書評『生殖記』朝井リョウ著
書評『生殖記』朝井リョウ著
いやはや驚いた。『正欲』で柴田錬三郎賞を受賞した朝井リョウの新作が、まさかこんなに人をくった設定だとは思わなかった。男性のあるものに宿る「私」が語り手をつとめる小説なのである。
男性は、家電メーカーに勤める33歳の達家尚成(たつやしょうせい)。独身で、過去に女性経験はない。いや尚成は「異性愛個体」ではなく「同性愛個体」であり、それをずっと隠して生きてきたし、男性との体験もない。そんな尚成の日々の…
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