ROKKOR-QF 40mm F1.7 と α7R
今回は、改造レンズの話し。
最初に断るべくも無く常識的な話しとして、素人がカメラに使うような精度の高いガラス加工等出来るわけも無いので
改造レンズというよりは、どちらかと言えばレンズの流用という事になる。
今回はタイトルにある、1971年発売のミノルタ ハイマチック E というコンパクトカメラのレンズを取り出して、どうにか流用してみた。
このレンズの流用を思いついたのは、非常に高価な値段でMマウントに改造をしてくれるところがあるのだが、少し自分には高額に感じ手軽になんとかα7Rで使えないかと思ったからである。
今回、試行錯誤しながらも完成と言えるレベルになったので、備忘録としてブログの記事にしてみようと思った次第である。
今回の製作のポイントは、
「素人が特別な試験機や、特殊な工具を使用せずに、ある程度の精度を出せる制作方法を考える」
である。
それこそ、図面を作成して町の旋盤加工業を行っている会社に依頼する事も出来ると思うが、安価に自分の手でという部分にこだわった。
どうせ、コレはそういう遊びだ。
光学など微塵もわかっていない素人が割り切って楽しめれば、それでいい。
しかし、素人の手遊びとは言え適当な配置や加工で、折角のレンズを台無しにするわけにはいかない。
外見もそれなりに、スタイリッシュな物を作りたいと思ったが、素人の初めての製作である、あまり期待は出来ないと思う。
もう一つポイントとしては、
「絞りの位置やレンズの配置などは、元のレンズと同一の物としたい。」
である。
コレは素人故の発想なのかも知れないが、絞りの位置やレンズの配置が変わってしまうと、別のレンズになってしまうのでは無いかという考えからである。
今回のカメラのレンズはネット上では、大変評判のいいレンズらしい、ズミクロンの40mm F2.0よりも解像に優れていると言われたりもしている。
出来るだけ、元の味とも言える部分や、性能を維持できる方法を素人ながら考えた。
考えたが・・・、これが正しいとか正解と言える部分に到達出来たかは素人の自分には分からない。
そもそも、オリジナルであるところのハイマチックに、フィルムを入れて撮影をした事が無いのだ。
カメラ自体の存在は知っていたが、触れることは今まで無かった。
今回、初めてジャンク品をネットオークションで入手したのだが、
入手した個体の状態は、電池を入れてみてもウンともスンとも言わない。
その上、シャッターボタンを押せない状態のものであった。
外観についてもスレやヨゴレもあり、1,500円という値段が高いのか安いのか皆目、見当も付かない。
足を使って探せば、中古カメラ屋のジャンクのワゴンなどで、更に安い物が手に入るような気もするのだが、安易な方法としてネットオークションで落札してしまった。
こういう事は、思い立ったらすぐに行動しないとモチベーションを維持出来ない性分なので仕方ない。
頭の中の、「こうやってみてはどうだろうか?」等の、様々な案が色褪せてしまっては意味がない。
幸い肝心のレンズの部分は、カビやくもりも無く、今回のレンズの流用については特に問題は無いように思える。
前置きは、この位にして簡単に部品の構成を下図に紹介しようと思う。
<画像のクリックで大きく見れます>
かき集めた製品の個体差による若干の寸法の違いはあるかもしれない。
それと、現在の2015年1月に於いての製品である。
それ以前、もしくは以後の製品とは仕様が変わっているかも知れない。
先程、元のレンズの味を維持すると言いつつ絞りユニットについては別途、円形絞りユニットを購入して使用した。
元のレンズに付いていた5枚(たぶん)の絞りから14枚の円形絞りになった。
絞りユニットを組み込んだ理由としては、元のレンズというよりカメラ自体に、ユーザーが絞りを操作するという機能自体が無かったのが理由である。
当然、絞り環など付いてはいないので鏡胴となる部分から、あり合わせの部品で製作をし、前玉と後玉の間に組み込む事にした。
精度云々を問われると困るが、あくまで遊びなので個人的には問題無い。
元のレンズのマウント部だけを、Eマウント化して既存の絞りユニットを、なんらかの方法で開閉出来るようにする事が出来れば良かったのだが、自分には思いつかなかったのだ。
