ヘンリー・クラビス 私の履歴書(18)試練
KKR共同創業者兼会長
2000年代は米国にとって極めて厳しく、大揺れの時代だった。予想もしない危機からどう立ち直るのか。個人も企業も国家も試された。
幕開けは01年9月11日の米同時テロだ。私はフランスのパリに仕事で来ていた。
「飛行機がワールド・トレード・センターに突っ込んだ」。ニューヨークの秘書からの急報でテレビをつけた。信じられなかった。建物が崩壊したとき、逃げ遅れた人たちを思って涙があふれた。
1963年の大...
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米投資会社KKRの共同創業者兼会長、ヘンリー・クラビスさんは企業買収ファンドの仕組みを1970~80年代に創り、発展させました。それからほぼ半世紀。業績が低迷する企業を再生し、さらには市民も一緒になって繁栄する資本主義の実践に力を注いだと振り返ります。派手な買収で付いた「野蛮人」というレッテルに苦しみ、私生活では19歳の長男を事故で失うなど必ずしも順風満帆ではありませんでしたが、共同創業者でいとこのジョージ・ロバーツさんとの二人三脚でKKRの事業を育ててきました。その原点は祖父が米国に移民して以来続く「助け合う」家風を企業経営に生かしたところにあると記します。世界的に著名な投資家の言葉は、今まさに成長を迫られている日本経済にもヒントを与えるでしょう。