『世界最古の共和国としてのアメリカ合衆国』
イタリア内陸中部の人口3万人のサンマリノが世界最古の共和国なのですが、あまりに小さすぎて本当の意味での独立国とは言いがたい。
実質的には現存する世界最古の『共和国』とは、実は人口3億人の超大国アメリカ合衆国なのです。
『アメリカは歴史の浅い国』とは、良く聞く話ですが私はこれを聞く度に『アメリカ人の病巣』を見る思いです。
日本国憲法が60年経ち、『古くなっている』ので今では現状に合わないなどとの説も出るのですが、アメリカ建国はフランス革命よりも十数年も早いのです。
建国時の憲法は時代が変わっても多少の語句の修正が加えられただけで実質的には、まったく同じで『変わっていない。』
日本の60年どころか、アメリカは250年間も全く変わっていない。
このことは選挙制度でもいえて大統領選挙が今では不思議すぎる大統領選挙人を選ぶ間接選挙になっていて、しかも勝者が総取りする奇怪な制度のままで選挙で最大多数派のゴアが負けて数十万票も少ないブッシュが勝つ不思議な逆転現象が起こる。
これは建国時の馬程度しか無かった交通事情と建国父祖たちの国民に対する不信感が原因しているのですが、時代が変わっても改める気配すらない。
『アメリカは歴史の浅い国』どころか、普通なら無くなるはずの歴史から取り残された古臭い大昔の仕組みを温存する国家なのです。
ところが一見謙虚に見えるのですが、すべてのアメリカ人は口を揃えて自分達は『歴史の浅い国』だと言う不思議。
アメリカ人全員が言うものだから今では世界の人々までが真似して『アメリカは歴史の浅い国』と言う
これは『謙虚』でもなんでもなくて、その正反対の態度ですよ。
入植したアングロサクソンの国家成立だけを問題視して、それ以前のネイティブのアメリカ人の歴史を『無かったことにした』結果であり、『自分達以外には歴史は無い』とする傲慢そのものの歴史観である。
世界の先進国の代表でもあり唯一の超大国のアメリカの色々な不思議ですが、この意味を理解する為には『アメリカが世界最古の共和国』である事実を直視しないと何も分からない。
世界最先端の国家であると同時に、アメリカが正反対の『歴史的にとんでもなく古い国』であることが原因する、日本人が見ないようにしているもう一方の全く別の何世紀も前の(普通なら滅んでいるはずの邪悪な)禍々しい帝国としての国家の顔が存在しているのです。
何故そんな古いものがアメリカだけに残ったかの疑問ですが、『科学に優先する宗教』としてのキリスト教を抜きにしては解明は出来ないでしょう。
『神は妄想である』
『宗教との決別』2009年11月20日宗教英語日本語ニュースのejnews さんから送られてきたコメントと当方の返答が、現代アメリカの不思議の解明に役立つのではないだろうか。
(ejnewsさんの自己プロフィール紹介)
アメリカに20年以上住んで見て、日本人に伝わっていないアメリカに気が付くようになってきました。想像以上に問題の多い国です。戦後日本は全ての面でアメリカの影響下にあり、政治経済だけでなくアメリカから輸入される食品、化粧品,医薬品、etc,は直接我々日本人の生活に影響を与えています。勿論、インターネットのニュースの翻訳ですから,アメリカだけでなく世界中のニュースをお伝えします。拙い翻訳ですが、ニュースを読みながら英語の練習もどうぞ!
