検定本の検定
『コーヒー学検定《上級》 金沢大学編』(圓尾修三・広瀬幸雄・後藤裕:著/旭屋出版)検定
問01⇒ 『コーヒー学検定《上級》 金沢大学編』は、何らかの‘検定’本ですか?
解答⇒ 違います。この本自体が実在する何らかの「検定」試験に対応した
教本や問題集ではありません。「検定」試験が実在しない以上、この本
を読んでも何らかの「資格」が取得できるわけではありません。この点
において、例えば、全日本コーヒー商工組合連合会が認定する「コー
ヒーインストラクター」資格の取得に対応した全日本コーヒー検定委員
会(J.C.Q.A.)監修『コーヒー検定教本』の類と、似て非なる存在です。
決して間違えて捉えないでください。書名で何らかの威を張りたかった
にしても、本来であれば「検定」の語は用いず、「教本」とか「教科書」と
かにとどめるべきだったのかもしれません。但し、この本が2013年4
月2日に発行されたのとほぼ同時に、同じ出版社より『カフェ開業の教
科書』(田口護:著/旭屋出版:刊/2013年3月27日発行)が刊行さ
れましたから、「教本」や「教科書」の書名をカブらせないという出版社
の配慮も考えられるでしょう。
問02⇒ 『コーヒー学検定《上級》 金沢大学編』は、金沢大学が‘編纂’したのですか?
解答⇒ 違います。この本はあくまでも圓尾修三・広瀬幸雄・後藤裕の3人に
よる著作です。「金沢大学編」の「編」とは、編纂(compilation)の
主体を指すものではなくて、本の部分け(volume)を示すもの、と解
釈しておく他にツジツマが合いません。以前に、同じ旭屋出版より「金
沢大学 コーヒー学研究会」という実体不明の編者による『なるほどコー
ヒー学 コーヒーを楽しむ最新知識のQ&A』(2005年発行)という本が
ありました。この旧著をQ&A形式ということも含めて踏襲した改稿本
『コーヒー学検定《上級》 金沢大学編』が、またも何となく「金沢大学」
の威を臭わせたかった、ということでしょう。今回は書名に「金沢大学
編」が入っているため、ますますややこしい感じになってしまいました。
その証拠には「セブンネット」など、書名を『コーヒー学検定《上級》』で
打ち切って、編者として「金沢大学/編」として販売しています(閲覧
2013年4月20日時点)。
問03⇒ 『コーヒー学検定《上級》 金沢大学編』は、‘上級’なので難しいですか?
解答⇒ はい、かなり難しいと思います。例えば、「コーヒーとは豆の木です
か?」(p.7)という簡単にしたつもりで実際には意味不明の設問から、
「焙煎が進行して行く過程で、コーヒー豆にどの様な形而変化が起こ
るのでしょうか?」(p.58)という形而上でも形而下でも解けない設問、
「焙煎から発生する炭酸ガスの正体はなんでしょうか?」(p.59)とい
う自問自答している設問、「次のエスプレッソの抽出法での質問で正
しいと思う番号に〇を入れて下さい。」(p.84)という訊ねる前に出題
してしまう設問まで、まるっきり抽象水準が合っていない問いかけが
続きます。そのため、答えを考える前に不快な思いが募って読み進
めにくい、ココが難しいところです。「何を知りたいのだろう?」という
読者の目線ではなくて、「コレを知らせてやろう」という目線ばかりで
下手くそな問いかけが設けられていますが、この下級・低級な設問に
対して笑って済ませることができれば《上級》でしょう。
問04⇒ 『コーヒー学検定《上級》 金沢大学編』は、読むべきですか?
解答⇒ 答えにくい質問です。まず、本の内容を鵜呑みにするタイプの読者
には不向きだといえます。明らかに間違っていることばかりではなくて
も、表現の適切さで課題を残す記述が多々ありますから。例えば、巻
末に付されている「コーヒー学検定《上級》練習問題」に関しても、気を
抜けません。「パーチメントコーヒーはパルピング前のコーヒーのこと」
(p.168)、「サイフォン式=真空押出式抽出」(p.200)、などは選択
肢の中で「正しい記述」とされていますが、これを新たな知識として真
に受けて良い、などとは到底考えられません。こうした間違いや不適
切な内容をつぶさに発見したいタイプの読者には、暇つぶしにこの本
を検定するのも一興かもしれません。但し、解答者(私)はこの本を読
みながら「どうも引っ掛かる」ところに付箋を貼っていったところ、本の
前半で100枚綴りの束を使い切ってしまいましたので、相当量の付
箋を事前に用意されることをおすすめいたします。
問01⇒ 『コーヒー学検定《上級》 金沢大学編』は、何らかの‘検定’本ですか?
