参院選の争点-消費税、有権者の受け止め方
政策
今朝の東京新聞は一面で、参院選を前に、東京新聞が東京選挙区の有権者に対して行った世論調査の、大変に興味深い記事を掲載していた。ネット版にはこの記事はアップされていないようなので、以下にポイントとなる数字をあげておく。
1.憲法について-「9条改憲は必要ない」が49.7%に対し、「憲法改正をすべき」が39.2%。
2.消費税率について-「10%、あるいはそれ以上を容認(増税賛成)」の合計が40%に対し、「8%維持、あるいは減税すべき、消費税は廃止すべき(増税反対)」の合計が53%。
ちなみに、相原りんこ神奈川選挙区候補の主張する「5%への減税」に賛成する人は12.8%とかなりの割合。「消費税は廃止すべき」も7.1%と、消費税そのものの問題点に気が付いている人は思ったより多い、という印象を受ける。
この世論調査でさらに興味深いのは、「男性では消費税10%を容認する、と答えた人が36%と最も多かった」のに対し、「女性では8%維持が38.1%と最多を占め」、「男女での受け止め方の違いが浮き彫りになった」と分析していることだ。
このような違いが出てくる原因は単純で、いまだに「性別役割分業社会」から抜け出せない日本においては、日常的に家計のやりくりに頭を悩ませているのは圧倒的に女性が多い、ということに尽きるのではないか。逆に言えば男性の多くは「会社人間」として日常の多くの時間を過ごし、「消費税が上がったら、生活がどれくらい苦しくなるのか」ということが実感として分からないのだろう。
もう一つ興味深いのは、消費増税に対する見方は職業によっても異なり、「非正規労働者と主婦層はおよそ4割が8%維持を支持し、10%容認を上回った」、逆に「会社員や公務員・団体職員は10%容認が4割近く、8%維持を上回った」という事実だ。
これまで、消費税率を上げるたびに富裕層の所得税、大企業の法人税などが減税されてきて、貧しい人たちから「搾り取った」消費税はその穴埋めに使われた。そのような「大企業・富裕層優遇」の税制を徹底的に見直すことで「財源」は確保するべきで、貧しい人ほど負担が大きい消費税を基幹税と位置付けること自体に、社民党は反対している。
税の原則は「応能負担」、つまり「払える能力のある人が、より多く払う」であるべきで、「取りやすいから(脱税しにくいから)」といった無責任な理由で、貧しい人ほど苦しめる根本的な欠陥のある消費税を、まず財源として考えるというのは、ありていに言えば「倒錯した」考え方だと筆者は思う。
消費税の問題は、「庶民」の感覚では「消費税10%なんてとんでもない、8%だって生活は楽じゃない」となるはずだが、では何故「会社員や公務員・団体職員は10%容認が4割近く」なのだろうか?
多分、このカテゴリーの人たちはかなりの高給取りで、「所得税の累進税率が上がるのは困る」とか、「法人税率が上がって企業の儲けが少なくなるのは困る」といった理由で「消費税率を上げてなるべく多くの人に負担してもらった方が良い」と考えているのかもしれない。(なお、「財政再建のために必要」とか「福祉のために必要」という理由は、大嘘であることがすでに分かっているので、そういう理由で消費増税を支持している人は「残念!」というしかない。)
良く知られているように、消費税の「負担感」は収入によって大きく異なる。例えば年収2000万円もある人は、それをすべて消費に回す、といったことは考えられない。仮定として2000万円のうち1000万円だけを消費に回すとすると(まあ、1000万円も消費に回せる生活はどんなものだろう、とも思うが)、収入に対する実質の税負担率は4%、ということになる。それに対して、年収が300万とか400万くらいしかない人は、その収入のほとんどを消費に回さざるを得ないので、税負担率はそのまま、8%ということになる。
そういうわけで、高給取りほど「所得税を下げて、消費税を上げろ」ということになるのは見やすいことだ。私たち社民党は、徹底的に庶民の、働くものの、貧しい人々の目線に立って、「消費税は絶対に上げさせない、むしろ減税によって消費を回復させ、景気を良くすることこそ、日本経済を救う唯一の政策だ」と強く主張して、この参院選をたたかい抜く。
皆さんが「消費増税反対、消費税はむしろ減税すべき、または廃止すべき」とお考えなら、是非とも社民党に絶大なるご支持をいただきたい。皆さんの一票一票が、これからの政治の方向を変える。決して棄権などせず、皆さんの意志を投票によって表明して欲しい。
