「Jアラート、国民保護サイレン訓練」中止の申し入れ
日記
神奈川県内在住の方はご存じと思いますが、神奈川県は1月31日に「国民保護サイレン訓練」と称して、県下の全市町村でJアラート発動を想定したサイレンの一斉再生訓練を実施することを「県のたより」などで告知しています。社民党神奈川県連合は、このような「戦争の危機を煽る」訓練は無益であり、有害であるとして1月23日、神奈川県安全防災局安全防災部危機管理対策課に訓練中止の申し入れを行いました。以下に、その申し入れ文の全文を掲載します。
(なお、明日1月25日には「神奈川県は戦争の危機を煽らないで!・市民アクション」主催によるJアラート訓練に抗議する行動が、桜木町~横浜市役所~県庁で実施されます。是非、ご参加ください。詳細はこの記事の最後の部分をご覧ください。)
<以下、安全防災局安全防災部危機管理対策課への申し入れ文全文です。>
2018年1月23日
神奈川県知事 黒岩 祐治様
社会民主党神奈川県連合
代表 福島瑞穂
社会民主党神奈川県自治体議員団
議長 和田厚行
「Jアラートの発動を想定した国民保護サイレン一斉再生訓練」の中止を求める申し入れ
県政への日々のご努力に敬意を表します。
さて、来る2018年1月31日午前11時に神奈川県が県内全市町村で実施を計画している「Jアラートの発動を想定した国民保護サイレン一斉再生訓練」は、以下に述べるように無益であるばかりか有害であるので、中止を求めます。
神奈川県安全防災局安全防災部危機管理対策課の計画(案)によれば、訓練は「緊張が続く北朝鮮情勢を踏まえ、本県にJアラートの警報が発令される事態を想定し、国民保護サイレン音の県民への周知を目的」とするもので、具体的には、県が用意する「国民保護サイレン音」を1月31日午前11時に防災行政無線を使用して14秒間鳴らし続け、その前後には防災行政無線で「このサイレン音は、弾道ミサイルが日本に落下する可能性がある場合や、日本の上空を通過する場合などに流れます」、「このサイレン音を聞いたときは、建物の中や地下に避難してください」などのアナウンスが流されるとのことです。
しかし、なぜ殊更に弾道ミサイル発射にかかわるサイレン音を県民に「周知」する「訓練」を実施する必要があるのでしょうか。地震や津波といった自然災害は人間の力では防ぐことができず、いつかは避けがたく発生するものですが、そうした地震や津波などの発生の危険を知らせるサイレン音を県民に周知する訓練を、県内全市町村で一斉に行ったことがこれまであったのでしょうか。
そもそもなぜ、弾道ミサイルが神奈川県に飛んでくるというのでしょうか。弾道ミサイルが地震や津波と同じような自然現象だとお考えなのでしょうか。ミサイル発射は人間の行為であり、人間が防ぐことができるものです。緊張緩和のための対話をするよう、日本政府をはじめ各国政府に働きかけることこそが、住民の命を守る自治体の役割ではないでしょうか。
また、「建物の中や地下に避難」すれば、弾道ミサイルから身を守ることができると本当にお考えなのでしょうか。仮に弾道ミサイルが飛んできて落下した場合には、どのような被害を想定されているのでしょうか。
2017年12月12日の神奈川県記者発表資料には、「Jアラートが発動されたら」、「屋外にいる場合」には「近くの建物の中か地下に避難する」とあり、また「近くに建物がない場合」には「物陰に身をかくすか、地面に伏せて頭部を守る」とあり、頭を抱えて地面に伏せている人物の写真が掲載されています。さらに、「屋内にいる場合」には「窓から離れるか、窓のない部屋に移動する」とあります。
屋内に入って窓から離れていれば、弾道ミサイルが直撃しても大丈夫だと神奈川県は想定しているのでしょうか。頭を抱えてしゃがみ込んでいれば弾道ミサイルに直撃されても大丈夫だと、神奈川県安全防災局安全防災部危機管理対策課の皆さんは本気でお考えなのでしょうか。仮に弾道ミサイルで米海軍横須賀基地の原子力艦船が破壊されて、あるいは国内の原子力発電所等が破壊されて放射能が大量に放出されても、みんなで頭を抱えてしゃがみ込んでいれば大丈夫だと黒岩知事はお考えなのでしょうか。本気でそのように考えているのであれば、まさに非現実的だと言わざるを得ません。
