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7・1閣議決定と7・15強行採決の意味するもの

日記
07 /24 2015
安倍政権は15日・16日、戦争法案を衆議院で強行採決した。連日、国会前に集まって抗議行動を続けている市民たちだけでなく、国民の多くが「一体、何が起こっているのか?」と不安を感じている。その不安の表れとして、強行採決後に行われた世論調査では、各社とも軒並みに10ポイント近く内閣支持率が低下している。

この事態は、法的にはどう考えるべきなのか。憲法学者の大多数が違憲とする法案が数の力で強行採決される事態を見て、「日本は本当に民主主義的な法治国家なのか?」という疑問が生じるのは私だけではないだろう。

東京大学法学部教授で、著名な憲法学者の石川健治さんは、「これはクーデターだ」という。神保哲生さんのビデオニュース・ドットコムで、そのインタビューのダイジェスト版を見ることができる。

あれは安倍政権によるクーデターだった

日本は立憲主義に基づいて「法による支配」が行われる法治国家であるはずだ。法による支配の大本は憲法である。この法秩序を意図的に破壊するのは「革命」である。しかし、「革命」は国民の支持がなければ成功しない。国民の支持がないままに、憲法秩序を破壊しようとする行為を、法的には「クーデター」と呼ぶのだという。

その意味で、昨年7月1日の閣議決定はまさに「(法的には)クーデター」であって、我々は今(7月15日の強行採決)、そのクーデターの進行しつつある結果を見ているのだ、という。つまり、まさに民主主義が、日々破壊されつつあるのだ、ということだろう。民主主義の反対はファシズム・専制政治である。戦争法案の戦いは、民主主義を守る戦いでもある。

石川健治さんの指摘の中で、さらに怖いと思うのは、「今回日本が失ったものの中で、最も大きかったものは『理屈が突破されたこと』だった」という点だ。安倍政権の「反知性主義」的な性格は多くの識者がすでに指摘しているが、今回の法案についての答弁を見ても、全く理屈が通っていない。(集団的自衛権の根拠として、全く関係のない「砂川判決」を持ち出すなど。)

その結果、いくら時間をかけて審議しても、世論調査では国民の84%が「法案について政府は十分説明していない」と感じていることが、明らかになっている。それにも関わらず、数の力で理屈の通らない法案を強行採決する。およそ民主主義的な国家のやることではない。

私は、「民主主義を機能させていくには、社会を構成する平等な個人の知性と知識、そして時間をかけた徹底した議論(熟議)が、何よりも必要だ」と思う。その意味で「反知性主義」こそ、民主主義の最大の敵だと思う。その最たるものが、ヘイトスピーチに代表される偏狭なナショナリズムであろう。

今回の戦争法案に対しては、憲法学者だけでなく、ノーベル賞受賞物理学者の益川敏英氏をはじめとする各界の学者が「安全保障法案に反対する学者の会」を立ち上げている。まさに「理性の価値」が破壊されようとしている状況に直面して、学者たちが立ち上がるのは当然のことだろう。法案に反対する多くの市民・学者・学生たちと共に、私も力を尽くしていきたいと思う。

(2015-7-24)