朝井リョウ「イン・ザ・メガチャーチ」(358)
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ドアが開いて、国見が口を閉じた。電話を終えた橋本が戻ってきたのだ。
違う。俺は意識を記憶から現実に切り替える。
まるであのときの橋本みたいに、生配信の画面に当然のように映り込んできた人物がいるのだ。
向かって右側から侵入してきたその人は、すぐにこちらに背を向けたので顔は映らなかった。というか、多分、この空間が生配信されているということを知らないようだった。
『なんか来たな』『警察? じゃないよね...
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