(2019年7月17日)
1.憲法について-「9条改憲は必要ない」が49.7%に対し、「憲法改正をすべき」が39.2%。
2.消費税率について-「10%、あるいはそれ以上を容認(増税賛成)」の合計が40%に対し、「8%維持、あるいは減税すべき、消費税は廃止すべき(増税反対)」の合計が53%。
ちなみに、相原りんこ神奈川選挙区候補の主張する「5%への減税」に賛成する人は12.8%とかなりの割合。「消費税は廃止すべき」も7.1%と、消費税そのものの問題点に気が付いている人は思ったより多い、という印象を受ける。
この世論調査でさらに興味深いのは、「男性では消費税10%を容認する、と答えた人が36%と最も多かった」のに対し、「女性では8%維持が38.1%と最多を占め」、「男女での受け止め方の違いが浮き彫りになった」と分析していることだ。
このような違いが出てくる原因は単純で、いまだに「性別役割分業社会」から抜け出せない日本においては、日常的に家計のやりくりに頭を悩ませているのは圧倒的に女性が多い、ということに尽きるのではないか。逆に言えば男性の多くは「会社人間」として日常の多くの時間を過ごし、「消費税が上がったら、生活がどれくらい苦しくなるのか」ということが実感として分からないのだろう。
もう一つ興味深いのは、消費増税に対する見方は職業によっても異なり、「非正規労働者と主婦層はおよそ4割が8%維持を支持し、10%容認を上回った」、逆に「会社員や公務員・団体職員は10%容認が4割近く、8%維持を上回った」という事実だ。
これまで、消費税率を上げるたびに富裕層の所得税、大企業の法人税などが減税されてきて、貧しい人たちから「搾り取った」消費税はその穴埋めに使われた。そのような「大企業・富裕層優遇」の税制を徹底的に見直すことで「財源」は確保するべきで、貧しい人ほど負担が大きい消費税を基幹税と位置付けること自体に、社民党は反対している。
税の原則は「応能負担」、つまり「払える能力のある人が、より多く払う」であるべきで、「取りやすいから(脱税しにくいから)」といった無責任な理由で、貧しい人ほど苦しめる根本的な欠陥のある消費税を、まず財源として考えるというのは、ありていに言えば「倒錯した」考え方だと筆者は思う。
消費税の問題は、「庶民」の感覚では「消費税10%なんてとんでもない、8%だって生活は楽じゃない」となるはずだが、では何故「会社員や公務員・団体職員は10%容認が4割近く」なのだろうか?
多分、このカテゴリーの人たちはかなりの高給取りで、「所得税の累進税率が上がるのは困る」とか、「法人税率が上がって企業の儲けが少なくなるのは困る」といった理由で「消費税率を上げてなるべく多くの人に負担してもらった方が良い」と考えているのかもしれない。(なお、「財政再建のために必要」とか「福祉のために必要」という理由は、大嘘であることがすでに分かっているので、そういう理由で消費増税を支持している人は「残念!」というしかない。)
良く知られているように、消費税の「負担感」は収入によって大きく異なる。例えば年収2000万円もある人は、それをすべて消費に回す、といったことは考えられない。仮定として2000万円のうち1000万円だけを消費に回すとすると(まあ、1000万円も消費に回せる生活はどんなものだろう、とも思うが)、収入に対する実質の税負担率は4%、ということになる。それに対して、年収が300万とか400万くらいしかない人は、その収入のほとんどを消費に回さざるを得ないので、税負担率はそのまま、8%ということになる。
そういうわけで、高給取りほど「所得税を下げて、消費税を上げろ」ということになるのは見やすいことだ。私たち社民党は、徹底的に庶民の、働くものの、貧しい人々の目線に立って、「消費税は絶対に上げさせない、むしろ減税によって消費を回復させ、景気を良くすることこそ、日本経済を救う唯一の政策だ」と強く主張して、この参院選をたたかい抜く。
皆さんが「消費増税反対、消費税はむしろ減税すべき、または廃止すべき」とお考えなら、是非とも社民党に絶大なるご支持をいただきたい。皆さんの一票一票が、これからの政治の方向を変える。決して棄権などせず、皆さんの意志を投票によって表明して欲しい。
(2019年7月17日)