解答⇒ 違います。この本自体が実在する何らかの「検定」試験に対応した
教本や問題集ではありません。「検定」試験が実在しない以上、この本
を読んでも何らかの「資格」が取得できるわけではありません。この点
において、例えば、全日本コーヒー商工組合連合会が認定する「コー
ヒーインストラクター」資格の取得に対応した全日本コーヒー検定委員
会(J.C.Q.A.)監修『コーヒー検定教本』の類と、似て非なる存在です。
決して間違えて捉えないでください。書名で何らかの威を張りたかった
にしても、本来であれば「検定」の語は用いず、「教本」とか「教科書」と
かにとどめるべきだったのかもしれません。但し、この本が2013年4
月2日に発行されたのとほぼ同時に、同じ出版社より『カフェ開業の教
科書』(田口護:著/旭屋出版:刊/2013年3月27日発行)が刊行さ
れましたから、「教本」や「教科書」の書名をカブらせないという出版社
の配慮も考えられるでしょう。
問02⇒ 『コーヒー学検定《上級》 金沢大学編』は、金沢大学が‘編纂’したのですか?
解答⇒ 違います。この本はあくまでも圓尾修三・広瀬幸雄・後藤裕の3人に
よる著作です。「金沢大学編」の「編」とは、編纂(compilation)の
主体を指すものではなくて、本の部分け(volume)を示すもの、と解
釈しておく他にツジツマが合いません。以前に、同じ旭屋出版より「金
沢大学 コーヒー学研究会」という実体不明の編者による『なるほどコー
ヒー学 コーヒーを楽しむ最新知識のQ&A』(2005年発行)という本が
ありました。この旧著をQ&A形式ということも含めて踏襲した改稿本
『コーヒー学検定《上級》 金沢大学編』が、またも何となく「金沢大学」
の威を臭わせたかった、ということでしょう。今回は書名に「金沢大学
編」が入っているため、ますますややこしい感じになってしまいました。
その証拠には「セブンネット」など、書名を『コーヒー学検定《上級》』で
打ち切って、編者として「金沢大学/編」として販売しています(閲覧
2013年4月20日時点)。
問03⇒ 『コーヒー学検定《上級》 金沢大学編』は、‘上級’なので難しいですか?
解答⇒ はい、かなり難しいと思います。例えば、「コーヒーとは豆の木です
か?」(p.7)という簡単にしたつもりで実際には意味不明の設問から、
「焙煎が進行して行く過程で、コーヒー豆にどの様な形而変化が起こ
るのでしょうか?」(p.58)という形而上でも形而下でも解けない設問、
「焙煎から発生する炭酸ガスの正体はなんでしょうか?」(p.59)とい
う自問自答している設問、「次のエスプレッソの抽出法での質問で正
しいと思う番号に〇を入れて下さい。」(p.84)という訊ねる前に出題
してしまう設問まで、まるっきり抽象水準が合っていない問いかけが
続きます。そのため、答えを考える前に不快な思いが募って読み進
めにくい、ココが難しいところです。「何を知りたいのだろう?」という
読者の目線ではなくて、「コレを知らせてやろう」という目線ばかりで
下手くそな問いかけが設けられていますが、この下級・低級な設問に
対して笑って済ませることができれば《上級》でしょう。
問04⇒ 『コーヒー学検定《上級》 金沢大学編』は、読むべきですか?
解答⇒ 答えにくい質問です。まず、本の内容を鵜呑みにするタイプの読者
には不向きだといえます。明らかに間違っていることばかりではなくて
も、表現の適切さで課題を残す記述が多々ありますから。例えば、巻
末に付されている「コーヒー学検定《上級》練習問題」に関しても、気を
抜けません。「パーチメントコーヒーはパルピング前のコーヒーのこと」
(p.168)、「サイフォン式=真空押出式抽出」(p.200)、などは選択
肢の中で「正しい記述」とされていますが、これを新たな知識として真
に受けて良い、などとは到底考えられません。こうした間違いや不適
切な内容をつぶさに発見したいタイプの読者には、暇つぶしにこの本
を検定するのも一興かもしれません。但し、解答者(私)はこの本を読
みながら「どうも引っ掛かる」ところに付箋を貼っていったところ、本の
前半で100枚綴りの束を使い切ってしまいましたので、相当量の付
箋を事前に用意されることをおすすめいたします。