子ども向け大人向け
コーヒーに興味をもち、この記事にたどりついたみなさま、ありがとうございます。これまでも当ブログではコーヒーの絵本について取りあげてきましたが、今日はまた新しいコーヒーの絵本を紹介します。それは、『知りたい食べたい熱帯の作物 コーヒー』(農山漁村文化協会:刊 2021)です。

この本は、‘元コーヒーおたく’を自称していて今は石光商事(コーヒーの輸入と卸売をしている会社)の社長をしている石脇智広さんが監修しています。石脇さんには『コーヒー「こつ」の科学 コーヒーを正しく知るために』(柴田書店:刊 2008)という名著がありますが、その後に出版が予告されていた『おいしいコーヒーの科学』(サイエンス・アイ新書 SBクリエイティブ:刊)という本は結局に発売されませんでした。そんなわけで、今般の『知りたい食べたい熱帯の作物 コーヒー』は石脇ファンには待望の本とみえて、《大人(おとな)が読んでも楽しいし勉強になります》という声もあがっています。しかし、わたしが思うに、この本の‘推し’どころはそこではありません。
わたしの‘推し’のキーワードは、‘栗山淳’と‘絵と造形の作家’です。栗山淳さんが企画や編集や制作を担って農山漁村文化協会(農文協)から発行された本には、「そだててあそぼう」シリーズや「食べもの絵本」シリーズなど食べもの(飲みもの)に関するものが数百冊もあります。例えば、お茶については、『そだててあそぼう チャの絵本』(渕之上弘子:編 飯野和好:絵 2002)や『つくってあそぼう 茶の絵本』(増澤武雄:編 山福朱実:絵 2007)や『農家になろう チャとともに 茶農家 村松二六』(農文協:編 瀬戸山玄:写真 2015)などがあります。でも、栗山さんがコーヒーについてまるごと一冊で取りあげたことは、今般の『知りたい食べたい熱帯の作物 コーヒー』がおそらく初めてです。これは快挙です。

そして、この新しいシリーズ「知りたい食べたい熱帯の作物」(全3巻 2021)では、コーヒーと並んでパイナップルとバナナが取りあげられたことに目を向けてください。『パイナップル』(竹内誠人:監修 谷口シロウ:絵と造形)、『バナナ』(佐藤靖明:監修 山福朱実:絵と造形)、『コーヒー』(石脇智広:監修 堀川理万子:絵と造形)、これらの3冊では栗山さんが起用したアーティストたちの絵と造形の作品が各々に美しく面白いのです。谷口さんによるパイナップル生け花、山福さんによるバナナ皮直描きアート、堀川さんによる着彩粘土製コーヒーマグ絵、これらもまた快挙です。さらに、3つの作物はどこが異なっていて何が同じなのか、植物としての特徴や栽培の歴史や実状などを比べながら読んでこそわかるところ、そこを楽しんで欲しいのです。

《この本は、わたしからみなさんへの幸せのおすそわけです。みなさんにとってコーヒーはまだ、「香りはいいけれど、黒くて苦い、オトナの飲みもの」にすぎないと思います。わたしも子どものころ、そうでしたから。飲みものとしてのコーヒーの魅力を知るのは、もう少しあとまで待ちましょう。オトナになればわかります。》 (石脇智広 「あとがき」抄/前掲書 『知りたい食べたい熱帯の作物 コーヒー』p.40)
「知りたい食べたい熱帯の作物」シリーズの3冊を比べてみると、『パイナップル』や『バナナ』がCAM(カム)型光合成や雄花序などけっこうビシバシと用語が繰り出されているのに対して、石脇智広さんが監修した『コーヒー』ではなるべく簡明で平易に説こうという意向が強く表れています。児童向けだから…それは石脇さんの「あとがき」を読んでも感じられるところです。しかし、わたしは子どものころ、《もう少しあとまで待ちましょう。オトナになればわかります》などと大人に言われることが、実に腹立たしくて大嫌いでした。ナニサマのつもりだ、と。

この『知りたい食べたい熱帯の作物 コーヒー』よりも少し前に、『大人のためのコーヒー絵本』(アンヌ・カロン:文 メロディ・ダンテュルク:画 ダコスタ吉村花子:訳 篠崎好治:監修 日本文芸社:刊 2021/原著“CAFÉGRAPHIE: Comprendre le café en 100 dessins et schémas” 2020)という本が発売されました。その中身はとにかくとして、わたしはこの日本語版の題名が好きになれません。知りたいとか食べたい(飲みたい)とかいう話題に、子ども向け大人向けと振り分けすぎるのはうれしくありません。みなさんは何歳であろうと興味があれば、『知りたい食べたい熱帯の作物 コーヒー』も『大人のためのコーヒー絵本』も読んで、そしてコーヒーも飲んでみてください。それが幸せなことなのかそうでもないのかは、みなさん自身が感じることなのです。
なお、『知りたい食べたい熱帯の作物 コーヒー』では、コーヒーの歴史を説明している年表(p.13)に《1500年イエメンに、コーヒーを飲ませる店「カフェハネ」ができる》、と記されています。これが本当のことであれば「コーヒーの歴史が変わった」といえる新説ですが、わたしは何かの間違いではないのかと疑っています。みなさんも、コーヒーを飲みながらいろいろ調べて考えてみてください。