しかし、「弾道ミサイル落下時にとるべき行動」という2017年6月20日付け神奈川県作成の動画を見ると、頑丈な建物内に駆け込むこと、物陰に隠れること、頭を抱えて伏せることなどを挙げた後で、それまでの話をひっくり返すかのように、「これはあくまでも例示に過ぎない。自分たちで対応を考えろ」という趣旨の説明が最後に現れます。まさに無責任な内容の動画ですが、このような動画を流しているということは、屋内に駆け込んだり、頭を抱え込んだりするような対応が、弾道ミサイルに対しては非現実的で無意味であることを県自ら分かっているということを示しているのではないでしょうか。非現実的で無益であることを知りつつ、市民に「国民保護サイレン」を聞かせ、屋内に駆け込むことや頭を抱えてしゃがみ込むことを推奨しているのであれば、「訓練」を行う目的は別にあるものと疑わざるを得ません。
2017年には、北朝鮮のミサイル発射を受けるかたちをとって、日本政府が「Jアラート」を発令して国民保護サイレンを鳴らしたことが複数回ありましたが、これらの「Jアラート」発令は適切だったとお考えでしょうか。例えば、2017年8月29日早朝の北朝鮮による弾道ミサイル発射の際には、ミサイルが北海道上空を飛行したと発表がありましたが、実際には国際宇宙ステーションの高度よりも高い宇宙空間を飛行して、遙か彼方の太平洋上に落下しました。宇宙空間を通り過ぎていくことが、「日本上空」を飛行することなのでしょうか。またこの時、北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、新潟県、長野県の各道県を選んで、「Jアラート」が発令されましたが、なぜ、首都圏を除外して、それを取り囲むエリアだけに「Jアラート」を発令したのでしょうか。実際には危険性が無いことを日本政府が知っていたからなのではないでしょうか。
結局は、弾道ミサイル発射という北朝鮮の言語道断のふるまいを政治利用して、人びとの恐怖と敵意を煽り、政権や政権の進める政策への支持を調達すること、安倍首相の個人的願望である日本国憲法第9条改定への支持を高めること、社会保障費を削減しつつ高価な兵器を米国から購入することを人びとに受け入れさせることなどを目的としたパフォーマンスが、昨年の「Jアラート」発令と、今回の「訓練」の本質なのではないでしょうか。
しかし、「国民保護サイレン」を市民に聞かせても、弾道ミサイルから市民を守ることはできません。むしろこのような「訓練」を実施することで、恐怖や敵意を煽ること自体が、逆に北朝鮮や周辺諸国の日本社会への警戒心を刺激し緊張をさらに高める、いわゆる「安全保障のジレンマ」の有害な帰結を生み出しかねません。恐怖と敵意を煽ることによってではなく、緊張緩和のための冷静な非軍事の対話によってしか、市民の安全を確保することはできません。神奈川県は、日本政府はじめ各国政府に対話を呼びかける努力の先頭にこそ立つべきです。残念ながら、県作成の動画「弾道ミサイル落下時にとるべき行動」は、「とるべき行動」については無責任な「例示」をしているに過ぎないのに、北朝鮮を名指ししてその脅威を煽る内容になっています。官邸の政治的パフォーマンスに同調してはなりません。
私たちは、今回の「Jアラートの発動を想定した国民保護サイレン一斉再生訓練」の中止を強く求め、以下の申し入れをします。
記
1.無益で有害な「Jアラートの発動を想定した国民保護サイレン一斉再生訓練」を中止すること。
2.今回の訓練実施に関して、国からどのような要請があったのか、国との間でどのようなやりとりがあったのかを、全て明らかにすること。
3.今回の訓練にどれだけの予算を使うのか、その財源はどこにあるのかを明らかにすること。
4.弾道ミサイルによる被害をどのように想定しているのかを明らかにすること。弾道ミサイルの被害は、屋内や地下に退避したり、物陰に隠れたり地面に伏せたりすることで避けられるものなのか、県として責任を持って説明すること。
5.県作成の動画などで、国名を名指しして脅威を煽る行為は無益かつ危険であるため中止すること。
6.県民の命と暮らしをまもるため、日本政府を初め各国政府に対し、北朝鮮のミサイル発射及び核兵器開発問題に関して、非軍事の対話を開始するよう、積極的に働きかけること。
以上
<以下は、明日25日の抗議行動の予定です。>
