帰山人の珈琲漫考

ドルチェ・ヴィータ

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2013 [2013年04月03日 23時00分]
コーヒーが甘い場合、それは香りか味か?それともコーヒーを考える生活がまだ甘いのか? 狂った連中が集まるコーヒーの‘Dolce Vita’(ドルチェ・ヴィータ)…人生は苦くて酸っぱい? 日本コーヒー文化学会(JCS)焙煎抽出委員会による分科会催事の体裁をとって、その実は珈琲狂3人が東京で有名処の自家焙煎コーヒー屋2店を襲撃の悪乗り集会…あな恐ろし…
 
 
【集会前日のDolce Vita】 2013年3月30日
 
 Dolce Vita (1) Dolce Vita (2) Dolce Vita (3)
駅に着いて迷わず「東京おかしランド」の25分待ち“Happy Turn's”に並ぶ…下衆の極み! “All about Coffee”(William H. Ukers)の初版が出た1922年に創業、その改版が出た1935年より証券屋、その会社が日本橋交差点の角に期間限定で開いた「赤木屋珈琲」へ。Loring Smart(S15 Merlin)を見下ろす2階席で、バフコーヒー・ニャルシザ(ルワンダ)を飲む、果実香はあるがコク弱く味ボケ…「眠られぬ株は持つな、眠たくなる珈琲は焼くな」?
 
 Dolce Vita (5) Dolce Vita (4)
表参道のベネトン前で「ダビデの罪」の現場を検証してから、スウィング(代表:橋本洋子氏)の経営でミカフェート(共同代表:川島良彰氏)が運営する「ミカフェート表参道」へ。ウェーブフィルター(カリタ)で抽出されたカルメン(パナマ)を飲む、プルミエクリュカフェグレードとはいえホセのコーヒーは真味のスペシャルティ…歓談していた常連客より奢られもう1杯(笑)。
 
Dolce Vita (6) Dolce Vita (7) Dolce Vita (8) Dolce Vita (9)
Dolce Vita (10) Dolce Vita (11) Dolce Vita (12) Dolce Vita (13)
「カフェ・バッハ」へ荷を預けて花見へ。東京スカイツリーを見上げつつカモメも翔ぶ隅田川両岸に連なる桜並木を観遊ぶ。向嶋墨堤桜まつりの芸妓茶屋で花より団子を喰い、隅田公園桜まつりで花見の人見、さらに浅草寺と仲見世で桜より人の吹雪に浸り…散策に興ず。
 
 Dolce Vita (20)
「カフェ・バッハ」に戻れば田口護氏と中川文彦氏の眼前に、「マニアックス」山内秀文氏と
百珈苑」旦部幸博氏と「珈琲漫考」拙・鳥目散帰山人の珈琲狂3人が並ぶ…あな恐ろしき「日本珈琲狂会」前夜祭(?)開幕。場を「TENQOO」(メトロポリタン丸の内)に移して会食、東京駅を見下ろす‘鉄ちゃん’垂涎の窓外は眺めずに食と珈琲の談議を延延。ロニョンのポワレが旨い。濁った名前に逆らって澄んだ味わいの白ワインは辛口だし、コーヒー話の論戦も過熱すれば辛口(?)、しかし過ぎ行く時はいと面白き、コーヒー‘Dolce Vita’の夜。
 
 
【集会当日のDolce Vita】 2013年3月31日
 
◎コーヒー屋襲撃1:「大坊珈琲店」
珈琲狂3人(山内氏・旦部氏・帰山人)とバッハ中川氏にJCS焙煎抽出委員会の5人を加え、営業時間前の「大坊珈琲店」に結集。大坊勝次氏の手廻し焙煎を観ながら分科会スタート。続いて大坊氏がコロンビアとエチオピアとブレンドをネルドリップ、これを味わい評しながら、今般の眼目である‘深煎りコーヒーの甘み’を軸に論議を進める。大坊氏が自身の焙煎や抽出に関して語り、その狙うところを皆ですり合わせるという得難い経験、これも味わいか? 開店時間が迫り、論の残余は次の場で。去り際大坊氏より私的感想を求められ辛口論評。
 
 Dolce Vita (14) Dolce Vita (15)
◎中入り:「AUX BACCHANALES」
次の襲撃先へ皆で移動中、「オーバカナル」紀尾井町店に寄り路上席で昼食、私はメバルのポワレ。道向こう、半世紀前の‘9・11’を忘れたか、静かなる清水谷公園の桜を眺める。
 
 Dolce Vita (16) Dolce Vita (17) Dolce Vita (18)
◎コーヒー屋襲撃2:「カフェ・バッハ」トレーニングセンター
「カフェ・バッハ」のトレセンに再集、中川文彦氏による解説付きの焙煎から分科会を再開。大坊氏の手廻し焙煎による深煎りコーヒーをマイスター2.5で再構築し、‘深煎りコーヒーの甘み’を実践追究する大胆な試み。煎り止め指示は私の担当、結果はやや浅過ぎた…弁明すれば、そのまま煎り止めを先送ってもダメ、焙煎の過程まで再構築する必要が果たせないことが敗因。続いて中川氏が焼きたてのコロンビアとエチオピアと私が持参したブレンドをペーパードリップ、これを味わい評しながら、‘深煎りコーヒーの甘み’を軸に論議を進める。さらに旦部氏による‘コーヒーの香味の化学’解説が続き、すり合わせが面白い。最後は‘深煎りコーヒーの甘み’と日本独自のコーヒー文化の基層との連関を論じて散会。
 
◎私的雑感メモ
大坊氏の捉えているニガマとサナマを再認。深煎りコーヒー特有の甘さを参加者皆で感得。その甘さの発生理由は化学的に未だ謎。大坊手廻し焙煎機にできてマイスター焙煎機で再現し難いこと、おそらく逆の特性(マイスターにできて手廻しで再現し難い)もある。深煎りやネルドリップは、その香味特性自体が確かに日本独自のコーヒー文化の基層に関わる。しかし、その基層に通底する象徴として捉えるべきか否かは未だ保留、実態把握が難しい。
 
分科会後に「カフェ・バッハ」で珈琲狂3人と田口氏・中川氏とで懇親歓談、最後のマラウィが旨い。揃って店を出て東京駅へ向かい新幹線に乗る間際まで珈琲狂3人は喋り続けた。
  ※今般の集会の企画・運営に尽力と協力をいただいた、大坊勝次・山内秀文・中川文彦・旦部幸博の各氏に謝意を表す。
 
 
 Dolce Vita (19)
コーヒーが甘い場合、それは実体か誤認か?宇宙が‘無眼耳鼻舌身意、無色声香味触法’であるとしても、コーヒーを探り続ける狂った連中は、鼻根と舌根、鼻識と舌識、香境と味境、香愛と味愛に囚われ続けるだろう。苦くも酸っぱくも甘くも無い駄菓子‘HAPPY Joy’を食べて顔をしかめながら悪乗り集会を想い返す…コーヒーの‘Dolce Vita’…確かに甘かった!
 
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kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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