■りんごにカルバドス、それから。
ノルマンディーのカルヴァドス県にて。
カルヴァドスとシードルの造り酒屋を訪ねたところ、ポモ(Pommeou)を飲めという。
おや貴様、これはうまいではないか。甘くて。
りんご酢とカルバドスを混ぜて熟成させたものだという。
メロンに合わせろという。
イヤだ、りんごに合わせる。りんご酒でりんごを食う。
ぶどう酒でぶどうを食う。日本酒でコメを食う。そば焼酎でそばを食う。
だろ?
にしても、カルヴァドスをずっと隠し持っていたフランス、まだこんなものを隠しておったか。
けしからん。
星付きレストランにゃ興味はないが、
場末の食堂で、臓物や脳みそや正体不明の代物は
とりあえず手を伸ばし口に入れ、それで満足する。
円安だろうとユーロ高だろうと、日本じゃ食えないんだから、実に安い。
それより吾輩は、村のマルシェやモノプリやカルフールで、
苦い草と、ヤギのチーズと、トマトのトリコロールができりゃ、
何日だってごきげんです。安くできております。
フランスでテレビをつけていたら、arteでルイ・マル「Lacombe Lucien」が始まった。
初めてみた。これまでみられなかった。美しい。感涙。
仏独共同芸術テレビ局arteには開局したころ愛のコリーダ無修正版はじめ見たことのない映像をたくさん見せてもらった。テレビ番組国営アーカイブINAと並んで日本にないものねだりの大切な存在。
こちらのひとはこんなのを毎日観てるんだよな、タダで。これ観ておきなさい、と教養として教えてもらってるんだよな。映像の教養は大事だが、コレのch観とけで済むのはうらやましい。
(トルコの無課金おしさんは、arteで観た北野「ソナチネ」エレベーターでチャントリのカシラ南方さんらがやる普段着の銃撃を思い起こさせた。)
翌日もarteをつけていたら、これもみたことのない映画。
どうやら先の五輪のころの東京を描いたけったいな映画だが、何だろうこれは。
この手のアメリカ映画になると、とんと教養がなくて、でも困らない。
ノルマンディー、激戦地の近くを歩いていたら立派な墓碑。
フランスのために死す、とある。
一次大戦でたおれた人たちが上段にあり、二次大戦は中段。
目に止まったのは、インドシナ戦争(1939-54)。
その下にはアルジェリア戦争(1954-62)の墓碑。
ぼくが生まれる頃まで戦争を抱えていた。
このあたりもわかってないと、会話を間違えます。
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