「神奈川県は戦争の危機をあおらないで!」市民アクションが、黒岩知事にJアラート訓練の中止を求めて、以下のように行動をよびかけています。
日時 1月25日(木)
14:00~15:00 桜木町駅前街宣
15:00~16:00 県庁まで パレード
16:30~18:00 県庁包囲
(2018-1-24)
(なお、明日1月25日には「神奈川県は戦争の危機を煽らないで!・市民アクション」主催によるJアラート訓練に抗議する行動が、桜木町~横浜市役所~県庁で実施されます。是非、ご参加ください。詳細はこの記事の最後の部分をご覧ください。)
<以下、安全防災局安全防災部危機管理対策課への申し入れ文全文です。>
2018年1月23日
神奈川県知事 黒岩 祐治様
社会民主党神奈川県連合
代表 福島瑞穂
社会民主党神奈川県自治体議員団
議長 和田厚行
「Jアラートの発動を想定した国民保護サイレン一斉再生訓練」の中止を求める申し入れ
県政への日々のご努力に敬意を表します。
さて、来る2018年1月31日午前11時に神奈川県が県内全市町村で実施を計画している「Jアラートの発動を想定した国民保護サイレン一斉再生訓練」は、以下に述べるように無益であるばかりか有害であるので、中止を求めます。
神奈川県安全防災局安全防災部危機管理対策課の計画(案)によれば、訓練は「緊張が続く北朝鮮情勢を踏まえ、本県にJアラートの警報が発令される事態を想定し、国民保護サイレン音の県民への周知を目的」とするもので、具体的には、県が用意する「国民保護サイレン音」を1月31日午前11時に防災行政無線を使用して14秒間鳴らし続け、その前後には防災行政無線で「このサイレン音は、弾道ミサイルが日本に落下する可能性がある場合や、日本の上空を通過する場合などに流れます」、「このサイレン音を聞いたときは、建物の中や地下に避難してください」などのアナウンスが流されるとのことです。
しかし、なぜ殊更に弾道ミサイル発射にかかわるサイレン音を県民に「周知」する「訓練」を実施する必要があるのでしょうか。地震や津波といった自然災害は人間の力では防ぐことができず、いつかは避けがたく発生するものですが、そうした地震や津波などの発生の危険を知らせるサイレン音を県民に周知する訓練を、県内全市町村で一斉に行ったことがこれまであったのでしょうか。
そもそもなぜ、弾道ミサイルが神奈川県に飛んでくるというのでしょうか。弾道ミサイルが地震や津波と同じような自然現象だとお考えなのでしょうか。ミサイル発射は人間の行為であり、人間が防ぐことができるものです。緊張緩和のための対話をするよう、日本政府をはじめ各国政府に働きかけることこそが、住民の命を守る自治体の役割ではないでしょうか。
また、「建物の中や地下に避難」すれば、弾道ミサイルから身を守ることができると本当にお考えなのでしょうか。仮に弾道ミサイルが飛んできて落下した場合には、どのような被害を想定されているのでしょうか。
2017年12月12日の神奈川県記者発表資料には、「Jアラートが発動されたら」、「屋外にいる場合」には「近くの建物の中か地下に避難する」とあり、また「近くに建物がない場合」には「物陰に身をかくすか、地面に伏せて頭部を守る」とあり、頭を抱えて地面に伏せている人物の写真が掲載されています。さらに、「屋内にいる場合」には「窓から離れるか、窓のない部屋に移動する」とあります。
屋内に入って窓から離れていれば、弾道ミサイルが直撃しても大丈夫だと神奈川県は想定しているのでしょうか。頭を抱えてしゃがみ込んでいれば弾道ミサイルに直撃されても大丈夫だと、神奈川県安全防災局安全防災部危機管理対策課の皆さんは本気でお考えなのでしょうか。仮に弾道ミサイルで米海軍横須賀基地の原子力艦船が破壊されて、あるいは国内の原子力発電所等が破壊されて放射能が大量に放出されても、みんなで頭を抱えてしゃがみ込んでいれば大丈夫だと黒岩知事はお考えなのでしょうか。本気でそのように考えているのであれば、まさに非現実的だと言わざるを得ません。
