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2012年を振り返る - ライトノベル編

 あけましておめでとうございます。
 毎年「今年は更新頑張ります」って言ってるけど全然達成できてないので、今年はマイペースに更新していく方向で。今年もよろしくお願いします。

 さて、ラノベの感想をほとんどブログで書かなくなったこの頃ですが、2012年ぷらずまだっしゅ!的ラノベランキングをお送りします。毎年ベスト5にするかベスト10にするか悩むんですが、今年もベスト5で。


5位:「なれる!SE」



なれる! SE7 目からうろこの?客先常駐術 (電撃文庫) なれる! SE8 案件防衛?ハンドブック (電撃文庫)

 この業界の怖さを知ることができると同時に、それでもちゃんとラノベとして楽しめるよう仕上げているこの作品は凄いと思うのです。今年は客先常駐の話を描いた7巻のインパクトが凄かった。本業の人は読んでると胃が痛むという話を聞いたりもしますがそれも仕方ないのかもしれぬ。
 どうでもいいですが8巻で「釘声」とか言われてたけど室見さんCVくぎゅじゃなかったですね……。


4位:「冴えない彼女の育てかた」



冴えない彼女の育てかた (富士見ファンタジア文庫) 冴えない彼女の育てかた 2 (富士見ファンタジア文庫)

 あの丸戸史明が手がけるライトノベル。分かる人には分かるネタが軽快なコメディの中に織り交ぜられていて、読んでて実に楽しいです。2巻からはちゃんとキャラの掘り下げも始まり、ラブコメとしても楽しみなシリーズになりました。気軽にサクッと読めますし、実にラノベらしい作品に仕上がってるのではないでしょうか。
 丸戸作品にも手を出してみようかと思いつつ、そういや「パルフェ」途中で放置してたことを思い出すのであった。「ホワルバ2」とかもやってみたいとは思いつつなかなか手が伸びないこの頃なのです。


3位:「天鏡のアルデラミン」



天鏡のアルデラミン―ねじ巻き精霊戦記 (電撃文庫 う 4-4) ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンII (電撃文庫)

 このラノで知って手を出してみたら面白かったので。内容としてはファンタジー世界をベースにした戦記モノで、智略系の主人公が指揮官となって無能な上官の元で頑張って隊を率いていく感じの作品です。やってることは「皇国の守護者」なんですが、ラノベらしく味付けされていて軽快に読めるし、けれど落とすところはちゃんと落としてきて、ページをめくる手が止まりません。
 ガジェットとしての「精霊」がどう機能していくのか、そして斬新な「最終目標」に向かって物語がどう展開していくのか。今後も楽しみな作品です。


2位:「魔法少女育成計画」



魔法少女育成計画 restart (前) (このライトノベルがすごい! 文庫) 魔法少女育成計画 restart(後) (このライトノベルがすごい!文庫)

 魔法少女達によるバトルロワイアル作品。後書きで「いかにしていたいけな少女たちを殺すか」とか書いてあるようなゲスい作品です。魔法少女達が「運営」の悪意に翻弄されて互いに殺し合い、後には何も残らない。けれどそれが面白い。「restart」の方もテイストは違うけれど、根の部分はやはり変わりません。
 魔法少女各自の能力を生かしての殺し合いはもちろん、その能力の真の効果を考えながらの駆け引きも実に面白いです。特に続編「restart」の終盤の展開は圧巻の一言で、予想を裏切られっぱなしでした。凄い作品が出てきたなあと。更なる続編が出るのかはわかりませんが、コミカライズとかも決まっているようなので期待したいところです。


1位:「ノーゲーム・ノーライフ」



ノーゲーム・ノーライフ1 ゲーマー兄妹がファンタジー世界を征服するそうです (MF文庫J) ノーゲーム・ノーライフ2 ゲーマー兄妹が獣耳っ子の国に目をつけたようです (MF文庫J)

 ゲームに特化した天才兄妹がゲームで全てを決める異世界に召喚され、世界を征服していく作品。「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」と非常に似通った構造ですが、個人的にはこっちが断然好みでした。いや「問題児」も面白いですけども。「問題児」のギフトゲームが本質的には「バトル」になっているのに対し、こっちはちゃんと「ゲーム」なのが良いですね。
 人を傷つけることが禁じられている、本当に「全てをゲームで決める」世界なので、その肝である駆け引き・頭脳戦が実に面白い。ラノベらしいキャラの配置とそこから生まれる掛け合いも楽しいです。ファンタジー世界だからこそ成し得る「超健全なエロス」の発想は流石になかった。1月には3巻も出るし、作者の奥さんによるコミカライズも決まっているということで、今後の展開が非常に楽しみです!


