かつて自民党で繰り広げられていた総理の椅子を巡る政争劇。野党などあって無きが如くで自民党でトップになることはそのまま国のトップになることを意味していた。そんな政争劇が今度は民主党で起こっている。
 権力闘争はそれ自体が生臭いのが常。しかし、今の民主党の元祖と本家の争いは醜いことこの上ない。どちらが元祖でどちらが本家かはあまり問題ではなく、どちらに正当性があるかが焦点なのだが菅サイドは現時点で政権の座にあるという理由だけで俺の味方になれとしきりに声を挙げている。

 新人議員に踏み絵を迫り、解散をちらつかせて衆院議員を引き込もうとする。
 総理の椅子を守るためにはあらゆる手段を厭わぬ菅直人。だが、その姿はあまりに醜い。
 なぜなら、既に菅直人には民主党のトップとしての正当性を欠くからだ。

 参院選ではそれまで鳩山政権が掲げてきた公約と真逆のことを言い出した。慌てて議論のたたき台にしただけだと撤回したものの、そんな子供騙しの言い訳など通用するはずもなく放っておいても勝てた選挙で大幅に議席を減らし過半数割れとなっただけでなく、参院での第一党の座を自民党に奪われる体たらく。
 この時点で普通の神経ならケジメをつけて退陣するものだが、あろうことか両院議員総会で選挙の現場責任者である枝野のクビを切ることすらせずにいけしゃあしゃあと政権の座に居座っている。選挙で落選した千葉法務大臣もそのまま留任させた挙げ句、当人は死刑に反対する身でありながら死刑を執行しその場に立ち会うというパフォーマンスまでした。千葉法務大臣がそれまで必死に仕事をしたというならともかく。

 経済政策もエコポイントの延長くらいで自民党のパクリ。公約は守らず、政策は自民党と変わらない。政治とカネを持ち出すレンホーはすっかり勘違い。目的と手段を取り違え、事業仕分けありきでしか物を言えない。クリーンな政治を求めたから民主党が勝ったのではない。ネズミを捕る猫になってくれるかもしれないと思ったから勝てたのだ。
 岡田は起訴されようとしている人が立候補するのは違和感があると推定無罪を知らないとしか思えない発言。だいたい、検察審査会の小沢一郎に関する起訴案件は特捜が1年かけて必死に粗探しをしてもクロにできなかった捏造同然の代物。端から起訴することでイメージダウンを目的としたものでしかないというのに。

 これで、正規軍でございと言える菅直人の気が知れない。
 しかも3年後にダブル選挙をすればいいとまでほざく危機感の無さと国民に対する鈍感さ。
 小沢が立つことそのものが罪であるかのような暴言、そして度量の小ささ。

 コイズミの時のようなやけくそ解散をやってきそうな気もするが、それならそれでやってみたらいい。国民を裏切った怒りをその身に受ければいい。いっそ、現役の総理大臣が選挙で負けるという憲政史上二度と起こりそうもない事件の主役になってもらおう。マスゴミが流し続ける支持率という幻影に酔い続けるのは内側にいる者だけだ。

 どう考えても菅直人が総理大臣であり続ける理由がない。