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分断のアメリカを旅する

「全裸オリンピック」に衝撃… リバタリアンの行動様式と思想とは

裸でいる自由を求めるヌーディストが主催するイベントのお知らせ=米ニューハンプシャー州ランカスターで6月17日、國枝すみれ撮影
裸でいる自由を求めるヌーディストが主催するイベントのお知らせ=米ニューハンプシャー州ランカスターで6月17日、國枝すみれ撮影

 ひょっとしたら、米大統領選の結果を左右するかもしれない自由至上主義者(リバタリアン)。その祭りに潜入し、実態を探った後編では、自由を求める彼らの驚くべき行動や、少数派にとどまる理由をリポートする。(前編 米大統領選の勝敗握る? 「自由の国」築くリバタリアンの祭典に潜入

コロナ禍で増えたリバタリアン

 東部ニューハンプシャー州のキャンプ場で開かれているリバタリアンの祭りでは、朝食を一緒に食べることから始まり、眠くて話ができなくなるまで、インタビューを続けた。

 コロナ禍でリバタリアンに転向する人は増えたという。マスク装着やワクチン接種、家にいることを強制されることにうんざりした人々は、そうしない自由を主張するリバタリアンに魅力を感じたらしい。

シリーズ「分断のアメリカを旅する」は、元駐米特派員のノマド記者が、人々の姿を通じて大統領選前後の米国の今を描きます

 全米に散らばるリバタリアンがニューハンプシャー州に移住して、自由の州に変える「フリーステート・プロジェクト(FSP)」計画が約20年前に始まって以来、この州へ少なくとも6000人が移住した。そのペースは2021、22年に急増し、いまもコロナ禍前を上回る。

 キャンプ場に、ドナルド・トランプ前大統領やジョー・バイデン大統領を応援するヤードサイン(看板)はないが、ロバート・ケネディ・ジュニア氏(RKJ)の看板はあった。

 大統領選に「第3党」として出馬を目指したケネディ氏は、暗殺されたジョン・F・ケネディ大統領のおいで、戦争や軍産複合体に反対する環境派の弁護士として知られる一方で、「反ワクチン」活動家として有名だ。

 フリーステート・プロジェクトの元エグゼクティブ・ディレクターのカルラ・ゲリック(52)のイチオシはケネディ氏だ。

 リバタリアンはワクチンの強制接種には一致して反対するが、ワクチンの意義については意見が割れる。カルラはコロナワクチンをうっていないが、アンチバクサー(反ワクチン派)と呼ばれることが不満らしい。

 23年、カルラはケネディ氏をフェスティバルに招いた。ケネディ氏が「演説会場への銃持ち込み禁止」を要求したため、金属探知機を入り口に設置した。リバタリアンは銃を持つ自由を重視する。会場前では、銃排除に賛成するグループと反対するグループが抗議運動をした。

 「とてもリバタリアン的でしょ?」。カルラは笑う。

裸になる自由とは

 驚くべきことに、キャンプ場にはヌーディスト地区もあった。「裸でいる自由」を主張するリバタリアンたちだ。子供の前で裸になったり、裸が描かれた漫画を見せたりしたら大騒ぎになるアメリカで、この自由を主張するのは大変そうだ。

 「ヌーディスト・オリンピックを開催するから…

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