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まずは『今』に全力投球。「ロウきゅーぶ!」4巻

ロウきゅーぶ!〈4〉 (電撃文庫)

 既に5巻が出てますが、そんなことは気にせず「ロウきゅーぶ!」4巻の話でも。4巻は強豪・硯谷女学園との合同練習合宿の話。

 前半は相変わらずの展開なんですが、3巻で大活躍だったが最初から登場することで、小学生組とのラブコメとはまた違った面白さが。女子小学生と昴の仲睦まじい関係に嫉妬する葵かわいいよ葵。一つ一つの言動を疑い、誤解を深めてドツボにハマっていく様は、何ともこの作品らしいなあと思いました。
 いやまあ巻全体で見たとき「葵、引っかき回す以外のことほとんどしてないな…」と思ってしまったのは秘密だけどな!1巻をプッシュする時は「ロリ要素は、まあ、無いとは言えないけど、スポコンだよ!」と言ってきましたが、巻が進むにつれ、ロリという素材を生かした話作りにこなれてきたなーという印象です。いやはや。大変おいしくいただきました。

 新キャラ・麻奈佳も可愛いですね。やっぱり女子小学生メインの作品だからこそ、こういう昴の同世代~ちょっと上くらいの女子キャラがいい刺激になっています。昴と似たような境遇でありながら、少女たちのコーチをすることに対する重みが全然違う麻奈佳。昴はそんな彼女から、目標に向かって頑張るのも大切だけれど、『今』を楽しむことも大事なんだということを学びます。


 そして最終章の試合が凄く面白かった…!全力を出さず、斜に構えた態度を取っていた硯谷女学園のエース・未有。麻奈佳は、そんな未有をコートから追い出します。「本気でやってなかっただけ」というのは、本気でやっている人間に対する最大の侮辱。一つ一つの『今』の試合に全力を出さない人間に、コートにいる資格はないのだと。
 先ほどまで凄く優しい先輩だった麻奈佳が冷たく言い放つあたりが凄いインパクトです。もちろんこれも麻奈佳の優しさであることは言うまでもありませんが。今回の巻のテーマともマッチしていますし、智花に対する強力な同世代のライバルを出現させつつも、超強豪校相手に緊迫した試合展開にさせるあたりはもう…!

 最初はそれぞれのチームにおいて試合に対する意気込みにだいぶ熱量差があったわけですが、試合が進むにつれてそんないざこざ・やる気のなさを忘れて目の前の試合に全力投球するあたり、青春と言わずして何と言おうか。
 終わってみれば、ちゃんと親睦を深め、互いに切磋琢磨でき、試合には負けたもののすっきりとした気持ちで合宿を終え、今後への課題を見据えることが出来たという。うーん、構成的にも内容的にもいい話でありました。


 バスケの試合もちゃんとチームとしてのまとまりが出来てきており、その成長スピードは早過ぎるんじゃないかという気はするものの、それはあれだ、1巻でもあった「小学生って最高だな。」って奴ですよ。一人一人がしっかりと自分の役目を果たし、ベストを尽くそうとするあたりは、本当素晴らしかったなあと思います。

 そして昴の鈍さも相変わらず上手くコントロールされていて、だけどそこが相変わらず面白い。葵と昴のドタバタ劇も、この作品のひとつの魅力といえましょう。

 各巻ごとの流れが若干テンプレ化している感は否めないものの、それで安定した面白さを叩き出せているのだしいいんじゃないかな、とも。ただ試合に対するモチベーションによって面白さが左右されてしまうのは事実で、2巻はそういう点で少し物足りなくもありました。
 しかし、そういう意味で言うならば今回の4巻は、1巻に届くんじゃないかというくらいに面白い試合パートでした。こういう熱い試合が今後とも見られることに期待します。

 ああもうとにかく面白かったんだよ!
 2010年、当ブログ一押しの作品は昨年から引き続き「ロウきゅーぶ!」です。オススメ。


これは是非読んでみて欲しい、ガチで面白かった「ロウきゅーぶ!」
葵が王道的幼馴染キャラで最強すぎる「ロウきゅーぶ!」3巻


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