 次点としては、ちゃんと空太が結論を出した「さくら荘のペットな彼女」、アリシゼーション計画の解説が琴線に触れまくりだった「ソードアート・オンライン」、2巻後半のルゥの演説に一気に引き込まれた「楽聖少女」あたり。
 例年よりも読書量が落ちた1年でしたが、これ絶対モバマスのせいだ……。

 それでは、2013年も面白いラノベに出会えることを祈って。

2011年を振り返る - ライトノベル編
2010年を振り返る - ライトノベル編
2009年を振り返る ~ライトノベル編~
2008年を振り返る ~ライトノベル編~

| ラノベ | 23:57 | comments:0 | trackbacks:0 | EDIT

そして始まる最終決戦 - 「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」11巻

俺の妹がこんなに可愛いわけがない(11) (電撃文庫)

 「俺妹」10巻のラストがいかに素晴らしかったかに関して語り始めると11巻の記事だということを忘れそうになるので避けますが、あやせたんファンとしてはあのラストからどう続くのか正直読むのがちょっと怖かった、そんな「俺妹」11巻は過去話中心の麻奈実のターンでした。あやせファンは安心して読むといいよ!

 今回は過去の出来事を描いて、桐乃が京介を嫌うようになった原因が明らかになるという話。印象的だったのは麻奈実の怖さ。そんなあっさり裏サイト潰せるほどのキャラとか、もはやクラスの影の支配者レベルと言えよう。

 何で前回のラストの展開から過去編に繋がるんだよと思ったりもしてましたが、過去編が終わってからの展開を読んでると、ああこれは12巻のためのお膳立てだったんだな、というのがわかって納得。
 桐乃が、黒猫が、麻奈実が、あやせが、それぞれの想いを持って臨む最後の数ヶ月の最終決戦。10巻ラストのあやせのターンはその幕開けだったということも判明し、こりゃ楽しみにせざるを得ないというものでしょう。


 今回京介は「好きな人がいる」ことを明確に宣言しました。ここまでやっておいてお茶を濁すような終わり方にはしないでしょう。きっちり決着をつけてくるはず。面白いのは、誰が京介と結ばれるエンドになっても納得できる感じがするところ。

 この作品は普通のハーレム作品と違って、いわゆる「メインヒロイン」の位置に主人公と血が繋がった妹である桐乃がいて、メインヒロインと結ばれることに問題があるという物語設定なので、京介が誰とくっつくのか割と読めないのです。
 そんな訳で桐乃はメインヒロインでありながら「結ばれてはいけない」ポジションなので、桐乃との関係をどう決着させるか、が注目ポイント。「仲の良い兄妹」に落ち着くのが無難ではありますが、そこはこの作品、もう数歩進んだ禁断の展開を見せてほしい気もします。

 京介が誰かに告白するのであれば、まあ黒猫が本命ポジションかなあという気はします。実質最初からくっついてた麻奈実も有力ではあるけど、物語で何かを積んだわけではないので、黒猫の方が優勢な感じ。それに幼なじみは敗退するのがセオリーですし(ひどい
 京介のあやせへの告白はコメディチックだったのであやせの線は薄いかなという感じですが、桐乃を誰よりも想ってくれてるのはあやせですし、ファンとしてはやっぱりあやせを応援したい。ラブリーマイエンジェルあやせたん!

 え、加奈子? ガチャのSR確率でも水増しするつもりか!(ごめんなさい


 しかしニュースサイトが出てくる話題性とかんざきさんの絵に惹かれて手に取ったこの作品がここまで来るとは感慨深いです。満を持しての最終12巻で果たしてどのような決着がつけられるのか。今から楽しみでなりません!


