帰山人の珈琲漫考

トラの暑中見舞再び

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2010 [2010年06月30日 05時00分]
拙速早計ではあるが「暑中見舞い」を、私の頭の中の妄想で申し上げる。
 
 コンニチハ、僕はHarimau sumatera、あっ現地語で言っちゃった、
 ハリマオは虎のこと、つまりスマトラ虎(トラ)です。昨2009年の「暑中見舞」、
 今2010年の「新春賀詞」、「寒中見舞」に続き、4度目のご挨拶です。
  
 コーヒーの栽培開拓で絶滅に追いやられている僕たちの名前で「虎の威を借る」
 マンデリンコーヒー豆「スマトラタイガー」や「リントン・ハリマオ」、
 日本市場では好評だそうで、当事者としてはますます複雑な気持ちです。

 そういえば、スマトラ在住の僕は最近のニュースでも複雑な気持ちになりました。
 相変わらず頻発する地震のことか、って?それも現地じゃ大問題ですが、
 2010年6月3日にTengku Hasan Muhammad di Tiroが死亡したことです。
 アチェ王国指導者の子孫トゥンク・ハッサン・モハマッド・ディ・ティロが率いた
 アチェ自由運動(GAM)は、約半世紀にわたる独立闘争の中でイスラム系の
 アチェ・スマトラ国樹立を目指す武装組織でしたが、スマトラ沖大地震による
 津波被害で休戦を発表、2005年8月にインドネシア政府と和平合意しました。
 
 帰山人は「災害復興が理由といえども武力闘争を断念させられたハッサン・ティロ
 は忸怩たるも歯を噛む思いで逝ったに違いない。アチェ復興と同列に虚ろな平和
 への賛意を売り文句にしている日本のコーヒー屋を見ると武力で闘争したくなる」
 などと相変わらず大人気ない発言をしていますが、本義ではない理由でアチェの
 問題が停滞したまま指導者を失ったこと、僕もスッキリしない思いが残ります。
 あ、僕たちにとっては存在がウザイだけの人間社会に気持ちを入れすぎちゃった…
 水のハリマオ 
 口直しに改めて「スマトラタイガー」を紹介します。えっ?オマエだろうって?
 いいえ、スマトラ産ロブスタコーヒーの積出港で有名なバレンバンのある
 ムシ川水系に生息するダトニオイデス(Datnioides)、魚です。黒い縞模様が
 特徴の略称ダトニオの中でも、ムシ水系に住んでいる個体は「リアルバンド」とか
 「スマトラタイガー」とか呼ばれています。人間が食用や観賞用に獲っている
 割には絶滅するほど稀少ではない彼らですが、生息しているマングローブ域の
 荒廃は歯止めがきかない酷い状況です。僕たち「陸のハリマオ」と同様に
 「水のハリマオ」の棲家も荒らされていること、バレンバン・ロブスタと一緒に
 覚えておいてください。
 
 えっ?ワタシもそろそろ紹介してよって?まだ早いんじゃ…って、チョットぉ!

寅(トラ)年の2010年も半分終わって暑中、「コーヒーに殺されそうなスマトラ虎」
2年続きで登場である。生物多様性年の今2010年、虎に加えて魚、さらに
加えて虎を押しのけて出現しそうな謎の生物(?)まで妄想も多様化してきたようだ。
スマトラ産マンデリンコーヒーに愛着する私ではあるが、虎に「存在がウザイだけ」
といわれた人類のなかでも「酔狂な存在」を自負しつつ多様な視点で今後も探究したい。
 
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kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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