はてなキーワード: 溶解度とは
平成28年度/第38回受賞者
○こうや豆腐(凍り豆腐)の製造において、伝統的な製法では製品が硬く、柔らかく炊き上げるのが難しく、調理に時間がかかる食材であった。このため、製造工程の解凍時にアンモニアや重曹(炭酸水素ナトリウム)を膨軟剤として使用することにより、これらの欠点を解消できたが、残留するアンモニア臭の除去が必要であったり、製品中の塩分(ナトリウム)が高くなる結果となった。
○今回、それまで膨軟加工で添加されていた重曹(炭酸水素ナトリウム)を炭酸カリウムに変更する新たな製法の開発に成功した。このことにより、従来品よりもナトリウム含量を約95%低減、カリウム含量を25倍以上にすることを実現し、抗高血圧という意味でより健康な食生活をサポートする食品となった。
○弊社のこうや豆腐の年間生産量は約2億枚以上であり、炭酸カリウムを使用することにより重曹を使用していた時より食塩相当量が0.2g減となり、年間約40tの塩分を抑制に寄与するとみられる。
○なお、炭酸カリウムを使用した本製造法については、現在特許申請中である。
【功績申請の具体的内容】
○開発・製造状況
・伝統的な製法によるこうや豆腐は、硬く、水戻しに時間がかかり、柔らかく炊きあげるのは難しく、調理に時間がかかる食材だった。これらの欠点を改善するため、長野県の企業によりアンモニアや重曹(炭酸水素ナトリウム)による製品の膨軟技術が開発され、調理時間の短縮や食感の改善が図られたが、アンモニアを使用した場合には、アンモニアガスの飛散防止や水戻し時のアンモニア臭除去が必要となった。
・また、重曹を膨軟剤として使用する製造法は、長い間業界内で使用されてきたが、製品に塩分(ナトリウム)が多くなるという欠点があり、消費者の減塩志向の高まりもあり、重曹に代わる膨軟剤として炭酸カリウムを使用する方法を開発した。
・重曹(炭酸水素ナトリウム)を使用した従来の製法では、こうや豆腐1枚あたり68mg含まれていたナトリウムが、今回の炭酸カリウムを使用する方法では1.2mgに抑えることができるようになった。ナトリウムの摂り過ぎと高血圧の関係はよく知られており、一般的に高血圧の予防にはナトリウムを減らした方がよいとされている。弊社は、こうした"目に見えにくいナトリウム"に配慮した体にやさしいこうや豆腐を開発し、全製品において製法の変更を実施した。また、重曹の代わりに炭酸カリウムを使用するため、体内の余分な塩分の排出を手助けするカリウムが、従来品の25倍以上も含まれる商品となった。
・こうや豆腐(凍り豆腐)の製造において、もともとは自然の中で生産していたが、天候に左右され一定の品質を必要な量だけ自由に生産できなかったが、明治時代に冷凍機による製造法の開発により、年間を通じて安定した製品が生産されるようになった。機械化が進み、やわらかく煮上がるよう製造工程で膨軟加工を行っているが、当初の製法ではアンモニアガスを使用していた。これにより、やわらかいこうや豆腐が生産出来るようになったが、アンモニア臭を取り除くために、湯戻ししたり何度も水を取り替える必要があった。
・1972年、他社に先駆け新たな製法として重曹(炭酸水素ナトリウム)を使用した膨軟加工へ切替えを行い、湯戻しや水洗いの必要がなくなり、より簡単に調理できるようになった。
・しかし、重曹を使用した膨軟加工では製品中に塩分(ナトリウム)が多く含まれる結果となったため、2014年より膨軟剤としてナトリウムを含まない炭酸カリウムを使用する加工法に切り替える改良を実施した。
・炭酸カリウムは、重曹と比較して水に対する溶解度が大きくアルカリ性が高いため、使用する炭酸カリウム濃度の微妙な差が、製品こうや豆腐の品質や調理特性に大きく影響を与えるため、適正な炭酸カリウム濃度の見極めが開発の大きなポイントとなった。
