10月Zoom茶話会「黒い雨」訴訟から見る 内部被ばく救済のゆくえ 報告
小山美砂さんを講師にお迎えしての10/21のZoom茶話会の動画を公開します。
10月の茶話会では「黒い雨」の被害者に寄り添って取材をしてこられた小山美砂さんから、被害の実態について具体的なお話を伺うとともに、福一事故被害者の救済に繋がる「黒い雨」訴訟の大事なポイントについて、お話を伺いました。
小山さんには、理解の前提となる、広島・長崎の被爆者の救済制度についても丁寧にご説明頂き、もともとあった「被爆者援護法」の「病気を発症していなくても、被ばくの可能性があれば救済されるべき」という法の精神が、「黒い雨」訴訟の高裁判決で認められた、という大切なポイントを伺いました。これはすべての核被害者に適応されるべき本質的な救済の態度では?ということで、詳しくお伝え頂きました。
また内部被ばくについて、「黒い雨」訴訟では、「体内に取り込まれると、微粒子であっても集中的・持続的な被ばくが生じ、健康影響が高まりうる」という原告側の主張が認められたこと、また飲食物(畑の作物など)による内部被ばくが認められ手帳が交付された事例など、お話がありました。
しかし残された課題として、高裁判決の翌年からの被爆者健康手帳交付の新制度では、また疾病要件が課されてしまっていること、政府の内部被ばくを認めない姿勢は今も変わっていないこと、などのお話もありました。
最後に、「黒い雨」訴訟から受け取ったこととして、「科学的・合理的という言説の下に、被害者側が不可能な立証を求められていないか」「そもそも国が求める基準を疑ってみることが大切」といった力強いメッセージを頂きました。
今回、質疑と交流の時間には避難者訴訟のみなさんにもご参加頂き、小山さんと対話をして頂けたのも貴重な時間でした。チャットでも深いやりとり、大事な情報提供があり、みなで「黒い雨」の闘いから学び、課題を共有し、そして繫がりの希望を持つこともできた茶話会になったかと思います。
改めて、チャーミングかつ、ポイントをとても分かりやすくお話し下さった小山さんと、濃い交流の時間を作り出して下さった参加者のみなさまに、心より感謝申し上げます。
◆◆ 参考情報 ◆◆
◎小山さん毎日新聞記者時代の取材動画。
爆心地から西約30km、これまでの雨域の外で「黒い雨」が降ったと語る人々。健康被害があり、手帳がほしいという切実な思いが伝わってきます。
https://youtu.be/OyfvHeV2Vnk?si=UPuuUOeARnOXTPRc◎2022年6月Zoom茶話会「黒い雨から福島へ〜なぜ内部被ばくは隠蔽されたのか?」
さよなら原発神戸アクションでは、2022年6月に高橋博子先生をゲストにZoom茶話会「黒い雨から福島へ〜なぜ内部被ばくは隠蔽されたのか?」を開催しました。
アメリカ政府や日本政府が、放射性降下物の存在を否定し、内部被ばくの影響を認めてこなかったこれまでのことを、歴史学のお立場から詳しくお話頂いています。小山美砂さんの茶話会とあわせて、こちらの動画もぜひご視聴下さい。
◎小山さんの今後のご講演予定