帰山人の珈琲漫考

エルバの呪い

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2013 [2013年04月05日 06時00分]
アタシどこへコーヒー飲みに行っても洒落たカップばかりに出会ってねぇ。ああいうのが沢山あっちゃ集めるのも容易じゃない、と思ったもんです。だからアタシ考えました。カップよりもせっせと中身のコーヒーを探ってもっと注意深くやりゃあものになるんじゃないか、ってね…アタシはカップにからきしですが、ウチのカミさんへ毎年の誕生日に贈るのはコーヒーカップ。
 
 エルバの呪い (2) エルバの呪い (3) エルバの呪い (4)
2013年4月4日、Richard Ginori(リチャードジノリ)のカップ&ソーサーをカミさんの誕生日に贈る。ここ4年はVecchio(ベッキオ)シェイプばかり、実は240cc容量のティー用カップで。
2010年 ‘Fiori Verdi’(フィオーリヴェルディ:2009年に新発売)
2011年 ‘Se Son Rose Fioriranno’(セソンローゼフィオリランノ:2011年に新発売)
2012年 ‘Capri’(カプリ:発売年不明?の古いパターン)
そして、今2013年は‘Elba’(エルバ:2012年5月に新発売:現時の最新シリーズ)を選ぶ。
 
 エルバの呪い (1)
 《流れるようなレリーフが特徴の人気の高いベッキオシェイプ。2012年5月
  にひとつのシリーズが加わります。その名は「エルバ」。エルバは、イタリア・
  トスカーナ州の歴史ある島の名前で妖精を意味します。ベッキオエルバは、
  グリーンとゴールドが印象的。野に咲くバラやマーガレットなどがあしらわ
  れています。クラッシック音楽を聴きながらの優雅なティータイム、エレガン
  トな食卓を演出する上品なシリーズです。代々のマエストロに受け継がれ
  る伝統のDNAは、正統派のスタイルも守り続けながら進化を続けています。》 
  (2012年4月19日/リチャードジノリ・アジアパシフィック Webサイト) 
 
 《日本には昔からイタリアの高級陶磁器会社「リチャード・ジノリ」製の飾り物
  や食器の愛用者が多い。(略)この会社の歴史は古く、1735年にフィレン
  ツェの貴族カルロ・ジノリ侯爵によって設立された。約160年後の1896年
  に、ミラノの実業家アウグスト・リチャード氏のグループに吸収され、今日の
  「リチャード・ジノリ」の名が生まれたのである。デザインも色彩も、金と深紅
  を主体とした東洋的でクラシックなものから、野菜や果物を主題にしたしゃ
  れた色彩の斬新なものまで、さまざまな世代の愛用者を引きつけてきた。
  だが、現在のように食洗機が普及し、洗浄に適した安い洋食器が幅を利か
  せるようになると、高級洋食器の出番は減ってくる。それとともに売り上げ
  も減る一方になった。5月上旬のさる経済専門紙によると、同社は3千万
  ユーロ(約29億円)の借入金を抱えており、277年の歴史に幕を下ろしそ
  うだという。古き良きものが消え去る時代である。》 (2012年7月15日/
  『産経新聞』外信コラム「イタリア便り 消えゆくジノリ」坂本鉄男)
 
いやぁ、ウチのカミさんがリチャードジノリの大ファンでね。でもコラムの予言通り、リチャードジノリでは昨(2012)年7月に陶磁器の製造が中止されて、11月にはUSAの食器メーカーレノックスによる買収案を受け入れたけれど、今(2013)年1月にフィレンツェの裁判所から破産宣告を受けましたな。4年前2009年の1月にもWedgwood(ウェッジウッド)の経営が破綻したでしょ、その頃までウチのカミさんへ贈っていた多くはウェッジウッドだったんですよ。だからアタシ考えました、もしかしたらアタシからカミさんへ贈ると、製造会社が潰れるんじゃないかって。そんなバカな、って思うでしょ。あともう1つだけ、引っかかることがありまして…
 エルバの呪い (5)
「エルバ」で思い出したのは、‘Able was I ere I saw Elba.’(エルバ島を見るまでは、私に不可能はなかった)という回文で…そう、フランス皇帝にまで上り詰めていたナポレオンにケチがつき始めて、ついに1814年に退位して追放された先がエルバ島。翌(1815)年にナポレオンは島を脱出して復位したけれども、結局‘百日天下’に終わった、ご存知でしょう。
よぅござんすか、リチャードジノリも昨(2012)年5月に新シリーズを出すまでは、経営再建は不可能ではなかった、そう思っていたに違いないんです。あんた何て名のシリーズを出しました?…聞いたね、今の聞こえたね。…あんたポカやりましたねぇ。「エルバ」という名前、だから身売りしようと思っても‘百日天下’に終わったんです。もしもこの先、リチャードジノリが再建したならば、アタシなら新作には‘Saint Helena’(セントヘレナ)って名付けますよ。少なくともナポレオンが褒めたくらいにコーヒーが美味しくなりそうでしょ。まだコーヒーある?
 
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kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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