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甘利氏辞任と日銀初のマイナス金利

日記
01 /30 2016
28日の甘利元経済再生担当相の「電撃」辞任は相当なサプライズだったが(直前の各TV局のニュース番組でも、すべてのコメンテーターが「当面、続投」という予想だった)、その直後の日銀「マイナス金利」導入には、もっと驚かされた。

えっ!「マイナス金利」ってどういうこと?と、ほとんどの方は(私もそうだが)思われたのではないか。銀行に預金すれば、本来なら利子がもらえるはずなのに、逆に預けた方が利子を払わなくてはならないというのは、全く一般人の常識に反している。というわけで、本日の東京新聞は1面で、朝日新聞も2面で、「マイナス金利とは?」というQ&A形式の解説記事を掲載していた。

まず、「マイナス金利」というのは民間の銀行が日銀に預けている当座預金の利率の話で、一般の人が民間銀行に預ける預金では、そんなことはあり得ない(銀行にお金を預けて利息を払わなければならないなら「タンス預金」にした方が賢いし、今預けている預金についても、引出そうとする人々が銀行に殺到し、大騒ぎになるだろう)。

要するに、この金融政策の狙いは銀行が日銀に預けるお金を減らして(日銀に預ければ銀行は「損」をするわけだから)、その分を企業などの貸し出しに回すことによって、投資や消費を増加させる、ということにあるらしい。私も全く知らなかったのだが、少し調べてみると、ヨーロッパでは「デフレ傾向」への対策としてすでにマイナス金利を導入している国もあるようだ。

しかし、すでにマイナス金利を導入しているヨーロッパでもそうなのだが(期待した成果が上がっておらず、むしろ弊害が目立ってきている)、この政策が本当に効果があるかは、「きわめて不明確」というのが、(ネット上で見つけた)多くの専門家の意見だ。

東京・朝日の両新聞の解説もおおむね同様で、この「大胆」とも言える政策の効果は全くの未知数、というところだろう。(この方針を決めた金融政策決定会合での賛成5、反対4という数字がそれを象徴している。)

政策の効果に疑問を感じる最大の要因はやはり、少子化による国内需要の減少といった、日本経済の構造的な問題があるからだ。その条件下では、いくら銀行に資金貸し出しを促しても、肝心の企業が借入れを増やしてまで設備投資に意欲を燃やすとは考えにくい。

このブログでも何度か指摘したように、日本のデフレは構造的な「需要の縮小」によるものだ。それを改善するには、「金融政策」というトップダウンではなく、「所得の再分配」によるボトムアップの政策しかない。1%に儲けさせるのではなく、99%のフトコロを暖め(可処分所得を増大)、GDPの6割を占める個人消費を喚起させるのが最も「現場の状況(日本の構造的問題)」に即した解決策であるし、デフレに対する「根本療法」であるはずだ。

それにしても今回、多くの経済専門家も、まさか日銀がこの「マイナス金利」にまで踏み込むとは思っていなかったフシがある。ある意味、専門家の間でも「禁じ手」と考えられていたわけだ。それをあえて5対4というギリギリの選択をしたのは、政府・日銀によほどの危機感があったに違いない。

あるネット記事によると、甘利元大臣の辞任ショックで株価急落、という事態を防ぐためという意味もあるとのこと。実際、このマイナス金利発表後、株価は急上昇している。(もちろんこれは、いわば「ギャンブル的」な株価の動きなので、今後も乱高下するのは避けられないだろう。)

甘利元大臣の不正献金疑惑による辞任といい、この唐突な、日銀の「異次元の(という表現もこれで3回目だが)」金融政策といい、安倍政権も相当に危ない局面に来ているのかも知れない。

安倍首相は「アベノミクスは今が正念場だ」などと言っているが、アベノミクスの失敗は今や明らかだ。日本国内では、それが分かっていながら?いまだに擁護的な論調が目立つが、海外からは厳しい目がそそがれている。(以下の記事は、先ほど述べた人口減による構造的な問題や、またいわゆる「リフレ派」経済学者やその政策のいい加減さについても指摘されているので、是非お読みいただきたい。)

