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『アイテム』と美琴のガチバトル!「とある科学の超電磁砲」5巻

とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の超電磁砲 5 (電撃コミックス) とある科学の超電磁砲 5 特装版―とある魔術の禁書目録外伝 (電撃コミックス)

 「とある科学の超電磁砲」の5巻が発売されました。
 2クール続いたアニメも終わり、今度は原作「禁書目録」の第2期が決定したこの作品。この作品の勢いは衰えることはなく、むしろ更に加速している――そんな事を感じた一冊でした。
 「禁書」で生かされなかった設定や、描かれていなかった部分を掘り下げていくこの作品。随所に「禁書」との繋がりが見えてきて、非常に面白いです。


 一方通行をレベル6に進化させるという「絶対能力進化計画」を中止させるべく、計画の関連施設を潰していく美琴。木山の言った「限りなく絶望に近い運命」に抗うべく、誰にも頼らず、自分の力で全てを片付けようとします。
 布束に「私を誰だと思ってるの?」と言い放った美琴。直接一方通行を倒すことは叶わずとも、研究施設の破壊くらい、レベル5である自分ならできるんじゃないか。そう思っていた美琴は、やがて更なる絶望へと沈んでいくことになるわけですが、それはもう少し先の話。

 印象的なのはその目。この計画を潰してやる――その思いだけに支配され、片っ端から関連施設を破壊する機械と化した美琴。その狂気に支配されたような目が何よりも印象的で、美琴の絶望がいかに深いものだったのかを思い知らされます。


 そんな美琴の前に立ちはだかったのが、学園都市の暗部で活動する組織である『アイテム』。研究施設の防衛を依頼された彼女らと美琴が戦うシーンが、この巻一番の目玉です。美琴が現れた施設で待機していたのはフレンダでした。
 原作「禁書目録」では15巻で登場した『アイテム』、そのメンバーの中でもフレンダといえばとりわけ不遇なキャラでして、そんなフレンダの活躍が見られるというのは嬉しいですね!

 原作では明らかになっていなかったフレンダの能力ですが、どうやら「能力を主軸としない」キャラである様子。あらかじめ仕掛けておいた爆弾を使い、巧みに美琴を追い込んでいきます。しかし美琴も流石のレベル5。フレンダの仕掛けた罠だらけの建物で、フレンダのハッタリに引っかかったりしながらも、最終的にフレンダを追い詰めます。
 やはりレベル5である美琴のガチバトルは読んでて面白いですね!原作では美琴がその力を振るう機会は少ないだけに、美琴の活躍が見られるこの「超電磁砲」はやはり素晴らしい。

 普段ならいざ知らず、今の美琴に容赦はない。仲間の情報を吐かなければ黒焦げにするとフレンダを脅し、情報を引き出そうとしますが、そこに『アイテム』の仲間が駆けつける。
 情報を漏らしかけたフレンダ。こういうシーンでもフレンダの性格が見えてきて、原作既読だとニヤリとできますね。


 美琴はそのままレベル5の第四位、「原子崩し」の麦野との戦いに突入。しかし美琴は連日連夜施設潰しを続けており、さらにフレンダ戦の直後。万全ではなく、更に相手には「能力追跡」ができる滝壺がいる、と非常に不利な状況。それでも上手いこと立ち回り、ほぼ限界まで能力を使ってなんとか脱出。施設の破壊にも成功します。

 こうして計画を撤退に追い込んだかに見えた美琴ですが、計画は外部の施設に引き継がれ続けられているとは露知らず。そんな状況で美琴は当麻と出会い――。
 ここから原作3巻の、美琴とミサカが出会うシーンに繋がっていくわけですが、まさかそれまでにこんな戦いがあったとは。既に一度計画を撤退に追い込みかけていたとは、そりゃあミサカと出会ったときの衝撃は大きかったことでしょう。「自分のクローンがいる」とはまた別の意味で。

 次回以降も原作と大筋では同じ展開になるのでしょうが、スピンオフならではの美琴の心情を掘り下げた展開が描かれるでしょうから期待。今から6巻の発売が楽しみで仕方ないぜ…!


 そして、今回も例によって特装版商法が行われているわけですが、その付録「偽典・超電磁砲」も面白いです。いつぞやの「とらドラ!vs禁書目録」に収録された美琴のパンツに関する熱い話もさることながら、「デュラララ!!」作者・成田良悟によるトリビュート小説「とある自販機の存在証明」がガチで面白い!

 原作「禁書目録」の設定、アニメ「超電磁砲」の設定を非常に上手く絡めてきた話作り。オチのつけ方も素晴らしく、まさかあのキャラを、こんな形で話に絡めてくるとは。二次創作とはかくあるべし、と言いたいくらいの完成度でした。これは必見ですよ…!
 本当「禁書目録」は幸せな作品だなあ、と思ったのでした。



とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の超電磁砲 5 (電撃コミックス)
鎌池 和馬
アスキー・メディアワークス (2010-06-26)

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