結果として、前玉と後玉だけを抜き出して、新規の絞りをあり合わせの部品で作った鏡胴に組み込むという事になった。
*製作手順の紹介簡単に画像を入れながら製作手順の紹介をしようと思う。
これが分解する前の元のカメラである。
上下のカバーを、まずは取り外す。
レンズボードを取り出す。
更にレンズボードから、鏡胴を切り離す。
レンズの枠部分の前玉、後玉装着時の全長を測る。
25.85mmであった。
製作したレンズが、絞りユニットを間に挟んだ状態で同じ全長になるように作らなくてはならない。
更に分解を進め、後玉と前玉を取り出す。
間に入っていた、絞りというか、シャッターユニットは後で分解して前玉部分のプレートを再利用する。
つり用の板重りを利用して、部品間のスペーサーとする。
後玉のネジ部に0.5mm厚の板重りを巻きつける。
ぴっちりと後玉がステップアップリングに固定された、特に接着等はしなくとも脱落しない程である。
レンズのセンターを出すのは容易ではないが、この方法であればある程度の精度を維持できる。
板重りの厚さは、1.0mm、0.5mm、0.4mm、0.25mmと各種用意した。
次は、シャッターユニット件絞りユニットを分解する。
前玉部のみを使用する。
リューターで不要な突起を削り取る。
裏側になる部分もきれいに削り取る。
仮組みを行い全長を確認する
26.51mmと、25,85mmにたいして微妙に長い。
先端を削るか、スペーサーをいれるか・・・・
結局は先端を削ることにした。
接着剤でステップダウンリングに固定する。
この際、0.5mm程度のスペーサーをいれて接着すれば先端の削り込みを少なくする事が出来たのだが、両面テープで仮組みをした際にテープの厚さを計算に入れるのを忘れてしまったのだ。
取り付ける際に穴と筒の間に0.4mmの板重りをスペーサーとして取り付けてセンターを出している。
厚さ1.5mmのモルトプレーンを貼り付けた、これを貼り付けないと絞りユニットとの間に隙間が出来てしまい光が入ってしまうからだ。
リュターで絞りユニットの操作レーバー部の切断と削り込みを行う。
保護リングについては、切断してしまった。
削った部分の塗装を行う。
塗装した改造リングに絞りユニットを仮に固定する。
この部分に関しては、スペーサーを思いつかなかったので、目視にてセンターを出した。
最終的な接着による固定はMマウントフランジをつけてから固定する。
絞りユニットのレバー部は、真鍮パイプにて延長している。
中間リングになっている保護リングは接着にて固定している。
Mマウントとフランジバック調整用に取り付ける、ステップアップリングを用意する。
例によって、センタリングは板重りで行った。
調整用ステップアップリングにマーキングを行い穴を開ける。
その際、後玉を取り付けられたステップアップリングにも穴を開ける。
ナットを後玉を固定用のリングに接着した、メタルロックにて接着しているので、まず取れることは無いだろう。
後玉はバスコークにて板重りのスペーサーを入れたまま固定した。
完成は近い。
左上の部品は絞りユニットが取り付けられた後玉のステップアップリングと保護リング
右上は前玉とレンズの顔になる部分の枠が固定されたステップダウンリング
左下は、後玉を固定したステップアップリングとフランジバック調整用のステップアップリングの間に入れるスペーサー、1.2mmのプラ板を切り出している。
右下は、Mマウントフランジとフランジバック調整用のステップアップリングである。
メタルロックにて接着してある。
画像は時系列から前後してしまうが、接着前の前玉まわりである。
主要構成部を組み立てた状態。
元カメラの銘板部分である。
外周の一段下がった部分が収まらない。
接触してしまう、銘板の外周の一段下がったところを切断する。
切り取り完了、やすりで仕上げる。
このまま取り付けると銘板が下がりすぎてしまうので、モルトプレーンにてかさ上げを行った。
製作中に塗装はがれなどがあった為仕上げ塗装を行った。
絞りユニットのレバーが出ている部分の保護リングの開口が気になったので真鍮のプレートを取り付けてみた。
