ヘンリー・クラビス 私の履歴書(17)多角化
KKR共同創業者兼会長
KKRは1976年、プライベート・エクイティ(PE)投資の会社として創業した。良いビジネスを持っている会社を買収し、もっと優れた会社にする。お金を預けてくれた投資家に利益をもたらす。
だが今、PEは運用資産の3分の1に過ぎない。投資先を多角化してきたからだ。
2004年、融資や社債投資の「クレジット(信用)事業」を立ち上げて多角化は始まった。ただ進化の種は、ずいぶん前から植えられていた。世界中で...
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米投資会社KKRの共同創業者兼会長、ヘンリー・クラビスさんは企業買収ファンドの仕組みを1970~80年代に創り、発展させました。それからほぼ半世紀。業績が低迷する企業を再生し、さらには市民も一緒になって繁栄する資本主義の実践に力を注いだと振り返ります。派手な買収で付いた「野蛮人」というレッテルに苦しみ、私生活では19歳の長男を事故で失うなど必ずしも順風満帆ではありませんでしたが、共同創業者でいとこのジョージ・ロバーツさんとの二人三脚でKKRの事業を育ててきました。その原点は祖父が米国に移民して以来続く「助け合う」家風を企業経営に生かしたところにあると記します。世界的に著名な投資家の言葉は、今まさに成長を迫られている日本経済にもヒントを与えるでしょう。