しかし、「弾道ミサイル落下時にとるべき行動」という2017年6月20日付け神奈川県作成の動画を見ると、頑丈な建物内に駆け込むこと、物陰に隠れること、頭を抱えて伏せることなどを挙げた後で、それまでの話をひっくり返すかのように、「これはあくまでも例示に過ぎない。自分たちで対応を考えろ」という趣旨の説明が最後に現れます。まさに無責任な内容の動画ですが、このような動画を流しているということは、屋内に駆け込んだり、頭を抱え込んだりするような対応が、弾道ミサイルに対しては非現実的で無意味であることを県自ら分かっているということを示しているのではないでしょうか。非現実的で無益であることを知りつつ、市民に「国民保護サイレン」を聞かせ、屋内に駆け込むことや頭を抱えてしゃがみ込むことを推奨しているのであれば、「訓練」を行う目的は別にあるものと疑わざるを得ません。
2017年には、北朝鮮のミサイル発射を受けるかたちをとって、日本政府が「Jアラート」を発令して国民保護サイレンを鳴らしたことが複数回ありましたが、これらの「Jアラート」発令は適切だったとお考えでしょうか。例えば、2017年8月29日早朝の北朝鮮による弾道ミサイル発射の際には、ミサイルが北海道上空を飛行したと発表がありましたが、実際には国際宇宙ステーションの高度よりも高い宇宙空間を飛行して、遙か彼方の太平洋上に落下しました。宇宙空間を通り過ぎていくことが、「日本上空」を飛行することなのでしょうか。またこの時、北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、新潟県、長野県の各道県を選んで、「Jアラート」が発令されましたが、なぜ、首都圏を除外して、それを取り囲むエリアだけに「Jアラート」を発令したのでしょうか。実際には危険性が無いことを日本政府が知っていたからなのではないでしょうか。
結局は、弾道ミサイル発射という北朝鮮の言語道断のふるまいを政治利用して、人びとの恐怖と敵意を煽り、政権や政権の進める政策への支持を調達すること、安倍首相の個人的願望である日本国憲法第9条改定への支持を高めること、社会保障費を削減しつつ高価な兵器を米国から購入することを人びとに受け入れさせることなどを目的としたパフォーマンスが、昨年の「Jアラート」発令と、今回の「訓練」の本質なのではないでしょうか。
しかし、「国民保護サイレン」を市民に聞かせても、弾道ミサイルから市民を守ることはできません。むしろこのような「訓練」を実施することで、恐怖や敵意を煽ること自体が、逆に北朝鮮や周辺諸国の日本社会への警戒心を刺激し緊張をさらに高める、いわゆる「安全保障のジレンマ」の有害な帰結を生み出しかねません。恐怖と敵意を煽ることによってではなく、緊張緩和のための冷静な非軍事の対話によってしか、市民の安全を確保することはできません。神奈川県は、日本政府はじめ各国政府に対話を呼びかける努力の先頭にこそ立つべきです。残念ながら、県作成の動画「弾道ミサイル落下時にとるべき行動」は、「とるべき行動」については無責任な「例示」をしているに過ぎないのに、北朝鮮を名指ししてその脅威を煽る内容になっています。官邸の政治的パフォーマンスに同調してはなりません。
私たちは、今回の「Jアラートの発動を想定した国民保護サイレン一斉再生訓練」の中止を強く求め、以下の申し入れをします。
記
1.無益で有害な「Jアラートの発動を想定した国民保護サイレン一斉再生訓練」を中止すること。
2.今回の訓練実施に関して、国からどのような要請があったのか、国との間でどのようなやりとりがあったのかを、全て明らかにすること。
3.今回の訓練にどれだけの予算を使うのか、その財源はどこにあるのかを明らかにすること。
4.弾道ミサイルによる被害をどのように想定しているのかを明らかにすること。弾道ミサイルの被害は、屋内や地下に退避したり、物陰に隠れたり地面に伏せたりすることで避けられるものなのか、県として責任を持って説明すること。
5.県作成の動画などで、国名を名指しして脅威を煽る行為は無益かつ危険であるため中止すること。
6.県民の命と暮らしをまもるため、日本政府を初め各国政府に対し、北朝鮮のミサイル発射及び核兵器開発問題に関して、非軍事の対話を開始するよう、積極的に働きかけること。
以上
<以下は、明日25日の抗議行動の予定です。>
「神奈川県は戦争の危機をあおらないで!」市民アクションが、黒岩知事にJアラート訓練の中止を求めて、以下のように行動をよびかけています。
日時 1月25日(木)
14:00~15:00 桜木町駅前街宣
15:00~16:00 県庁まで パレード
16:30~18:00 県庁包囲
(2018-1-24)