メタルロックにて接着固定している。
どうにか完成した。
底部
側面
なかなか、かっこいい
ピント調整は、ホークスファクトリーのMマウント用ヘリコイド付きアダプタにて行う。
操作感は悪くないが、絞りレバーを間違えて動かしてしまう事がある。
これについては。今後の課題にしようと思う。
軽く撮影してみたが、特に片ボケ等は無かった、そこそこの精度で組み立てることが出来たのだろう。
素人の初めての試みとしては、まずまずである。
製作に於いて、接着剤にメタルロックを使用したのだが、かなり凶悪な接着強度である。
間違えて固定した場合、壊さないと接着面は外せないだろう・・・・
レンズの固定等、清掃などで、後々外す事もあるであろう部分には使用する事が出来ないが、今回の改造レンズでは、そういった部分は特に無い。
前玉に関しては、元カメラの部品を使いネジにて固定している。後玉はバスコークにて固定しているのでカッターなどで切り取る事ができる。
もっとも、後玉部も前玉部も、鏡胴のステップダウンリングと保護リング間をねじ込み式にて固定しているので、清掃等で苦労することは無いだろう。
次回は今回製作したレンズを使った撮影をしてみようと思う。
撮影編はコチラ* 下に表示されている広告の商品は、今回の記事で紹介した材料です。
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- 2015/01/22(木) 04:41:07|
- ROKKOR-QF 40mm F1.7
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今回のレンズは、フォクトレンダーのデッケルマウント(DKL)のレンズでいこうと思う。
特にデッケルマウントのカメラというものに思い入れは無いが、
このSEPTONについてはネットでの評判がとても良く、特に立体感が素晴らしいとの事なのだそうだ。
少し前にネットオークションで購入したのだが、そう高いイメージではない。
ただし、このレンズの時代を考えて見ると高いということはないと言っても現行のEやAマウントのレンズに対しては割高感は否めない。
たぶん、同じ値段を出せばもっと良く写るレンズはあるように思う。
もっとも、わざわざ古いレンズを探してきて写りが悪いとか言っても仕方がないので、このレンズならではの写りを模索して見ようと思うのだが、所詮素人である大したことは出来ないだろう、せいぜい写真をいくつか撮って終わりだ。
個人ブログなのだからそれもアリと言えばアリだろう。
話しは戻るが、立体感が素晴らしいというのは、一体どういう状態なのだろうか?
アウトフォーカス部分と合焦部分との落差からの物なのか?
それとも、特定の被写体に対する質感の再現性が優れているということか?
はたまた、コントラストの深さ的なものから現れる描写によるものか?
または、上記の複合的な要素を取り入れられた上での総合的な表現か?
そもそも、素人の自分に感じ取れるようなものなのだろうか?
更に言えばモノクロ?カラー?どちらでの撮影結果によるものなのだろうか?
アレコレ考えても仕方が無いので取り敢えず、旅行の際に携行し使ってみたのだが、特に悪いレンズという印象は受けなかった。
時代なりの描写とも言えるし、特に逆光に弱いこともなかった。
少し歪曲はキツイように思ったが、時代を考えればこういうものだろう、気に入らなければ補正すればいい。
コントラストは濃い目な表現に思う。
解像についても、それなりのレベルは達しているという印象だ悪くない。
素人意見ながら良く写る部類だろうと思う。
ただ、α7シリーズに使うにはマウントアダプターに、絞り操作機能付きの物を使わなければならない為、只の筒状のタイプよりは高価な物を用意しなくてはならないのは欠点かもしれない。
噛み砕いて言えば、本レンズのシリーズには絞り環がレンズ本体には付いていないのである。
自分が購入したアダプタには、絞り表記がFいくつか記載されているがあまりアテにはならなそうだ。
レイクオールなどの高価なものでなければ、信頼という部分に於いては著しく疑問が残る物なのだろう。
ただ、大体こんなものじゃないか?
