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社民党の参院選公約-人間らしい働き方の実現

政策
07 /12 2019
今回の参院選、社民党は公約に「人間らしい働き方の実現」を掲げてたたかっている。

社民党はこれまでも、「過労死促進法」とも呼ばれる「高度プロフェッショナル制度」導入を含む労働法の改悪に、全力で反対してきた。それは、いわゆる「高プロ」が、労働基準法に定められた労働時間の規制をすべて取り払うという、まさに「労働基準法の根本を破壊する」危険性を持った雇用形態だからだ。

労働基準法は戦後、憲法27条の「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」との規定を受けて制定された。戦前は民法の「契約自由の原則」で、労働者側に不利な契約を結んでも違法ではなかった。労働基準法は労働者が人間らしく生きていくため、労働条件の最低基準を設けて、これを使用者に強制的に守らせることによって、労働者を保護する役割を持つ、重要な法律である。

しかし、労働基準法があるにも関わらず、いわゆる「ブラック企業」ばかりでなく一般の企業でも、労働基準法を守らず「サービス残業」をやらせる(労基法には残業時間の割増賃金について、厳格な規定がある)、高齢者の再雇用では最低賃金を守らないなど、違法な働かせ方が横行しているのが現実だ。労働者の権利と生活・健康を守るため、このような労働法上の違法行為は、徹底的に取り締まらなくてはならない。

若い人たちへの労働法の教育を充実させて、労働者としての権利を徹底して教え込む、ということも重要な政策の一つだと筆者は考える。学生のアルバイトにも労働基準法は適用される、ということを全く知らない学生もいる。そういう実態が、いわゆる「ブラックバイト」問題を生み出す。学校教育の中に、労働三法についてしっかりと教えるカリキュラムを組まなくてはならないと思う。

社民党 参院選選挙公約では、「人間らしい働き方の実現」として、以下のような政策を掲げている。是非お読みいただき、社民党への支持をお願いしたい。

○ 「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ制度)と過労死ラインまで長時間労働を可能にする労働基準法の改悪を中止させます。長時間労働を規制するため、「最低でも連続した11時間の休息時間」を義務化するインターバル規制を導入し、過労死を根絶します。また、長時間労働を規制することで、雇用を創出し、非正規雇用から正規雇用への転換を促進します。

○ 同一価値労働・同一賃金の原則を徹底します。正規・非正規間、男女間の賃金差別を是正し、均等待遇を保障します。

○ セクシャルハラスメント、パワーハラスメントなど働く場におけるハラスメントを法律で禁止します。被害者を迅速に救済する独立した救済機関の設置を検討します。

○ 直接雇用が労働法制の原則であるという原点に立ちます。労働者派遣法を抜本改正し、派遣労働は一時的・臨時的な業務に厳しく制限をします。

○ 「官製ワーキングプア」とよばれる非正規公務員の待遇を改善します。2020年度から始まる会計年度任用職員の処遇改善のための財源確保を図ります。教職員の長時間労働を是正し、本来的な仕事の質を高めて教育の質的向上を図ります。

○ 公務員の労働基本権を回復し、キャリア制度の廃止を含めた国民本位の民主的で透明な公務員制度を実現します。事前規制の復活や早期退職の実態の是正など実効性のある天下り規制の実現を求めていきます。

○ 働く者や市民が共同出資し民主的に経営に参加するワーカーズコープなどを応援します。労働者協同組合法を早期に制定し、生活と地域の必要に応える仕事を創出します。

上記のうち、3番目の職場におけるハラスメントの禁止については、今年6月22日に初めて、ハラスメント禁止条約がILOで採択された。

ハラスメント 初の禁止 ILO条約採択 実習生なども保護

労働者の尊厳を傷つける、職場におけるあらゆる種類のハラスメントを根絶するため、早急にこのハラスメント禁止条約を批准し、ハラスメント禁止のための国内法を制定するべきだ。

(2019年7月12日)