4月24日、兵庫県が行っている、
原発事故による放射性物質拡散予測の最新データが発表されました。
また同時に、市民の情報公開請求により
昨年の計算結果のより詳しいデータも公開されました。
データは、福井県の原子力発電所で、
東京電力福島第一原発事故並みの放射性物質が放出された場合を想定し
2009年の気象データを当てはめて、
コンピューターで拡散状況を予測計算し、
得られた結果から、数値の高かった条件を抜き出したものです。
東京電力福島第一原発事故が、兵庫県で暮らす私たちにとっても
とても他人事とは思えないことがよく分かる資料です。
また、いざ、事故が起こった際に、
どうすれば逃げることができるのか、
地域防災計画はどうあるべきなのか、
これらを判断する材料にもなります。
◯2013年版 追加データ
今回の情報請求により、去年発表されたデータの全域版が公開されました。
「高浜原発からの甲状腺等価線量(甲状腺の被ばく線量)予想データ」
(画像はクリックで拡大)
「大飯原発からの甲状腺等価線量(甲状腺の被ばく線量)予想データ」
兵庫県だけでなく、京都府の北部まで、広範囲に甲状腺被ばくすることが分かります。
また、この図では一番色の濃いところが100mSv超となっており
実際の数字がどこまで高い数値なのかは読み取ることができません。
「神戸市で被曝量が最大となる場合のデータ(地名入り)」
「篠山市で被曝量が最大となる場合のデータ(地名入り)」
このデータでは、
近畿地方を超えて四国の手前まで50mSv超の濃いオレンジ色の
エリアが広がっていることが分かります。
「実効線量(全身の被ばく線量)の広域予想データ」
◯2014年版
こちらが今年の計算結果です。
昨年版とは計算方式が変わっているそうです。
「上の図に地名を書き加えた物」
兵庫県は、事故発生時の福井県民の避難受入先となっていますが、
この図を見ると、兵庫県の大半が汚染されることが予想され
避難先として安心できる場所ではないことが分かります。
また昨年は、篠山市・丹波市・豊岡市・神戸市のデータのみでしたが、
今年は41市町のすべてのデータが表で発表されています。
甲状腺等価線量で50mSv超が
IAEA(国際原子力機関)の安定ヨウ素剤の服用基準となっており
表の中の黄色く塗られた地域が、その基準を越えています。
また、現状では、
地域毎の放射性物質の到達時間は公表されていません。
データはあるが、公表は控えられているとのことです。
知事答弁からは、神戸市、篠山市への放射性物質の到達時間は約2時間だと明らかにされています。
到達予測時間が無ければ、正確な避難計画などたてられるはずがありません。
公表要求を続けることが必要です。
これらのデータは、あくまでも最悪の気象条件を想定した場合のものです。
東向きに風が吹き、兵庫県が汚染を免れる可能性もあります。
一方で、このデータは高浜原発のみ、大飯原発のみ、といった単独事故から計算していますが
原発が密集している福井県で事故が起こった際は、美浜や敦賀も含めた複合事故となり、
福島第一原発事故よりも大量の放射性物質が放出されるという指摘もあります。
けして過大評価な予測数値とは言えません。
兵庫県内に原子炉はありませんが
事故を考えた場合には、兵庫も被災地になるということを
できるだけ多くの人に知らせていきましょう。
兵庫県が発表したデータの全文はこちらです。
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk39/documents/kakusansimu140424.pdf
一部のデータは、美浜の会のHPより提供いただきました。
http://www.jca.apc.org/mihama/