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待機児童解消「緊急対策」に効果はあるのか

日記
04 /13 2016
本日の東京新聞はトップで、政府が3月末に公表した緊急待機児童対策の具体的内容を各自治体に通知した、と報じている。

認可外保育所の利用料 月5000円軽減へ 待機児童対策の効果は限定的

この「緊急対策」の詳細は以下の首相官邸サイトで見ることができる。

待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策について(平成28年3月28日)

東京新聞もこの緊急対策の「効果は限定的」としているが、最大の問題点は保育士の待遇改善という、保育士不足の最も重要な根本原因に何ら対策がないことだろう。これに先立つ自公の提言では月8000円程度の給与アップという案(これ自体、全く不十分だが)が伝えられていたのに、このサイトの詳細説明の部分(「規制の弾力化・人材確保等」の「詳細を見る」で読める)を見ても、保育士の給与については何の具体的対策も書かれていない。これでは「人材確保」など出来るわけがない。

先日も書いたように、保育士の平均給与と一般の平均給与とでは月9万円もの差がある。この格差を完全に無くすことが理想だが、社民党を含む5野党共同提案による保育士処遇改善法案では、この格差を解消するために月5万円アップとしている。少なくともこのくらいの給与アップを実現しなければ、「保育士として働こう(有資格者の復帰を含めて)」という人材を惹きつけるインセンティブにはならない。自公案のように月8000円程度のアップで「保育士になろう」という人が増えるとは、とても考えられない。

全国の保育士の数を現在、約40万人として必要な財源を計算すると(実際に保育職への「惹きつけ効果」が出て保育士の数が増えれば、もちろん必要な財源も増えるが)、月5万円アップならば40万人×5万円×12か月=2400億円/年。例の「低所得高齢者への一時給付金」が3400億円。こんなことをやらなければ、十分に5万円(あるいはそれ以上)の給与アップが出来るではないか。

参院選狙いのバラマキ、景気対策のための一時的な予算と、将来を担う子供を育てる若い母親や父親たちが安心して子供を預け、働ける環境を整備するための予算と、どちらが大切なのか。

(2016-4-13)