アベノミクスは終わった…海外主要メディアによる「死刑宣告」を比較

日本のメディアも、きちんとデータに基づいて、「政権よりでない」、「客観的な」報道をすべきだと思う。例えば、安倍政権が誕生してからの3年間の実質GDPの伸び率は2.4%で、民主党政権時代の実質GDP伸び率は5.7%。半分以下だ。

【驚愕】アベノミクスの「GDP伸び率」、民主党政権に敗北!民主党の実質GDPは5.7%増加!安倍政権は2.4%に・・・

どこが、「経済再生」なのだろう。こういうことを、メディアはもっときちんと分かりやすく伝えるべきだ。(さすが東京新聞は、「こちら特報部」で「アベノミクスを検証する」として、この数字を示していた。)

(追記: さきほどBBC Japanの、とても的確で簡潔な「マイナス金利」についてのコメントを見つけたので、以下に追記してご紹介したい。さすがBBC。)

日銀、マイナス金利導入 追加緩和策で

(2016-1-30)

ヘイトスピーチは人種差別だ

日記
01 /24 2016
川崎市で開催された「ヘイトスピーチを許さない!オール川崎市民集会」に参加してきた。会場に入りきれず、廊下にまであふれた多くの参加者の熱気に、最初から最後まで圧倒された「熱い」集会だった。

ご存知の方もおられると思うが、川崎市は人権や「多文化共生」の政策では、最も先進的な都市といわれてきた。この集会は、まさにそのような川崎市民の、「共生の街、川崎でのヘイトスピーチなど、絶対に許さない!」という強い決意と行動力を表していた。この集会を主催した「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」の取組みも、短い期間にも関わらず、賛同団体数はすでに80を超えたという。

しかし、残念ながら筆者の筆力では、この集会に集まった市民の熱い思いを伝えることなど、とてもできない。それについては後日、主催者や取材に来ていた報道関係者からの報告や報道があるとのことなので、是非、ご覧いただきたい。

筆者としては、この問題の法的な側面について、分かりやすい解説をしてくれた金哲敏(キム・チョルミン)弁護士のレジュメに基づいて、整理をしておきたいと思う。(なお、この記事では地方公共団体レベルで取り組むべき課題についてのみ論じる。金弁護士は国レベルでの基本法制定の重要性についても説明されたが、今回はそれについては、紙幅の関係上、割愛させていただきたい。)

金弁護士が最初に指摘した、そして最も重要なポイントと筆者が思うことは「ヘイトスピーチは人種差別だ」ということである。それが決定的な事実であって、ヘイトスピーチは人種差別であるがゆえに、国連の人種差別撤廃条約において、以下のように規定されているのだ。

(人種差別撤廃条約は、締結国に)
①人種差別を擁護したり支持したりしないこと、
②いかなる個人、組織による人種差別をも禁止し、終了させること、
③ヘイトスピーチを根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとること
等を義務づけている。

何故、人種差別撤廃条約がこのような義務を締結国に課しているのか。それは、人種差別が人間の尊厳と平等を否定し、人種的憎悪と差別を生み出し、拡大し、ひいてはジェノサイドにもつながっていく危険性が大きいからだ。

金弁護士は「日本ではヘイトスピーチが表現の自由との関連で論じられ、最初からボタンの掛け違えが起こっている」と指摘している。再度強調するが、ヘイトスピーチは表現の自由を云々する以前に、「人種差別」という人類レベルの悪なのだ。「差別をする自由」など、どこにもありはしない。「差別をする権利」を守る必要など、全くない。ゆえに、ヘイトスピーチは根絶するしかない。

