大阪市の夢洲(ゆめしま)で開かれる2025年大阪・関西万博(4月13日~10月13日)は13日で開幕まで3カ月となったが、準備が万全とは言えない状態だ。入場券の売れ行きは目標の半分止まりで、開幕後の「口コミ」に頼らざるを得ない状況となっている。
入場券は全体で2300万枚の販売を予定で、開幕までの前売りで1400万枚を売る計画。1月8日現在の販売実績は約751万枚と目標の約53%で、ほとんどが企業による購入だ。
万博の運営費の多くは入場券収入でまかなわれるが、赤字を出さないためにはおおよそ全体の8割に当たる1840万枚を売る必要があるという。大阪府の吉村洋文知事は7日、赤字が出た場合の対応について「国、府・市、経済界の3者で協議するというのが今の一定の結論だが、そうならないよう努めていく」と述べた。
「赤字になったらどうにもならん。チケットを買っていない方は、明日にでもコンビニでもどこでも買っていただきたい」。6日、関西の経済人らの新年の集いで、関西経済連合会の松本正義会長は危機感をあらわにした。万博協会の十倉雅和会長(経団連会長)は「企業への追加購入は求めない」と明言しており、個人への販売をいかに伸ばすかが鍵を握る。
しかし、機運の醸成は奏功していない。三菱総合研究所が昨秋、インターネットで実施した万博の来場意向調査では、「行きたい」と答えた人が昨春の前回調査から3ポイント減って24%。地域別では京阪神圏が36・3%と最も高かったが、前回からは7・2ポイント減と深刻だ。
背景には、前売り券の購入手続きの煩雑さに加え、展示内容の「中身」が見えないことがある。
万博協会は展示内容のPRは各国任せの立場だが、1月13日からパビリオンの来場予約が本格化。吉村知事は各国に展示内容を出し惜しみせず、積極的にPRするよう呼び掛けている。予約制を取るか否かも各国の判断に委ねられており、現状は10カ国の採用にとどまっている。
万博協会は開幕までに入場券の販売目標をクリアできない事態を見越し、会期前半に照準を合わせつつある。
魅力的な体験の口コミが早期来場者によってSNS(ネット交流サービス)で拡散されることを期待し、集客のスタートダッシュをもくろむ。会期後半に増加が予想される来場者数の平準化にもつながるため、早期来場者に通期パスの購入特典を設けるほか、関西圏のリピーターを増やす戦略に打って出る方針だ。【東久保逸夫】
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