『英語日本語ニュース』
英語ニュースを日本語訳と一緒に読みながら英語の勉強をしましょう。海外で起こっている事はあなたの家庭、生活に直結directly connectedしています。
『科学者の罵倒芸』
『ある一人の人物が妄想にとりつかれているとき、それは精神異常と呼ばれる。』しかし 『多くの人間が妄想にとりつかれているとき、それは宗教と呼ばれる。』
『宗教が人の世の平和や、真の心の平安に役に立った試しはない。』
『特定の宗教が有害無益だというのではない。そもそも宗教というものが、人間にとって有害無益だと言うのである。』
『宗教上の信念は、それが宗教上の信念であるというだけの理由で尊重されねばならないという原則を受け入れているかぎり、私たちはオサマ・ビン・ラディンや自爆テロ犯が抱いている信念を尊重しないわけにはいかない。』
一流コメディアンのタケシや神助の『罵倒芸』が面白いように、一流生物学者の宗教(神)に対する科学的『罵倒芸』は読んでいて実に爽快である。
著作『神は妄想である』で『利己的な遺伝子』の生物学者リチャード・ドーキンスが怒りまくっている。
神の名の下に、人間の尊厳を踏みにじり、科学を侮辱する、宗教という巨大なモンスターに激怒している。
ドーキンスの論旨は明快。
この本に書かれている内容から判断するとドーキンスが考えている読者層(対象者)は、聖書の言葉が一言一句、そのまま現実の科学的事実であると信じているらしいキリスト教原理主義者向けであり、宗教信者(狂信者)たち向けに書かれた『啓蒙書』(あるいは告発本)なのです。
ノアの箱舟や故事やモーゼの出エジプト記の割れる紅海、ソドムとゴモラ、バベルの塔も全て現実の過去の歴史であるとする人々(狂信者)相手に科学的手法で説明し様とするドーキンス。
つくづくと、とんでもないもの(原理主義)に喧嘩を吹っかけているらしい科学者の苦悩と徒労感を感じる本なのです。
日本では幾ら極右でも、それなりの社会常識や科学的知識に対する敬意は持っているのです。
『宗教』 (ejnews)2009-11-22
此の種類の本はアメリカではブッシュ政権中に多くなり色々な作家やジャーナリスト、科学者が書いています。テレビ番組や映画も制作されています。
アイゼンハウアー時代にイヴァンジェリカル“福音主義”と言う聖書の言葉を其のまま信じる宗派が政治に影響力を持つ様になりカーター大統領がこの様な宗派の指示で当選、レーガン共和党が其の方法を模倣し、其の後はイヴァンジェリカリズムは共和党の大きな支持層になっているのは有名な話です。
然し彼等を操る宗派の指導者はキリストの教えとは無関係の金銭的利益、権力奪取を目的としていますからそれに警鐘を鳴らす目的で最近のこの様な著作物の流行の原因となっているのです。
無神論はアメリカでも“アメリカンエイシスツスAmerican Atheists”と言うグループが存在しますがやはり教育水準の高い人が会員のようです。メンバーを一人知っているのですがやはり中国系インテリ家庭に育った人です。
オバマが仏教に言及しなかったのは仏教が神の存在しない宗教と捉えているのか、色々な宗教の名前を挙げ大体カヴァーしたから別に全ての宗教の名前を挙げる必要は無いだろうと考えていたかで別に深い意味は無いでしょう。
アメリカの仏教は最近は韓国の仏教やヴェトナム等の東南アジア仏教、そして何と言ってもラマ仏教が盛んですが、元々は日本の禅仏教が有名で各地に禅センターがあったようです。(現在もカリフォルニアには各地にあるようです)欧米への仏教発展は鈴木大拙等の海外公演や交流仏教書の翻訳等で始まったといっても過言ではないようです。だから今でも仏教用語では“座禅”とか日本語が聞かれる時があります。
大学でも仏教や道家(特に老子等の道家“道教とは別”の思想はTaoタオとかDaoダオなど呼ばれ日本よりも人気がありそうです)東洋思想宗教研究は盛んで例えば日本でも有名だと思いますが女優のウマ サーマンお父さんロバート サーマンはコロンビア大学の有名なラマ仏教の教授です。
最後にアメリカの政教分離について、独立当時教会に言っている人口は少なく一般庶民は余り宗教に興味が無かったようです。其の上建国の父と呼ばれる人達はインテリが多く(フリーメイソンもかなり含まれていたので)ヨーロッパの宗教を利用しての王権神授説を本気で恐れていた事も事実のようです。独立の原因は英国政府が東インド会社に紅茶の独占権を与え米国商業資本の利益が失われるのを避ける為の土着商業資本による独立運動と言う面もありますから宗教に介入されるのは商人としては問題だった事もあると思います。
では!長くなりましたの此れで失礼します。
『世俗的だったアメリカの建国父祖たち』 (逝きし世の面影)
ejnewsさん、コメント有難うございます。
つい最近に民主党幹事長の小沢一郎が高野山管長(日本仏教会会長)との会話の中で『キリスト教の教義は偏狭』との言葉があり、これに対して日本のキリスト教団体が抗議するニュースがありましたが、何ともキリスト教らしいと思いませんか。