ご存知のように、日本はこの人種差別撤廃条約を1995年に批准している。(上記の条約の文言上は「締結国」となっているが、国レベルだけでなく、地方公共団体も締結国の組織の一部として、国際法上の義務の主体となっている。条約でも「地方」当局の役割については明記されている。)にも関わらず、20年以上、何もしてこなかった結果、今日のようなヘイトスピーチが蔓延する状況を招いているのだ。

日本国憲法98条2項によれば、締結された国際条約は「誠実に遵守しなければならない」。また国際条約は、法律的には国内法よりも優位であり、法律や条例は国際条約に適合するように解釈しなければならないとのことである。ゆえに、以下の結論が導かれる。

地方公共団体は、人種差別撤廃条約に基づき、「人種差別を支持、助長せず、さらに、非難し、禁止し、終了させるべき義務」を負っている。

ご存知のように、すでに大阪市では、ヘイトスピーチへの対処に関する条例が成立した。本日の集会では、集会決議に基づき、川崎市に対して、ヘイトスピーチの根絶を実現するため、市の基本計画策定に着手し、もって「ヘイトスピーチを許さない、人権の街・川崎宣言」を行うことを要請することを決定した。このような市民の力こそ、我々の宝だ。社民党は、このような市民と共に戦い続けていく。

(2016-1-23)

「もはやデフレではない」?

日記
01 /21 2016
ご存知のように年が明けて以来、日経平均株価は継続して下落。本日の終値は 16017.26円(前日比398.93円下落)で、かろうじて1万6千円割れは免れたが、1年3か月ぶりの安値だそうである。

これは「株価上昇・円安」だけが成果?のアベノミクスにとってはゆゆしき事態で、日経電子版には以下のような記事が出ている(会員でないと冒頭しか読めないが、これだけでも十分だろう)。

円高・株安、アベノミクスに試練 野党は公的年金含み損批判

ところで、タイトルの「もはやデフレではない(状態を作りだすことができた)」というのは、ご存知の安倍首相の年頭会見での言葉なのだが、本当にそうなのだろうか? この話題について、本日は少し、経済統計の基本的な知識のおさらいもしながら考えてみたい。

デフレかインフレかを判断する指標として、「GDPデフレーター」というものがある。その定義は、

 GDPデフレーター = 名目GDP ÷ 実質GDP

GDPデフレーターについて(ついでに名目GDPや実質GDPについても)は、以下に分かりやすい解説がある。

名目GDPと実質GDPの違いとは?

つまりGDPデフレーターが1以下なら「デフレ」、1以上なら「インフレ」ということで、これは分かりやすい。

では、実際のところデータはどうなっているのだろう?と思って、こういう場合の統計データの宝庫?である内閣府の統計情報のページを見てみる。

統計表一覧(2015年7-9月期 2次速報値)

「国内総生産(支出側)及び各需要項目」に並んでいるエクセルデータの中で、「四半期デフレーター原系列(CSV形式:16KB)」というデータに、このGDPデフレーターの数字も示されている。

【注】このエクセルデータを見るのは結構、面倒であるし、以下にこれをグラフ化したページも示したので、読者はご自分でエクセルの表をご覧になる必要はない。

この内閣府の統計データによれば、2007年以降、昨年7-9月期に至るまで、GDPデフレーターはずっと1以下であり、これを指標とした「インフレかデフレか」の判断でいえば、現在は依然として「デフレ」であるということになる。

以下のサイトでは、このことを分かりやすくグラフ化して見せている。(記事中二つ目の「日本の名目・実質GDP」というグラフをご覧ください。)

日本は1990年代からデフレへ…日米中のGDP推移を詳しく見ていく

このサイトの記事によると、GDPデフレーターが1になるのは当初、2020年との予想だったが、その予想も現在は2025年までずれこんでいるらしい。そうだとすると、本当に「デフレから脱却」するにはまだ10年弱、待たなくてはならないことになる。

