をもたらします。これからこの会社を変えるのは、今日入ったみなさんです。
 1年後、3年後、10年後のこの会社をどう変えて、どう新しい会社を創っていくか。ぼくはみなさんに問いかけていきます。
 入社おめでとう。