そんな事で一々めくじらをたて抗議するから『キリスト教の教義は偏狭』と人々に思われるのです。
日本仏教会は自民党支持の有力団体なので小沢一郎としては何とか切り崩しを図ろうとしているらしい。
世俗の政治家の発言に対して一々抗議するとはキリスト教は宗教として、何とも偏狭な了見ですね。
ejnewsさん、最近のアメリカ宗教事情の紹介。有難う御座います。
ただこれ等無神論や仏教(禅)などの話は矢張り一部の知識層限定の話で、大統領選挙でブッシュジュニアがアフガンやイラクで苦戦しているにも関わらず再選されたさまを見ているとアメリカ全体から見ると残念ながら当てはまらないようです。
チェンジのオバマも一年で支持率50%割れに成ってしまいましたが、原因は公的医療保険改革とされています。
黒人(異人種)との混診を嫌う白人層の反発は凄まじいらしい。
宗教改革のルターやカルビンなどの考え方は『聖書に帰れ』なので、プロテスタント諸派は今の原理主義者のように元々聖書原理主義の危険性が存在していた。
240年前のアメリカ建国の時に世界で初めての『政教分離原則』が憲法に明記される。
これは矢張り歴史的大事件でしょう。
建国父祖のジェファーソンは科学者なので物事を客観的に、科学的に考える習慣が身についていたし、それ以外の指導者も近年のレーガンやブッシュに比べれば随分世俗的で(当時としては革命的な出来事で)宗教から一定の距離をとっていた。
ところが最近のアメリカは宗教と政治とが先進国ではあり得ないずぶずぶの関係になっていた。
この親密すぎる関係はベトナム戦争以後の話で、それ以前は核の使用を公言していた極右のゴールドウォーターなんかでも今とは大違いで随分世俗的で宗教から距離を置いていた。
これ等ベトナム敗戦、アメリカの衰退と、アメリカでの宗教原理主義の勃興とは何か関係が有るようです。
(ブログ主)
ejnewsさんはハワイやロス、ニューヨークなど日本人が多い何でもありのアメリカの先進地域に長年お暮らしのようですが、米国は均質なコンソメスープのような何処を同じ社会の日本とは大きく違う構造になっていることを失念している。
均質な日本社会と、宗教や階層、人種や言語、文化、年収別にすみ分けているシチューのようなスープと具が別々のアメリカとを混同しているようです。
クロボトキンやバクーニン等ロシアの無政府主義がアメリカでも受け入れられ発展しているとのアメリカ社会の事実と大きく違う見解のejnewsさんの根拠となる『アメリカ』が、普通のみんなが知っている『アメリカ』とは別の極度に左翼的な先進社会と思われる。
>黒人(異人種)との混診を嫌う
くらいなら、当然黒人大統領なんて望まないと思うのですが、当選しました。公的医療保険改革も公約に掲げたうえで。
ですから、支持率50%割れは何か他の原因なのではないでしょうか?
彼は黒人ではありません。
正確には黒人でも白人でもないアフリカ人留学生と上流階級白人とのハーフの大統領が正しい。
ところがアメリカではワンドロップルールと言う極端な人種差別の恐るべき考え方があり混血児はいなくて白か黒かの二つのカーストの何れかに分類される。
だからオバマは黒人初の大統領と呼ばれているのです。
ですからオバマを黒人大統領と呼ぶ時点でアメリカの度し難い病巣が潜んでいるのですよ。
「一滴の血の掟」ワン・ドロップ・ルール
2008年05月14日 | 社会・歴史
奴隷制の負の遺産「優生学と人種隔離政策」 (セグレゲーション)
2008年05月15日 | 社会・歴史
アメリカ白人の最も恐ろしい悪夢とは、ある日、誰かから、『貴方の先祖には黒人がいる』と言われることらしい。
何故なら見かけ上の肌の色に関係なく一滴でも黒人の血が混じれば、混血は自動的に黒人と判定される。
アメリカには、全ての物は原則としてそもそも中間は無くて白と黒の混血児は存在しないのですよ。
オバマ大統領のノーベル平和賞受賞でのオスロのノルウェー議会での演説内容ですが、あれが日本基準なら『右』で有名な前原誠司なんかが左翼に見える程度の右翼的な腹立たしい自己中心的な思い上がりで帝国の覇権を賛美していた。
あれがアメリカのリベラルなるものの本当の姿です。
そしてアメリカの『右翼』は日本では考えられ無い凄まじい有様です。
何しろ世界中で正しいとされている近代『科学』を蔑ろにして、認めないのですから唯我独尊の超ウルトラ右翼ですね。
歴史認識では異議をとなえても、科学的真理に対しては一定の敬意を示す日本の右翼なんかアメリカ基準ならマトモそのもので健全保守か中道ですよ。
そしてアメリカではオバマに代表されるリベラル勢力と、日本基準では到底理解不能の超『右翼』勢力の力関係がほぼ互角で拮抗しているのです。
1972年の大統領選挙ではアメリカが勝てないベトナム戦争終結を公約した民主党のリベラルなマクガバン候補は歴史的は大敗を策士のニクソンに喫しています。
大勝したとされる08年の大統領選挙のオバマの得票率は52・9%であり実は辛勝であり、決して大勝していないのですよ。
ですから二年後の議会選挙では公的医療保険の問題点を突かれたオバマ政権与党の民主党は大敗して議会多数派を失っているのです。