グラフを見ると分かるように、名目と実質(GDP)の差は縮まる傾向にあるので、ひいき目で見れば、現在は「デフレから脱却していく傾向にある」とは言える。

実際、以下の記事などは「デフレ/インフレ」の定義自体が違う(デフレ=物価の継続的な下落、と定義)のだが、確かに物価はあがっているので、「もはやデフレではない」という立場のようだ。

もはやデフレではない、のだが

しかし、この記事でも指摘しているように、とにかく物価をあげれば良い(インフレ・ターゲット)というわけでは全くない。金融政策だけいじって、実体経済や消費がそれについていかなければ、「悪いインフレ=スタグフレーション」になるだけで、庶民にとって良い経済政策とは言えない。

経済の話は難しいし、筆者も素人なので専門家のような分析はできないが、今はネット上に色々と便利なデータや、色んな経済知識を教えてくれるサイトがあるので、それらを活用して、今後も政権のウソにだまされないように、しっかりと批判していきたいと思う。

(2016-1-21)

参議院予算委員会で貧困問題を議論

日記
01 /20 2016
今日の東京新聞は2面で、参議院予算委員会での貧困問題に関する議論を取り上げている。(ネット版は以下。)

貧困問題、データで応酬 首相「日本は裕福な国」

この記事の中で、塩崎厚労相が「相対的貧困率だけで日本の状況を判断するのはいかがか」などと言っているが、格差問題では相対的貧困率で論じるのが常識だろう。個別の国では、まさに「相対的に貧困」ということこそ問題であって、「絶対的貧困」を指標にする意味はないからだ。その点については、以下の「THE BIG ISSUE ONLINE」に良い解説記事がある。

相対的貧困率とは何か:6人に1人が貧困ラインを下回る日本の現状

ところで、東京新聞の紙媒体では、同じ面の関連コラムで「富豪上位62人=最貧困36億人分の富」と題して、貧困問題に取り組む国際NGOオックスファムの注目すべき推計を報じている。

オックスファムは英オックスフォードに本部を持つ著名な国際NGOだが、オックスファムが金融大手のクレディ・スイスの公表したデータを元に分析した結果、過去5年間で貧困層36億人の資産は約4割、一兆ドル減ったのに対し、富裕層上位62人の資産が約4割増え、その結果、タイトルのように、世界の再富裕層62人の総資産が最貧困層36億人分の総資産と同じになった、というのである。

この記事の詳細は、もし東京新聞をご購読でなければ、図書館などで是非、お読みいただきたいが、このオックスファムの分析の結論としては、以下の指摘が重要だと思う。

(オックスファムは)急速に進む格差拡大は「指導者たちが多数の利益のために行動するのではなく、上位1%とその周辺の声に耳を傾ける政策を故意にとっている結果だ」と批判。富裕層の資産への課税を強化するなど公平な税負担を訴えている。

格差と貧困との戦いは、世界的な重要課題。もちろん社民党にとっても、貧困と格差の問題は最重要の課題の一つだ。解決の決め手は、ピケティも指摘しているように、国際的な「資産課税」だろう。またトービン税のような「金融取引税」を導入する政策は、金融市場の過剰な投機(ギャンブル)を防ぐだけでなく、税収を貧困対策に充てることで、間接的に貧困と格差の問題解決につながる。

格差と貧困の問題と、それを解決するための税制改革の提案など、この話題については今後も、このブログで議論していきたいと思う。

(2016-1-19)

成人の日の、ちょっといい話

日記
01 /14 2016
湘南のおてもやん、木村えい子です。今日は、11日の成人の日に出会った、ちょっといい話を。

11日の成人の日、社民党は横浜、川崎、藤沢など、県内各地で街頭宣伝と戦争法廃止2000万署名活動を行いました。

2016-1-11成人の日街宣
(写真は新横浜駅頭での街頭宣伝の様子です。)

私も藤沢・寒川の党員8名と共に、藤沢で街頭宣伝と署名活動を行っていました。すると、一人の女性の方が(全く知らない、市民の方です)、「私も署名活動をしたいのですが、ご一緒にさせていただいてよろしいでしょうか?」と声をかけてこられ、ご自分で持ってこられた2000万人署名活動の用紙で、私たちと一緒に最後まで、署名活動をされました。

その女性の方は、「どうしても戦争法を廃止したい」という思いに突き動かされ、一人でも署名を集めようと駅前にやってきたら、社民党の私たちがいた、ということのようでした。たった一人でも行動しようとする、その素晴らしい行動力に敬服です。社民党の私たちも頑張らなくては!