・研究所には5名、技術開発に6名、商品設計に17名在籍。研究所において、消費者の健康志向の高まりや、日本人の食事摂取基準における塩分が目標摂取量より高いことから、こうや豆腐製造工程で重曹の代替えとなる膨軟加工の研究開発を始める。
・そして炭酸カリウムを使用した最適な膨軟剤の配合割合を開発し、技術開発部門で炭酸カリウム使用に対応した設備改修を行い、商品設計部門で商品化に結びつけたが、それぞれの連携が比較的短期間での商品開発に繋がったものと考える。その他にも、日々研究を重ねている。
・輸入大豆価格の高騰も含め、価格訴求ではなく価値訴求へとシフトする。販売ルートでは、煮物以外でもこうや豆腐を使用してもらえるよう粉末タイプのこうや豆腐(粉豆腐)などの販路拡大し新規ユーザー獲得に努める。
○市場開発・普及度
・平成27年4月~平成28年3月実績:売上43億2,800万円(前年同期比17.8%増)※凍り豆腐事業のみ
こうや豆腐市場のメーカーシェアは弊社が44.7%とトップとなっており、消費者の支持を得ている。
・飯田女子短期大学との共同開発で粉豆腐(こうや豆腐の粉末)入りのラーメンを発売(丸五製麺店より)。
また下記のキャラクターの焼印が入った、こうや豆腐を発売予定(2016年11月)。
・飯田メディカルバイオクラスターとして、医療用食材の製造・販売を地域企業と連携を図りながら進めている。
・平成18年5月より、長野県飯田市と地域経済活性化プログラムのパワーアップ協定を締結。地元産大豆「つぶほまれ」を原料とした「こうや豆腐」をはじめ、南信州ブランド商品の開発に取り組み、地域の活性化と発展をはかっている。
(原料原産地表示の取組み)
若い読者は知らないかもしれないが、健康診断に胃ガン検査があると、バリウムを飲まされる。白くてねっとりしていて飲みにくいことこの上ないのだが、最近は技術の進歩により必要量が少なくなるなど、だいぶ改善している。
しかし、飲みにくさなど、実は大した問題ではない。最大の問題は検査後に待ち受けている。このバリウム、体内でいっさい消化されずに、そのまま排泄されるのだ。
ここでは、この排泄された物体の後処理について、自分が集めた情報をまとめる。自分は、医療も化学も水道工事も専門外なので、有識者からのコメントやトラックバックでより良い情報が集まることを期待している。
なお、これ以降、かなり尾篭な話になるので、読み進む方は覚悟されたい。
胃ガン検査後に渡される下剤が効き、トイレに行く。すると、大便とともに、いっさい消化されていないバリウムが出てくる。そして、このバリウムと便の混ざったものは、便器の底にどっしりと鎮座するのである。この白くて茶色い物体は、通常の便に比べてかなり重く、またべったりしているため、便器の底にへばりついたままなかなか流れない。便器の構造にもよるが、バリウム混じりの便は、10回ぐらい水を流したところでビクともせずに鎮座し続ける。実際に目撃すると、自分のものであってもなかなかつらい光景である。ましてや、他人のものなら…。
グーグルで調べてみると、悩んでいる人は多いものの、ブラシ等で物理的に解決ぐらいしか方法がない。しばらく原始的手法で格闘してみたが、つらすぎるので、徹底的に調べてみることにした。
なお、上記の「べったりしている」という性質は、原始的手法を試みる過程で、イヤと言うほど確認することになった。ぱっと見た目は、石のような硬さに見えるのであるが、実際には地面に踏み付けられたガムのようなものである。
通称「バリウム」だが、正しい化合物名は硫酸バリウムである。「バリウムは金属だから重い」などと書いてあるサイトもあるが、金属のバリウムと、化合物である硫酸バリウムとはまったく別の物質である。
