講演会☆北西の風が吹くとき~島根原発をめぐるお話~
神戸の北西に位置する島根原発。海外には、オーストリアやドイツ、フィリピン、台湾など、稼働されないまま廃炉となったり、跡地が遊園地に生まれ変わった原発もあります。日本も東日本大震災で経験した悲惨な原発事故を二度と繰り返さぬよう、一緒におふたりのお話を聴いてみませんか?
☆北西の風が吹くとき~島根原発をめぐるお話~
日 時:2025年5月11日(日)13:30開場 14:00~16:30
会 場:神戸市立婦人会館5F「さくら」 https://kobe-fujin.jimdoweb.com/
※資料代:1000円(25才以下は500円) ※申し込み不要(先着順 170名)
=== 講師プロフィール ===
芦原康江さん
1980年 島根原発2号機建設に子育て世代で反対活動を始める
1999年 島根原発1,2号機運転差し止め訴訟を開始・原告団長
2011年 県内反原発団体と個人でさよなら島根原発ネットワークを結成。事務局長
2013年 1期・松江市議会議員
2013年 島根原発3号機差止訴訟原告団事務局員
~メッセージ~
島根原発2号機が昨年12月7日に12年11カ月ぶりに再稼働されました。島根原発の30㎞圏内には46万人もの住民が暮らしています。昨年の能登半島地震を見ても避難道路が通行不能になり、避難計画は机上の空論です。原発事故は、命を脅かし暮らしを根こそぎ奪ってしまいます。「原発は必要」という人に、そこで暮らす住民が犠牲になりかねないということを、真っ先に考えていただきたいのです。
長期運転のリスクや核のごみの問題を考えると、「廃炉」しかない!私たちは、決してあきらめることなく訴え続けていきたいと思います。
末田一秀さん
学生時代に京大原子炉増設反対運動に関わり、最終的に建設阻止して勝利を収める。以来、長年反原発運動に取り組む。
1978年から毎月発行している「はんげんぱつ新聞」編集長に2022年に就任。核のごみキャンペーン関西のメンバー。編著書に「関西電力 原発マネースキャンダル」「地方自治のあり方と原子力」「原発ゴミは「負の遺産」」など。
~メッセージ~
エネルギー基本計画で原発回帰を打ち出した政府。島根原発再稼働の持つ意味を考えます。
主催:さよなら原発神戸アクション https://sayogenkobe.blog.fc2.com/
問い合わせ:sayogenkobe-staff★googlegroups.com (★=@)
090-5886-8364(高橋)
【カンパ歓迎】振込口座 郵便振替 00900-8-110030 神戸ネットワーク
※通信欄に<カンパ>と書いてください。
~ 島根原発をめぐるお話 ~
2011年3月の東電福島原発事故後、停止していた島根原発2号機が昨年12月7日に12年11カ月ぶりに再稼働されました。島根原発の敷地の近傍には大きな地震を引き起こす可能性のある「宍道断層」(想定地震動:M7.5)が存在します。その宍道断層は東方にある鳥取県沖断層帯(伯耆沖断層帯)と連動の可能性もあります。
2024年1月1日の能登半島地震の被害を見ても分かるように避難計画など机上の空論で、避難道路が通行不能になり避難できない状況も発生します。島根原発の30㎞圏内には46万人もの住民が暮らしています。避難計画は、住民に被ばくを強いることになります。原発事故は、命を脅かし暮らしを根こそぎ奪ってしまいます。「原発は必要」という人に考えて欲しい。そこで暮らす住民が犠牲になりかねないということを、真っ先に考えていただきたい。思考の順番を変えて欲しいのです。住民を犠牲にしないことをまず考えてください。その上で、どんなエネルギーを使って電気を作れば良いのかを考えて欲しい。国や電力会社、そして各自治体には真っ先にこの思考順序を守っていただきたい。
原発の稼働によって、長期運転のリスクと共に核のごみをどうするのか?といった問題が待ち受けている。その解は「廃炉」しかない!
島根2号機再稼動の次は、3号機の運転開始の問題があります。
島根原発3号機は、2011年3月の福島原発事故発生時にはほぼ完成していました。その年の6月に燃料装荷、2012年3月に営業運転開始が予定されていましたが、福島原発事故により延期され今日に至っています。まだ一度も起動されてないので、3号機は汚染されていません。もし3号機の新規稼働を許すことになれば、40年運転として2070年頃まで、60年運転とすれば2090年頃まで、この日本は脱原発できないことになります。
オーストリアに「ツヴェンテンドルフ原子力発電所」があります。この原発は1976年にほぼ完成しましたが、使われないままになっています(もちろん全く汚染されず、現在発電所は一部解体されています)。1978年に国民投票で原発に反対する票が僅差で過半数を超え、オーストリアにおける原子力エネルギーは拒否されました。国民投票から数週間後の1978年11月15日、オーストリア議会は全会一致で、「オーストリアにおいては電力生産のために、原子力エネルギーを用いることを禁ずる」という法律を通過させました。
ドイツには、一度も発電せずに閉鎖したカルカー高速増殖炉SNR-300の跡地に、ワンダーランド・カルカーというテーマパーク(遊園地)があります。高速増殖炉SNR-300(カルカー増殖炉)は、日本のもんじゅと同時期にドイツで初めて運転される予定だった高速増殖炉で、1985年に試運転を開始したものの、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故による勢いを増した反対運動や、建設コストの高騰により1991年に計画中止が発表されました。運転せずに閉鎖されたので、被曝の心配はなく、年60万人の来場者があり、未使用の原子力発電所は人々を楽しませる遊園地へと変貌を遂げています。かつての「夢の原子炉」が生まれ変わって、子供たちの「夢の遊び場」となったのです。
他にフィリピンのバターン原発など、建設された原子力発電所が稼働せずに閉鎖された事例があります。また台湾の未稼働原発である第4原発も同じ道を辿ることになるでしょう。
この日本も東日本大震災で経験した悲惨な原発事故を二度と繰り返さぬよう、いち早く「脱原発」へ進むこと。そして島根原発3号機など、現在建設中の未稼働の原子力発電所は、ワンダーランド・カルカーのような多くの人の笑顔が生まれる場所に生まれ変わることを願います。
(文責:さよなら原発神戸アクション E.E.)