この本は、‘元コーヒーおたく’を自称していて今は石光商事(コーヒーの輸入と卸売をしている会社)の社長をしている石脇智広さんが監修しています。石脇さんには『コーヒー「こつ」の科学 コーヒーを正しく知るために』(柴田書店:刊 2008)という名著がありますが、その後に出版が予告されていた『おいしいコーヒーの科学』(サイエンス・アイ新書 SBクリエイティブ:刊)という本は結局に発売されませんでした。そんなわけで、今般の『知りたい食べたい熱帯の作物 コーヒー』は石脇ファンには待望の本とみえて、《大人(おとな)が読んでも楽しいし勉強になります》という声もあがっています。しかし、わたしが思うに、この本の‘推し’どころはそこではありません。
わたしの‘推し’のキーワードは、‘栗山淳’と‘絵と造形の作家’です。栗山淳さんが企画や編集や制作を担って農山漁村文化協会(農文協)から発行された本には、「そだててあそぼう」シリーズや「食べもの絵本」シリーズなど食べもの(飲みもの)に関するものが数百冊もあります。例えば、お茶については、『そだててあそぼう チャの絵本』(渕之上弘子:編 飯野和好:絵 2002)や『つくってあそぼう 茶の絵本』(増澤武雄:編 山福朱実:絵 2007)や『農家になろう チャとともに 茶農家 村松二六』(農文協:編 瀬戸山玄:写真 2015)などがあります。でも、栗山さんがコーヒーについてまるごと一冊で取りあげたことは、今般の『知りたい食べたい熱帯の作物 コーヒー』がおそらく初めてです。これは快挙です。

そして、この新しいシリーズ「知りたい食べたい熱帯の作物」(全3巻 2021)では、コーヒーと並んでパイナップルとバナナが取りあげられたことに目を向けてください。『パイナップル』(竹内誠人:監修 谷口シロウ:絵と造形)、『バナナ』(佐藤靖明:監修 山福朱実:絵と造形)、『コーヒー』(石脇智広:監修 堀川理万子:絵と造形)、これらの3冊では栗山さんが起用したアーティストたちの絵と造形の作品が各々に美しく面白いのです。谷口さんによるパイナップル生け花、山福さんによるバナナ皮直描きアート、堀川さんによる着彩粘土製コーヒーマグ絵、これらもまた快挙です。さらに、3つの作物はどこが異なっていて何が同じなのか、植物としての特徴や栽培の歴史や実状などを比べながら読んでこそわかるところ、そこを楽しんで欲しいのです。

《この本は、わたしからみなさんへの幸せのおすそわけです。みなさんにとってコーヒーはまだ、「香りはいいけれど、黒くて苦い、オトナの飲みもの」にすぎないと思います。わたしも子どものころ、そうでしたから。飲みものとしてのコーヒーの魅力を知るのは、もう少しあとまで待ちましょう。オトナになればわかります。》 (石脇智広 「あとがき」抄/前掲書 『知りたい食べたい熱帯の作物 コーヒー』p.40)
「知りたい食べたい熱帯の作物」シリーズの3冊を比べてみると、『パイナップル』や『バナナ』がCAM(カム)型光合成や雄花序などけっこうビシバシと用語が繰り出されているのに対して、石脇智広さんが監修した『コーヒー』ではなるべく簡明で平易に説こうという意向が強く表れています。児童向けだから…それは石脇さんの「あとがき」を読んでも感じられるところです。しかし、わたしは子どものころ、《もう少しあとまで待ちましょう。オトナになればわかります》などと大人に言われることが、実に腹立たしくて大嫌いでした。ナニサマのつもりだ、と。

この『知りたい食べたい熱帯の作物 コーヒー』よりも少し前に、『大人のためのコーヒー絵本』(アンヌ・カロン:文 メロディ・ダンテュルク:画 ダコスタ吉村花子:訳 篠崎好治:監修 日本文芸社:刊 2021/原著“CAFÉGRAPHIE: Comprendre le café en 100 dessins et schémas” 2020)という本が発売されました。その中身はとにかくとして、わたしはこの日本語版の題名が好きになれません。知りたいとか食べたい(飲みたい)とかいう話題に、子ども向け大人向けと振り分けすぎるのはうれしくありません。みなさんは何歳であろうと興味があれば、『知りたい食べたい熱帯の作物 コーヒー』も『大人のためのコーヒー絵本』も読んで、そしてコーヒーも飲んでみてください。それが幸せなことなのかそうでもないのかは、みなさん自身が感じることなのです。
なお、『知りたい食べたい熱帯の作物 コーヒー』では、コーヒーの歴史を説明している年表(p.13)に《1500年イエメンに、コーヒーを飲ませる店「カフェハネ」ができる》、と記されています。これが本当のことであれば「コーヒーの歴史が変わった」といえる新説ですが、わたしは何かの間違いではないのかと疑っています。みなさんも、コーヒーを飲みながらいろいろ調べて考えてみてください。