その程度で良ければ、安価なメーカーの物でも私的には不満は無い。
このレンズを気に入れば、高価なメーカーの物を購入すればいいだけだ。
出来ればDKL-Eマウントの直接のアダプタではなくライカMマウント用、もしくはM42用の物を、多段アダプタ装着を前提として購入するのが良いように思う。
今回のレンズもそうなのだが、最短撮影距離が若干長く感じるのが主な理由だ。
前述した、Mマウント用とM42マウント用の物にはヘリコイド付きアダプターを既に持っており、このアダプタとの多段装着をすれば最短撮影距離を短くする事が出来る。
この様な場合は、何かと便利な使い勝手を想像出来る。
いつものように素人の自分がアレコレと言っても仕方がない。
独り言をブツブツ言ってるようなものなのだろう。
もっともブログとは、そういう物だと言えばそういう物だと思うので特に問題は無いのだが、新年早々の更新なので今年もこんな感じで付き合って頂けるとありがたい。
今回も幾つか画像をあげておこうと思うが、何時ものようにPhotoshop Lightroomにて、補正をしている。
RAW現像込みでの描写とした上で閲覧して頂きたい。
α7R + Voigtlander SEPTON 50mm F2.0 開放
試しに室内で撮影してみた。
α7R + Voigtlander SEPTON 50mm F2.0 開放
四隅の周辺減光は許せない人には耐え難いかもしれない
この手のオールドレンズを好む人間にはご褒美の類ともいえなくも無いが・・・
α7R + Voigtlander SEPTON 50mm F2.0 約F4.0
α7R + Voigtlander SEPTON 50mm F2.0 約F8.0
左手前の街灯にピントを合わせてみた。
特に悪い印象はない
時代なりと言ったところだろうか?
開放時の周辺減光はかなり目立つ
α7R + Voigtlander SEPTON 50mm F2.0 約F8.0
α7R + Voigtlander SEPTON 50mm F2.0 約F4.0
α7R + Voigtlander SEPTON 50mm F2.0 開放
α7R + Voigtlander SEPTON 50mm F2.0 開放
α7R + Voigtlander SEPTON 50mm F2.0 開放
α7R + Voigtlander SEPTON 50mm F2.0 約F8.0
開放の描写と違いF8.0ともなるとかなりカリッと写るように思う。
α7R + Voigtlander SEPTON 50mm F2.0 約F4.0
私感ではあるが、明るい被写体はなんともスカッとした写りの様に感じる。
LRにてLandscapeを設定したのみ
α7R + Voigtlander SEPTON 50mm F2.0 開放
かなりの周辺の減光を感じるが適当につけた非純正のフードが良くないのかもしれない・・・
が、雰囲気はある・・・そのせいか看板への視線誘導が出来るとも言える。
α7R + Voigtlander SEPTON 50mm F2.0 開放
最後の紅葉といったところだろうか・・・
開放でもそれなりの立体感はあるように思う。
感想としては、特に欠点は感じられない。
時代なりと言う言葉を使ってはいるが、1960~1967年の間に5万本以上製造されたレンズだそうだ。
当時の価格は相当なものだったと思われるが、あまり詳しくないので適当だ。
どこかのブログの紹介では、当時は音まで写し撮るとまで言われたレンズだそうだが、確かに良く写る。
結構、気に入ってしまったが若干フランジバックの長い部類のマウントかもしれない。
レンズ本体よりもマウントアダプタのほうに存在感がでてしまっているように感じる。
描写の立体感云々については、これから更に使い込んでくれば肌で、より深く感じることもあるのかも知れない。
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テーマ:★カメラ&レンズ・機材 - ジャンル:写真
- 2015/01/03(土) 03:50:06|
- Voigtlander SEPTON 50mm F2.0
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