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| ラノベ | 23:08 | comments:0 | trackbacks:0 | EDIT

2011年を振り返る - ライトノベル編

 2011年を振り返るシリーズ、第2弾はラノベ編!
 自分にとっては豊作だった昨年に比べると若干勢いが落ちた感があった今年ですが、それでも多くの面白い作品と出会うことが出来たかなと。今年はベスト5の選定です!


5位:「ココロコネクト」



ココロコネクト ヒトランダム (ファミ通文庫) ココロコネクト ミチランダム (ファミ通文庫)

 昨年出会ったラノベの中ではナンバーワンだったこの作品、今年も面白かったです。1月に出た「ミチランダム」は、この作品がやはり傑作であると再認識できる素晴らしい出来でした。強いて言うなら伊織派な自分としては、4巻ラストの展開はえええええという感じでしたが。いや稲葉んも可愛いんだけどね!
 ただ新入生が加入してきた5巻以降の舵取りには若干不安を感じていたり。続けるにせよ終わるにせよ、来年のこの作品の展開は作者の力量が問われるところかなと思っています。満を持してアニメにもなるわけですし、来年も期待です!


4位:「アイドライジング!」



アイドライジング! (電撃文庫) アイドライジング!〈3〉 (電撃文庫)

 電撃文庫の期待の新鋭。今年の電撃大賞関係では一番面白かった作品だと思います。CUTEGさんの挿絵もさることながら、本編からもアイドルの輝きというか眩しさというか、そういったものが伝わってきます。ストーリーの方もかなり王道的で、だからこそ外さない感じ。可愛いアイドルたちが百合百合してるのも実にすばらしいですね!
 あと作品の節々で作者の熱量というか、マニアックな部分の描写に異様に力が入ってるのも面白い。特に3巻の「おしりずもう」シーンの描写には声を上げて笑ってしまいました。もう空気が違うんだ、あのシーンだけ異様に描写が凝っていて、作者の愛に包まれているんだ……! 何を言ってるのかという話ですが、今年の新人作品ではひときわ輝いていた作品かなと。来年も楽しみ。


3位:「俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる」



俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる (GA文庫) 【Amazon.co.jp限定カバー】俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる 4 (GA文庫)

 自分がこの作品をランキングに入れるとはなあ、などと思いつつ3位にしてみました、話題作「俺修羅」。世間では1巻から大人気でしたが、自分は1巻を読んだ時点では微妙に感じていた人でして。でも3巻・4巻がすごく面白かったんですよね。まさに「尻上がり」に調子を上げてきているといえましょう(アイドラからの流れで)
 ランキングに入れた決め手は4巻の終盤、特にラスト3ページでした。この展開が好きすぎる。ここからの展開次第ではマジで化けるんじゃないかなと。と言いつつも多分「はがない」みたいに「安定だけど、化けはしない」展開を続けていくことになるのかなあとは思うんですが、それでも楽しみです。愛衣ちゃん大勝利ぃぃぃ♪


2位:「魔法科高校の劣等生」



魔法科高校の劣等生〈1〉入学編(上) (電撃文庫) 魔法科高校の劣等生〈4〉九校戦編〈下〉 (電撃文庫)

 昨年からTwitter等では話題になっていましたが、電撃文庫から出るということでチェックしてみたらなかなかに面白そうで、1巻を読んだ直後にWeb版を全部読んでしまった作品。設定等の説明が長く読みにくさはあるものの、それを補って余りある魅力を持つ作品かなと。
 俺TUEEEEEE作品は大好きなんですよ! やっぱり読んでて気持ちいい。Web版も全て読みましたが、文庫版3巻~4巻にあたる第2章が一番好きですね。もちろん設定がちゃんと練ってあるとか妹が可愛いとかヒロインズが可愛いとかも含め、とにかく面白い作品。特にこの作品における妹・深雪の兄大好きっぷりは見ていて満ち足りてしまうレベル。
 来年も精力的に刊行が続くでしょうし、2年生編以降も含めて楽しみです!