(2016-1-14 湘南のおてもやん 木村えい子)

18歳選挙権について考える

日記
01 /11 2016
本日の東京新聞朝刊はトップで、北海道の一人の高校生が、慶応大学の全国高校生小論文コンテストの最優秀賞である小泉信三賞を受賞した、という記事を掲載している。

18歳主権者 知を磨こう 高3「対話ネット」論文に小泉信三賞

受賞した田中俊介さんは、全国の高校生・大学生がネットを通じて時事問題を議論する場、「ぼくらの対話ネット」を開設。今回の受賞論文は、その活動についてまとめたものだ。

筆者は、「18歳選挙権」について色々と取沙汰されながら、メディアで伝えられる現場の取組み状況は「模擬投票をやってみる」など、全く枝葉末節な現象ばかりで、こんなことでどうなるのか、と危惧していただけに、このような当事者自身の取組みを知って大変に素晴らしいと思うし、それをトップで取り上げた東京新聞にも最大限の賛辞を送りたいと思う。

民主主義の根幹は「多くの人々による、平等でオープンな議論」にこそあると思う。選挙はその結果であって、民主主義の本質では全くない。だから「模擬投票」など茶番でしかないと思うのだが、もしかしたら現場ではそんなことは分かっていて、しかし実際には現場の締め付けが厳しくて(教師が政治的な議論を指導することがタブーとなっていて)「オープンな議論」など出来る状況ではないために、「模擬投票」でお茶を濁しているのかもしれない。

となれば、高校の現場で、教師が政治的なテーマについての議論を指導できるような状況を調えることこそ、まず第一にやるべきことではないだろうか。そこに制限をかけるようでは「18歳選挙権」を導入する意義が失われてしまう、と思う。もちろん、教師は自分の考えを生徒に対して説明する権利があるが、それを押し付けることはしてはならない。生徒がいかに、自主的に政治的なテーマについて考え、積極的に議論に参加していけるか、というところに教師の指導力が問われることになるだろう。

日本では「高校生が政治を議論するのはまだ早い」という人も多い。しかし世界的には、18歳選挙権が多数派で、日本の今回の決定はむしろ「やっと実現した」というのが事実なのだ。筆者は18歳が政治について考え、議論するうえで「早すぎる」ということは全くないと思う。さらに、今の若者は政治に無関心、といわれるが、昔からそうだったわけではない。筆者は「団塊世代」だが、自分の高校生の頃を思い出しても、すでにいろいろと政治のことにも興味を持ち、考え始めていたし、友人とも議論をしていた。そういう政治的な議論も、当時はタブーではなかったと思う。

これまでの、学校現場での政治的な議論や活動に対する締め付けの状況を考えれば、18歳選挙権実施に当たっても、学校現場での指導の在り方について、政権は今後、色々な制約を課してくる可能性もある。社民党としては、「教師および高校生自身による、オープンな議論」を、少しでも妨げるような制約については絶対に反対していく必要があると思う。

(2016-1-10)

小林幸子さんと「千本桜」

日記
01 /04 2016
「木村えい子と仲間たちのブログ」管理人です。昨年は大変な年だったので、新年になってもあまりめでたくないな、という方も多いと思いますが、今年は「絶対に負けられない戦い」、参院選の年です。気持を新たに、頑張りたいと思います。

さて、時間はちょっと戻って、表題の小林幸子さんと「千本桜」の話。(管理人はコンピュータ・オタクなので)ちょっとマニアックな話になるかもしれませんが、よろしければお付き合いを。

