
季節外れの「桜を見る会」に揺れた臨時国会が9日、閉会した。「消えた招待者名簿」「悪質マルチ商法企業とのつながり」などなど、国会は閉じても、疑問は膨らむ一方だ。ならば安倍晋三首相にじかに疑問に答えてもらおう! 毎日新聞の取材班は、聞きたいことをノートに書き連ね、首相官邸の記者会見に乗り込んだ。ところが…。【江畑佳明、吉井理記/統合デジタル取材センター】
手書き、ファクスで出席申し込み
「乗り込んだ」と書くと勇ましいが、江畑、吉井両記者は、国会議員が事務所を構える議員会館や国会議事堂内での取材経験はあっても、首相官邸に入るのは初めてである。
政治部記者は、官邸取材ができる特別のIDカードを持っているけれど、我々2人は日ごろ、政治から文化、社会まで幅広くデジタル向けの記事を書く部署に所属しており、いわば「部外者」だ。事前に官邸に社名や氏名などを届け出なければならない。ちなみにこの届け出、所定欄にペンで書き込む。官邸の報道担当部署に手書きの用紙をファクスで送信。「手書き」「ファクス」。今や貴重である。
そんなわけで東京・永田町の首相官邸へ。2人は言葉に出さないが、緊張気味である。首相官邸のいくつものセキュリティーチェックやら所持品検査やらを受けつつ、会見場にたどりついた時は、それだけで達成感を感じた。
その会見場。ひな壇には安倍首相が立つ演台と、秘書官らが書いた会見用の原稿を映し出して、首相が読める「プロンプター」と呼ばれる器具が、演台の左右にセッティング済み。読者も、記者会見のテレビ中継で、安倍首相の目線が左右の同じ場所を往復する姿をご覧になったことだろう。これは、左右のプロンプターが映し出す原稿を首相が読んでいるためだ。
プロンプターを通じ、読み上げる美辞麗句
用意された記者用の椅子は50~60人分ほどに対し、出席記者は30人ほどか。最前列から2列目ぐらいまでは官邸取材を担当する内閣記者会加盟の各報道機関の記者用である。
部外者の我々、やや遠慮気味に後列に陣取り、首相を待つ。演台脇には、首相の警備を担当するSPが油断なく目線を会見場に走らせていた。
イヤな予兆は、すでにこの時からあった。会見直前、官邸の報道担当職員がこんな注意をしていたのだ。「時間…
この記事は有料記事です。
残り1991文字(全文2928文字)
【時系列で見る】
-
反社会勢力「定義で固めるとかえって複雑」 桜を見る会 菅氏会見詳報
2001日前 -
反社会的勢力、第1次安倍政権で「定義」 今回は「その時々で変化」 ネットで疑問の声噴出
2002日前 -
「お友達に税金。許しておけない」 野党4党、街頭演説で「桜を見る会」を批判
2002日前 -
名簿のシュレッダー指示したのは誰なのか? 「桜を見る会」野党ヒアリング詳報
2002日前 -
反社会的勢力の出席の有無 「週刊誌報道に答える場ではない」 菅官房長官会見詳報
2002日前 -
衛藤消費者担当相 ジャパンライフから「2015年にお中元いただいた」
2002日前 -
桜を見る会は“安倍政権固有の問題” 「慣行」強調に違和感
2002日前 -
桜を見る会 「長年の慣行」繰り返す 菅長官会見詳報
2002日前 -
「反社会的勢力、定義するのは困難」答弁書閣議決定 「桜を見る会」巡る質問主意書に
2002日前 -
「シナリオ」でもあるかのよう… 首相会見に行ってきた
2003日前 -
首相お膝元でも批判「納得できる説明を」 「あら探ししないで」と擁護論も
2003日前動画あり -
公明・山口代表、升酒乾杯で「迷惑かけた」 桜を見る会めぐり陳謝
2003日前 -
「納得されていない方がたくさん」「疑惑というのは、よく分かりません」 菅長官会見詳報
2003日前 -
菅官房長官、桜を見る会「説明足りないとも思う」「国民から理解されていない」
2003日前動画あり -
政権幹部、解散ちらつかせる 野党が不信任案提出の場合
2003日前 -
桜を見る会「次々と国民の信頼を裏切る事態」 野党4党の会期延長動議全文
2003日前 -
野党4党、国会40日間延長申し入れ 「桜を見る会」審議求め
2003日前 -
「桜を見る会」沈静化ねらう政権 年末年始で「忘れてほしい」?
2003日前 -
桜を見る会 内閣府「論理破綻」の内幕と説明 名簿廃棄後も復元試みず
2004日前