1位:「図書館戦争」



図書館戦争  図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫) 別冊図書館戦争II (図書館戦争シリーズ 6) (角川文庫)

 最初に出たのはだいぶ前で、アニメ化もされているこの作品。文庫化されたのが今年というだけなので今年のランキングに入れるか正直悩んだんですが、今年出た作品であることに変わりはないし、何より面白かったので。ラノベかどうかも微妙な気はしますが、面白かったんだから仕方がない。
 図書館の本を守る図書隊隊員の話で、本が好きな人、そして何よりラブコメが好きな人には全力でお勧めしたい作品。今年読んだラノベ・小説の中では一番のヒットでした。その圧倒的なベタ甘ラブコメっぷりに悶絶すること必至! 読み終えた後の圧倒的満足感、たまらんですよこれは。本編が終わった後の「別冊」シリーズも素晴らしい。非常に好みなラブコメでした。ずっとこの作品世界に浸っていたいほど。
 これは改めてレビュー書きたいなあと思うこと半年。そろそろ何か書きたいですね……。


 ということで、例によって手堅い選出をしてみましたという2011年ラノベランキング。今年はあまり開拓できなかった気がしつつも、100冊以上は読んでるのでまあ読んだ量的には平年並だったのかな。2012年も面白い作品と出会えることに期待!

| ラノベ | 22:27 | comments:0 | trackbacks:0 | EDIT

衝撃の事実が明らかになる「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」2巻

 アニメ「電波女と青春男」のOP、「Os-宇宙人」が程よい電波ソングで良い感じですね。中毒になりそう。電波女に関しては、文体が取っつきにくくて原作を1巻でドロップアウトしてたんですが、今回アニメでその先まで見れそうで楽しみ。

 さて、本題ですが。相変わらずタイトルが長い「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」、略して「おにあい」の2巻です。

お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ2 (MF文庫J)

 表紙は妹からヒロインの一人、アナに交代。しかしやはり素晴らしい表紙。この作品のイラストレーターである閏月戈さんは、こういった難しい構図の絵が上手いなーと思います。

 キャラ紹介がその流れを引き継いで行われるのも同じですが、キャラが交代した分だいぶ印象は違う感じに。でも紹介方法でアナの個性が出まくっていてこれはこれでアリですね。


 さて、今回の本編は表紙キャラが変わったことからも予想がつくように、アナがメインの巻……かと思いきや、意外にも妹を含めた各ヒロインにほぼ平等に出番があります。
 しかし1巻と比べてしまうと、やはり妹分はだいぶ減少。ここは今回少々物足りなく思ったところで、妹の可愛さで持たせたような作品なのに、妹分減らして大丈夫なの?という。

 結論から言えば、そこまで問題はありませんでした。
 確かに妹分は減りましたが、他のヒロインのお宅訪問が開催されたことで、ヒロインズのキャラが立ってきています。やはり表紙になったアナが相対的には活躍している気がしますが、他のキャラも1巻時に比べるとだいぶ印象が変わりました。

 妹以外のキャラとの掛け合いも、ちゃんと安心して読めるクオリティは保っていますし、他のキャラに兄を取られて必死の抵抗を試みる妹の姿もまた可愛いものです。やはりこの作品は妹に支えられているな!


 そして今回のストーリー的なメインは実は兄。1巻では妹がどれだけ兄を好きか、ブラコンなのかが描かれたわけですが、今回の2巻ではそんな兄は妹をどう思っているのか、という話が描かれました。そして兄の仕事についても明らかに。

 前半の流れからして予定調和な感じに終わる、つまり他のキャラとの会話を通して「兄も割とシスコンである」というのが浮かび上がってくる構成なのかと思いきや、結末は予想外の方向に。というかこの展開はちょっと想定してなかったw


 展開としては1巻と合わせてようやく導入編終了という感じ。最後の展開からして、妹分がこれ以上増える展開があまり想像できなくてそこはやや残念なんですが、きっちりフックを作ってきているので何だかんだで次巻が楽しみ。

 次回予告のような形でフックを作るのはどうなのかなとも思うけど、気になるものは気になるわけで。ただ既にキャラ紹介は終わっているので、これ以降掛け合いだけでなく展開でも面白さを見せられるかどうか、そこが勝負になってきそうです。次巻も同じテイストだとちょっと厳しいかなあ。好きなんだけどね、こういう作品。

 正直イラストに釣られている感はあるんだけど、ちゃんと計算して作っているなというのが感じられて、何だかんだで気になってしまうタイプの作品なのです。展開の遅さが気になるので、勿体ぶらずに展開を進めてくれればなかなか良作になるのではないかと思います。

