日本企業の買収戦略「リスク管理難しく」　トランプ氏阻止明言で

　日本製鉄によるUSスチール買収が風前のともしびになった。トランプ次期米大統領は、関税引き上げを脅し文句に相手国に譲歩を迫る手法を多用するが、今回はそうした「取引」（ディール）が成立する余地が少ない。USスチールだけでなく、日本企業による米国企業への投資全体も影響を受けかねない。

　「この買収はUSスチールを支え、成長させるとともに、米産業界、並びに米国内のサプライチェーン（供給網）の強靱（きょうじん）化、そして、米国の国家安全保障を強化するものと考えている」

　日鉄は3日発表した声明で、改めて買収の意義を強調した。

　石破茂首相は3日の衆院代表質問で買収計画について問われ、「個別の企業の経営に関する事案であり、コメントは差し控えたい」としたうえで「日米相互の投資の拡大を含めた経済関係の一層の強化、経済安全保障分野における協力などは、互いにとって不可欠だ」と米国に理解を求めた。

　日本の産業界では、日鉄だけの問題にとどまらないとの認識も強まっている。経団連など日米の経済団体は…