管理人は演歌が嫌いなので、昔は「紅白」を見なかったのですが、最近はJ-POPや純ロックのバンドの出演も多くなったので、毎年見るようになりました。昨年の紅白のサプライズは、何と言っても小林幸子さんが再度出場を果たし、しかも歌った曲が「ボカロ」曲の「千本桜」だったことではないでしょうか。

「ボカロ」をご存知ない方のために補足しますと、ボカロ(ボーカロイド)というのは、一言でいえば、コンピュータによる音声合成技術を使った「歌うロボット」です。(ボカロの代表的なキャラクター、初音ミクの名前は、どこかでお聞きになったことがあるのではないでしょうか。)管理人は、このコンピュータ音声合成技術の初期の時代に、ちょっと関連する仕事をしていましたので、この技術にはずっと興味を持ってきました。

このボカロのソフトウェアを使うと、単にボーカロイドに既成の曲を歌わせるだけでなく、自分で新しく作曲もできます。それで、最近は学校の音楽教材にも取り入れているところがあると聞きます。

これは考えてみると画期的な発明で、これによって多くの名曲が、これまで無名であった、多くの若い作曲者によって作られました。その中には、これまでのメジャーな音楽シーンに流布している楽曲をはるかに凌駕する(と管理人は思います)名曲も数々あります。その結果、GOOGLEのCMに初音ミクのTell Your Worldが起用されるなど、今や「ボカロ」技術と、それに関連する文化は、マンガやアニメと同様、日本発のユニークなカルチャーとして、世界中に広がる状況になりました。

(1-10追記:YouTube朝日新聞デジタル・チャンネルにこんな紹介記事がありましたので、ご参考までにリンクを掲載します。)
世界に広がる仮想歌姫「初音ミク」新進クリエーターに迫る

日本にはこれだけのユニークな技術や文化があるのだから、これこそ「世界に輸出」すべき「ソフトパワー」資産ではないでしょうか。これらの高度でエレガントな(「カッコ良い」)文化に比べて、「ダサさ」の極みである武器や原発なんか、輸出する必要はないのです!

話を戻して小林幸子さん。管理人は演歌を聞かないので、もちろんこれまでは、彼女には何の関心も持っていませんでした。なので、「なんで小林幸子が千本桜?」と不思議に思っていたのですが、調べてみると「リテラ」というサイトにこんな記事が掲載されていて、やっと疑問が氷解しました。

復活、小林幸子が語る紅白への思い

この中の「芸能界の圧力」といった話は良く分かりませんが(まあ、そんなこともあるんだろうな、とは思いますが)、管理人が注目したのは、いわば「メジャー」の世界から、ネットという「カウンター・カルチャー」の世界へ、見事に転身を果たした「切り替えの早さ」や「柔軟な発想」です。このような転身は、彼女のようにメジャーの世界で成功を収めてきた人間であればあるほど、難しいことだろうと思います。

ひるがえって考えてみると、我々リベラル勢力に今、必要とされているのも、この「柔軟性」や「発想の豊かさ・多様性」ではないでしょうか。既成の概念を一度取り払い、過去の成功体験も一度、わきに置いておいて、「我々はどんな社会を理想として活動を続けているのか」もう一度原点に戻って考えてみることが必要なのではないかと、最近つくづく思います。その上で、その思いを多くの人に向けて発信していくことが重要なのではないでしょうか。

ちなみに、この「リテラ」というサイトは偶然、見つけたのですが大変に面白いサイトなので、この際、紹介しておきたいと思います。面白い記事が沢山ありますが、管理人のお勧めは以下の記事です。

芸能人「よく言った!大賞」1〜5位

海外のアーティストに比べ、日本のいわゆる「芸能人」が政治に関して語ることは、これまでタブーとなっていましたが、ご存知のように石田純一さんは国会前で演説し、そのタブーを破ってくれました。こういうことは、もっと評価されていいと思います。

(2016-1-4)