物質の性質は原子によって決まるわけではない。化合物によって決まることを忘れてはいけない。水素に火を着けると爆発するからといって、一酸化二水素が爆発するわけではない。ちなみに、一酸化二水素の化学式はH2O。一般的には「水」と呼ばれる。ナトリウムを水につけると爆発するからといって、塩化ナトリウムが爆発するわけではない。ちなみに、塩化ナトリウムの化学式はNaCl。一般的には「食塩」と呼ばれる。
話がそれたが、そういうわけで、便器の底に鎮座する白くて茶色い物体に対処するには「硫酸バリウム」の性質を調べなくてはいけない。
しかし、硫酸バリウムの性質を調べると、ほとんど水に溶けない。溶解度は水100mlに対して0.22mgしかない(水温18度)。食塩の約35gに対して、10万分の1以下である。ネットではお湯を流せば溶ける説もあるが、水温100度でも100mlに対してわずか0.40mgである。しかも、ほとんどの酸にも溶けないらしい。絶望的である。
考えてみればこの溶けなさゆえに、体内の水分にも、強酸である胃液にも溶けることなく、レントゲンに写ってくれるわけだが、ここではその性質が大きな障害となり、白くて茶色い物体は、便器の底に鎮座し続けるのである。
サイトによっては「しばらくすると自然に流れる」という記述もあるのだが、自宅のトイレを眺めている限り、とてもそうは見えない。何度水を流しても、白くて茶色い物体はビクともしない。そこで便器の仕組みについても調べてみた。
洗浄レバーを引いたときに、いったん水が流れ込んできて渦を巻いたあとに、「ゴーッ」という音と共にすべての水がいったん排水されてから、再度ゆっくりとたまる洗浄方式は「サイホン式」と呼ばれる(サイホン式のバリエーションは色々あるが、ここでは省略)。
そこで自宅の便器の型番表示を探してみると、TOTOのC482というものである。調べてみると、この便器は「洗い落とし」という洗浄方式である。この方式は、サイホン式と違って、「すべての水がいったん排出される」という過程がない。要するに上から水を流すとあふれた分が下水管に回るだけの、単純な仕組みである。これでは、底にへばりついた白くて茶色い物体がビクともしないのも道理である。
ここまで調べたが、たまの検査のためだけに「サイホン式の便器に買い替える」という選択肢はありえないので、「そもそも便器の底に鎮座させない」しかなさそうだ。トイレットペーパーを水面に浮かべてから排便するという手法もあるようだが、トイレットペーパーだと溶けやすく破れてしまうこともあり、結局着底して鎮座されてしまう可能性が高い。代わりに、トイレに流しても良いが、多少は破れにくい「トイレクイックル」を使おうと思う(ちなみに、トイレクイックルは、トイレットペーパーのJIS基準に適合している http://www.huffingtonpost.jp/2013/05/06/consumer_commission_n_3225990.html )。
以上の検討をしているうちに、今年の検査で摂取した硫酸バリウムは処理できたのだが、その後、さらなる情報を発見した。下記2点の論文である。
これによると、検査で使われる硫酸バリウム懸濁液には粘度を増すための添加物が入っているが、水温によって大きく粘度が変わるらしい。粘度自体は、メーカーや添加物の種類によってだいぶ違うのだが、水温が20度から40度になるだけで、50%ぐらい粘度が下がるものもある。
つまり、他のページで見かける「トイレにお湯を流したらバリウムが流れた」という記述は、硫酸バリウム懸濁液のこの性質に基づいていて正しいという可能性がある。
次回の胃ガン検査では、お湯を用いた処理方法についても試してみたい。
なお、調べたところ、便器に熱湯を流すと割れることがあるため、お湯の温度は40~50度程度までにとどめる必要があるらしい。試す方は注意されたい。
翌年以降の記事(随時追加)。