 つまり今回も結論は同じ。「表紙が気になったら買う価値はあるよ!」ということで。よろしくお願いします。

表紙買いする価値はある「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」


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| ラノベ | 23:55 | comments:0 | trackbacks:0 | EDIT

表紙買いする価値はある「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」

 お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ (MF文庫J)

「この地球には何十億という人間がいますけど、その中でブラコンの対象になりうる人間が何人いるというんです?(中略)お兄ちゃんはまず、その稀少性を正しく認識するべきです」

 ちょっと長いけどインパクトのある露骨なタイトルと、素晴らしい表紙絵が目を引くこの作品、「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」。内容も表紙とタイトルの期待を裏切らない感じとなっております。


 まず触れておきたいのがイラストとデザイン。
 この素晴らしい表紙絵! こんな可愛い妹が「ねっ♥」とか言ってるんですよ。これを見て表紙買いした人も多いのではないでしょうか。無論自分もその一人なのですが。

 そしてこの表紙、実は妹が兄に向けてタイトルコールしている設定でして、表紙をめくってからの扉から口絵部分にかけては表紙を引き継いだ流れでキャラ紹介が行われます。まずタイトルを受けての兄の反応。以降は兄と各キャラとの対話形式で、登場するキャラを把握しつつこの作品の雰囲気を感じ取ることができます。

 最後の目次ページでは、兄妹間の恋愛なんて諦めろと言われた妹が、それでも愛さえあれば関係ないですよね? と読者に訴えかけてきます。そんな妹の姿を見たら胸がキュンとなっちゃいますよ。胸キュンですよ。そうだよ愛さえあれば関係ないよ!と、この表紙~カラーページ部分だけでそう思わせてしまうだけの破壊力があるんですよ。
 妹の可愛さをひたすらに引き立てる、そんな一貫した「デザイン」が素晴らしいと思うのです。

 もちろんそれを支えるのはイラストの可愛さ。口絵だけでなく、挿絵まで含めて非常に高いクオリティで安定したイラストなので、それを眺めているだけでも非常に高い満足感が得られるというものです。いい仕事してるなあ。


 さてさてそれでは本編はといえば、期待に違わず妹と兄のいちゃいちゃふたり暮らし生活を描いたものとなっています。妹は可愛いし、そんな妹の兄へのアプローチも楽しいし、妹と兄の掛け合いも楽しいし、妹が兄から褒められてニヤニヤしちゃうところとかも含め、タイトルに偽りない作品です。

 ストーリーとしては完全に続きを前提とした作りになっていて、妹以外のヒロインズが登場し、顔見せが終わったところで1巻は終わります。あちこちに露骨に散りばめられた謎も解き明かされず、丸投げで終わってしまうので消化不良感はあるかも。妹以外のヒロインは「妹に立ちはだかる障害」としてしか現段階では描かれておらず、キャラが立っていないのもややマイナス。

 ほぼ導入オンリー、起承転結で言えばほとんど「起」しか描かれていないこの作品。一応最後に次巻への引きとして爆弾が仕掛けてありますが、ぶっちゃけ想定の範囲内ではありましたし。
 正直なところ、1巻の中でも起承転結を用意してほしかったかな。一区切りつかないまま終わってしまうという点で、やや物足りなさはありました。

 つまり1巻単体で見ると、妹の可愛さくらいしか描かれていません。しかし、しかしですよ。逆に考えればこの1巻は、本編はもちろん表紙から口絵に至るまでひたすらに妹の可愛さを描いた巻であって、表紙を見て手にとった読者への期待には十分答えられているんじゃないかとも思うわけです。


 他ヒロインズという障害に妹がどう立ち向かっていくのか、今後に期待できる作品だと思います。続編前提ということで色々仕込まれてますし、「妹が可愛い」それだけで2巻を手に取ってみようと思える作品でした。
 ちなみにこの感想は2巻が出てからの更新になりましたが、実は2巻発売前に書いたものなので、2巻の影響を受けてはいません。

 まとめると、「気になってる人は表紙買いする価値はあるよ」ってことで。妹の可愛さは保証できるよ!


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| ラノベ | 23:29 | comments:0 | trackbacks:0 | EDIT

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