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ジェンダー(社会的に作られた性差)にとらわれない、平等な社会とは?格差解消のための課題を考えます。

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「フェミ科研費裁判」が問うもの

「笑っていい対象」記号化する女性差別 名誉毀損の壁と闘う弁護士

太田啓子弁護士=本人提供
太田啓子弁護士=本人提供

弁護士・太田啓子さん

 大学教授らが自民党の杉田水脈(みお)衆院議員に中傷されたとして損害賠償を求めた訴訟は、大阪高裁で5月30日に原告側が一部勝訴した。性差別や性暴力の問題について積極的に発言してきた太田啓子弁護士(47)=神奈川県弁護士会=は「性差別に声を上げる女性は嘲笑していい相手とみなされ、あらかじめ攻撃対象として記号化されている」と指摘する。

 ――判決は、科学研究費助成(科研費)を巡る杉田議員の発言が名誉毀損(きそん)に当たると認める一方、ジェンダーや慰安婦問題に関する研究内容を「反日」「捏造(ねつぞう)」と表現した発言は、異なる価値観による意見や論評と判断しました。どう受け止めましたか。

 ◆杉田議員の発言のほとんどが「論評」とされ、論評による名誉毀損も成立しないとされました。「一般読者等の普通の注意と読み方を基準とすると社会的評価が低下したとは言えない」とされましたが、本当にそうでしょうか。インターネットにおける誹謗(ひぼう)中傷は非常に速く、大量に拡散され、訂正しようとする情報の速度と量は追いつきません。この実態を踏まえているのかと疑問を覚えました。杉田議員の発言は、若い女性の自立を支援する一般社団法人「Colabo(コラボ)」への攻撃と共通する点があります。「公金使途への問題提起」という体裁で、マイノリティーへの暴言を正当化しています。差別の一つのテンプレートになっており、「在日特権」や「生活保護の不正受給」も同じ構図です。

 ――なぜ、法的には誹謗中傷と認められにくいのでしょうか。

 ◆ネットにおける誹謗中傷では、ターゲットを笑いものにしたり、上から見下ろして蔑視したりするものが多く、それが指数関数的に拡散されます。原告は、インターネットテレビなどでの杉田議員の嘲笑は発言と相まって名誉毀損になると主張しましたが、裁判所は認めませんでした。

 私自身も、ものすごく攻撃を受けていますが、法的措置を取れるのはごく一部に限られます。違法とまでは言えないが、被害者の生活に支障を及ぼす嫌がらせがとても多いと言えます。ネットはマイノリティーが尊重される言論空間ではありません。蔑視発言に便乗して拡散する人たちによって、悪印象が事実であるかのように広がっていくのです。

 「犬笛」を吹く攻撃も特徴的です。ネット上で影響力を持つ人が「またこの人、おかしなこと言っている」と引用ツイートするだけで、フォロワーが一斉に攻撃する。その効果を期待して行う手法です。被害者へのダメージは大きいですが、こうした犬笛の違法性もまた、なかなか問えません。

 ――女性はなぜ攻撃されやすいのですか。

 ◆元々がミソジニー(女性嫌悪)なネット空間では、フェミニストや性差別に声を上げる女性は自意識過剰で嘲笑していい相手とみなされ、あらかじめ攻撃対象として記号化されています。私が最初にものすごく攻撃…

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